閉経が早い人の特徴とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
閉経が早い人の特徴とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
公開日:2025年10月15日
この記事3行まとめ
✓ 日本人女性の平均閉経年齢は約50歳ですが、40代前半やそれ以前に迎える方もいます。
✓ 喫煙や過度なダイエット、遺伝的要因などが関係し、将来の健康リスクに影響することがあります。
✓ ホルモン補充療法などの治療法や生活習慣の改善で、症状の緩和やリスク軽減が期待できます。
閉経が早い人の特徴とは?
閉経とは、卵巣の活動性が低下し、月経が永久に停止した状態を指します。医学的には、12か月以上月経がない状態が続いたときに、1年前を振り返って閉経と診断されます。
日本人女性の平均的な閉経年齢は50.5歳頃とされていますが、これよりも数年以上早く閉経を迎える方々がいます。一般的に、45歳未満で閉経することを「早期閉経」、さらに40歳未満で閉経することを「早発閉経(早発卵巣不全)」と呼びます。
閉経が早いということは、女性ホルモンであるエストロゲンの恩恵を受ける期間が短くなることを意味します。エストロゲンは、骨の健康を保ったり、血管のしなやかさを維持したりと、女性の体を守る重要な役割を担っています。そのため、閉経が早いと、将来的に骨粗鬆症や心血管疾患などのリスクが通常より高まる可能性が指摘されています。
よく見られる身体的症状
閉経が近づくと、更年期症状といわれるさまざまな変化が現れます。これは、閉経が早い方でも同様です。代表的な症状には以下のようなものがあります。
- 月経周期の変化:周期が短くなったり長くなったり、経血量が減ったりと、生理不順が続くようになります。
- ホットフラッシュ:突然、顔や上半身がカッと熱くなり、汗が噴き出す「のぼせ」や「ほてり」の症状です。
- 動悸・息切れ:特別な原因がないのに、心臓がドキドキしたり、息苦しさを感じたりします。
- 疲労感・肩こり・頭痛:これまで感じなかったような、強い疲労感や頑固な肩こり、頭痛に悩まされることがあります。
- 膣の乾燥・性交痛:エストロゲンの減少により、膣の潤いがなくなり、性交時に痛みを感じることがあります。
心理的な変化
身体的な症状だけでなく、心の状態も不安定になりがちです。
- イライラ・不安感:ささいなことで感情的になったり、理由もなく不安な気持ちに襲われたりします。
- 気分の落ち込み:やる気が出ない、何事も楽しめないといった、うつ病に似た症状が現れることもあります。
- 不眠:寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるなど、睡眠の質が低下します。
これらの症状は、ホルモンバランスの急激な変化が自律神経の働きを乱すことによって引き起こされます。
統計データ(厚生労働省調査より)
厚生労働省の調査によると、日本人女性の閉経年齢の中央値は50.5歳です。しかし、実際には個人差が大きく、40代前半で閉経を迎える人もいれば、50代後半まで月経が続く人もいます。
40歳未満で閉経する「早発閉経」は、女性全体の約1%に起こると報告されています。これは決して他人事ではなく、100人に1人の女性が経験する可能性があるということです。
閉経が早まる原因とメカニズム
なぜ、人によって閉経の時期が異なるのでしょうか。その原因は一つではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
主な原因
閉経が早まる主な原因は、以下の3つに分けられます。
1. 生理学的要因
- 遺伝的要因:母親や姉妹の閉経年齢が早い場合、自身も早くなる傾向があると言われています。染色体異常(ターナー症候群など)が原因となることもあります。
- 自己免疫疾患:本来、体を守るはずの免疫システムが、誤って自身の卵巣を攻撃してしまう病気(甲状腺疾患、関節リウマチなど)が原因で、卵巣機能が低下することがあります。
- 卵巣の手術:子宮内膜症や卵巣のう腫などで卵巣の一部または全部を摘出した場合、物理的に卵子の数が減少し、閉経が早まることがあります。
2. 環境的要因
- 喫煙:タバコに含まれる有害物質は、卵巣機能を低下させ、エストロゲンの分泌を抑制します。喫煙者は非喫煙者に比べて1〜2年閉経が早いというデータもあります。
