健康な肌に変わる!正しい「皮膚ケア」#2

50代から急増!皮膚トラブルを悪化させる「やってはいけない習慣」5つ

50代から急増!皮膚トラブルを悪化させる「やってはいけない習慣」5つ

更新日:2025年09月25日

公開日:2025年09月17日

50代から急増!皮膚トラブルを悪化させる「やってはいけない習慣」5つ

帯状疱疹、乾燥肌、フケ、敏感肌……。50代から急増する皮膚トラブルは良かれと思ってやっている普段の習慣が原因かも。自己判断で放置すると危険です。皮膚科医が「やってはいけない習慣」と正しい予防法、さらに受診すべき症状の目安を詳しく解説します。

教えてくれるのは、皮膚科医・生垣 英之(いけがき・ひでゆき)さん

信州大学医学部附属病院皮膚科などを経て、2017年より茨城県古河市「こだま皮膚科」の院長に就任。2019年に「いけがき皮膚科」として継承開院。一般皮膚科から美容・小児・アレルギー科まで幅広く診療。著書に『皮膚トラブルの治し方大全』(KADOKAWA刊)

NG習慣(1)ちょっと痛いだけかも? と様子見…「帯状疱疹」

NG習慣(1)ちょっと痛いだけかも? と様子見…「帯状疱疹」
asakurac / PIXTA

前回は、皮膚科が警告する怖い病気を紹介しました。今回は、皮膚トラブルを悪化させる「やってはいけない習慣」5つを解説していきます。

まずは「帯状疱疹」にかかわるNG習慣です。帯状疱疹は体の片側に沿って、帯状に赤い発疹や小さな水ぶくれが現れ、強い痛みを伴います。治療によってこれらの皮膚の症状は治りますが、帯状疱疹後神経痛という合併症を引き起こし、神経痛がのちのちまで残ることがあります。年齢が高いほど頻度は高くなり、80歳以上では30%以上というデータもあります。

帯状疱疹後神経痛は皮膚科でも治療を行いますが、通常の鎮痛剤が効きにくいので、専門の治療が必要になる場合もあります。例えば、痛み専門外来や神経内科などが、痛みの専門的な治療を行っています。 

帯状疱疹は最初の3日が大事です。帯状疱疹はウイルスによる感染症ですので、抗ウイルス薬によって治療しますが、服用が早いほど効果が高いからです。

NG習慣(2)50代から要注意!「帯状疱疹」ワクチンを避ける

NG習慣(2)50代から要注意!「帯状疱疹」ワクチンを受けない
mapo / PIXTA

帯状疱疹は、水ぼうそうと同じ水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる感染症ですから、多くの人は子どもの頃にかかっているか、予防接種を受けて、体の中に抗体ができています。

しかし、年齢とともに抗体が少なくなるため、50歳を過ぎてから帯状疱疹になる人が多いのです。したがって、50歳以上の人を対象にワクチン接種が推奨されています。ワクチン接種によって帯状疱疹の発症を防いだり、発症しても重症化を防いだりしてくれます。

<おうちでできるセルフケア>

  • 50歳を過ぎたら帯状疱疹のワクチン接種を受けましょう。
  • 免疫力が低下するとかかりやすいので、栄養バランスのよい食事をとり、体をよく休めましょう。

<こんな症状ならクリニックへ>
痛みを感じて数日後に皮膚に発疹が現れたら帯状疱疹を疑います。効果のある内服薬があ
りますので、病院で処方してもらいましょう。

NG習慣(3)お風呂大好な人は要注意!「乾燥肌」を悪化させる長風呂

NG習慣(3)お風呂大好な人は要注意!「乾燥肌」を悪化させる長風呂
プラナ / PIXTA

次に「乾燥肌」にかかわるNG習慣です。

加齢によって、皮膚にはさまざまな変化が起こります。まず、皮脂腺の働きが低下し皮脂分泌が減少します。皮脂は肌の表面を覆い、皮膚から水分が蒸発するのを防いでくれていますから、皮脂が減少するということは、皮膚の保水力が弱まり、乾燥しやすくなるということです。

2つ目は、皮膚の表層の角質層を満たしている天然保湿因子(NMF)やセラミドが減少します。それによって角質層の水分保持力が低下し、肌のうるおいが不足してしまうのです。

3つ目は、皮膚の真皮に張り巡らされているコラーゲンやエラスチンが減少します。これによって肌の弾力が失われ、しわやたるみが目立つようになります。また、肌が薄くなり、外部からの刺激や乾燥に対する抵抗力が弱まります。

