夏は血液ドロドロになりやすい?認知症リスクを遠ざける血液サラサラ対策
夏は血液ドロドロになりやすい?認知症リスクを遠ざける血液サラサラ対策
公開日:2025年08月28日
夏にも多い脳梗塞!認知症の原因にも?
脳梗塞など血管系の病気は、冬に多いイメージがあります。しかし、実は夏場も脳梗塞が増える時期。夏は汗をたくさんかくことで血液中の水分量が不足し、血液がドロドロになって血栓ができやすくなるからです。
脳梗塞は、命に関わる重大な病気として知られますが、もう一つ覚えておきたいのが、脳血管性認知症につながる可能性もあるということ。
脳梗塞と、脳血管性認知症の関係について、医師の広川さんはこう解説します。
「脳梗塞により脳の一部に血液が流れなくなると、その部分の脳細胞の働きが失われて認知機能に影響を与えます」
脳血管性認知症の症状は影響を受けた脳の部位によって異なりますが、以下のような症状が特徴とされています。
<脳血管性認知症の特徴>
- 特定の分野のことは問題なくできるが、他の分野のことは何もできなくなるなど「まだら」の症状を発症する
- 感情のコントロールが難しくなり、怒りっぽくなったり、逆に感情が乏しくなったりする
- 記憶力や判断力といった認知機能の低下だけでなく、早い段階から言語障害や運動麻痺といった身体的障害を伴うことが多い
「脳血管性認知症では、脳梗塞を複数回発症するとこうした症状が段階的に悪化していきます。そのため、脳梗塞の再発防止や、そもそも脳梗塞にならない心掛けが重要です」(広川さん)
脳梗塞のリスクを減らすためにも、将来の認知症リスクを下げるためにも、夏も血液サラサラ対策を意識していきましょう。
夏の脳梗塞の大きな原因は脱水!“かくれ脱水”にも要注意
夏の血液サラサラ対策でまず意識したいのが、脱水を防ぐことです。脱水を防ぐには水分補給が第一。そこで広川さんに、夏の水分補給のポイントを教えてもらいました。
■脱水対策1:喉の渇きを感じる前にこまめな水分補給を
汗をたくさんかく夏は、喉が渇いたときにはすでに脱水が始まっていると考えて。喉の渇きを感じる前に水分を取ることが大事です。
1時間に1回など時間を決めて、定期的な水分補給を心掛けましょう。夏に怖い熱中症対策にもつながります。
なお、糖分が多いスポーツドリンクなどの飲み物は、飲みすぎないように気をつけて。飲むのは水の他、麦茶・緑茶などがおすすめです。はちみつを少し入れると、暑さによって消耗したエネルギーの補給に役立ちますよ。
■脱水対策2:涼しい部屋でも水分補給を忘れずに
冷房の効いた室内は意外に乾燥していて、体内から少しずつ水分が奪われています。気づかないうちに脱水を起こしていることもあるので、涼しい部屋にいるときもこまめな水分補給を心掛けましょう。
<かくれ脱水セルフチェック>
脱水状態は、素早く気づくことが大切。喉の渇き、めまい、立ちくらみなどの明らかな症状が現れている場合はもちろん、「かくれ脱水」にも注意しましょう。
かくれ脱水は、自覚症状があまりない、または軽い症状のまま脱水が進んでいる状態を指します。
次のような状態が見られたら、「かくれ脱水」の可能性があるので早めに水分補給を行いましょう。
□おしっこの色が濃い黄色
□おしっこの量が極端に少ない、または出ていない
□口や唇、舌が乾いている
□親指の爪先を押した後、2秒以上経っても指先に赤みが戻らない
□呼吸が荒い
夏の血液サラサラ対策で取り入れたい食事の工夫6選
血液をサラサラにするには、脱水対策にプラスして、毎日の食事を工夫するのもおすすめです。
血液サラサラ対策で積極的に取り入れたいのは、血圧を下げたり、血流をスムーズにするのを助ける食材。具体的に取り入れたいものを、広川さんにお伺いしました。
1.納豆
