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- 更年期で汗が止まらない!原因・予防・対処法を解説
更年期の不調の中でも多い「汗が止まらない」「ほてり」「のぼせ」といった症状が起こるのはなぜ?いつまで続く?悩んでいる人も多い更年期の汗の特徴や原因、予防法や対処法について詳しく解説!更年期の汗の治療法もご紹介します。
更年期は「汗」と「体温調節」のトラブルが多い!
更年期とは、閉経を挟んだ45歳くらいから55歳くらいまでの約10年間を指します。
更年期にはさまざまな不調が起こりますが、中でも多いのが「汗」や「体温調節」のトラブル。更年期の大量の発汗・ほてり・のぼせは「ホットフラッシュ」と呼ばれ、更年期によく見られる症状の一つです。
ホットフラッシュでは、以下のような症状が見られます。
- 滝のような汗が出て止まらなくなる
- 気温や室温に関係なくどっと汗が吹き出る
- 寝汗がひどい
- 突然カーッとのぼせたようになる
- 顔や首まわりがほてる
- 顔が赤くなる
- 手足は冷えるが顔はのぼせる(冷えのぼせ)
- 脈拍が早くなる など
ホットフラッシュは自律神経系の収縮神経と拡張神経の不調によって引き起こされるため「血管運動神経症状(血管運動神経系障害)」と呼ばれます。
その他、寝汗や動悸、息切れ、むくみといった症状も血管運動神経系の症状のため、これらの症状を伴うことも。
閉経前から多くなり、女性の6割程度がホットフラッシュを経験するといわれています。1割ほどは、日常生活に支障が出るほど重症になってしまうこともあるといいます。
ホットフラッシュは昼間だけでなく夜間も起こるため、「寝汗がひどい」「汗がひどくて目が覚めてしまう」といった症状につながるケースもあります。
更年期の汗の特徴
更年期では、多汗症と同じくらい大量の汗をかくことも。しかし、多汗症や、体質としての「汗っかき」とは違いがあります。
ここからは、更年期に見られる汗の特徴について見ていきましょう。
汗の症状の現れ方・始まり方
更年期の発汗は、いきなり症状が現れることが多いです。個人差はあるものの、ストレスや緊張が高まったとき、感情が高ぶったときに汗が止まらなくなることがあります。
人によっては、寝汗がひどくなるといった現れ方をすることもあるようです。
汗のかき方・汗をかく場所
更年期の発汗は、顔から始まって、頭部や首まわり、胸などを中心に汗をかくことが特徴です。
手足は冷えていたり、涼しいと感じていたりするのに、顔や胸からだらだらと汗が流れ落ちることもあります。
汗の性質・状態
汗は基本的に体温調節のために出るものであり、運動したときに出てくる汗はサラサラとしていることが多いです。
一方、更年期の発汗には「精神性発汗(緊張や驚いたときに出る汗)」が見られます。精神性発汗の汗は、臭いを伴うことが多いといわれています。
個人差もありますが、更年期の発汗は汗の濃度が高く、不純物を多く含んだベタベタした汗をかきやすいです。サラサラの汗に比べると、ベタベタの汗は臭いが強い傾向にあります。
40代後半~50代前半は「ミドル脂臭(使い古した古い油のような臭い)」の体臭が強くなるといわれており、ホットフラッシュによる汗にはミドル脂臭の原因となる「乳酸」が含まれているため、臭いが悩みにつながることもあるでしょう。
更年期で汗・ホットフラッシュが起こる原因
更年期の発汗は、女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌量が急激に減少することが主な原因です。
閉経を迎える前の女性の体内では、女性ホルモンの「エストロゲン」と脳内物質「ニューロキニンB(NKB)」とがバランスを取りながら脳の体温調節中枢を制御しています。
しかし、閉経に向けて卵巣機能が低下すると、エストロゲンの分泌量が激減。これによってバランスが崩れ、ホットフラッシュを引き起こします。
更年期以外の汗・ホットフラッシュの原因
発汗・ほてり・のぼせといったホットフラッシュは更年期症状の一つですが、更年期以外の原因でもホットフラッシュが起こることがあります。
ストレス
過剰なストレスや緊張、不安を感じると、交感神経が優位になります。副交感神経とのバランスが崩れることで体温調節がうまくいかなくなり、大量の発汗につながってしまいます。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
バセドウ病は、甲状腺機能亢進症の中でも代表的な病気です。甲状腺ホルモンが過剰になることで、汗をかく、暑がりになる、動悸、息切れ、手指や足の震え、痩せるといった症状が起こります。
男女比は1:3~5ほどといわれており、男性よりも女性に多く見られる疾患です。
甲状腺が腫れることで首の腫れが見られますが、痛みはありません。60歳以上の場合は甲状腺が腫れにくいため、気づかないこともあります。
更年期の汗はいつまで続く?