- 過度なダイエット:急激な体重減少や、体脂肪率が極端に低い状態が続くと、脳が生命の危機と判断し、ホルモンの分泌を止めてしまうことがあります。
- がん治療:抗がん剤治療や骨盤周辺への放射線治療は、卵巣にダメージを与え、機能を停止させてしまうことがあります。
3. 心理社会的要因
- 強いストレス:長期間にわたる強いストレスは、ホルモンバランスを司る脳の視床下部に影響を与え、月経不順や無月経を引き起こし、結果的に閉経を早める可能性があります。
発症メカニズム
女性は生まれたときに、一生分の卵子の素(原子卵胞)を持って生まれてきます。この数は増えることはなく、年齢とともに自然に減少していきます。
思春期になると、脳からの指令で卵巣が働き始め、卵胞が成熟して排卵が起こるようになります。このサイクルの中でエストロゲンが分泌されます。
閉経とは、この原子卵胞が残り少なくなり(1000個程度)、脳がいくら指令を出しても卵巣が反応しなくなり、排卵とエストロゲンの分泌が停止する状態です。
閉経が早い人は、何らかの理由でこの原子卵胞の減少ペースが速かったり、卵巣機能そのものがダメージを受けたりして、通常よりも早く卵子の在庫が尽きてしまった状態と考えることができます。
リスク要因
閉経を早める可能性のあるリスク要因をまとめます。
- 家族(母や姉妹)に閉経が早い人がいる
- 喫煙習慣がある
- 大幅な体重減少の経験がある、または痩せすぎている
- 卵巣の手術歴がある
- がん治療(化学療法・放射線療法)の経験がある
- 自己免疫疾患(甲状腺疾患など)がある
これらの要因に心当たりがある場合は、将来の健康管理のためにも、婦人科で相談してみることをおすすめします。
診断方法と受診について
「最近、生理が不規則になってきた」「もしかして閉経が近いのかも?」と感じたら、どのタイミングで医療機関を受診すればよいのでしょうか。
いつ受診すべきか
以下のような症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- 40歳未満なのに、月経が4か月以上こない
- 月経周期が極端に短くなったり(24日以内)、長くなったり(39日以上)を繰り返す
- ホットフラッシュや異常な発汗など、つらい更年期症状がある
- 妊娠を希望しているのに、なかなか妊娠しない
特に40歳未満で無月経になった場合は、早発閉経の可能性も考えられるため、自己判断せずに専門医に相談することが重要です。
診断の流れ
婦人科では、主に問診と血液検査、超音波検査などを組み合わせて診断します。
1. 問診で確認すること
医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。最終月経の時期や月経周期、自覚症状などをメモしておくとスムーズです。
- 最終月経はいつか
- 月経周期や経血量の変化
- 妊娠・出産の経験
- これまでにかかった病気や手術歴
- 現在服用中の薬
- 家族(母・姉妹)の閉経年齢
- 喫煙などの生活習慣
2. 身体検査
内診や経膣超音波検査で、子宮や卵巣の状態を確認します。子宮筋腫や卵巣のう腫など、他の病気が隠れていないかを調べます。
3. 代表的な検査例
- 血液検査(ホルモン値測定):血液中の女性ホルモン(エストロゲン)と、脳から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)の値を測定します。閉経状態になると、エストロゲン値が低下し、それを補おうとしてFSH、LH値が高くなります。
- 超音波検査:卵巣の中にある卵胞の数を数え、卵巣の予備能(残っている卵子の目安)を評価します。
- 抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査:AMHは、卵巣内の前胞状卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣予備能の指標とされています。この値が低いと、閉経が近い可能性を示唆します。
受診の準備
受診の際は、基礎体温をつけている場合は持参すると診断の助けになります。また、最終月経日、月経周期、気になる症状、質問したいことなどを事前にメモしておくと、伝え忘れを防げます。服装は、内診がある場合に備えて、着脱しやすいものが便利です。
受診すべき診療科
