本当に「正しい休み方」#4

新・回復習慣!「睡眠」の質の高め方・「心」の休ませ方をマスター

新・回復習慣!「睡眠」の質の高め方・「心」の休ませ方をマスター

更新日:2025年07月10日

公開日:2025年05月14日

新・回復習慣!「睡眠」の質の高め方・「心」の休ませ方をマスター

免疫力を高める回復習慣をつくるには、体の休養と同じく脳や心を休ませることも大切です。そこで、2人の専門家に具体的な方法を聞きました。「睡眠の質」を上げる新常識や「心の免疫力の高め方」も必見です。

教えてくれたのはこの2人:

片野秀樹(かたの・ひでき)さん

博士(医学)、一般社団法人日本リカバリー協会代表理事、株式会社ベネクス執行役員。休養への理解向上を目指し啓蒙活動を行う。著書に『休養学:あなたを疲れから救う』(東洋経済新報社刊)。

鈴木裕介(すずき・ゆうすけ)さん

内科医・心療内科医。高知大学卒業後、高知県内の病院に勤務。高知医療再生機構でメンタルヘルス支援等に従事後、「秋葉原内科saveクリニック」を開院。著書に『我慢して生きるほど人生は長くない』『心療内科医が教える本当の休み方』(ともにアスコム刊)がある。

50代からは幼少期に似た朝型に変化!生体機能リズムを知ろう

体と脳を休めるために重要な睡眠。50代からは、体温や血圧、ホルモンの分泌など、睡眠を支える生体機能のリズムが前倒しになり、睡眠のリズムも変わります。深い睡眠より浅い睡眠の時間が長くなるため中途覚醒が増えるのです。

下の図のように、幼少期の朝型リズムは、青年期に夜型に後退。深部体温などが下がる成人期を経て老年期に入ると、幼少期と似た朝型リズムに戻ります。早朝に目が覚めることも自然なことです。

「これらの変化も対処次第で睡眠の質はちゃんと維持できますよ」と話すのは、日本リカバリー協会代表理事で博士(医学)の片野秀樹さん。

50代からは幼少期に似た朝型に変化!生体機能リズムを知ろう
出典:『休養学基礎』(メディカ出版刊)38ページ

 

毎日の睡眠の質を高める工夫・4つのポイント

毎日の睡眠の質を高める工夫・4つのポイント

布団の中の温度は32度、湿度50%をキープ

快適な睡眠環境をつくるポイントは、寝具内の温度と湿度にあります。理想の温度は約32度、湿度は50%。この環境を保つには、寝具の湿気を取り去る手入れが必要です。布団乾燥機は操作も簡単でおすすめ。

夜間睡眠の寝足りなさは「多層性睡眠」で補う

老年期の睡眠は、一度にまとめて眠る「単層性睡眠」から、1日に短時間の睡眠を複数とる「多層性睡眠」に変化。健康な人でも中途覚醒は起こるので、二度寝や昼寝も含め、全部で6~7時間ほど眠れていれば問題ありません。昼寝は、1回15分、それ以上眠りたい場合は約90分を目安にすると、すっきり目覚められます。

寝過ぎない、寝床に長居しない

「やることがないから寝床に入る」のはやめましょう。眠れぬまま寝床で過ごす時間が増えると寝つきが悪くなり、中途覚醒も増え、睡眠の満足度も低下。二度寝できないときは床から出て時間を有意義に使いましょう。

眠る場所を変えてみる

布団や枕の向きを変えたり、いつもと違う部屋で寝てみたりすると、案外よく眠れることも。睡眠環境にこだわったホテルや旅館で、その快適さを体感してみるのもおすすめ。気分転換しながら睡眠環境の整え方が学べます。

心を休ませるには、自分の感情や欲求に正直になることが大切

「休むことは自分を大切にすること」と心療内科医の鈴木裕介さんは言います。

「50代以上の方々は、“こうあるべき”という社会的価値観や他者の期待に懸命に応えてきた世代だと思います。自分が“我慢”していることさえ気付かず、ちゃんと休めていない方も多いかもしれません」

そこで日々の疲れを癒やし、心の免疫力を高めていくには、「我慢をやめ、自分と他人の間の“境界線”を守ることが大切」と鈴木さん。「他者を優先してがんばり続けるのではなく、自分の感情や欲求に正直になることがカギ。疲れをためず、上手に休みましょう」

