佐藤愛子さん|呆れられても、書き残したいもの
2023.10.262023年10月27日
苦難は引き受けた方がラク #3
佐藤愛子さん|逃げないことが自信になる
2022年11月5日の誕生日に99歳を迎えた作家の佐藤愛子さん。2021年に断筆を宣言したものの「やはり私には書くことしかない」と再び筆を執りました。そんな佐藤さんに、書くこと、生きること、老いることについて、じっくりお話を伺いました。
半分やけくそで生きているようなものですよ(笑)
※このインタビューは2022年9月に行われました。
――2021年夏に断筆宣言をされて話題になりましたが、なぜ再び筆を執られたのですか?
書かない生活をしばらく続けていたら、退屈でね、たまらなくなったんです。私はもともと表に出るのが好きじゃなくて、家にいるのが好きな上に、掃除をしたりするのは嫌いだから、書くことしかすることがない。やはり書く人間なんですよ。
――今も基本的には一人暮らしで、お食事も自分で作っていらっしゃる?
ええ。娘が2階で別所帯で暮らしているんですけど、食事も生活もすべて別にしています。もともと料理は好きでやっていましたが、今はお食事っていうほどのものは作っていないですよ。飢え死にしない程度で(笑)。
最近は杖なしでは外出できなくなったものですから、食事の材料は娘が買い物に行くときについでに買ってきてもらうんです。でも、やっぱり食材は自分の目で見ないとね。“ああ、もう新キャベツの頃か”というのは、お店に行って気付くわけでしょう。家にいて、しょっちゅうキャベツのことを考えて生きているわけじゃないですから。だから今はあるもので食べています。
それに、年のせいか原因がわからないけれど、...