月経不順や更年期症状など、女性特有の悩みの最初の相談窓口は「婦人科」です。お近くの婦人科クリニックや、総合病院の婦人科を受診してください。どこに行けばよいか分からない場合は、お住まいの自治体の保健所や女性健康支援センターなどで情報提供を受けられることもあります。
閉経が早い場合の治療法
閉経が早いと診断された場合、どのような治療が行われるのでしょうか。治療の目的は、主に「つらい症状の緩和」と「将来の健康リスクの低減」です。
治療方針の決定
治療法は、年齢、症状の強さ、妊娠希望の有無、そしてご本人の希望などを総合的に考慮して、医師と相談しながら決定します。画一的な治療ではなく、一人一人のライフプランに合わせたオーダーメイドの治療が基本となります。
薬物療法
ホルモン補充療法(HRT)
閉経が早い場合の治療の柱となるのが、不足しているエストロゲンを補う「ホルモン補充療法(HRT)」です。HRTは、つらい更年期症状を和らげるだけでなく、長期的な健康を守る上でも多くのメリットがあります。
HRTの主なメリット
- 更年期症状の改善:ホットフラッシュ、発汗、動悸、イライラなど、さまざまな症状を根本から改善します。
- 骨粗鬆症の予防:エストロゲンは骨の新陳代謝に不可欠です。HRTは骨密度を維持し、骨折のリスクを大幅に減らします。
- 脂質異常症の改善:悪玉(LDL)コレステロールを減らし、善玉(HDL)コレステロールを増やす効果があり、動脈硬化の予防につながります。
- 皮膚や粘膜の潤いを保つ:肌のハリを保ち、膣の乾燥や性交痛を改善します。
知っておきたい注意点とリスク
以前は「HRTは乳がんのリスクを高める」という情報が広まりましたが、その後の研究で、5年未満の使用であればリスクはほとんど上昇しないこと、また使用する黄体ホルモンの種類によってはリスクが上がらない可能性も示されています。医師と相談し、定期的に乳がん検診を受けることで、安全に治療を進めることができます。
また、飲み薬タイプのHRTでは、血栓症(血管の中に血の塊ができる病気)のリスクがわずかに上がるとされています。肥満の方や喫煙者、ご高齢の方は、貼り薬や塗り薬のタイプを選択することで、このリスクを避けることができます。
HRTで使うお薬の種類
- 飲み薬(経口剤):毎日服用する手軽さがありますが、肝臓で分解されるため、血栓症のリスクがわずかに高まります。
- 貼り薬(貼付剤):お腹や腰などに貼るタイプ。皮膚から直接吸収されるため、肝臓への負担が少なく、血栓症のリスクは上がらないとされています。かぶれやすい方は注意が必要です。
- 塗り薬(ジェル剤):腕などに塗るタイプ。貼り薬と同様に皮膚から吸収されるため、血栓症のリスクは上がりにくいです。毎日塗る手間はありますが、量の調節がしやすいのが特徴です。
どのタイプの薬がご自身に合っているか、ライフスタイルや健康状態に合わせて医師とじっくり相談しましょう。
その他の薬物療法
- 漢方薬:当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)など、体質や症状に合わせて処方されます。HRTに抵抗がある方や、症状が比較的軽い場合に選択されることが多いです。
- 低用量ピル:まだ閉経が確定しておらず、月経周期が不安定な場合や、避妊も希望する場合には、低用量ピルが使われることもあります。
注意:これらの薬物療法は、必ず医師の診断のもとで行う必要があります。自己判断で市販薬やサプリメントを使用することは避けましょう。
非薬物療法
- カウンセリング:不安感や気分の落ち込みが強い場合には、専門のカウンセラーによるカウンセリングが有効なことがあります。
- 運動療法:ウォーキングやヨガなどの適度な運動は、血行を促進し、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。気分のリフレッシュにもつながります。
注意:非薬物療法も、ご自身の判断だけでなく、医師や専門家と相談しながら進めることが大切です。
治療期間と予後
ホルモン補充療法を行う場合、一般的には平均的な閉経年齢である50歳頃まで続けることが推奨されています。治療によって更年期症状が改善し、生活の質(QOL)が大きく向上することが期待できます。また、骨粗鬆症や心血管疾患のリスクを低減させることで、健康寿命を延ばすことにもつながります。
予防法と日常生活での注意点
閉経の時期を完全にコントロールすることは難しいですが、日々の生活の中で卵巣の健康を保ち、健やかに過ごすためにできることはたくさんあります。
一次予防(発症予防)