更年期の症状の出方は、人によって大きく異なりますが、「50代後半〜60歳前半くらい」になると落ち着く人が多いといわれています。
ただし、個人差も大きい部分であるため、つらい症状がある場合は我慢を続けるのではなく、病院を受診して適切な治療を受けることが大切です。
更年期の汗の予防法
ここからは、更年期の汗の予防法をご紹介します。
規則正しい生活を心掛ける
起きる時間や寝る時間がバラバラだったり、慢性的な寝不足、食生活が偏っていると、自律神経が乱れやすくなります。
自律神経の働きを整えるためにも、3食しっかり食事を取る、早寝早起きをするなど生活リズムを整えましょう。
食事を工夫し、刺激物は避ける
ストレスがかかると自律神経が乱れ、胃腸が影響を受けます。胃腸の働きが弱っているときはなるべく負担を掛けないように、からい物やカフェインといった刺激物、脂っこい料理、甘い物、冷たい物は避けるようにしましょう。
からい食べ物は体温が上がり、汗が止まらなくなる症状につながることもあります。
ストレスのある環境下ではタンパク質やカルシウムが消費されるため、栄養バランスのいい食事に加えてこれらを積極的に摂取するのもおすすめです。
適度な運動を習慣化する
ウォーキングなどの適度な運動は、ホットフラッシュの改善効果があることが海外の研究でわかっています。少し汗を感じるくらいの運動や筋トレは、ストレス発散にも効果的です。
運動不足や肥満はホットフラッシュなどの血管運動神経症状のリスクを高めるといわれているため、普段あまり運動していない人は適度な運動を習慣化してみましょう。
ゆっくり湯船に浸かる
普段シャワーで済ませている人は、ぬるめのお湯を張った湯船にゆっくり浸かるのもおすすめです。リラックスすることで体を休める副交感神経が優位になり、自律神経を整える効果が期待できます。
禁煙する
タバコに含まれるニコチンには交感神経の働きを活発にさせる働きがあり、多汗の原因になります。タバコは自律神経を乱し、不眠や睡眠障害の原因にもなるため、できることなら禁煙が望ましいでしょう。
更年期で突然汗が止まらないときの対処法
ここからは、更年期で突然汗が止まらないときの対処法についてご紹介します。
発汗が起きたときの日時・状況を記録する
汗が出たときの日時や状況を記録しておくと「こんなときにホットフラッシュが起こることが多い」と、症状が起こる状況をある程度予測できます。
状況がわかると自分でも対処しやすくなるため「汗が出てきたらどうしよう」という不安や焦りを軽減でき、医師に相談する際にも説明しやすくなります。
症状が起こったら、ノートに書いたりスマートフォンのメモ機能に記録しておきましょう。
機能性インナー・脱ぎ着しやすい服・スカーフを活用する
ホットフラッシュによる汗に備えて、機能性インナーや脱ぎ着しやすい服、スカーフやストールを活用するのもおすすめです。
機能性インナーには脇に汗取りパットの付いたもの、吸水速乾性の高いものなどさまざまなものがあるので、自分に合ったものを見つけてみましょう。
ホットフラッシュではのぼせやほてりが起こりますが、服の中に熱がこもると汗が引かなくなってしまいます。脱ぎ着しやすい服やスカーフ、ストールなどを活用すると、温度調節がしやすくなりますよ。
タオルや暑さ対策・汗対策グッズを持ち歩く
吸水性の高い厚手のタオルを持っておくと、外出先で突然汗が出てきたときも安心して対処できます。以下のような暑さ対策・汗対策グッズを持ち歩くのもおすすめです。
- 吸水性の高い厚手のタオル
- 予備のタオル
- 濡れたタオルを入れる袋
- 冷感スプレー
- 汗拭きシート
- 保冷剤
- 化粧直しシートやメイク道具(汗によるメイク崩れ対策)
リラックス呼吸法でゆっくり呼吸する
症状が起こると「どうしよう」と焦ってしまいがちですが、そうなるとさらに汗が出てしまうことも。そんなときは、リラックス呼吸法がおすすめです。
- 鼻から息をゆっくりと吸い込み、下腹部全体にためるようにする
- 口から少しずつ息を吐く
- ここまでを2、3回繰り返す
ゆっくりと呼吸することで、少しずつ気持ちがリラックスしてきます。
汗を止めるツボを押す
汗を止める効果が期待できるツボを押すのもおすすめです。
- 大包(だいほう)…みぞおちの真横、脇から真下に降ろした第6肋骨の下あたりのツボ
