親の入院・介護に備える!基本のき#6
親の入院・介護のお金で慌てない!損しない!
親の入院・介護のお金で慌てない!損しない!
公開日:2024年03月25日
教えてくれた人:黒田尚子(くろだ・なおこ)さん
CFP🄬 1級ファイナンシャルプランニング技能士。城西国際大学非常勤講師。一般社団法人患者家計サポート協会・顧問。乳がんの経験をふまえ、病気への経済的備えの重要性を積極的に訴え、著書に『がんとお金の真実(リアル)』(セールス手帖社刊)他多数。
医療費は300万円を目安に。過払い分は戻ってくる
「医療の進歩にともなって1日あたりの入院費用は年々高くなっています」と語るのは、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さん。骨折すると入院1か月以上で55万円、脳梗塞では約100万円など、かなりのお金がかかります。
とはいえ、一定額を超えて支払った医療費が戻ってくる“高額療養費制度”があるので、最終的に支払うお金はもっと少なくなります。一体いくら備えればよいのでしょうか。
「がんでかかるお金の目安は50万~100万円くらいです。これは入院や手術以外に、通院の費用や入院中の雑費なども含まれます。医療費は、どんな病気がどの病状で発見されるかなどによって大きく異なるので一概には言えませんが、65歳以上ならざっくり一人300万円程度は備えておきたいといえるでしょう」

[病気別] 平均入院日数と病院窓口での負担額(3割)
![[病気別] 平均入院日数と病院窓口での負担額(3割)](https://halmek.co.jp/media/uploads/3ec075e6c223b9f4edd1b2a94662540d1710222460.7521.jpg)
【乳がん】 15.4日 36.8万円
【骨 折】 38.5日 55.2万円
【脳梗塞】 77.4日 98.3万円
【糖尿病】 30.6日 32.8万円
厚生労働省「令和2年患者調査の概況/表6傷病分類別にみた年齢階級別退院患者の平均在院日数(総数)」および「令和3年社会医療診療行為別統計の概況/第11表傷病分類別1日当たり点数、入院–入院外・一般医療–後期医療別」から算出。
ただし高額療養費制度の適用になる場合は、最終的に支払う金額とは異なります。
過信に注意!医療費の負担が軽くなる高額療養費制度
高額療養費制度の過信も要注意です。「60代の母親が専業主婦で収入がないと、自己負担上限は最低額だと思いがちですが、上限額は会社員の父親の収入に応じて変わります。自分の親の上限額を今のうちから確認しておくのも大切な備えです」と黒田さん。
病院などで最終的に支払う医療費は年齢や所得に応じて限度額が決まっていて、ひと月(1日~末日)の支払いが上限を超えると、超過分が払い戻されます。さらに、直近12か月に3回以上超えると、4回目から「多数回該当」となり、限度額が下がります。以下はその一例です。自分の親がどの世代にあたるのか、確認してみましょう。

【69歳以下で年収約370万~770万円の場合】
●ひと月の負担の上限
8万100円+(かかった医療費-26万7000円)×1%
・多数回該当なら
4万4000円
【70~74歳で年収156〜約370万円の場合】
●ひと月の負担の上限
5万7600円(外来は1万8000円)
※年間上限14万4000円
多数回該当なら
4万4000円
【75歳以上で住民税非課税(年金80万円以下)の場合】
●ひと月の負担の上限
1万5000円(外来は8000円)
住民税非課税の区分の場合、多数回該当の適用はありません
知らなきゃ困る!医療費の“ウソ or ホント”

月末からの入院は損になることがある
A.ホント
高額療養費制度の自己負担額は、1日から末日までがひと区切り。月をまたぐと、各月の合計支払い額と限度額の差額が払い戻されるため、同じ月内にまとめて払った場合より還付金が少なくなることがあるので要注意。
個室に入院したら必ず差額ベッド代を払わなくてはいけない
A.ウソ
支払いが発生するのは、差額ベッド代がかかる部屋を自分が希望した場合だけ。病状が重い、感染症のリスクが高いなど治療上必要な場合は、支払いは不要。個室しか空いていなかったなど、病院都合の場合も同様。
60代以降に医療保険を解約すると損になる
A.ホント&ウソ
入院のリスクが上がるのは65歳以上。若い頃から終身型の医療保険に入っていて今までほとんど使っていなくても、その年齢以降に解約するのはもったいない。
ただし、預貯金のうち医療費として使えるお金が300万円程度あるなら、解約して保険料の半分を医療用の貯蓄に、残りをジム代など健康のために使う手も。手持ちが少なくて保険料が負担なら、シンプルな保障で保険料が手頃な「少額短期保険」に乗り換えるという選択も。
確定申告で取り戻せるのは病院代と薬代だけ
A.ウソ
1年間に支払った医療費が10万円(所得が200万円未満なら収入の5%)を超えた場合、確定申告すれば収めた税金が戻ってくる。病院代や薬代などの他、通院にかかった交通費や、付き添いが必要ならその交通費も対象。
次回は、気になる親の介護にかかるお金の平均額や、今から知っておきたい使える公的制度について紹介します。
取材・文=松尾肇子(ハルメク編集部)、イラストレーション=宮下和
※この記事は、雑誌「ハルメク」2023年1月号を再編集しています