- 禁煙:卵巣機能の低下を防ぐために、最も確実で効果的な方法です。
- 適正体重の維持:過度なダイエットは避け、バランスの取れた食事と適度な運動で健康的な体を維持しましょう。
- ストレスマネジメント:趣味やリラックスできる時間を作り、ストレスを上手に発散する方法を見つけましょう。
二次予防(早期発見・早期治療)
- 定期的な婦人科検診:1年に1回は婦人科検診を受け、子宮や卵巣の状態をチェックしてもらいましょう。
- 基礎体温の記録:基礎体温を記録すると、月経周期の乱れや排卵の有無に早く気付くことができます。
- 食事や運動など、日常生活でできること
薬物療法と並行して、あるいは予防のために、日々の生活習慣を見直すことも非常に重要です。ここでは、具体的な食事や運動の例をご紹介します。
栄養バランスの取れた食事を心がける
特定の食品だけを食べるのではなく、多様な食材を組み合わせることが基本です。特に、以下の栄養素は積極的に摂ることをおすすめします。
大豆イソフラボン
女性ホルモンと似た働きをし、症状の緩和を助けます。
- 食材例:豆腐、納豆、豆乳、味噌、きな粉など
- 簡単レシピ:「豆腐とわかめの味噌汁」は、イソフラボンとミネラルを同時に摂れる優れた一品です。納豆にめかぶやキムチを混ぜるのも、手軽でおすすめです。
カルシウム
骨粗鬆症予防に不可欠です。
- 食材例:牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚(しらす、めざし)、小松菜、水菜など
- 簡単レシピ:「小松菜とじゃこの炒め物」は、カルシウム豊富な組み合わせです。ヨーグルトにきな粉をかければ、カルシウムとイソフラボンを同時に摂取できます。
ビタミンD
カルシウムの吸収を助けます。
- 食材例:鮭、さんま、いわしなどの魚類、きのこ類(特にきくらげ、干し椎茸)
- ポイント:ビタミンDは日光を浴びることでも体内で生成されます。1日15分程度、手のひらを太陽に向けるだけでも効果があるとされています。
ビタミンE
血行を促進し、冷えや肩こりの改善に役立ちます。
- 食材例:アーモンドなどのナッツ類、かぼちゃ、アボカド
適度な運動を習慣にする
運動は、骨の健康を保ち、気分をリフレッシュさせ、生活の質を高める上で非常に効果的です。
骨を強くする運動
骨に縦方向の刺激を与えることで、骨密度が維持されやすくなります。
- ウォーキング:少し大股で、かかとから着地することを意識して歩きましょう。1日30分程度が目安です。
- スロージョギング:おしゃべりできるくらいのゆっくりしたペースで走ります。体力に自信がない方でも始めやすい運動です。
- かかと落とし:まっすぐ立った状態からつま先立ちになり、かかとをストンと落とします。1日30回程度、家事の合間にも手軽にできます。
自律神経を整える運動
- ヨガ・ストレッチ:深い呼吸を意識しながら行うことで、心身がリラックスし、自律神経のバランスが整います。特に寝る前のストレッチは、質の良い睡眠につながります。
家族・周囲のサポート
更年期のつらい症状は、本人にしか分からないことも多く、周囲の無理解に傷つくこともあります。ご自身の体の変化について家族と話し合い、理解を求めることも大切です。
「イライラするのはホルモンのせいなんだ」「今は少し休ませてほしい」と具体的に伝えることで、家族もどうサポートすれば良いか分かりやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1: 早発閉経(早発卵巣不全)とは何ですか?
A: 40歳未満で卵巣の機能が低下し、月経が来なくなる状態を「早発閉経(早発卵巣不全)」と呼びます。全女性の約1%に起こるとされ、遺伝的な要因や自己免疫疾患、がん治療などが原因となることがありますが、多くは原因不明です。
通常の閉経よりも早く女性ホルモンが欠乏するため、骨粗鬆症などのリスクに備えることが重要になります。
Q2: 閉経が早まるサインや症状はありますか?
A: まず、月経周期が不規則になることが多いです。周期が急に短くなったり、逆に数か月飛んだりします。また、経血量が極端に減ることもあります。それに伴い、ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)、動悸、イライラ、不眠といった、いわゆる更年期症状が現れ始めたら、閉経が近づいているサインかもしれません。
Q3: 閉経が早まる原因は何ですか?
