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- エッセー作品「ワイシャツ」平木智子さん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクのエッセー講座。参加者の作品から、山本さんが選んだエッセーをご紹介します。半年間の講座の最後となる第6回のテーマは「白いシャツ」。平木智子さんの作品「ワイシャツ」と山本さんの講評です。
ワイシャツ
友人のT子さんは長身でスリム。
何を着てもさまになるが、とりわけシャツスタイルはくずし方がうまく、絵になっていた。
私もシャツを持っているが、出番の少ないアイテムである。
我家の鏡は白雪姫のまま母の鏡の様に正直で、私のシャツ姿をいつも「似合わないねぇ」と返してくるのである。
そんな訳で自分のシャツを手にとる機会は極めて少ない。
随分前の話になるが、主婦業をしていた頃の朝のNHK番組で、ワイシャツのアイロンかけについて、そのプロフェッショナルの実演を見たことがある。
まず、襟をバシッと仕上げる、次に袖をプレス。
そして広いアイロン台にうしろ身頃をひろげて内側からアイロンをかけてゆく。
その上に前身頃を重ねてのせて表面からプレスしてゆく。
前立、釦(ぼたん)まわりを細かく整えて完了。
いつの場合も、その道のプロの作業は合理的で動きにムダがない。
それまでの私のワイシャツのアイロンかけは、これとはちがった。
まず袖をプレスし、次に後身頃を内側からかける。続いて前身頃をアイロン台に広げて表からプレス。最後に衿を整える。
このやり方は大きな夫のワイシャツをあっちにふり、こっちにふっての作業になった。
このテレビ番組を見た後からは、これを真似てシャツのアイロンかけをするようになった。
合理的な動きというものは、素人にとっても快適で出来ばえも上々だった。
週に2回数枚ずつシャツのアイロンかけが続いた。
この腕前ならばクリーニング店でアルバイトも可能かもしれないゾと甘く評価して得意になっていた。
それ程上達したワイシャツのアイロンかけだったが、4年ほどで終了することになった。
主がワイシャツと私を残して天にのぼっていってしまった。
私のシャツは相変わらずワードロープで退屈そうにぶらさがって、何やら不満げである。
山本ふみこさんからひとこと
構成が見事。
「私のシャツは相変わらずワードローブで退屈そうにぶらさがって、なにやら不満げである」という結びにも、唸ります。
唸りますが、「平木智子」は、なんでも着こなす、おしゃれな先輩。シャツだって、ほんとうはかっこよく楽しんで魅せてくださるはずです。
山本ふみこさんのエッセー講座(教室コース)とは
随筆家の山本ふみこさんにエッセーの書き方を教わる人気の講座です。
参加者は半年間、月に一度、東京の会場に集い、仲間と共に学びます。月1本のペースで書いたエッセーに、山本さんから添削やアドバイスを受けられます。
次回の参加者の募集は、2022年6月に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始します。募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから
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