【片付け実例】クローゼット収納&趣味部屋作り
2024.10.052023年03月01日
古堅純子の片付けの新常識・6
【ビフォーアフター】寄せる片付けをリビングで実践!
幸せ住空間セラピスト・家事効率化支援アドバイザーの古堅(ふるかた)純子さんが、家が散らからない片付けのコツを解説する連載企画。これまでは事例紹介でしたが、ここからは、いよいよ実践編! 「寄せる片付け」で読者の自宅をステキに変身させます。
「キレイ」と「使いやすい」は別物!暮らしをラクに
古堅さんが提案する「寄せる片付け」は、「片付け=モノを捨てること」という、これまでの常識を変える新しい片付け手法。モノを寄せて空間をつくることで、少しでも生活しやすくすることを目的としています。
今回、古堅さんが訪れたのは「ハルメクWEB」読者Fさんのご自宅。3LDKで、洋室1が寝室、洋室2がFさんの部屋(クローゼット)、洋室3はご主人の部屋とのこと。
まずは、家族のパブリックスペースであるリビングから、使いやすいスペースに変えていくことになりました。こちらが、Fさん宅のリビングです。
一見、キレイに見えるリビングですが、どうやら「暮らしづらい」課題があるそうです。
「この家に入居して15年。気付けばリビングのあちこちにモノがあふれて、居心地が悪く感じます。主人からも言われているのですが、引っ越してきた時のように、リビングをすっきりキレイにしてほしいです」(Fさん)
古堅純子さん
「Fさんの言う『すっきりキレイに』というのは、とても抽象的な答え。そもそも、片付けは幸せに暮らすための手段であって、キレイに片付けることが目的ではありません。具体的に『どう暮らしたいのか』がない結果、生活動線とモノの配置が合っていないのが、この家の課題です」(古堅さん)
ポイント1:ダイニングテーブルの上は「更地」にする
「この家に引っ越してきて15年。リビングに少しずつモノがあふれて、雑然としてしまった」というFさん。
確かに、ダイニングテーブルの上には、サプリメントやテレビのリモコンなど、さまざまなモノが置かれていています。
そんなFさんに古堅さんはまず、机の上をモノを置かない「更地(さらち)」にすることを提案します。
「モノが多くて散らかった家になる場合、ほぼ確実に、ダイニングテーブルの上から崩壊が始まります。“チョイ置き”のつもりが、気付けばそれが定位置になり “モノだまり” となって、家の中にモノがあふれる原因になってしまうのです」
ダイニングテーブルに“チョイ置き”するのを防ぐためには、ダイニングテーブルの上にモノの定位置を作らないことが大切です。
「そもそも、リビングは家族みんなで使うパブリックスペースなので、自分のモノを出しっ放しにするのはNGです。ダイニングテーブルで毎日使うモノは1秒で取れる場所に『寄せる』こと。そして、ダイニングテーブルの上は、モノを置かない『更地』にしておきましょう」
ポイント2:ゴールデンゾーンを活用して「動く収納」に
次に古堅さんが指摘したのが、ダイニングテーブルの横に置かれた、スチールラックです。
スチールラックには、コーヒーやおやつ菓子などの食材、書類やミシンなど、さまざまな種類のモノがぎっしり!
「この部屋にある家具は、どれもこだわりのあるデザインなのに、このスチールラックだけ生活感を感じるのが、とても気になるんだけど…。ここに置いた理由は?」と古堅さんが尋ねると、「最初この部屋には、お気に入りの家具だけを置いていたのが、収納に入りきらない日用品を置くために、スチールラックを購入してしまった」とFさん。
「モノが入りきらないからといって安易に収納を増やすのは、得策とは言えません。リビング・ダイニングのようなパブリックスペースは特に。片付けで大切なのは、今ある収納を生かし、散らかりにくい空間をつくること。せっかくステキなデザインの棚があるんです。収納しているモノを見直して、『動く収納』に生まれ変わらせていきましょう」
押入れ収納の回でもご紹介しましたが、古堅さんがおすすめする『動く収納』とは、「使わないモノでパンパンという状態から、日常的に使うモノが出し入れしやすい状態に変えること」。収納の稼働率を上げるコツは、空間の使い方にあります。
「サプリメントなどよく使うものは、モノがラクに取り出せる腰高から背丈までのゴールデンゾーンに収納します。一方で、食材のストックなど、たまにしか使わないモノは、棚の下の方でもOK。そして書類やミシンなど、Fさんだけが使うモノは、リビングではなく自分の部屋の作業スペースに『寄せる』ことが大切です」
ポイント3:「生活動線の見直し」で暮らしやすく
「リビングを使いやすいスペースにするためには、目的ごとにモノの置き場所を決めるのもポイントです。例えば、この棚の上。電話の横にCDデッキとペットの写真が置かれていますが、生活動線を考えたら、ダイニングテーブルに近い場所には、食材など頻繁に使うモノを置くべきです」と古堅さん。
