琉球箏曲についてご紹介します

琉球箏曲「なからた節」をお箏で弾いてみました

公開日:2021.03.25

更新日:2021.05.20

箏演奏者・箏講師の箏人です。お箏にはさまざまな流派があります。今回はそのうちの「琉球箏曲」についてご紹介します。お箏で「なからた節」を弾いてみましたので、琉球の息吹を感じていただけるとうれしいです。

琉球に伝わるお箏

沖縄にお住まいの方でしたら、きっとご存知の琉球のお箏。
でもその他の地域の方には、琉球箏曲の世界はまず馴染みがないことと思います。

では沖縄の音楽と言えば、どんな楽器が思い浮かぶでしょうか。
「三線(さんしん)」ではありませんか?

琉球箏曲というのは、この三線と共に演奏されるお箏です。琉球舞踊などの舞台では三線と並んで演奏されています。

使う楽器は一緒。でも音色が違います。

琉球箏曲について一番よく尋ねられるのは「どんなお箏(楽器)を使うの?」ということですが、使っている楽器は生田流で弾くものと同じです。ただし絃をかなりゆるく張って使いますので、低い、ゆったりとした音色がします。

一つ違うのは指にはめる“爪”の形。こちらが琉球箏曲で使われる爪です。

琉球箏曲で使われる爪

「どんな音色なの?」と興味を持ってくださった方は、よかったら私の演奏動画をこちらをお聞きになってみてください(通常は歌を歌いながら弾きますが、この動画では歌の部分を笛で演奏しています)

前回ご紹介した生田流のお箏とはまた違う、琉球の息吹を感じていただけるでしょうか。

 

300年もの歴史

琉球箏曲のすごいところは、お箏が琉球に渡った当時の姿をそのままに今に伝えている所です。

琉球にお箏が根付いたのは18世紀初めのこと。当時の琉球王朝は中国や薩摩に対する重要な外交手段として、舞踊や音楽などの宮廷芸能を用いていました。

箏はその際に使われた楽器の一つで、王朝によって大切に守られてきた箏曲は琉球に伝わった当時の形をそのまま守り、今に受け継ぐことにつながりました。

首里城に展示されていた宮廷儀式の模型。最前列にお箏があります!

改良・改革を重ね、さらに先を目指す生田流の箏と、300年もの伝統を変わらずに守り続ける琉球の箏。

両方を弾く私には「同じ楽器でも、こうも世界観が異なるものか」と不思議でもあり、面白くもあり。お箏という楽器に対する興味は、まだまだ尽きそうにありません。

琉球古典音楽の舞台ではこの衣装を着ます

活動場所は全世界!

現在、琉球箏曲を継承する団体は4つあります。

もちろんそれらの本拠地は沖縄ですが、世界各地に支部を持つ大きな会もあり、その活動は国内はもちろん、ハワイやブラジルなど世界各国へ広がっています。

さらに平成22年には沖縄古典芸能「組踊」がユネスコの無形文化遺産に登録されたこともあり、これからも益々の広がりを見せていくことでしょう。

もし機会がありましたら皆様も舞台に足を運んで、琉球王朝の時代から続く雅びな文化を楽しまれてみてはいかがでしょうか。
 

 

■もっと知りたい■

 


参照:箏の波

箏人

5歳からお箏を始め、演奏活動のかたわら、自宅でお教室も開いています。日本人なら誰でも知っているであろう、お箏という楽器。最近は、実際に見たことも聞いたこともないという方が増えてしまい寂しい限りです。少しでももっと多くの方に親しんでもらえるよう、お箏の魅力をお伝えしていきたいと思います。ブログ:美ら箏

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