更年期の不調:気になる症状と対処法

セロトニンを増やす生活習慣で気持ちを明るく前向きに

公開日:2018/07/02

更新日:2022/03/14

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気持ちを明るく前向きにするために欠かせないのがセロトニンです。脳内物質の一種で、うつ病には脳内のセロトニンの減少が関係するとされています。更年期うつの予防には、セロトニンを増やす大豆やバナナを用いた食事や生活習慣の改善を心掛けましょう。

セロトニンを増やす生活習慣で気持ちを明るく前向きに

セロトニンが不足すると気分が落ち込む

セロトニンが不足すると気分が落ち込む

更年期になると気持ちがふさぎこみ、憂うつな気分になって何もする気にならないとか、わけもなく悲しくなってしまうといった症状に悩まされることが増えます。悪化すると「更年期うつ」に進むケースもあります。

その原因は女性ホルモンのエストロゲンの減少です。エストロゲンの分泌が減ると、脳内のセロトニンという神経伝達物質も減り、こうした心の不調を招くようになります。

セロトニンには気持ちを明るく前向きにする作用や、感情を豊かにするといった働きがあります。また、夜間にはメラトニンという睡眠ホルモンに変化するため、睡眠の質を高めるうえでも大切な役割があります。

更年期には、夜寝つきが悪くなったとか、ぐっすり眠れないといった悩みも増えてきますが、ここにもセロトニン不足が影響しているのです。睡眠不足が続けば、心身の不調がさらに悪化しかねません。

そこで更年期を元気に乗り切るために、セロトニンを増やす食事や生活習慣を実践していきましょう。

食事でセロトニンの原料・トリプトファンを補給しよう

セロトニンを増やすには、まず材料となる栄養素を食事から取りましょう。

セロトニンをつくるのは、トリプトファンというアミノ酸です。アミノ酸とはたんぱく質の構成成分で、トリプトファンは人間の体では合成できない必須アミノ酸の一つ。つまり、食事でしっかり補給するしかありません。
 
トリプトファンが多く含まれているのは、大豆、豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品、バナナ、チーズ、牛乳、ヨーグルト、卵など。

特に、大豆製品には女性ホルモンの働きを助けるイソフラボンも豊富に含まれているので、積極的に取るようにしましょう。牛乳はホットミルクにして就寝前に飲むのがおすすめ。眠りを促す効果が期待できます。
 
他にも、アーモンドやマカダミアナッツ、ごまなどにも含まれています。たんぱく質の多い食品にも豊富なので、肉や魚もバランスよく取るとよいでしょう。

太陽の光を浴びるとセロトニンが増える

太陽の光を浴びるとセロトニンが増える

セロトニンを増やすには午前中の行動がカギを握っています。というのも、セロトニンの分泌は目から入ってくる太陽光によって影響を受けるからです。

朝、起床して太陽の光を浴びるとセロトニンの分泌が促されるため、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光をしっかり浴びるのがポイント。日中、特に午前中に太陽の光を浴びながら散歩やウォーキングをするのも効果的です。

また、朝に太陽の光に当たることで、体内時計がリセットされて、生活リズムを整える効果もあります。更年期症状には自律神経のバランスの乱れが大きく影響しています。日中は体を動かし、夜は決まった時間に眠る、規則正しい生活を心掛けましょう。
 
さらに、太陽の紫外線を適度に浴びることは、ビタミンDの合成促進にもつながります。ビタミンDはカルシウムの吸収を促し、骨粗鬆症の予防に役立つ栄養素。太陽光に当たる目安は、夏が15分程度、冬は30分ほどでOKです。

生活習慣を改善しても症状が落ち着かない場合は、早めにかかりつけの婦人科やメンタルクリニックで相談してください。抗うつ薬や抗不安薬の他、「更年期うつ」にはホルモン補充療法(HRT)や漢方などの治療法も効果的です。

更年期のこころの不調に用いられる漢方薬

日本産婦人科学会では、更年期障害の薬物療法としてHRT、漢方薬、抗精神薬の三つを挙げています。更年期の不定愁訴の治療については、漢方がもっとも得意とするところです。

また、自然由来の漢方薬は向精神薬に比べて副作用が少ないと言われているので興味がある方が多いのではないでしょうか。ただし、体質や症状に合わないと効果がでないだけでなく、体へのダメージや副作用が起きることもあるので、選ぶ際は個人に合わせることが重要になります。

漢方医学の考え方では、血(けつ)が不足すると気力や集中力が低下し眠りが悪くなります。また、血の巡りが悪くなると頭痛や肩こりが生じます。さらに、ストレスなどで気が乱れるとのぼせやほてり、動悸などが生じると考えられているのです。

更年期のこころの症状によく用いられる漢方薬を3つご紹介します。

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん):不眠や不安、イライラがある方に血液循環をよくしてからだを温めつつ、のぼせにも効果を発揮します。ホルモンのバランスを整える効果も期待され、イライラや不安感、不眠などのある方に用いられます。
     
  • 温清飲(うんせいいん):肌がカサつき、のぼせ、不安感、イライラがある方に血液循環をよくし、出血をおさえる作用、のぼせや手足のほてりをとる作用があります。ホルモンのバランスを整える効果も期待され、皮膚の乾燥やかゆみ、イライラや不安がある方に用いられます。
     
  • 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ):神経が高ぶってイライラや不眠などがある方に血を補い、気の巡りを整え、自律神経を安定させる作用があります。陳皮、半夏が加えられていることで、胃腸の弱い方も服用しやすい方剤となっています。神経が高ぶり、怒りやすい、イライラなどがある方に用いられます。

他にも、更年期のこころの症状に用いられる漢方薬はありますが、選ぶのにコツが要ります。

どの漢方薬が自分に向いているのかを見極めるために、漢方の専門家が多く在籍する「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
 

監修者プロフィール:横倉恒雄さん(横倉クリニック)

横倉恒雄さん(横倉クリニック)

よこくら・つねお 医学博士。医師。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。婦人科、心療内科、内科などが専門。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る脳の健康法』『脳疲労に克つ』他。日本産婦人科学会認定医 /日本医師会健康スポーツ医/日本女性医学学会 /更年期と加齢のヘルスケア学会ほか。

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ハルメクWEB編集部

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