ぽっこりお腹・生活習慣病を招く内臓脂肪を撃退!

内臓脂肪を落とす!運動方法&食事法、おすすめ食材も

吹田 春佳(LIGHT CLINIC 副院長)
監修者
LIGHT CLINIC 副院長
吹田 春佳

公開日:2022.06.30

更新日:2023.03.17

内臓脂肪を落とすには、運動の継続と食生活の改善が大切です。内臓脂肪はぽっこりお腹を招き、生活習慣病の原因にもなるため、気になったそのときから対策を始めましょう。内臓脂肪を減らす運動や食事、おすすめ食材について専門家監修のもと解説します。

内臓脂肪がぽっこりお腹や生活習慣病を招く! 

年齢を重ねるにつれ、だんだんと気になってくるぽっこりお腹

内臓脂肪が過剰に増えると、動脈硬化を防ぐアディポネクチンという物質を十分に作れなくなります。さらに、糖の代謝機能を低下させる、血圧を上げる、血液中で血の塊を作りやすくするなどの悪影響も及ぼすことに。

これらの悪影響は血管の老化を加速させ、高血圧や糖尿病、動脈硬化、脂質異常症、脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病を招く原因になってしまうのです。

また、肥満は生活習慣病の他にも、骨や関節への負担が大きくなることで腰痛や膝の痛みなど関節障害の原因になります。

「内臓脂肪型肥満」や「隠れ肥満」に要注意

「内臓脂肪型肥満」や「隠れ肥満」に要注意

肥満の中でも怖いのが、内臓脂肪が多いタイプの肥満である「内臓脂肪型肥満」です。内臓脂肪型肥満は生活習慣病に最も悪影響を及ぼし、さまざまな生活習慣病の元凶ともいえます。

内臓脂肪は付いているか付いていないかがわかりにくく、見た目やBMI(肥満や低体重の判定に使用する指標)では肥満ではないものの、内臓脂肪が蓄積している「隠れ肥満」の可能性も考えられるため、注意が必要です。

内臓脂肪とは?皮下脂肪や体脂肪との違い

体につく脂肪の総称のことを「体脂肪」といい、内臓脂肪と皮下脂肪の2種類に分けられます。

「内臓脂肪」とは、胃や腸の周辺についている脂肪のこと。お腹まわりに脂肪がつくため、ぽっこりお腹の原因になります。内臓脂肪は蓄積されやすいものの、落としやすいことが特徴で、男性の方が女性よりも内臓脂肪が付きやすいです。

一方、「皮下脂肪」は皮膚のすぐ下の皮下組織につく脂肪で、内臓脂肪に比べると落としにくいことが特徴です。女性は男性に比べて皮下脂肪がつきやすくなっています。

体脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)は増え過ぎても減らし過ぎても体に悪影響が出るため、自分の年齢や性別、体格に合わせた体脂肪率の理想値を知っておくことが大切です。

内臓脂肪や皮下脂肪が増える原因

内臓脂肪や皮下脂肪が増える原因

ここからは、内臓脂肪や皮下脂肪が増える原因をご紹介します。

摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っている

内臓脂肪や皮下脂肪が増加する主な原因が「摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っている」ということです。食べ過ぎやアルコールの飲み過ぎ、高カロリーな食事を好む食生活によって摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、消費し切れなかった分が、内臓脂肪として蓄積されてしまいます。

「ウォーキングなどの有酸素運動や、腹筋などの筋トレをしているのに内臓脂肪や皮下脂肪が落ちない」という場合、食べ物や飲み物で摂取する摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っている可能性が考えられます。

せっかく運動をしても、摂取エネルギーが多過ぎると内臓脂肪や皮下脂肪が落ちなくなってしまうため、注意しましょう。

基礎代謝量の低下

「食生活はあまり変化していないのに太ってしまった、内臓脂肪が増えた」という場合、基礎代謝量の低下が原因と考えられます。

基礎代謝量とは、「呼吸や内臓を動かすなど、生命活動の維持のため何もしていなくても消費されるエネルギー」のこと。

筋肉は基礎代謝量が多い組織です。加齢や運動不足によって筋肉量が減少すると基礎代謝も下がり、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回りやすくなり、余ったエネルギーが脂肪として蓄積されてしまいます。

