介護…制度…お金…知っておきたい認知症のこと#4
家族が認知症になったら…介護とお金の不安を解消!
家族が認知症になったら…介護とお金の不安を解消!
更新日:2024年08月25日
公開日:2023年04月27日
教えてくれたのは:杉山孝博(すぎやま・たかひろ)さん
川崎幸クリニック院長。1947(昭和22)年愛知県生まれ。東京大学附属病院で内科研修後、地域医療に取り組むため川崎幸病院に勤務。98年川崎幸クリニック院長に就任。81年より「公益社団法人 認知症の人と家族の会」の活動に参加。同会全国本部の副代表理事、神奈川県支部代表。
お金や制度…知っておけばもしもの時に安心!
家族や自分が認知症になったらどうしよう?という漠然とした不安を医師の杉山孝博さんが解決。前回は、受診までの進め方について詳しく解説してもらいました。
今回は、介護の際に利用できる制度やお金のことについて、読者からの3つの質問に回答しながら詳しく教えてもらいます。
Q1:認知症と診断されたとき助けになる制度は?

A1:介護保険で利用できるサービスを知っておきましょう

「認知症は長期戦であり、情報戦ともいわれています」と杉山さん。本人も家族もストレスをため込まず、穏やかに過ごすためには、どのような介護・福祉サービスがあるのかを知って、上手に活用していくことが大切です。ここでは、介護保険で利用できる主な在宅サービスをまとめました。
「このところ急増しているのが、子どもが離れたところに暮らしている一人暮らしの人が認知症になるケースです。その場合も介護・福祉サービスをうまく使い、地域の人の協力を得ることで意外と一人暮らしを続けられます。
民間や自治体の見守りサービスなどを利用するのも手です。ただし、コンロに鍋をかけっぱなしにするなど火の不始末を起こしたりするようになると、自宅での生活は難しくなります」(杉山さん)
介護保険で利用できる在宅サービス一覧

- 訪問介護
ヘルパーが食事などの身体介護や掃除などの日常生活を援助 - 訪問入浴介護
介護職員などが入浴を介助 - 訪問リハビリ
理学療法士などによるリハビリ - 訪問看護
看護師などによる補助 - 居宅療養管理指導
医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などによる管理や指導 - 通所介護(デイサービス)
施設での機能訓練など(日帰り) - 通所リハビリ(デイケア)
施設でのリハビリなど(日帰り) - 短期入所生活介護(ショートステイ)
施設に短期入所しての生活支援 - 福祉用具貸与
生活を助ける福祉用具の貸与 - 特定福祉用具販売
指定された事業者から福祉用具を購入したとき、購入額が支給される - 住宅改修支給
リフォームなど住宅改修をしたとき、改修費が支給される
※他に地域の特性に応じた地域密着型サービス、施設で暮らしながら受けられる施設サービス、機能回復・維持のための介護予防サービスがある。
Q2:介護のお金はどうする?

A2:親の介護では「介護家計簿」を。「成年後見制度」という選択肢も

介護サービスは、本人の収入(公的年金、預貯金など)から支出(医療費、食費、光熱費など)を引いた額の範囲内で選ぶことが基本です。収入が少ない場合は介護費や医療費、生活費を軽減できる制度やサービスがあるので、地域包括支援センターなどに問い合わせましょう。
認知症の人のお金の管理を家族がする場合には、「介護家計簿」をつけ、金銭の出し入れや立て替えをするたびに記入することで家族間のトラブルを防げます。
また認知症になった場合に備え、財産管理などを後見人が行う「成年後見制度」を選ぶのも一つの方法です。他にも、社会福祉協議会による「日常生活自立支援事業」でお金の管理を依頼できます。
Q3:認知症の人とどのように接したらいい?

A3:3つの原則を知って、その人に寄り添うことが大切です

「認知症の人の中には、生活をほとんど支障なく送れている人もいれば、激しい症状を示す人もいます。一つ言えるのは、認知症と診断されても何もわからなくなるわけではなく、喜怒哀楽の感情もプライドもあり、心は生きているということです」と杉山さん。
認知症の人と接するには、3つの原則を理解し、本人に寄り添う姿勢が大切です。「認知症の人には『本人が思ったことは絶対的な事実である』という原則があるため、食事をしたことを忘れてしまえば『食べていない』のが事実で、否定すると混乱が続きます。
事実でなくても認め、演技するつもりで対応しましょう。また、『ありがとう』と伝え、『よかったね』と共感することも大事です」(杉山さん)
認知症の人と接するときの3つの原則
原則1:本人の記憶になければ本人にとって事実ではない
認知症の人は、直前に話したことや食事をしたことなどが記憶から消えてしまうので、「何度も同じことを言わないで」「ご飯を食べたばかりでしょ」などと言っても本人は納得しません。そのような状態になったら、事実関係を認めさせることは諦めて、「そうね、私の勘違いだったかしら」と話を中断する方がよいでしょう。
原則2:本人が思ったことは、本人にとっては絶対的な事実である
「この人が私の大事な物を盗んだ」「(記憶が昔に戻って)私の夫はもっと若い」など、認知症の人の世界では自分が思ったことが絶対的な事実としてとらえられます。否定すると強い反発が出てくるので、まずは受け止めて別の話題に切り替えるのが現実的な対応です。
原則3:認知症が進行してもプライドがある
子どもや若い介護職員から「そんなことをしてはダメと言ってるでしょう」などと言われると、プライドを傷つけられたと感じて怒り出すことがあります。「お母さんの言う通りです」「〇〇してもいいですか」「ありがとうございます」などの言葉を使い続けることがコツです。
前回紹介した受診までの疑問もあわせて確認をすると、「家族が認知症になったら……」という不安が少しは解消されるはずです。
取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2022年4号を再編集し、掲載しています。
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