「そう言われると、確かにペットの写真はもう一つの棚の上でもいいですね。CDデッキも、特にリビングにある必要はないです」とFさん。
古堅さんいわく、長い年月の中で「これはここにあるべき」というモノの配置への思い込みや、その家ならではの生活動線が暮らしづらさにつながっていることが多いそう。
生活動線とは、家の中で生活をしている人が移動するときに通るルートのこと。例えば、Fさんはインスタントコーヒーの瓶をリビングに置いており、毎朝ポットとカップをキッチンから持ってきて、ダイニングテーブルの上でコーヒーを作っていることがわかりました。
「コーヒーの瓶がキッチンにあれば、カップを出してコーヒーを入れ、ポットからお湯を注ぐ、という一連の動作がよりスムーズにできます。散らからない暮らしを実現させるために、生活動線の見直しは避けては通れない大切な作業です」
捨てないで寄せるだけ!約1時間で完了のスピード片付け
「寄せる片付け」は、暮らしやすい家に整えるとともに、がんばらない・疲れない片付けであるのも大きな特徴です。
今回は、ダイニングテーブル・スチールラック・戸棚の3か所を見直し、リビングで使うモノだけに絞ること、使う頻度に合わせてゴールデンゾーンに配置することに注力することで、約1時間でリビングを片付けられました。
最後に、汚れが付きにくくなる洗浄コーティングスプレーで机の上をキレイに拭いたら、終了です。
使いやすいリビングに!片付けビフォーアフター写真を比較
こちらが「寄せる片付け」実施後のリビングの写真です!
ダイニングテーブルのビフォーアフター
サプリメントやテレビのリモコンなどが出しっ放しになっていたダイニングテーブルの上は、モノを置かない「更地」になってスッキリ!
スチールラックのビフォーアフター
スチールラックにあった食材は棚の上へ移動し、書類やミシンはFさんの部屋に「寄せる」ことに。スチールラックやペット用品がなくなったことで、テーブル周りもグンと移動しやすくなりました。
棚の上のビフォーアフター
テーブルの隣りにある棚の上には、サプリメントやスープ、ウェットティッシュなど、よく使うモノを配置し、白いカラーで統一感もアップ!
棚の上段の引き出しには、ダイニングテーブルに出しっぱなしだった、テレビのリモコンやパソコン、文房具、印鑑など毎日使うモノを収納し、稼働率を上げました。
使いやすい収納にするポイントは、モノを詰め込みすぎないこと。片付け前の引き出し(下の写真)と比べると、その差は一目瞭然です。
「片付け前は、収納率110%でモノがパンパンに詰まっている状態でしたが、モノが出し入れしやすい『動く収納』にするためには、“ゆとり”をもたせるのがポイントです」(古堅さん)
ペットの写真などメモリアルグッズは、部屋の中央にある別の棚に「寄せる」ことで、使う・飾るの2つの用途で収納を分けることができました。
使いやすくなったリビングを見た感想は……?
「居心地が悪くなっていた家の中を、どうしたらよいのかわからず悩んでいましたが、片付いたリビングを見て、引っ越して来た時のうれしさと、ここに住める幸せな気持ちを思い出すことができました。私のモヤモヤ塞いでいた気持ちまで、スッキリ片付けてもらった気がします。モノより空間を大切にするということを忘れず、この幸せな景色を維持していこうと思います」とFさんもニッコリ笑顔に。
次回、寄せる片付け【実践編】の後編では、Fさんのもう一つのお悩み、クローゼット収納の片付けビフォーアフターをご紹介します。
監修者プロフィール:古堅純子さん
ふるかた・じゅんこ 幸せ住空間セラピスト・家事効率化支援アドバイザー。1998年、老舗の家事代行サービス会社に入社。20年以上現場第一主義を貫き、お客様のもとへ通っている。5000軒以上のお宅に伺いサービスを重ね、独自の古堅式メソッドを確立。整理収納アドバイザー1級。個人宅や企業内での整理収納コンサルティング、家事効率化支援事業を展開。テレビ・ラジオ・雑誌などメディア取材協力も多数。
取材・文:竹下沙弥香(ハルメクWEB)
Youtube動画でも片付けの様子を紹介!
古堅さんのYoutubeチャンネル「週末ビフォーアフター」では、家が散らからない片付けの方法を動画で紹介しています。今回ご紹介したFさん宅の片付けビフォーアフターも、動画でわかりやすく解説しているので、記事とあわせてチェックしてみてくださいね♪
>>【第33話】片付けレスキュー!捨てられない人の『寄せる』片付け
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参考書籍:シニアのためのなぜかワクワクする片づけの新常識 (朝日新書・刊)
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