睡眠不足

睡眠不足も、内臓脂肪が蓄積する原因です。睡眠不足になると、食欲を抑える満腹ホルモン「レプチン」が減少し、食欲を増進する働きがある「グレリン」が増加します。

グレリンが増加すると、食欲が増すだけではなく、こってりした食事やケーキなど高カロリーなものを好むようになるため、余計に太ってしまいやすくなるのです。

睡眠時間が足りないと体にたまった疲れも十分に取れなくなり、運動をする機会が減少するなど、悪循環に陥りやすくなります。

内臓脂肪を落とすための運動のポイント

内臓脂肪を落とすための運動のポイント

内臓脂肪は、皮下脂肪に比べると落としやすいことが特徴です。毎日ほんの少しの運動でもいいので、習慣的に運動を取り入れるようにすると、内臓脂肪が落ちやすい体づくりにつながるでしょう。

ここからは、内臓脂肪を落とすための運動のポイントをご紹介します。

ウォーキングを習慣にする

これまで運動習慣がなかった人や運動が苦手な人の場合、「習慣的に運動する」と考えるとハードルが高く感じてしまうかもしれません。

しかし、内臓脂肪や皮下脂肪を減らすのに、ハードな運動は不要です。まずは、1日の歩く歩数を増やすことを意識しましょう。

日本人の1日の平均歩数は男性の場合で7500歩、女性では6500歩ほどだといわれています。まずはこの歩数を目標にして、歩く歩数を増やすのがおすすめです。

外に散歩に出かける、自宅の駅の一つ前の駅で降りて歩く、エスカレーターではなく階段を使うなど、小さな何気ない行動でも歩く歩数を増やすことを意識すると、消費エネルギー量をアップさせられます。

もっとも大切なのは、毎日継続することです。歩数にこだわり過ぎず、自分のペースで続けていきましょう。

有酸素運動

内臓脂肪の落とし方としては、運動が最も効果的であるといわれています。内臓脂肪は皮下脂肪よりも落ちやすく、短時間のトレーニングでもある程度の効果が見込めるでしょう。

有酸素運動は、がんばり過ぎると続かないので、自分の体調や体力に合わせて無理のないペースで行うのがおすすめ。有酸素運動には、以下のようなものがあります。

  • ランニング
  • ジョギング
  • ウォーキング
  • 水泳 など

運動習慣がない人でも手軽にできるのがウォーキングです。ウォーキングは全身運動であり、正しい方法で歩くことで、より効果的に内臓脂肪を減らせるでしょう。

筋トレ

筋トレ

内臓脂肪を燃焼させたいのであれば、筋トレも効果的です。筋トレを行うと、脂肪の燃焼を促すホルモンが分泌されます。この状態で有酸素運動を行うと、さらに脂肪燃焼効果がアップするため、腹筋やスクワットなど、筋トレと有酸素運動を組み合わせるのがおすすめです。

内臓脂肪が気になるお腹まわりを引き締めたい場合は、クランチ(腹筋)が効果的です。以下で、クランチのやり方をご紹介します。

  1. 仰向けに寝転がり、膝を立てて90度にする。両手は頭の後ろか、胸の前に添える
  2. ゆっくりと3秒ほどかけながら上半身を起こしていく(完全に起こす必要はなく、背中を丸めるようにする)
  3. その後、3秒ほどかけてゆっくりと元の状態に戻す
  4. ここまでを10〜12回を1セットとして3セット行う

目標は3セットですが、最初は少ない回数からでOKです。

運動を習慣化する

内臓脂肪は皮下脂肪よりも落としやすいとはいえ、すぐに落ちたり、短期間で激減させることは難しいです。運動を習慣にし、自分のペースで継続していきましょう。

頻度は週に3〜5回、筋トレ+有酸素運動を合わせて1回30分〜60分ほどを目標にして行うといいでしょう。最初から厳しい目標を設定すると継続が難しくなってしまうため、自分に合わせて無理のない目標を設定することが大切です。