納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」という酵素には、血栓を溶かしやすくする働きがあります。
血栓は深夜から早朝にかけて作られやすいため、脳梗塞など血栓症の予防には、夕食時に摂取すると効果的と言われています。
2. 玉ねぎ、ニンニク
玉ねぎやニンニクのにおいと辛さを生み出す成分「硫化アリル」は、新陳代謝を活発にし、血液をサラサラにする作用があります。
硫化アリルは加熱すると成分が変わってしまうので、血液をサラサラにする効果を期待するなら、生のまま食べるのがおすすめ。辛みが気になる場合は、薄くスライスして水にさらすと辛みが和らぎます。サラダに生玉ねぎを加えたり、薬味に生ニンニクを添えるなどして、上手に献立に取り入れましょう。
3.海藻類
海藻に含まれる水溶性食物繊維は、腸内でコレステロールや中性脂肪を吸着して便と一緒に排出する働きがあり、脳梗塞の原因となる動脈硬化の予防に役立ちます。
また、海藻類には、血液中の余分なナトリウム(塩)を排出し、血圧を下げる働きがあるカリウムも含まれています。昆布やわかめ、ひじきなどを意識して取り入れましょう。
4.油を上手に利用する
アマニ油やえごま油、ベニバナ油、ごま油など、不飽和脂肪酸が主成分の油には、血中の悪玉コレステロールを減らす働きが期待できます。普段使う油をこうした油に変えるだけでも、血液ドロドロの予防につながります。
悪玉コレステロールを除く働きがある「オレイン酸」をたっぷり含む、オリーブオイルもおすすめですよ。
なお、一般的にバターやラードなどの飽和脂肪酸が主成分の油を多く取ると、悪玉コレステロールが増えやすいと言われていますが、最近の研究では特に増えることもなく、かえってエネルギー源として夏バテ予防になると言われています。
まだまだ暑さで体力の消費が激しい時期です。取り入れるものを極端に制限するのではなく、作る料理やそのときの体調・調子を見ながら使い分けるといいでしょう。
5.脳の健康にも役立つDHA&EPAが含まれる魚
血液サラサラ成分として知られるDHAとEPA。DHAには血管の弾力を高める働きが、EPAには中性脂肪を下げて血栓を作りにくくし、血流を改善する働きがあります。また、DHAは、脳を活性化したり、処理能力や集中力、判断力を高めるとも言われるので、脳の健康のためにも積極的に取りたい成分です。
DHAとEPAの2つの成分を含んでいる食材は、さんま、サバ、イワシ、あじ、ぶりなどの青魚です。手軽に取り入れられるサバ缶や刺身を利用するのもおすすめです。
6.プロポリス
ミツバチが作る天然の抗菌物質「プロポリス」も、血液サラサラをサポートする成分として注目されています。
プロポリスには、血液の凝固を促進する「PAI-1」の増加を抑制する働きが報告されており、血栓の予防に役立つ可能性があります。
また、もの忘れを自覚する高齢者の認知機能(言語記憶力)を改善するという報告がされているなど、認知症予防に役立つ可能性も示されています。
血液がドロドロしやすい夏。脳梗塞や将来の認知症を防ぐためにも、今すぐ血液サラサラ習慣を始めましょう!
取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所
■監修者プロフィール:広川慶裕(ひろかわ・よしひろ)さん

ひろかわクリニック院長。認知症診療医/予防医。認知症予防プログラム「認トレ®」創設者。認知症の早期発見と早期治療に取り組むと共に、精神科医として、うつ病、統合失調症などの治療や、働く人のメンタルヘルスに尽力している。著書に、「あなたの認知症は40歳からわかる!」(悟空出版)など。
※「認トレ®」は、ひろかわクリニック・広川慶裕医師の商標登録です。




