手指の痛み・しびれを自分で治す・1

50代以降の「手指の変形・痛み・しびれ」を放置してはいけない理由

50代以降の「手指の変形・痛み・しびれ」を放置してはいけない理由

更新日:2025年04月21日

公開日:2025年04月18日

50代以降の「手指の変形・痛み・しびれ」を放置してはいけない理由

手指の痛み・しびれに悩んでいませんか?手指の痛みの専門医・富永喜代さんの書籍『へバーデン結節 手指の痛み・しびれを自分で治す』より一部抜粋して、注意したい症状と、効果的に指の痛みをとる方法について解説していきます。

教えてくれたのは富永喜代(とみながきよ)さん

教えてくれたのは富永喜代(とみながきよ)さん

富永ペインクリニック院長。2008年に愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業し、ヘバーデン結節外来を開設する。著書に『指先の激痛・腫れ・しびれヘバーデン結節は自分で治せる!』『へバーデン結節 手指の痛み・しびれを自分で治す』(ともに、永岡書店刊)など。

「その指、いったいどうしたの?」と聞かれるのがつらい......

「その指、いったいどうしたの?」と聞かれるのがつらい......
Non+i / PIXTA

「えっ、あなたその手の指、いったいどうしたの?」――。

手指のトラブルを抱える患者さんは、久しぶりに会った知り合いなどから、こう聞かれるのが非常につらいといいます。

実際、痛々しく変形した指を他人に見られるのが嫌で、人目に触れないよう、手を懸命に隠し続けている人も少なくありません。

手指の病気にはさまざまなタイプがあります。例えば、指の第一関節が変形する病気「ヘバーデン結節」は、女性を中心に全国に300万人以上の患者数がいるとされています。

ところが、この病気はまだ原因がよくわからず、ほとんどの医療機関では痛みを多少ごまかす程度の対症療法しかできていません。

しかし、決して諦めることはありません。本書で解説する「10秒神経マッサージ」などの治療メソッドを日々実践すれば、手指の病気を着実に治していくことができます。

しかも、自宅でのセルフケアによって、自力で治していくことが十分に可能なのです。

その不調、炎症のサインかも?まずはセルフチェック

その不調、炎症のサインかも?まずはセルフチェック
freeangle / PIXTA

手指の病気は、さまざまな原因によって発生します。ただ、指に痛みや変形、こわばりが現われる場合、指の関節に起きた炎症が原因になっていることが少なくありません。

まずは、下記の症状に当てはまるものがないか確認してみましょう。

■痛み

  • 指を動かすたびに痛む
  • 指先がしびれる
  • 何かが指にちょっと触れただけで激痛が走る
  • 安静にしていても痛む

■血行不良

  • 指先が冷える
  • 指の血色が悪くなる
  • 指が赤黒い色になってくる

■変形

  • 指の関節にコブ(結節)ができている
  • 指の関節が腫れている
  • 指先がむくむ
  • なんとなく指が曲がっている

■動かしにくさ

  • グーパーができにくい
  • よく物を落とす
  • 指にギュッと力を込めることができない

■こわばり

  • 指がこわばって動かしづらい
  • 朝にこわばりがひどくなる

実はこれらの不調が、炎症が起きているサインであったりもするのです。

無理を続けると変形した指が固まってしまうことも

指関節に炎症が起きている人は、その部位をレントゲンで見ると、関節の隙間が極端に狭まっているのがわかります。

関節の隙間が狭まると、関節内で骨や軟骨がぶつかり合って変形し、「骨棘」(こっきょく)と呼ばれるトゲができるようになります。

このトゲにより神経が刺激され、痛みなどの症状が引き起こされるのです。また、この状態で指を使い続けていると、指が変形し、そのまま固まっていってしまう場合もあります。

こうした指関節の炎症や変形をともなう病気はまとめて「変形性指関節症」と呼ばれていて、ヘバーデン結節、ブシャール結節、母指CM関節症などがこれに該当します。

手指の病気になると日常生活に不便が……

手指の病気になると日常生活に不便が……
trickster* / PIXTA

手指の病気になると、指を動かして何かをしようとするたびに痛みが走ることが少なくありません。

特に、指先に力を込めたり、指先で小さいものをつまんだり、指先を水に浸したりした際に痛む場合が多く、家事や仕事などの手作業でいちいちストレスを感じることになります。

例えば…

  • ミシンを使うとき、布地を指でグッと押さえるたびに痛みが走る
  • ミニトマトのヘタをとるときに指に痛みが走る
  • 指が痛くて菜箸が使えない
  • 美容師なのに、ハサミを使ったりシャンプーしたりするのがつらくなってきた
  • 缶詰のプルトップが開けられない
  • 買い物の後、レジ袋の持ち手が指に食い込んで、数分も持っていられない
  • 包丁でカボチャやニンジンを切るとき、痛くて力を入れられない
  • パソコンのキーボードを打っていると、指が痛くなる
  • フライパンを使うときに、指がズキッと痛む

想像するだけでも不便ですよね。では、症状の悪化を防ぐには、どうしたらいいのでしょうか?

痛みをとることが回復の第一歩!

痛みをとることが回復の第一歩!
kou / PIXTA

慢性の関節痛の治療は、痛みをとらなければ何も始まりません。例えば、五十肩は肩をしっかり動かす方が治りが早いのですが、激痛があっては肩を動かすことすらできません。

まずは神経ブロック注射などで痛みの神経経路を遮断し、痛みをとった上で、動かしながら改善させていくのです。

これは、手指の関節の病気についても同じです。

まずは「10秒神経マッサージ」を行い、痛みをちゃんととることが重要となります。その上で血液や神経の流れを正しい状態に回復させ、正常に動かせるようにしていくのです。

つまり、指の痛みをとることによって回復への道が開けてくるようになるわけですね。

イメージとしては下記のような流れです。

1.まず痛みをとる
  ↓
2.患部をラクに動かせるようになる
  ↓
3.血液の流れ・神経の機能が回復する
  ↓
4.悩みの症状が消え、QOL(生活の質)が回復する

いかがでしたか? 一見、難しそうに思えますが、きちんとした対処法を知っておけば自力で回復させることも可能なのです。

次回は、「10秒神経マッサージ」の基本となる動きを詳しく紹介。中高年女性が注意したい病気「リウマチ」の対処法も必見です。

※本記事は『へバーデン結節 手指の痛み・しびれを自分で治す』(永岡書店)より一部抜粋して構成しています。


「手指の痛み・しびれを自分で治す」をもっと読む

#1:50代以降の「手指の変形・痛み・しびれ」を放置してはいけない理由

#2:「10秒神経マッサージ」で、手指の痛み・しびれを自分で治そう!

#3:「手指の病気」セルフ診断!更年期以降、リスクは早期発見がカギ

#4:手指の痛みがやわらぐ!専門医が教える簡単「10秒体操&呼吸」

もっと詳しく知りたい人は富永先生の書籍をチェック!

もっと詳しく知りたい人は富永先生の書籍をチェック!

『へバーデン結節 手指の痛み・しびれを自分で治す』(永岡書店刊)
痛みの専門医が考案した、手指の痛み改善メソッド「10秒神経マッサージ」を紹介。痛み予防に有効な生活習慣もアドバイスしています。
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HALMEK up編集部
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