A: 喫煙、過度なダイエット、強いストレスなどの生活習慣が影響することが知られています。また、母親や姉妹の閉経が早かったという遺伝的な要因、卵巣の手術歴、特定の自己免疫疾患なども原因となり得ます。しかし、なぜ早まるのか、はっきりとした原因が分からないケースも少なくありません。
Q4: どのような検査で診断されますか?
A: 婦人科で問診を行った後、血液検査でホルモン値を測定するのが一般的です。閉経状態では、女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、脳から出る卵胞刺激ホルモン(FSH)が高くなります。このFSHの値が診断の重要な手がかりになります。また、超音波検査で卵巣の状態を確認することもあります。
Q5: 閉経が早いと、どのような健康上のリスクがありますか?
A: 女性ホルモン(エストロゲン)には、骨を丈夫に保ち、血管をしなやかにする働きがあります。そのため、閉経が早いと、その恩恵を受ける期間が短くなり、将来的に骨粗鬆症や、動脈硬化が進んで心筋梗塞などの心血管疾患になるリスクが、平均的な年齢で閉経した方より高まることが分かっています。
Q6: 閉経が早い場合の治療法はありますか?
A: はい、あります。代表的な治療は、不足している女性ホルモンを補う「ホルモン補充療法(HRT)」です。これにより、つらい更年期症状が緩和されるだけでなく、骨粗鬆症の予防にもつながります。
他にも、体質に合わせて漢方薬が処方されることもあります。どの治療法が合うかは人それぞれですので、医師とよく相談することが大切です。
Q7: 閉経が早まるのを防ぐ方法はありますか?
A: 閉経年齢は遺伝的な要素も大きいため、完全に防ぐことは難しいのが現状です。しかし、卵巣機能の低下を加速させないために、禁煙する、極端なダイエットを避けて適正体重を保つ、ストレスを溜めすぎない、といった生活習慣を心がけることは非常に重要です。
Q8: 「若年性更年期障害」とは違うのですか?
A: 似ていますが、異なります。「若年性更年期障害」は、主にストレスや不規則な生活が原因でホルモンバランスが一時的に乱れ、更年期のような症状が出る状態です。この場合、卵巣機能そのものは保たれていることが多いです。
一方、「早発閉経」は卵巣機能自体が不可逆的に停止してしまった状態を指します。両者は治療法も異なるため、自己判断せず婦人科で正確な診断を受けることが重要です。
Q9: 遺伝や家族歴は関係しますか?
A: はい、関係すると考えられています。お母様やお姉様が40代前半など早い時期に閉経を迎えている場合、ご自身もその傾向を受け継いでいる可能性があります。必ずしも同じ年齢で閉経するわけではありませんが、一つの目安として、ご家族の閉経年齢を知っておくと、ご自身の体の変化に備えやすくなるかもしれません。
Q10: 閉経が早いかもしれないと感じたら、何科を受診すればよいですか?
A: まずは「婦人科」を受診してください。月経不順や更年期のような症状は、女性ホルモンに関連することがほとんどです。専門医に相談することで、現在の体の状態を正確に把握し、必要な検査や今後のアドバイスを受けることができます。一人で悩まず、気軽に相談してみてください。
まとめ
大切なポイント
- 閉経が早いこと(早期閉経・早発閉経)は、特別なことではなく、誰にでも起こりうることです。
- 喫煙や過度なダイエットは避け、バランスの取れた生活を心がけることが、卵巣の健康を守ることにつながります。
- ホルモン補充療法などの適切な治療を受けることで、つらい症状を和らげ、将来の健康リスクを減らすことができます。
- 月経不順や気になる症状があれば、一人で悩まずに婦人科に相談することが、健やかな未来への第一歩です。
健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。
適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。
監修者プロフィール:沢岻 美奈子さん

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。神戸にある沢岻美奈子女性医療クリニックの院長。子宮がん検診や乳がん検診、骨粗鬆症検診まで女性特有の病気の早期発見のための検診を数多く行っています。更年期を中心にホルモンや漢方治療も行い、女性のヘルスリテラシー向上のために、実際の診察室の中での患者さんとのやりとりや女性医療の正しい内容をインスタグラムで毎週配信。




