八十路を歩く(12)

今年の広島の夏は暑くて、熱かった

公開日:2023.09.07

国連のグテーレス総長が「今は地球の温暖化ではなく地球沸騰化時代」とコメントされましたが、まさに炎暑の夏でした。そして広島は、今までにない「熱い夏」でもありました。

G7の首脳たちのメッセージ

この夏、「G7広島サミット回想展」が広島国際会議場(広島平和記念公園の一角にある)で開催されました(8月31日で終了)。

世界の首脳たちが広島原爆資料館を見学した後に記帳したメッセージ(現物)などが展示されたのです。全て英語訳と日本語訳が添えられていて、米国のバイデン大統領のメッセージは本国で折ってきたという折り鶴2羽とともに展示されていました。

これらはいずれ原爆資料館で展示される予定のようですが、現物は歴史資料として保管され、原爆資料館では全てレプリカ展示になるようです。

首脳たちのメッセージも注目を集めていましたが、下の写真コーナーも順番待ちでした。

G7の首脳たちのメッセージ
中央の椅子に座って、世界の首脳たちと「はい、チーズ」
G7の首脳たちのメッセージ
私もサミットに仲間入り(?)と気取ってみました

世界の注目を浴びた広島

G7広島会議が5月に開催されると公表されて以来、日本のみならず、世界の視線が広島に向けられたことを、一般市民の私でさえ実感できました。

観光客がぐんと増え、しばしば地元のTVニュースにもなりました。コロナ禍による行動制限無しということもあってか、連日修学旅行の小中高の児童生徒さんたちの団体姿が多かったようです。

特に、G7会議の終了後は原爆資料館の入場者の長い列ができました。

世界の注目を浴びた広島
上:資料館入館のため並ぶ人たち   下:慰霊碑の前にも列

原爆資料館を見学

そこで、私たちも、原爆資料館見学ツアーを企画しました。

地域で立ち上げたカレッジ(「地域にカレッジをつくりました」2019.12.30)の講座として昨年(2022年)から企画していたのですが、G7会議後の6月末に実施しました。

私たちは広島市民ですから、原爆のおそろしさを熟知しています。それゆえ展示を見るのが怖くて参加しなかった人、資料館を訪れるのは小学校の遠足以来という人、展示物を見て涙が出たという人など、さまざまでした。

原爆資料館を見学
(広島原爆資料館常設展示)

資料館では、遺品・証言・写真・絵・模型などが工夫されたレイアウトで展示され、見学者に平和を訴えかけています。

同じ日に、インドからの93名の団体ツアーも見学に来ていましたし、夏休みやお盆には入館に2時間待ちもあったそうで、関心の高さがうかがえました。

78回目の原爆忌

8月6日の平和記念式典(原爆死没者慰霊式・平和祈念式)に今年(2023年)も参列しました。

6時30分頃にはすでに開場待つ長い列が2か所にできていて、7時15分過ぎに空港並みの厳重な荷物検査・身体検査を受けて会場(慰霊碑を中心にロープで区切られている)に入りました。

2020年と2021年は椅子の間隔が2m、昨年は1mでしたが、今年は20cm。過去最多の111か国の代表者が参列し、政府関係者や遺族に加え、私のような一般参加者で会場の席は埋まり、約5万人が参列したそうです。

78回目の原爆忌
早朝より平和記念公園では式典準備、傍らで近くの住民がラジオ体操。平和な日常ですね。​

式典が終わると献花です。献花の列は、今年は中学生、高校生のグループが多いようでした。修学旅行かと思いましたが、一泊二日で平和学習のため式典に参加したと、長野県から来たという中学生が話してくれました。

灯籠流し

夕方6時から、原爆ドーム前の元安川で始まります。今年は4年ぶりに市民が参加しました。

灯籠流しは、原爆投下からまもない昭和22〜23(1947~1948)年ごろに亡くなった方々の供養のため遺族や友人たちが始めたそうです。私も友人も、購入した灯籠に平和を祈念する言葉を書いて流しました。

灯籠流し
対岸では見物人たちがびっしりと。夜の幻想的な風景を待ちます

記録的な暑さのこの夏、平和の尊さを改めてかみしめることができました。

■もっと知りたい■

とし古

祖母は60歳の頃、針仕事や寺参りを日課にしていました。母は70歳の頃不自由な体で家族のために働き趣味の書道教室にも通っていました。そして私はいま八十路を歩いています。体力・知力は衰えを感じますが考える事・感じる事は昔と変わらないと思っています。死ぬまでにやっておきたい事に色々チャレンジしたいです。

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