黒木瞳さんが語る「上手に年をとる」ということ――父と先輩の言葉に導かれて
黒木瞳さんが語る「上手に年をとる」ということ――父と先輩の言葉に導かれて
公開日:2026年01月05日
黒木瞳(くろき・ひとみ)さんのプロフィール

俳優。1981年に宝塚歌劇団に入団し、娘役トップスターとして活躍。退団後は、俳優として数多くのドラマや映画に出演、エッセイや詩集なども執筆している。エッセイ『母の言い訳』(集英社)では第23回日本文芸大賞エッセイ賞受賞。映画監督としても「十二単衣を着た悪魔」など4作品を世に送り出した。
2026年3月23日 (月)、・24日(火)、東京・コットンクラブで日本のタップダンス界を牽引する第一人者・玉野和紀、自由で繊細な表現力を誇るHideboHとタップダンスのステージ「TAP OF DREAMS +」を開催。
今だからわかる、父の言葉
人は、年をとる。それは、すごいことなんだと亡き父が教えてくれた。
父がまだ生きている頃、久しぶりに帰郷した私は老いた父を見て、「お父さんも年とったね」と言った。すると父は、「上手に年をとるのは大変なんだぞ」と笑って答えた。
今なら分かる。 年をとるのは大変だ。しかも、上手に年をとるということには深い意味がある。
ただ起きて寝てを繰り返していても生きていることには変わりはない。でもその繰り返しの中に、喜びがあったり苦しみがあったりしながら一日一日の命を感謝して生きていくことこそ上手に年をとることなんだと思う。
生きている意味を問うような憂鬱があったり、残された時間を惜しむ気持ちがあったりする。だからこそ湧き出る慈愛や優しさや思いやりの気持ちが生まれる気がする。
先輩女性の言葉
内館牧子さんの『十二単衣を着た悪魔』(幻冬舎)という私の好きな小説がある。若い男の子が源氏物語の中にタイムトリップして、平安時代に生きる人たちから刺激を受け成長していくという物語だ。
映画作品としていろんな方に知ってもらいたいなという思いが叶って、2020年に実現した。私の3本目の監督作品でもある。
その中で桐壺帝の第一妻、弘徽殿女御の言い放つ言葉には深く感銘を受けた。
「人は必ず老い、時代は動く。いつまでも同じ人間が同じ場所に立ってはいられない。必ず若い者の世が来る。そのときは潔く退く。それが品位というもの。惨めな画策などせず、若い者には負ければよいのです」と。
若い子に負けまいと若作りをしても詮無いこと、気負いのない生き方こそがその人の品性につながるのだ。先輩女性の言葉は心強い。
黒木瞳さん新刊『甘くない話』

感謝にあふれた出会いやご縁、本や映画の話、俳優の飾らない日常、ありのままの自分――。黒木瞳の素顔に出会える、15年ぶりのエッセイ集!




