私らしさって何?50代読書主婦…自分探しに疲れたときに道しるべになった本3選
私らしさって何?50代読書主婦…自分探しに疲れたときに道しるべになった本3選
更新日:2025年11月19日
公開日:2025年11月18日
自分のやりたいことが分からない。役割を終えたあとに残る“私”に戸惑う夜に——。4人の子育て、介護を経て50代からInstagramで選書サービスを展開する元専業主婦のまいこさんが、50代女性の心に寄り添い、モヤモヤを晴らす本をご紹介します。
人生の正解は自分で決める 『汝、星のごとく』 凪良ゆう

「家庭に専念するだけじゃいけないの?」そんな問いを投げかけるのが、凪良ゆう『汝、星のごとく』。
「わたしは何を捨てて、なにを選べばいいのだろう。親、子供、配偶者、恋人、友人、ペット、仕事……(本書より引用)」50代、子育てや親の介護が落ち着いたら、ぽっかり“自分”がなくなったと感じたときに出会った小説です。
四国の小さな島を舞台にした恋愛小説なのに、私はこの物語の中で「女性の生き方の正解」を探していました。
完璧な専業主婦だったのに捨てられた母。
父親が選んだのは、仕事を持つ女性。
主人公が目指したのは“手に職をもつ生き方”。主婦の生き方に迷っていた私は、主人公の迷いがまるで自分の迷いのように感じられました。
結婚は愛だけでは続かない。恋愛は自分を失うほどのめり込んではいけない。自分にブレーキをかけ続ける生き方は、まるで過去の自分を見ているよう。登場する女性たちの生き方の違いに正解はないからこそ「私の人生の正解は自分で決めるしかない」と強く思わせてくれた一冊。
本屋大賞受賞作で、2026年に映画化予定の話題作。力強い小説を読みたい方におすすめです。
今のままでもいいですか?『中年に飽きた夜は』益田ミリ

「わたしは、たぶんもうこの先、繰り返しの日々をやんわり受けながら老いていくのです。けれどもけれども楽しいことを見つけたい気持ちはこの胸の中で枯れずにいる。肌はカサカサになっても、私は枯れとらんで。」
「なんてキュンキュンする本なの!」
50代女子のファミレストーク。お笑いコンビを目指す女子ふたりの会話がセンス抜群で、めっちゃ面白く、一気に幸福感に包まれました。
人生100年時代。50歳は「生きていることに感謝」する反面、残りの時間に息切れしそうになる――そんな感覚、わかるんですよね。
ファミレスの隣の席の、たわいない会話に名言を見つけていくこの設定。思わずメモして残したくなるような言葉や、一緒に会話に混ざりたくなるような楽しさがたまりません。今のままの自分でいいのかなと思った時に、そっと開いて相談したくなる一冊です。
ほどよく幸せの”ほど”はどこ?『幸せへのセンサー』 吉本ばなな

「何が好きで、何が嫌いか。人によって違うし、そういうセンサーをせっかく持って生まれてきたのに、現代に生きる私たちはそれをわざわざ取り外す訓練をしてきたわけです。
その結果、生きているはずなのに何も自分では感じられない。
それが楽しいのか、うれしいのかさえ、人に聞かないとわからなくなっている。そういう自分を自覚して、もう一度“生き物としてのセンサー”を取りもどすこと。それが生きるということじゃないか。
軸足を自分にもどすことからしか、自分の幸せは始まらないと思うのです。」
この言葉を何度も読み返しました。
「すごい幸せじゃなくても、ほどよく幸せであれば十分」――そうやって“中間くらいの感情”で生きてきたら、自分の感覚が鈍くなって、幸せかもわからなくなりました。
そんな漠然とした50代の不安を見透かした著者が「こういうことに幸せ感じたよ」と共有してくれることで、まさに幸せへのセンサーが立つ感覚が。不思議と自分の感情に出会えます。
人生後半はこの「感覚」を大切にしていきたい。自分を感じたい時におすすめの本です。
——どの本も、今を生きるあなたの心にそっと灯りをともす一冊。どれか一冊でも、疲れた夜に寄り添ってくれますように。
選書してくれたのは、まいこさん

4人の子を育てる専業主婦から、実母の介護と看取りを経て、資格取得など迷走しながら50代からSNSに挑戦。Instagram(@maiko_books)で「50代読書主婦の惚れる言葉に出会える本紹介&選書」をテーマに、がんばる女性を応援する本や書店の売れ本情報を紹介している。
どうやって今の活躍の場を得られたのか、インタビューは「わたしリスタート特集」で読めます!




