50代・60代女性に!おすすめ本90冊を一気に紹介
2023.04.29
公開日:2025年03月20日
ようこそ読書の森へ(19)
楽しい団地生活物語『団地のふたり』
X(旧Twitter)で、藤野千夜さんの『団地のふたり』を原田ひ香さん(『三千円の使い方』等で人気の作家)が絶賛していました。すぐに読みたかったのですが、すでに10冊近く読みたい本が机の上に山積みになっているので、少し待ってからと思っているうちに今になってしまいました。その間に、NHKでドラマ化されてしまい、すっかり出遅れて今さらですが、まだ6冊もある未読の本を飛び越えて読んでみました。
主人公は50代の女性
イラストレーターの桜井奈津子と、大学非常勤講師の太田野枝は、保育園からの幼馴染で、2人は50歳で共に独身、生家の古い団地でそれぞれ暮らしています。
近所を歩けば顔馴染みのおばちゃんに、網戸の修理を頼まれてしまい、丁寧に断るつもりが、いつの間にか相手のペースにのせられて、引き受けてしまうのです。その噂が団地中に拡がり、次々と網戸修理の依頼がきます。この辺りは落語の長屋の暮らしのようで、何だかほのぼのとした気持ちになりました。
奈津子はイラストレーターだけでは暮らしが成り立たず、スマホのフリマアプリに私物や野枝の兄が実家に置いて行った不要品や団地の住人から預かった昭和レトログッズなどを出品。売れた時は少しお高めの食材を購入し、ささやかな幸せを味わっています。
各章の最後に、メモ形式で本日の売り上げとして売れた品物と金額が書かれています。また本日のお買い物と題して、買った物と値段が出ているのも楽しみでした。たまに2人で馴染みの喫茶店「まつ」にモーニングを食べに行くのも、優雅でいいなと思いました。
さすが原田ひ香さんが、会う人ごとに勧めているというだけあって良い物語でした。

私が拵えたプリザーブドフラワー
続編の『また団地のふたり』も、期待を裏切りませんでした。こちらも併せてどうぞ。
作者の藤野千夜さん
1962年 福岡県出身 漫画雑誌の編集者
1995年『午後の時間割』で第14回海燕新人文学賞を受賞 小説家に転身
1996年『少年と少女のポルカ』で第18回野間文芸新人賞候補
1998年『おしゃべり怪談』で第20回野間文芸新人賞受賞
1999年『恋の休日』で第121回芥川賞候補
2000年『夏の約束』で第122回芥川賞受賞
2002年『ルート225』
2004年 群像新人文学賞先行委員に就任(第47回から第51回まで)
2006年『ルート225』映画化
2022年『団地のふたり』
2024年『団地のふたり』NHKドラマ化(小林聡美・小泉今日子主演)
2024年『また団地のふたり』
その他著書多数
この原稿を書きあげた直後に、ハルトモ俱楽部終了のお知らせが飛び込んで参りました。
思えば、最初は健康と落語をテーマに、最後の1年は読書案内をさせていただきました。
6年8か月、私にとって、平坦な日常にともる灯りとなっていましたので、突然の終了残念でなりません。
担当していただいた6人のHALMEK up編集部の皆様には、大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。
そして、読者の皆様、お読みいただき本当にありがとうございました。
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