お風呂好きな方も多いと思いますが、長時間お湯につかると皮膚を覆っている皮脂が流れ落ちてしまいます。皮脂は皮膚から水分の蒸発を防ぎうるおいを保ってくれる天然の保護膜です。これがなくなると、当然皮膚は乾燥してしまいます。

また、長風呂によって皮膚の最も外側にある角質層がふやけてバリア機能が低下します。すると皮膚は外からの刺激にさらされ、ダメージを受けやすくなります。さらに、お風呂あがりに皮膚の表面の水分が蒸発する際、皮膚内部の水分も一緒に蒸発してしまうので、ますます乾燥しやすくなります。

<おうちでできるセルフケア>

  • ぬるめのお湯に短時間つかることを心がけましょう。
  • お風呂からあがったら、できるだけ早めに保湿をし、水分の蒸発を防ぎましょう。
  • 水分を保持する「セラミド」「ヒアルロン酸」「グリセリン」を配合する化粧品や乳液、クリームを使いましょう。

<こんな症状ならクリニックへ>
皮膚がひび割れたり、痛みやかゆみを強く感じたりするようなら、かき壊して悪化する前に受診しましょう。

NG習慣(4)「フケ・かゆみ」が止まらない!悪化させる食生活

NG習慣(4)「フケ・かゆみ」が止まらない!悪化させる食生活
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「頭皮のかゆみやフケ」が生じる脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌と関係が深く、食習慣が皮膚の状態に影響を及ぼすことがあります。脂っこい食事は皮脂の分泌を促進し、脂漏性皮膚炎を悪化させる原因になります。

また、脂漏性皮膚炎は炎症を伴うことが多いのですが、アルコール(お酒)や糖分が多い食事は体内の炎症を促進しますから、これも脂漏性皮膚炎が悪化する要因となります。

<おうちでできるセルフケア>

  • 野菜、果物、ナッツ類、魚介類など、抗炎症作用のある食品、ビタミンB群や亜鉛を多く含む食品を積極的にとりましょう。
  • アルコールや糖分を控えましょう。

<こんな症状ならクリニックへ>
赤みが強い、患部が広がっている、という場合は病院で診みてもらいましょう。

NG習慣(5)知らずに肌を刺激し、傷めるファッション

NG習慣(5)知らずに肌を刺激し、傷めるファッション
zak / PIXTA

皮膚が洗剤や化学薬品などの刺激物にさらされることで生じる炎症の一種に「刺激性皮膚炎」があります。原因は、それ以外にも、摩擦や汗、温度変化などの場合があります。

症状としては、皮膚が赤くなったり、かゆみや乾燥、痛みを伴ったりすることもあります。特に、敏感肌や乾燥肌の人はかかりやすい傾向があります。

刺激性皮膚炎の人は、体を締めつける服を着ないようにしましょう。皮膚が圧迫されたり、布地がこすれて摩擦が起きたりして、皮膚が刺激を受けやすくなるからです。また体を締めつけることで血行を悪化させ、皮膚のバリア機能を低下させてしまいます。

<おうちでできるセルフケア>

  • 原因となる物質をできるだけ排除しましょう。
  • ゆったりした服を着ましょう。
  • しっかり保湿をして皮膚のバリア機能を高めましょう。
  • 服の素材は綿100%が理想です。

<こんな症状ならクリニックへ>
痛みやかゆみが強い、炎症が広がっている、なかなか治らない、というときは病院で診てもらいましょう。

次回の記事では、今すぐやめてほしい、自己流やりがちケアを紹介していきます。

※本記事は、書籍『専門医が教える健康な肌に変わる対処法 皮膚トラブルの治し方大全』より一部抜粋して構成しています。気になる症状はかかりつけ医に相談してください。

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■「自己流は危険!皮膚科医が教える正しいケア」をもっと読む■

#1:放置はNG!ほおっておくと怖い皮膚の病気
#2:皮膚トラブルが悪化「やってはいけない習慣」5つ
#3:知らずに悪化する皮膚の「やりがち習慣」5選

もっと詳しく知りたい人は、生垣さんの書籍をチェック!

帯状疱疹や乾燥肌、湿疹やアレルギーなど、全32症例を網羅。30万人もの体を診てきた皮膚科医・生垣英之さんが解決する健やかな肌を維持するためのかゆみ、痛みの対処法を紹介。薬局などで対処できるセルフケアをはじめ、クリニックにかかったほうがいいタイミング、予防方など広く掲載。長く愛用できる皮膚トラブルの書籍です。

HALMEK up編集部
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