呆気ない幕切れ

2024年02月27日

―初春や 悲喜交々の 去年(こぞ)乗せて―

呆気ない幕切れ

2024年1月11日、半年かけた尿路結石の治療=4回の「体外衝撃波砕石術」を以てしても結石は除去されていなかったので、治療法を「経尿道的結石除去術」に切り替えて、1月25日に入院・手術をしました。手術は成功し、結石はなくなったのですが……。

悪いことが起こる予感にとらわれて

「明日そっちへ行って良い?」と息子から電話がかかってきたのは入院の前々日。「この前の電話でお母さんが珍しくナーバスになっているのが気になって」

そうなんです。4回の体外衝撃波砕石術も「すごい名前の治療だったけれど、受けてみたら痛みも全然ないし」と、頻尿や血尿はあったにもかかわらず笑って話していたのです。

けれど、今回の手術を前にして、(何か悪いことが起こるのではないか)という予感にとらわれ、確かに私は元気を無くしていました。それを声のトーンから察して、息子はブランデー漬けの梅入りパウンドケーキを焼いて終の棲家にやって来ました。

数日前から食欲を無くしていた私は、息子の気配りに心を打たれ一気に食欲が湧き、パウンドケーキを2切れハーブティーを添えて食べました。入院・手術当日「午前7時までに終えるように」と指示されていた朝食にもそのパウンドケーキを選び、牛乳と共に食べ、夫に送られて病院に向かったのでした。

悪いことが起こる予感に捕らわれて
手作りパウンドケーキ*イメージ

まるで厄払いをしたかのように

そのパウンドケーキが「厄払い」をしてくれたかのように元気に入院することができました。これまでの2回が緊急入院だったのに対し、今回は初めての計画的な入院です。持参した荷物を自分で気に入るように片付けると、看護師さんから手術前後の注意を聞きました。

準備を終えるとベッドのまま手術室に移動。「それでは麻酔をするので横向きで海老のように体を丸めてください」。麻痺した体を丸めるのは一苦労。「誰か丸めてくださ~い!」と言いたいのを我慢してがんばりました。

まるで厄払いをしたかのように
手術室には3名の泌尿器科の先生と麻酔科の先生が*イメージ

脊椎麻酔の針を刺した途端にお腹が温かくなり足指が動かなくなりました。「harumatiさんの経尿道的結石除去術を始めます。よろしくお願いします」と先生同士で挨拶。ドラマの1シーンのようです。

尿道から内視鏡を挿入して「大きいのでレーザーで砕きますね」「腎臓の中にもあったのでそれも取りますよ」1時間弱で終わる予定の手術が1時間45分もかかってしまいました。

その内に足指が動くようになってきたのでハラハラしましたが、無事終了。ドラマのように4人がシーツを持ち「一二の三」のかけ声で手術台からベッドに移され、電気毛布を掛けられて病室に帰りました。「3時間は上を向いたままじっとしていてくださいね」との指示を受けて。

痛みも高熱も出ることなく、3時間後看護師さんに支えられて水を飲んでみても吐き気もしないので、起き上がることと食事の許可が出ました。家から持ってきていたパンと温かいお茶を飲み、その日は入眠剤をもらって眠りました。

結石は全て取れ経過も順調。翌朝には点滴も尿道カテーテルも外され、その翌日に退院することになりました。息子にラインで知らせると、「杞憂に終わって良かったね」と喜んでくれました。

しかし……!!!

血尿や排尿痛が治まってきた頃、ひどい尿漏れが始まりました。(トイレに行きたい)と思うと同時に、歩こうと1歩踏み出した途端に、出てしまう。尿取りパッドを容量の多いものに換えてみても無駄でした。

「尿漏れ」がこんなにも気持ちを落ち込ませるものだとは思っていませんでした。初めて娘達にSOSを出しました。「何か元気になるような話をして」と。

しかし・・・・・・!!!
こんな時にはそのまま飾れるブーケが最高にうれしい! しかも元気が出る黄色でまとめられて

長女は孫がお友達とカラオケに行って楽しんでいるビデオを送ってくれました。次女は元気が出る黄色のブーケを送ってくれました。感謝でいっぱいになりながらも、余りにひどい「尿漏れ」に耐えられず2月5日に受診しました。

先生曰く「尿管ステント留置だけで、尿漏れがそんなにひどくなることはあり得ない。脳出血で自律神経がやられているので、刺激に過敏に反応してしまっているのでしょう。すぐにステントを取りましょう」

こうして予定より2週間も早くステントが取られ、その日からピタッと尿漏れが治まり、右麻痺さえも治ったかと思えるほどに私の心は軽くなったのでした。

しかし・・・・・・!!!
立春と共に気分も春。夫手作りのフキノトウ味噌が食卓に上りました。右は雑誌『ハルメク』で見た「長いもの豆乳スープ」

■もっと知りたい■

harumati
harumati

45歳~66歳までC型肝炎と共生。2016年奇蹟とも思える完治から、今度は脳出血に襲われ右半身麻痺の大きな後遺症が残り身体障害者に。同居する息子と夫に家事を任せての暮らしにピリオドを打ち、2021年11月「介護付き有料老人ホーム」に夫と入居。「小さな暮らし」で「豊かな生活」を創り出そうと模索中です。

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