「できない自分」を責めなくていい!

60代、更年期が明けたら筋肉量が90歳…漫画家が始めた「ゆる走り」

60代、更年期が明けたら筋肉量が90歳…漫画家が始めた「ゆる走り」

公開日:2026年02月17日

60代、更年期が明けたら筋肉量が90歳…漫画家が始めた「ゆる走り」

更年期を経て「筋肉量90歳」と診断された漫画家・まきりえこさん。健康なこれからを見据えて始めたスロージョギングの体験をコミックエッセイに描いた理由とは。「走れない」「続かない」人でも取り入れられる「ゆる走り」の魅力を語ってもらいました。

走れなかった私が「ゆる走り」を始めるまで

走れなかった私が「ゆる走り」を始めるまで

『オトナ女子の謎不調、ほんとに更年期?』など、女性の暮らしや体調の揺らぎを描き、共感を集めてきた漫画家・まきりえこさん。

更年期を経て「健康でいること」の重みを実感したとき出合ったのが、がんばらなくても体を動かせる方法として知った「ゆる走り=スロージョギング」でした。

当時、“走らんナー”だったまきさんの筋力は、測定すると90歳レベル。

「運動しなきゃ」と思うほど、体も気持ちも遠ざかっていた——そんな状態から、なぜ走り始めることができたのか。まずは、その頃の心境から聞きました。

いざ更年期に入って気付いた、分かち合えない孤独

いざ更年期に入って気付いた、分かち合えない孤独

更年期の10年間は、心身ともに絶不調だったというまきさん。初めての体験に右往左往する日々だったといいます。

――更年期は、うつや希死念慮(強い自殺衝動)にも襲われる深刻な状況もあったとか。

まきりえこさん(以下、まきりえこ)

私の場合、人よりも更年期障害が重かったんです。朝起きた段階から頭痛がひどく、健康な時の体調が100とすると、更年期の私は常に20くらい。「今日はマズイ。終わった」と感じても、仕事や子どもや家族のこと、他の用事が押し寄せてきます。非常にきつかったですね。

――そうした体験を、あえて発信しようと思ったきっかけは?

まきりえこ

更年期は、みんなが通過するものなのに、当時はリアルな情報が入ってこなくて。先輩女性に聞いても個体差が大きく、戸惑うことばかりでした。

私は特にひどかったけど、そのつらさは自分しかわからなくて、孤立しそうになります。だから、自分の体験を発信すれば情報を取ってもらえるし、孤独から救われる方もいるんじゃないかと思いました。

更年期の体は「筋肉量90歳」ショックを受けて 

更年期の体は「筋肉量90歳」ショックを受けて 

そんな更年期を経て始めたスロージョギング。 “走らんナー”だったまきさんの変化とは?

――もともと運動はしていたのですか? 

まきりえこ

実は私、卓球部出身で、20代は腹筋を100回してから寝ていました(笑)。でも仕事がデスクワーカーで、子どもができてからは定期的な運動習慣から遠ざかり、更年期も人よりも早く来てしまって。

その結果、筋肉量が90歳レベルという衝撃の事実が発覚! 医者からは「怠けるにもほどがある」と言われました。 

そこからスロージョギングを知り、思い切って練習会に参加。最初は本当にダメな感じで、練習会でもビリでした(苦笑)。でも、その後、市民マラソンにも応募し、最終的には完走できたんです!

まさか、自分の人生で、ここまで走る日がやってこようとは!

――スロージョギングの魅力は何ですか?

まきりえこ

スロージョギングは、「走るのが苦手な人でも続けられるように」考えられた走り方。息が上がらないペースで、会話ができる速さが基本です。

特別な道具や準備はいらず、靴さえあれば「ちょっと体を動かしたいな」と思ったときに始められる。「今日は5分だけ」「角を一つ曲がるまで」でも成立する、歩きと走りのあいだのような運動です。

そして何より、楽しい。

自分でも走れた、気持ちいい、うれしい。そういう“できた感覚”に心が躍ることも、運動と同じくらい大事だと思います。

更年期の体は「筋肉量90歳」ショックを受けて 

――今も続けられているそうですが、継続する秘訣とは?

まきりえこ

雨などの天候はもちろん、子どもの用事や親の介護など、女性の人生にはいろいろなことがあります。毎日同じペースで続けるのは、正直むずかしいですよね。

でも、スロージョギングなら、できない期間があっても、「またやろう」と思ったら、そのまま戻れる。今日は天気がいいな、ちょっと外に出てみようかな、そんな気分の日に再開すればOKなんです。

運動が苦手な人=運動ができない、ではない

編集担当者さんと一緒にマラソン大会にも参加

スロージョギングを続ける中で、まきさんが強く感じたのは、「運動が苦手な人ほど、置き去りにされやすい」ということでした。

――この体験を通して、一番伝えたかったことは?

まきりえこ

『ゆる走り スロージョギング』はランナー向けではなく、私みたいに「マラソンを走るぐらいなら何でもする」という、本来なら切り捨てられる人たちに向けて描きました。

真面目な人ほど、できない自分を責めてしまったり、周りと比べて落ち込んでしまいがちですよね。でも運動は、本来もっと自由で、もっと気楽でいいもの。ほんの少し走って体を動かすだけでも、それは十分、健康づくりだと思うんです。
だからこそ、スロージョギングを“成功談”ではなく、「やってみようと思った気持ち」や「迷いながら進む時間」ごと漫画にしようと思いました。

これからは「悔い残し」をつぶしていきたい

これからは「悔い残し」をつぶしていきたい

「元気なおばあちゃんになりたい」というまきさん。スロージョギングの他にも挑戦していることがあるようで……。

――最近、シニア卓球を始めたとか?

まきりえこ

そうなんです。おばあちゃんたちがビシバシ、スマッシュを打ち込んできます。みんなに負けたくないからと筋トレをしたり、今はめちゃくちゃ元気な老人に囲まれています(笑)

更年期後もまだまだ体は取り戻せるというか、むしろ若い頃よりヒマなので、みんな毎日運動していますよ。

ほかにも、ピアノは小4で嫌になってやめましたが、最近は音楽と仲直りしたいと思い、また始めました。リベンジというか、「悔い残し」をつぶしていこうかなと。

――最後に、今後やりたいことがあれば、教えてください。 

まきりえこ

健康系の体験エッセイもいいし、また、家族の日記みたいな作品も再び描きたいです。年を重ねると、元気な人はとことん元気ですが、そうじゃない人もいます。私はそういう方が少しでも元気になってもらえるような作品を今後も描いていきたいです。

取材・文=山崎伸子

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HALMEK up編集部
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