内臓脂肪を落とすための食事のポイント

内臓脂肪を落とすための食事のポイント

ここからは、内臓脂肪を落とすための食事のポイントをご紹介します。

消費エネルギーを計算する

しっかり内臓脂肪を落とすためにも、消費エネルギーを計算しましょう。「どのくらい運動したらいいかわからない」という人も、消費エネルギーを計算すれば、目安がわかります。

体脂肪を1kgを減らすためには約7000kcalの消費が必要となり、1か月で1kg減らす場合、1日で消費すべき目安は約233kcalになります。

食事のバランスに注意する

内臓脂肪を減らすためには、栄養素のバランスが大切です。食事では、主に以下のポイントを意識しましょう。

  • 脂質を減らし、タンパク質を増やす
  • 糖質は食物繊維と一緒に取る
  • 食物繊維が最初、糖質を含む炭水化物は最後に摂取する
  • 脂質はオメガ3脂肪酸がおすすめ

タンパク質は筋肉をつくるために欠かせない栄養素です。揚げ物や炒め物などを避けて脂質を減らしつつ、タンパク質をしっかり食べましょう。

炭水化物は糖質と食物繊維で構成されていますが、ケーキやパンなど食物繊維が少なく糖質が多い食べ物は血糖値を急上昇させる原因となり、体に脂肪がたまりやすくなります。

糖質を摂取するときは、食物繊維も一緒に取るのがおすすめです。全粒粉のパンや、白米より玄米の方がダイエットや減量向きです。最初に食物繊維を食べて、炭水化物を最後に食べるようにすると血糖値の上昇、及びインスリンの分泌量を抑えられます。

脂質は取り過ぎはNGではあるものの、体に必要な栄養素でもあります。摂取するときは、青魚に多く含まれるDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸がおすすめです。

アルコールの量を減らす

内臓脂肪を落とすためには、アルコールの量を減らすことも効果的です。種類に関わらずアルコールはカロリーが高く、体が脂肪よりアルコールの分解を優先するため内臓脂肪がつきやすくなります。

具体的には、1日の純アルコールの摂取量を20g程度にするといいでしょう。ビールであれば中瓶1本、チューハイは7%のもので350mL1本、日本酒なら1合が目安です。

おつまみも揚げ物や炭水化物は避け、ヘルシーなおつまみを選びましょう。

内臓脂肪対策!おすすめの食材や成分

以下は、内臓脂肪を落としたり、増やさないためにおすすめの食材や成分です。

  • 緑茶(茶カテキン
  • お酢(酢酸)
  • りんご(プロシアニジン)

緑茶に最も多く含まれる茶カテキン、お酢に含まれる酢酸、りんごに含まれるプロシアニジンは内臓脂肪対策におすすめの成分で、継続的に取ることで内臓脂肪が減少する効果が報告されています。

バランスのいい食事に加えて、これらの食べ物や成分を上手く取り入れると、内臓脂肪を落としたい場合に効果的です。

内臓脂肪は運動&食事で落とす!

人は、加齢に伴い内臓脂肪が蓄積しやすくなります。内臓脂肪はぽっこりお腹を招き、生活習慣病の元凶にもなります。

内臓脂肪を落とすためには、食生活を改善し、適度な運動を継続していくことが大切です。過度な食事制限やハードな運動は体調を崩してしまう可能性もあるため、無理なく自分のペースで取り組んでいきましょう。

監修者プロフィール:吹田 春佳さん

吹田 春佳さん(LIGHT CLINIC 副院長)

LIGHT CLINIC 副院長。30年、50年先の健康を見据えた肥満治療普及を目指してダイエット専門クリニックLIGHT CLINIC(ライトクリニック)を立ち上げ。健康的にダイエットができるよう、内服治療の相談、ダイエット施術から食事・運動指導まで、ダイエットのトータルサポートを提供している。

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