穏やかな日々と早朝の怪―それでも続く穏やかな日々

2022年12月26日

私の選択「小さな暮らし」で「豊かな人生」を(17)

穏やかな日々と早朝の怪―それでも続く穏やかな日々

長野で豊かな日々を過ごし、続けて自宅がある町でこの季節ならではの仕事。さらに別荘であるログハウスに行き、早々と新年に備えての草刈りや大掃除。10月下旬から11月中旬は一寸頑張りすぎたようです。そこに思い掛けない怪が潜んでいました。

定着したルーティンをこなす穏やかな日々

ラウンジでコーヒーを飲みながら新聞を読み、その後夫と二人でビリヤードを3セット。ビリヤードはねらいを定める点と台に手を添えて転倒を防ぎながら歩き回れる点が、脳出血後遺症のリハビリとして最適なのです。

週2回各1時間のマシンリハビリ。満72歳になったのを記念して、全ての運動の負荷を増やしました。

午後8時半には温泉へ。往復でおよそ1200歩歩きます。

定着したルーティンをこなす穏やかな日々
入居して1年、日々のルーティンもすっかり定着しました

土曜日には野菜の直売所へ行き、待ち時間に季節と共に移り変わる里山の風景を楽しみます。

定着したルーティンをこなす穏やかな日々

ログハウスからの帰路にある群生地から2株だけ持ってきた「アケボノソウ」が、10月下旬、遅がけに咲き始め、眼下の葦林に群生している「桜蓼」も、水に活けて根が出てきたら土に植え替えればベランダでもちゃんと育つと教えていただき、ただ今水栽培中。

定着したルーティンをこなす穏やかな日々
左・アケボノソウ  右・桜蓼

特に好きな2種類の野草が「終の棲家」のベランダの環境にも適応すると知って、コンクリート造り5階に、自然を連れてきたんだと幸せな気持ちになりました。

穏やかな日常の、まだ明けやらぬ早朝の怪

「落ちた!」と言う私の声と同時に寝室の電気が灯され、夫がそこに見たのは、掛け布団を下敷きにうつ伏せに床に転がっている私の姿と血にまみれた包布。

穏やかな日常の、まだ明けやらぬ早朝の怪

人はなぜか倒れているのを見ると、すぐに起こそうとするのですね。当の私は何が起きたのか全く分からず、抱き起こそうとする夫に「何もしないで!」と言うと、床に転がったまま自分が陥った状況を理解しようとしていました。

「何もしないで!」と言われた夫は(すぐ洗わないと血が落ちなくなる)と思ったらしく、出血している私の唇に取りあえず大量のティッシュペーパーを押し当てると、掛け布団から外した包布を洗い始めました。

その内、猛烈な寒さが私を襲いました。洗濯を終えた夫はエアコンを28度に設定し、湯たんぽを用意すると、出血が止まった私をベッドに寝かせ、痛がっている唇、右頬、両手の平を氷で冷やし続けるよう指示をし、ビニール袋に入れた大量の氷をタオルに包んで私の顔や手に押し当てました。

寝返りを打つときにベッドからはみ出していることを、麻痺している右半身は感じることができず、ベッドのないところで寝返りを打ってしまい、グッスリ眠ったまま寝返り状態で落ちてしまったというのが、まだ明けやらぬ早朝の怪の真相でした。

素晴らしきかな!「老人ホームの悪友たち」

夕方には理学療法士さんが様子を見に来てくれ丁寧に全身を触り、骨折していないことを確かめ、緊張で硬くなった筋肉を揉みほぐしてくれました。急に寒さが襲ったのは、物理的なショックで血圧が下がったからでしょうとのことでした。

鏡で見ると上唇が2倍以上に腫れ上がり、上唇横には茶色の髭様の、右目周りには青いアイシャドウ様の内出血が。右頬はパンパンに張って皺一つないベビーフェイス! さすがにそんな顔を誰にも見られたくなかったし、頭もボンヤリしていたので温泉行きは2日間あきらめました。

そして3日目。髭様の内出血がまだ目立ったけれど、思い切って温泉に行きました。浴室に入った途端、風呂友2人が声を合わせて笑うではありませんか!!「ウワア! この悪友め!」

そして悟ったのです。どんなことが起きるか分からない老年期。「笑い飛ばす」事こそが、何の力にもならない「大丈夫?」と言う言葉以上に気持ちを楽にさせてくれるのだと。「老人ホームの悪友」=良友だと言うことを。

なつかしい友人夫妻の「終の棲家」来訪

マスクとお化粧で何とかカバーできるようになった「早朝の怪」から5日目。元職場の同僚夫妻が、京都府南部から訪ねて来てくれました。重いのに大きな海老芋を抱えて。

夫妻で育て、掘り出し、綺麗に洗って持ってきてくれたのだと思うと、感激ひとしおです。有田焼の大きなお皿に入れてテーブルに飾りました。

その後、明智光秀ゆかりの西教寺へ車で10分。紅葉狩りに行きました。こうしてまた、「終の棲家」での穏やかな日々が続きます。

なつかしい友人夫妻の「終の棲家」来訪

■もっと知りたい■

harumati
harumati

45歳~66歳までC型肝炎と共生。2016年奇蹟とも思える完治から、今度は脳出血に襲われ右半身麻痺の大きな後遺症が残り身体障害者に。同居する息子と夫に家事を任せての暮らしにピリオドを打ち、2021年11月「介護付き有料老人ホーム」に夫と入居。「小さな暮らし」で「豊かな生活」を創り出そうと模索中です。

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