【BTS推し活】ARMYが使っている言葉あるある
2022.07.242021年05月26日
武家に伝わるお箏の心得
お箏は己を慰め、自分自身を磨く技
長引くコロナ禍はなかなか終わりが見えませんね。自粛生活に心身ともにストレスを感じている方も多いことでしょう。今日はそんな方々へ、武家の間で伝えられてきたお箏の心得をご紹介します。今の大変な時代を生きるヒントになるのではないでしょうか。
武家のお箏
江戸時代、お箏は誰もが気軽に楽しむものではなく、武家や良家の子女がたしなむ楽器でした。
当時は女性には自らの意思を口にする自由がほとんどなかった時代です。そんな時代のお箏とはどういうものだったのでしょうか。
己を慰め、自分自身を磨く技
信州・松代藩(現在の長野市松代町)の武家(真田家)で江戸時代から脈々と受け継がれてきた「八橋流箏曲」という流派があります。
その流派では、箏の練習に対する姿勢は次の様に語られています。
「八橋流箏曲は元来、人に聞かせるための、というよりは、自分の心に聞かせて己を慰め、励まして自分自身を磨く技なんです」
とかく現代の私たちは「楽器を習う=ステージで披露する」と思いがちです。発表会で演奏する、仲間とステージに立つ。そのために目標を決めて練習する。確かにそれはお箏の楽しみ方の1つではあるのですが、本来、お箏というのは「人に聞かせるためのもの」ではなかったようなのですね。
お箏は本当に私を慰めてくれました
「お箏は己を慰めるもの」
まさにこのことを私自身が実感したことがありました。それは2011年の東日本大震災の時です。
当時、神奈川県に住んでいた私は被害こそ免れましたが、地域は計画停電が行われ不安な日々を過ごしていました。今と同じようにイベントは次々と中止となり、外出もままならず。そんな中、お箏ならば電気は必要ないからと、夕暮れ時に部屋で一人、練習していると……。
しばらく弾くうちに、なぜだかポロポロと涙が溢れたのです。なぜ泣いているのか自分でも驚きつつ、同時に自分自身が実はとても気持ちを張り詰めていたのだということに気づきました。
「自分よりもっと大変な人が大勢いるのだから、このくらいで弱音を吐いてはいけない」
多分、無意識にそんな風に心にギュッと力を入れていたのだと思います。その硬くなった気持ちを、箏の音が穏やかに溶かしてくれたように感じました。
自分のために弾くお箏
2021年5月。自粛生活が続き、私たちの心はきっと自分が思う以上に疲れているに違いありません。
そんな今、かつての女性達が箏を弾いて自らの支えとしてきたように、今を生きる私たちにも、この楽器は大きな慰めを与えてくれることでしょう。
こんな時だからこそ、ぜひ誰かのためにではなく「自分のために」お箏を弾いてあげてください。震災の時に私が気持ちを救われたように、皆様にもお箏が心の支えとなりますように。
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