- 屋翳(おくえい)……バストトップと鎖骨を結んだ中間地点、第2肋骨と第3肋骨の間にあるツボ
腕を組むようにして、中指で大包を、親指で屋翳を同時に2分ほど、痛気持ちいいほどの強さで押しましょう。
更年期の汗・ホットフラッシュの治療法
更年期のひどい汗につながるホットフラッシュは、さまざまな方法で治療できます。
漢方薬
漢方学的観点では、ホットフラッシュの不調は3タイプに分けられ、それぞれ向いている漢方薬が異なります。
- 陰虚(いんきょ)タイプ……体の潤いが不足しているタイプ。「知柏地黄丸(ちばくじおうがん)」がおすすめ
- 肝火(かんか)タイプ……イライラや感情の高ぶりが見られるタイプ。「抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)」がおすすめ
- 気滞(きたい)タイプ……不安やイライラが、お腹や乳房の張りが見られるタイプ。「加味逍遙散(かみしょうようさん)」がおすすめ
更年期が原因で汗が出ている場合、他の症状も併発していることが多いです。医師の診察を受けて自分に合った漢方薬を出してもらうといいでしょう。
ホルモン補充療法(HRT)
少なくなった女性ホルモンを補充する「ホルモン補充療法(HRT)」もホットフラッシュや、その他の更年期症状、更年期障害の治療に用いられている方法です。骨粗鬆予防、高脂血症予防といった効果も期待できます。
また、日本での承認時期は未定ですが、ホルモン補充療法は使えないという人でも利用可能な血管運動神経症状(ホットフラッシュなど)の治療のための「非ホルモン薬」が登場し、アメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を得ています。
心理療法・カウンセリング(非薬物療法)
更年期に起こる汗など、さまざまな症状に関連する自律神経は、ストレスの影響を大きく受けます。
そのため、カウンセラーによる心理療法・カウンセリング(非薬物療法)も有効です。
抱えているストレスや不安、悩みなどを相談し、生活習慣の改善、運動療法なども合わせて行うことで症状緩和につなげます。
抗うつ薬
SSRI、SNRIなどの抗うつ薬は、ホットフラッシュに効果があることがわかっています。
ホルモン補充療法(HRT)で効果が得られない場合や、うつや不安などが強い場合は、更年期障害の治療に抗うつ薬を使用することもあるようです。
ただし、一部の抗うつ剤にはアドレナリン分泌量を増加させ、発汗を促す作用があります。医師に相談して自分に合った治療を受けましょう。
大量の発汗は病気の可能性も
大量の発汗や寝汗、のぼせ、ほてりは、更年期によく見られる症状です。しかし、なんらかの病気が原因で発汗につながっている可能性もあります。
エストロゲンは女性の体を守るホルモンであり、更年期でエストロゲンが激減するとさまざまな病気のリスクが高まります。
そのため、「更年期だから」で放置してしまうのはNG。定期健診を受けるのに加えて、気になる症状があれば早めに病院を受診することが大切です。
更年期の汗トラブルは医師に相談を
更年期に見られる汗やほてり、のぼせはホットフラッシュといい、多くの女性が経験する更年期症状です。まずは、生活習慣や食習慣の改善といった対策を行ってみましょう。
しかし、中には他の病気が原因となっている可能性もあるため、改善が見られない場合や症状が続く場合は病院で医師に相談することが大切です。
※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
監修者プロフィール:月城 沙美さん
福井医科大学(現 福井大学)医学部を卒業後、名古屋市立大学病院で研修、名古屋市立大学医学部大学院を卒業、複数の医療機関で勤務。東京都内の婦人科や美容皮膚科でも経験を積み、2021年に〈レディクリニック名古屋伏見〉を開業し、2023年医療法人沙月を設立。
「安心•納得の医療を提供する」ことをモットーに、女性の健康の増進に美容が助けになるという思いから、婦人科•美容皮膚科の〈レディクリニック八事山手通〉を令和5年11月11日に開院予定。
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