黒木瞳さん 「ウィッグ」や「白髪隠し」も――年齢を味方にする演じ方
黒木瞳さん 「ウィッグ」や「白髪隠し」も――年齢を味方にする演じ方
公開日:2026年01月05日
黒木瞳(くろき・ひとみ)さんのプロフィール

俳優。1981年に宝塚歌劇団に入団し、娘役トップスターとして活躍。退団後は、俳優として数多くのドラマや映画に出演、エッセイや詩集なども執筆している。エッセイ『母の言い訳』(集英社)では第23回日本文芸大賞エッセイ賞受賞。映画監督としても「十二単衣を着た悪魔」など4作品を世に送り出した。
2026年3月23日 (月)、・24日(火)、東京・コットンクラブで日本のタップダンス界を牽引する第一人者・玉野和紀、自由で繊細な表現力を誇るHideboHとタップダンスのステージ「TAP OF DREAMS +」を開催。
上手に年をとるということ
2024年の春に演じたふたつのドラマは、どちらもおばあちゃん役だった。それをご覧になった方からの、「黒木瞳もとうとうおばあちゃん役か!」という意見を見て、私は不思議な気持ちになる。
還暦を過ぎているのに、幼い子どものお母さん役の方がおかしな話だ。いくつになってもセーラー服を着られるのは舞台の上だけで、映像ではそうもいかない。
そういったご意見を言ってくださる方は、若い頃からの私を見てくださっていたとか、華やかなる役柄を演じてきたことをご存じだったからなのかもしれない。
もしくは光陰矢の如しと感慨深いものが込み上げてきたからなのか、いずれかだろう。
おばあちゃん役のふたつのドラマを同時に撮影していたので、なるべく別の人物に見えるようにと私は考えた。
アイデアとしては、ひとつは、髪を一束にまとめるヘアスタイルにする。これは、そのドラマ作品の監督からOKが出た。
じゃ、もうひとつのドラマはどうするか? 悩んだ末にウィッグをつけるのはどうかと閃いた。
キャラクターの輪郭
それで、その作品の監督に、「ウィッグをつけたいんですけど」と提案すると、「じゃあ、ウィッグをつけている人という設定にして、家では外すことにしたらどうでしょう?」と言われ、すぐさま同意した。
そうやってキャラクターの輪郭ができてくる瞬間が私は好きだ。
そのドラマの中で、家ではウィッグを外している場面があった。監督との打ち合わせ通りだ。でも、なんとなく自分を見てて違和感があった。なんでこの人はわざわざウィッグをつけるんだろうって。
まあ、「そういうキャラだから」と言えばそれまでだけれど、私の中で〝何かが違う〟という声がする。
ああ、おばあちゃんなんだから、白髪を隠すために外で仕事のときにはウィッグをつけるっていうのはどうだろう?と思いついた。だとしたら、家でウィッグを外したときに白髪を入れたい、孫に「白髪隠し」というセリフを加えてほしい、などの提案を監督にすると、採用された。
黒木瞳さん新刊『甘くない話』

感謝にあふれた出会いやご縁、本や映画の話、俳優の飾らない日常、ありのままの自分――。黒木瞳の素顔に出会える、15年ぶりのエッセイ集!