心を休ませるには、自分の感情や欲求に正直になることが大切

“我慢”をやめる、“NO”と断る……「心の免疫力」の高め方

自分が“我慢”していることに気が付く

小さい頃から家庭や学校で「我慢しなさい」「人に迷惑をかけてはいけない」と言われ、感情を抑えていると、自分の欲求や気持ちがつかめなくなっていきます。自分が無自覚に我慢してこなかったかを振り返り、気付くことが心を癒やす第一歩になります。

自分と人の“境界線”を見直す

自分と他人の境界線があいまいだと、一方的で不公平な要求を受け入れてしまったり、逆に相手に自分の考えを押し付けたりということが起こります。まずは他者が境界線を越えてくることに敏感になると、守るべき自分の領域が明確になり、心地よい人間関係につながっていきます。

「NO」と断るレベルを少しずつ上げる

自分の心を守るためには、時にはNOと断ることも必要。下の表を見て、自分の今の「断る態度」のレベルを把握し、まずは「1つ上」を目指しましょう。レベル9や10の断り方ができる人はごくまれ。少しずつ嫌なことは嫌だと言い、遠ざける技術を磨きましょう。

「NO」と断るレベルを少しずつ上げる
「長谷川メンタルヘルス研究所」の資料を、鈴木裕介さんが改変

レベル1:「完全オート先取り」状態 
直接、頼まれてもいないのに、雰囲気で相手のしてほしいことを察して、へとへとになるまでやってしまう。

レベル2:「ノーマル先取り」状態 
頼まれていないのに、雰囲気でいろいろ察してやってしまうが、疲れているときはやらない。

レベル3:「よろこんで」状態 
どんな頼み事も、態度の上では嫌な顔一つ見せず快諾してしまう。

レベル4:「ちょいしぶり」状態 
少しためらいの態度を示すものの、承知はする。

レベル5:「しぶしぶ」状態 
かなりためらいの態度をしっかり示すものの、承諾はする。

レベル6:「NOの壁1枚」状態 
不本意であることをいったん表明し、さらに要求されたら承諾する。

レベル7:「NOの壁1枚半」状態 
いったん断って、さらに要求されたら再検討する。

レベル8:「NOの壁数枚」状態 
断って、さらに要求されても押し切られないように努力する。

レベル9:「NOの鉄壁」状態 
きっぱり断る。相手の言い分には耳を傾けず、断る態度を貫きとおす。

レベル10:「NOの要塞」状態 
きっぱりと断り、さらに相手がしつこく要求する場合はしかるべき反撃を考慮する。(「長谷川メンタルヘルス研究所」の資料を、鈴木裕介さんが改変)

「~すべき」を減らして自分が「~したい」を増やす

これまでは生きるために必要だった「~しなければいけない」という考え方や価値観。「今はもう必要ないかも」と手放せたら、心がすっとラクになるかもしれません。自分が何を「したい」と思っているかに目を向け、時間やエネルギーを注いでいきましょう。

「気分がのらない」ときは、“もう店じまい”と休む

人にはバイオリズムがあるので、「今日はあまり人と関わりたくないな……」という日もあります。どうしても参加しなければならない集まりなども早めに失礼するなど、無理せず“店じまい”をしましょう。

ぬいぐるみ、毛布など安心できる環境をつくる

ぬいぐるみ、毛布など安心できる環境をつくる

心を休めるためには、ほっと安心できる場所に身を置くことも大切です。自分の部屋にお気に入りの毛布やぬいぐるみを置く、ペットと触れ合う、好きなアロマの香りをかぐなど、リラックスできる工夫を。

たんぱく質をとり、日光浴をするのがおすすめ

幸せホルモン“セロトニン”の原料になるのは、トリプトファンというアミノ酸。たんぱく質をしっかりとれば、セロトニンの濃度が上がり、やる気がアップ。疲れにくくなります。朝、日光を浴びることも、セロトニンの分泌を促進します。

いきなり全部をクリアできなくても、できるところから少しずつ取り入れて、自分が心地よく過ごせるよう「心の免疫力」を高めていきましょう。

取材・文=大門恵子、野田有香(ともにハルメク編集部)、イラストレーション=いなばゆみ

※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年10月号を再編集しています

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