前向きになる!認知症も防ぐ!#4

【医師監修の脳トレ】普段の行動に「あえて」のスパイスを効かせる!

【医師監修の脳トレ】普段の行動に「あえて」のスパイスを効かせる!

公開日:2025年06月26日

【医師監修の脳トレ】普段の行動に「あえて」のスパイスを効かせる!

年齢を重ねると顕著になる脳のお悩み。解決のカギは、加齢とともに変わる「脳の使い方のコツ」にあり、4つの記事シリーズで紹介します。脳科学の権威が監修した脳トレで、行動のコツひとつで脳を活性化する秘訣を学びましょう。

教えてくれる人:篠原菊紀(しのはら・きくのり)さん

教えてくれる人:篠原菊紀(しのはら・きくのり)さん

公立諏訪東京理科大学 工学部情報応用工学科 教授
運動、学習、遊びなど日常のさまざまな場面の脳活動を研究。子どもから高齢者までを対象に、脳育や認知機能低下防止、脳トレなどについての執筆や監修、講演などを幅広く行う。近著に『「前頭前野」を鍛える!脳活ドリル』(監修・ジーウォーク刊)がある。

普段の行動に、「あえて」意識を一つプラスしてみる

毎日の習慣からも、脳の働きを応援していきましょう。脳にとって最も“暇な状態”と言えるのが、「手慣れてルーティン化した作業をしているとき」と篠原さんは言います。

「慣れていることは、脳が同じ処理を繰り返していて、考えなくても効率的に作業できます。しかしその最中の脳活動を調べると、前頭前野などの領域がほとんど活動していません。また線条体も、『これをしたら何かいいことがあるかも』という期待感で活性化するため、結果が予測できてしまうルーティン化した作業ではほとんど刺激されないのです。特に年齢を重ねて脳が衰えてくると、無意識に 負荷の高い面倒な作業を避けて『いつものやり方』を選ぶ傾向が強くなります」

とはいえ、毎日新しい挑戦を繰り返すのは大変です。篠原さんがおすすめするのは、「普段の行動に、何か一つ『あえて』の意識をプラスしてみること」です。

「例えば、いつもの家事を『心をこめてやろう』と意識してみたり、あえて制限時間を設けて緊張感を加えてみたり、少しでもいつもと違う脳の使い方を取り入れることで、脳はいきいきと働き出します」

毎日の家事に「あえて」心をこめてみる

毎日の家事に「あえて」心をこめてみる

s家事は複数の作業を同時に行う、まさにワーキングメモリのトレーニングそのもの。どんな家事でも脳は活性化しますが、ぜひ「心をこめてやろう」と意識してください。具体的に「丁寧にやる」のか「手間をかける」のかは問いません。心をこめる意識を持つだけで、脳の活動が増し、前頭前野もより活性化します。

「心をこめて……」と意識するだけで脳が活性化!

普通に行った

普通に行った

心をこめて行った

心をこめて行った

篠原さんが行った実験では、カッターでの鉛筆削りを「普通に行った」グループと「心をこめて行った」グループとで、後者の方が脳血流量が増し、脳が活性化しているという結果が。

一日予定のない日に「あえて」“制限時間”を設ける

同じことをするにも「締め切り」を設ける方が、時間内に脳で処理する情報量が上がるため、脳トレ効果がアップします。特に、一日予定がなく家でボンヤリしてしまいそうな日は、あえて「掃除は10分以内に終えよう!」など、具体的に時間を区切った行動を取り入れてみましょう。

いつものウォーキングで「あえて」3歩目を大股にする

いつものウォーキングで「あえて」3歩目を大股にする

「歩きながら何かをする」のも、立派なワーキングメモリのトレーニング。100から7ずつ引く計算や、前に振った手が勝つように両手でじゃんけんをするのもgood。

おすすめは、「1、2、3」と頭で数え、3歩目を大股にする歩き方。数を数えながら歩くことでワーキングメモリが働き、自然と歩幅が広がって運動効果もアップします。

一日中忙しい日に「あえて」ぼんやりタイムを作る

常に何かに意識を集中させていると、かえって脳の働く部位が限定的になります。またストレスは、ワーキングメモリの容量を小さくしてしまいます。一日中忙しいときこそ、意識的に休憩や昼寝でぼんやりタイムを設けましょう。作業の効率や、ひらめき力もぐっと上がります。

運動はどんなジャンルでも認知機能には効果的

「運動が認知機能の低下予防に効果的」ということは多くの研究で実証されています。

「肝臓からはβ-ヒドロキシ酪酸、筋肉からはカテプシンBなどが分泌され、海馬の細胞が新しく生まれるのを促し、海馬を大きくする働きがあるとされています」(篠原さん)

特に認知機能に有益とされるのは有酸素運動と筋トレですが、「基本的にどんな運動でも効果はあるので、楽しく続けられるものに取り組みましょう」と篠原さんは話します。

運動すると、からだ中から脳にいい物質がたくさん出る!

  • 肝臓 ➡ β-ヒドロキシ酪酸
  • 膵臓 ➡ インスリン
  • 筋肉 ➡ カテプシンB、乳酸、IL-6
  • 骨  ➡ オステオカルシン

取材・文=新井理紗(ハルメク編集部)、イラストレーション=岸潤一

※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年11月号を再編集しています。

HALMEK up編集部
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