「独立国家の子どもたち」
エッセー作品「独立国家の子どもたち」古河順子さん

公開日:2021年11月04日

通信制 青木奈緖さんのエッセー講座第2期第6回

エッセー作品「独立国家の子どもたち」古河順子さん

エッセー作品「独立国家の子どもたち」古河順子さん

「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から青木さんが選んだエッセーをご紹介します。古河順子さんの作品「独立国家の子どもたち」と青木さんの講評です。

独立国家の子どもたち

どうしてそう思ったのか分からないのですが、小さい頃からずっと、自分の子どもが欲しいなと夢見ていました。

願いかなって3人の子どもの母となり、無我夢中で育てたのですが、3人とも大学生になると下宿生活にあこがれて早々に家を出ていき、気がつけば又、夫婦2人の生活。
熟した豆が殻を飛び出すような巣立ち、親離れでした。

長女は医学部に、次女は獣医畜産科を選び、はるか遠くの十和田の学舎へ。
映画のスタントマンに憧れて、スケボーやでんぐり返りばかりしていた長男も、3浪して医学部へ。
あとで長女からきいたのは「眼科医になって父さんのあとを継ぐ」と思いたったそうです。

3人とも結婚の相手は自分でみつけてきて、自分達のスタイルで挙式。式場や費用等の相談も一切なくて、親は招待されて参列しました。

それは改めて本当の巣立ちを確認した日でもあります。
『結婚し家庭を持った子どもはもう独立国家だ』と、ある方が言われていましたが、ほんとうにそう思いました。
何かSOSがくれば関わるけれど、あとは親といえども内政干渉すべきでないと決意した日でもあります。

娘2人には「子どもをほしいのなら、第1子は27才迄の出産が望ましいよ」と言っていたので、次女は結婚式のあと「ちゃんと守ったでしょう」と、にやり。
次女27才の春でした。

長女は、「私は当分結婚しないから子どもは産まない。気になるやろうけど放っといて」と宣言し、超多忙の外科勤務医をつづけました。
赤ん坊のときから長女の面倒を見てくれていた義母が、「いやになったら戻ってきたらいい。とにかくいっぺんは結婚せんとあかん。お前の花嫁姿を見る迄は私は死なれへん」と口すっぱく言っていたので「ばあちゃんを長生きさせるためにもまだ結婚できないな」と応酬していた長女もようやく40才でゴールイン。
「同業の夫はいやだ」と、お相手は趣味のダイビングを指導してくれていたインストラクターです。
家事と3匹の猫の世話を夫に引き受けてもらって、長女は心おきなく仕事に専念できていた様子でしたが、かねてから希望していた奄美大島の病院勤務の話が具体化して、この2月末、コロナ騒ぎの中、飛んで行ってしまいました。
夫婦で仲良く奄美の海をもぐっている様子がメールで送られてきます。

娘2人は遠方ですが、長男一家は、庭続きの同じ敷地内に住んでいます。
でも息子とは週に1~2回顔を合わす位で、近くて遠い存在です。
しかし離れていても3人は仲が良く何かと連絡を取り合っているようで、親としては、もう何も言うことがなくなりました。

生前、いつも子ども達に“仲良くしろよ”と言っていた夫と一緒に、もはや私も高い空の上から子ども達を見守っているような心境です。

 

青木奈緖さんからひとこと

三人のお子様方がのびのびと個性を発揮していらっしゃる様子がよくわかります。

今に至るまでの略歴等、それぞれ書き分ける必要があり、その上で家族の一体感を表現するとなると、この枚数に収めるのは至難の業だったと思います。

このごきょうだいは、自分を信じること、他人との比較の中に幸せはないことを、早い段階で会得なさったのでしょうね。

 

ハルメクの通信制エッセー講座とは?

全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。書いていて疑問に思ったことやお便りを作品と一緒に送り、選ばれると、青木さんが動画で回答してくれるという仕掛け。講座の受講期間は半年間。

現在第3期の講座開講中です。次回第4期の参加者の募集は、2022年1月に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始します。募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから

■エッセー作品一覧■

 

ハルメク旅と講座
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ハルメクならではのオリジナルイベントを企画・運営している部署、文化事業課。スタッフが日々面白いイベント作りのために奔走しています。人気イベント「あなたと歌うコンサート」や「たてもの散歩」など、年に約200本のイベントを開催。皆さんと会ってお話できるのを楽しみにしています♪

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