【医師監修】オトナ世代の脳のトリセツ!脳は使い方次第で元気になる

公開日:2025年06月26日

前向きになる!認知症も防ぐ!#1

【医師監修】オトナ世代の脳のトリセツ!脳は使い方次第で元気になる

【医師監修】オトナ世代の脳のトリセツ!脳は使い方次第で元気になる

物忘れが増えた、気力が湧かない…… 年齢を重ねると顕著になるお悩み。解決のカギは、加齢とともに変わる「脳の使い方のコツ」にありました。脳科学の権威が監修した、脳の“取扱説明書(トリセツ)”を大公開します!4つの記事で紹介します。

教えてくれる人:篠原菊紀(しのはら・きくのり)さん

教えてくれる人:篠原菊紀(しのはら・きくのり)さん

公立諏訪東京理科大学 工学部情報応用工学科 教授
運動、学習、遊びなど日常のさまざまな場面の脳活動を研究。子どもから高齢者までを対象に、脳育や認知機能低下防止、脳トレなどについての執筆や監修、講演などを幅広く行う。近著に『「前頭前野」を鍛える!脳活ドリル』(監修・ジーウォーク刊)がある。

脳の使い方次第!実は年齢ごとに伸びる機能も

脳の使い方次第!実は年齢ごとに伸びる機能も

年齢を重ね、「頭の働きが鈍った」ともどかしさを感じる方も多いはず。しかし「脳は衰える一方だと悲観するのは間違い」と話すのは、脳科学の専門家・篠原菊紀さんです。

「人間の知能には大きく分けて二つの分類があります。一つは、新しい情報を処理して目の前のことに対処する『流動性知能』。もう一つは、経験や知識から物事を適切に判断する『結晶性知能』。後者はいわゆる“年の功”といわれる力です。この結晶性知能は60代をピークに、その後も高く維持される傾向にあります」

脳の使い方次第!実は年齢ごとに伸びる機能も
以下の2つの論文をもとに篠原さんが作成した図を編集部で改変
出典:Horn JL, et al. Acta Psychol(Amst). 1967;26(2):107-29. Baltes PB, et al. American Psychologist, 2000 Jan; 55(1):122-36.

 一方で、流動性知能は20代をピークに右肩下がりに。

「相手の発言にとっさに返すなど、“瞬間的に何かを覚えて、すぐ行動に移す”力はこの流動性知能の領域です。そのため60代以降は、日常生活ではせっかくの知識や経験が生かせず、『脳の衰え』ばかりを実感しがちになるのです。この流動性知能を鍛える脳の使い方が重要です」(篠原さん)

脳を元気にするには「やる気」が大前提

流動性知能を鍛える方法について、篠原さんはこう続けます。

「流動性知能には『前頭前野』と『海馬』の働きが大きく関わっています(下イラスト参照)。この二つは連動しながら記憶を司る部位で、60代以降にぐっと機能が落ち、物忘れや言葉が出にくい原因になります。ここを効率的に刺激する、『ワーキングメモリ・トレーニング』がおすすめ。認知症全般の予防にもつながります」

加えて、脳の奥にあって意欲を司る「線条体」も、「60代以降は特に活性化したい場所」と篠原さんは解説します。

「前頭前野や海馬と同様、加齢で衰えやすいことが一つ。さらに線条体は、『これをすればいいことがあるかも』という期待感で“着火”し、やる気を引き起こすため、物事の先が予測できてしまう経験豊富な世代だからこそ、機能が低下しやすいとも言えます。脳にいい習慣も、まず始めて、続かなければ意味がありません。『前頭前野』『海馬』と一緒に鍛えていきましょう」

特に60代以降、この3つの部位に老化が起こりやすい

主に思考を司る「前頭前野」、短期記憶の“保管庫”である「海馬」、意欲や意思決定の要「線条体」。この3つの部位は年齢とともに衰えやすく、それが忘れっぽさややる気の低下の原因に。

特に60代以降、この3つの部位に老化が起こりやすい

線条体(せんじょうたい)

運動・行動の開始や維持に関わる部位。快感に関わるドーパミン神経系とつながりが強く、やる気を司る中枢でもあります。

前頭前野(ぜんとうぜんや)

五感で得た情報を組み合わせ、思考や判断を行う人間の知的活動の中枢。海馬と連動して短期記憶を司り、同時に複数の物事を進める力の根源でもあります。

海馬(かいば)

主に新しい記憶を一時的に保管し、必要に応じて出し入れする役割があります。衰えると、物忘れが増える、言葉に詰まるなどの症状が出やすくなります。

シャキッと脳を保つカギは……

記憶に関わる前頭前野と海馬、やる気を司る線条体を刺激すること!

次回は言葉のお悩みを解消!ワーキングメモリ・トレーニングについて紹介します。

取材・文=新井理紗(ハルメク編集部)、イラストレーション=岸潤一

※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年11月号を再編集しています。

HALMEK up編集部
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