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- エッセー作品「家族の定義」西山聖子さん
「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から青木さんが選んだエッセーをご紹介します。西山聖子さんの作品「家族の定義」と青木さんの講評です。
「家族の定義」
映画「ミッドナイトスワン」を観て、改めて家族の定義とは何だろうと考えてしまった。
主人公は、家族に内緒で新宿のニューハーフショークラブで働くトランスジェンダー。
ある日突然、育児放棄された親戚の女子中学生を預かることとなる。
叔父だと思って訪ねてきた男の女装姿に戸惑う少女と、彼女と距離を置く主人公。
しかし、一緒に暮らすうちに2人の心は変化し、まるで母子のような関係になっていく。だが、ハッピーエンドとはならず、思ったより重いテーマの映画だった。
私が考えさせられたのは、主人公を拒絶する親戚や母の立場である。
もし、私に息子が居て、彼が本当は女性として生きたいと願っていると知った時、どのような態度を取るのだろう。
普段からLGBTの人々を差別していないと思ってはいるが、いざ自分の息子に告白されたら、すんなり受け入れられるのだろうか。
外見と性別の不一致からの差別や不当な扱いは、昔ほどでないが、まだまだ社会の中に残っている。
先日、NHK Eテレで、ご両親が離婚し、その後、母親が新しいパートナーとして女性と暮らしている家庭の娘さん達の気持ちを司会者が聞いていた。
最初は何故ママが2人いるの?
と疑問もあった娘さん達も今では、パートナーの女性を家族として受け入れ仲よく暮らしているという。
当事者でない限り心の内は解らないが、この先女性または男性同士で結婚し、子供を育てる家庭も増えていくだろう。
その子供達が成長した時、両親に心から感謝できる、偏見の無い世の中であってほしいと願う。
「家族」とは、夫婦、親子、兄弟などの血縁関係により結ばれた親族関係を基礎にして成立する小集団と辞書には書いてある。
しかし私は「家族の定義」とは、たとえ血縁関係になくても、一緒に暮らしていなくても、お互いの存在を家族と認め合えた瞬間に成立する、心の中にあるものだと思う。
青木奈緖さんからひとこと
トランスジェンダーを主人公にした映画『ミッドナイトスワン』を観たことをきっかけに「家族とは何か」という問いに正面から向き合っています。
踏み込んで書くにはそれなりの配慮が必要ですが、表現もよく考えられています。
辞書にある「家族」の定義を示した上で、自分なりの結論を導き出し、申し分のない出来です。
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。書いていて疑問に思ったことやお便りを作品と一緒に送り、選ばれると、青木さんが動画で回答してくれるという仕掛け。講座の受講期間は半年間。
次回の参加者の募集は、2022年7月に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始します。
募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから。
■エッセー作品一覧■
- 青木奈緖さんが選んだ3つのエッセー第3期#1
- 青木奈緖さんが選んだ3つのエッセー第3期#2
- 青木奈緖さんが選んだ4つのエッセー第3期#3
- エッセー作品「新しい家族」加藤博子さん
- エッセー作品「家族の定義」西山聖子さん
- エッセー作品「丸い卓袱台」野田佳子さん
- エッセー作品「姉の事は私の事」長谷島友子さん
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