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- 先生からの提案で、新しい朗読の形へと歩を進める
「朗読」のあるところ「癒やし」があり、癒やされてこそ意欲が湧き「行動」が生まれる。「行動」あるところに「繋がり」が生まれ、障害の有る無しにかかわらず前向きな生き方を励ます。そんなことに感謝しつつ、私の朗読への取り組みはまた、歩を進めます。
食に取り入れて楽しむ春
2023年3月初め、ヨシ焼きで焼かれてしまう前にと夫は眼下の土手に出て「ツクシ」を摘んできました。袴を苦ともせずにせっせと取り、あく抜きをし、早速金平にして夕飯の一品に。メインのおかずは今が旬の春大根のおろしをたっぷりかけた卵焼き。春を待つ梅の花を添えて。
2023年3月19日、アメリカから次女と高校生の孫が帰省してきました。「終の棲家」のゲストルームや温泉も3年間のコロナ禍を経て、ようやく来訪者に開放されたので、初めての「終の棲家」への帰省です。二人が日本で春を過ごすのは、アメリカへ移り住んで以来9年ぶり。
たっぷりと日本の春を味わわせてやりたいと、近くの神社の土手から摘んできたフキノトウでフキノトウ味噌を、おやつにはこれまた旬の文旦ピールで作ったスイーツを。
小さな暮らしから生まれたゆとりのおかげで、春を取り入れた食を存分に、親、子、孫の3代で楽しむことが出来ました。
エッセーを書くことを通して病気と向き合う
2019年1月、朗読の先生から「自分で書いたものを読んでも良い」と言って頂いたのをきっかけに、脳出血に襲われてから2年3か月経っても水の中を漂っているようなボンヤリした思考しかできなかった私は、エッセーを書くことによって思考が取り戻せるのではないかと考えました。
そこで、2月に参加することにした「10人規模の一人5分間発表会」に向け、「何の前触れもなく」の続きの経過を5分間で朗読できる長さのエッセーに書き始めました。とは言え、エッセーの書き方を学んだこともなく、記憶も曖昧な中での執筆です。
何とか書き上げた作品を繰り返し読む練習をして、当日夫に送ってもらって会場に向かいました。初めての場所、どんな方が来られるのか……。退院後もリハビリの理学療法士さん、家族、親しい友人たちと、自宅でしか関わってこなかった私にとって、それは結構高いハードルでした。
緊張しながら会場に着くと、古民家のゆったりした店構え、私が座りやすい場所を作って自然体で迎え入れてくれる方々、一気に緊張がほぐれていくのを感じました。
「脳出血からの再生」連作への新たな一歩
初めての5分間朗読を参加者のみなさんに温かく受け止めて頂いて、「ここに参加して良かった」と、心から思った私は、その感想を先生にメールしました。
―参加されたみなさんが、とても良い方たちばかりで、本当に癒やされました。これも一重に先生のお人柄故と、感謝の気持ちでいっぱいです。思いがけず、朗読用の文章を書くという機会にもなり、とてもうれしいです。―
先生からは、新たな提案を含んだ返信メールが来ました。―言葉は、前よりかなり聴きやすくなっていますよ。日頃の努力なのだと改めて思っています。あそこに集まってくれる人、良い方々です。私も励まされるばかりです。―
―提案ですが…5分にまとめるのはすごく良いと思います。発症以降のことをその1・その2・その3といったように順番にまとめていって下さい。そして、まとまったら他の生徒にも読んでもらいましょう。その時は、聴き手になってゆっくり聞いてみてください。きっと新しい発見があると思います。―
この提案を受け、私は、「脳出血からの再生」というテーマで、エッセーの連作へと新たな一歩を踏み出すことにしたのでした。
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