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- 東京パラリンピック観戦で学んだこと
水泳指導歴30年の還暦スイマーたちよみです。東京パラリンピック競泳を観戦して、パラの選手から学ぶことがたくさんありました。
パラリンピック競泳競技、全力応援!
2021年晩夏、全国的にコロナ感染が広がり不安な日々の中、東京パラリンピックが開催。競泳も、熱い戦いが繰り広げられました。
水泳大好きな私は、オリンピック同様、パラリンピックの競泳観戦も楽しみにしていました。特に今回は、代表選手の中に一緒に練習をしたことのある選手や、取材でインタビューさせていただいた選手も出場されているので応援にも力が入ります。
パラリンピックの競泳種目は、肢体障がい、視覚障がい、知的障がいがある選手が参加でき、障がいの程度でクラスに分けられています。障がいのクラス別に競いますが、たとえ同じクラスでも体の状態は千差万別です。選手たちは自分の体に合う泳ぎ方を模索して、より速く泳ぐスタイルを身に付けていきます。
例えば脚のない選手は上半身を使って、左右非対称な肢体選手は体幹を強化して、目の見えない選手は水感(水の動きや流れを感じ取る力)を研ぎすまして……。実際はこんな一言で言い尽くせないような次元の違う工夫を積み上げて、自分流のスイムスタイルを築き上げています。
四肢欠損があっても「どうしてあんなに速く進むのだろう? どこをどう使って進んでいるの?」と驚いてテレビの水中映像にくぎ付けになることが度々です。
私も練習中、片手で泳ぐと体がぐらぐらしたり、手のひらをグーにしただけで水がとらえられずに一気に進みが悪くなったりといったことを経験しています。
また、以前、全盲の選手が使用するブラックゴーグル(視覚遮断ゴーグル)をつけて泳いだことがあるのですが、その恐怖といったらありませんでした。まっすぐ泳ぐのも難しいですし、ましてや壁でターンやゴールをするのは至難の業!
パラの選手の泳ぎにただただ感服するばかりです。
できることにエネルギーを注ぐ!
パラリンピックの競泳競技を見ていると「残されたものを最大限に生かす」の精神を強く体現しているなと思います。各クラスの選手の泳ぎは、まさに自分の体の使える部分を最大限に生かして少しでも速く泳ぐ工夫をしています。
もちろんオリンピックの競泳も同じですが(ある程度の)「理想の泳ぎ」に近づくように体を鍛え上げ、練習をしています。パラリンピックはこの「理想の泳ぎ」が千差万別……。いえ、ないに等しいのかもしれません。
パラの選手が「できないことを嘆く暇はないので、できることへエネルギーを注ぐ」と言っていた言葉が胸に響きます。
コロナ禍、「できないことを嘆かない」パラスピリッツで!
私は年齢別水泳大会に出場するマスターズスイマーです。年齢を重ねていくと体力も筋力も落ちていき、タイムは年々低下してきました。
一緒に泳ぐ仲間も加齢によってひざを故障したり、肩の可動域が狭くなったりと、若いときに比べて失うものも出てきています。
そんな時こそ、パラスイマーに学ばねばなりません。
もちろん筋力、柔軟性、体力の低下を少しでも食い止める努力は必要ですが、低下していくものを嘆くより、今使えるものを最大限生かして速く泳ぐ!! そんな工夫を見つけていくことが、マスターズ水泳の醍醐味です。
このコロナ禍、できないこと、中止になること、使えなくなる施設……。嘆きたいことはいっぱいですが、生きてさえいれば今あるもの、できることで全力楽しむ!! そんなパラの精神で日々を送りたいです。
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