落語自由自在(62)

立川志の輔独演会

公開日:2022.09.24

東京會舘で開かれる「立川志の輔独演会」へ、今年(2022年)も行ってきました。まずはお料理を頂きます。コロナ感染防止のため、全員横並びで、お濠の方を向いてのお食事です。量が多いかなと思いつつも、おいしくて完食してしまいました。

東京會舘100周年

東京會舘100周年

2022年11月1日に、東京會舘は100周年を迎えます。

大正・昭和・平成・令和を過ごした由緒ある会場であることは、辻村深月さんの小説『東京會舘とわたし(上・下)』を、あらかじめ読んでいましたので、知っておりました。

東京會舘100周年

ここでの志の輔独演会は、今回で13回目。途中2回は、建て替え工事のため中止になりました。ちなみに、私は2010年から伺っています。

東京會舘100周年

志の輔師匠登場

師匠が高座に上がられる直前は、テツandトモのお二人でした。

「なんでだろう~♪ なんでだろう~♪」と舞台狭しと跳ね回り、最後は「あずさ2号」を熱唱!

その直後ですから、さすがの師匠もやりにくかったようで

「皆さんは今までは、何も考えずに、見ていれば良かったのですが、ここからは地味な芸で、たった一人ですから、どうか想像力を働かせてください。落語は頭の中で、映像を描くものなので、ぼんやり見ていてはダメです。ここからは、皆さんのちからが試されます」と力説しました。

「唐茄子屋政談」

商家の若旦那は、道楽が過ぎて勘当され、親戚にも相手にされず、とうとう吾妻橋から身を投げようとします。偶然通りがかった叔父に止められ、世話になることになります。

翌日、叔父は若旦那に、唐茄子(かぼちゃ)を売り歩くようにと、命じます。そんなみっともないことはできないと、最初は渋りますが、説得され天秤棒を担ぎます。唐茄子の重さと暑さにふらつきながら歩いていると、小石につまずき若旦那は転んでしまいます。

通りがかった男が、驚いて転がった唐茄子を拾ってくれます。事情を聞いた男は、気の毒がって、唐茄子を売ってくれます。「2つ売れ残ったが、これは自分で売りな」と言って男は去ります。

黙って天秤を担いでいても、いっこうに売れず、売り声を上げないからだと、気が付きます。これでは、売っているのか唐茄子を運んでいるのか分からないと言って、笑いを誘います。

このシーンは、売り声の練習をしたり、新内などを歌ったりする名シーンですが、歌の部分を志の輔師匠は省いて、誓願寺店にたどり着きます。やがて、じんわりと涙を誘う人情噺となり、この後どうなるの? と、みなさん身を乗り出すようにして聴き始めます。

たった一人で、300名の観客を惹きつける落語のすごさ、志の輔師匠のちからを目の当たりにした瞬間でした。

おいしいお昼と1時間にわたる落語を堪能、まさに至福のひととき、年に一度の贅沢を味わいました。

「唐茄子屋政談」

 

■もっと知りたい■

 

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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