親の入院・介護に備える!基本のき#7

介護にかかるお金、平均月8万円!使える公的制度は?

介護にかかるお金、平均月8万円!使える公的制度は?

公開日:2024年03月25日

介護にかかるお金、平均月8万円!使える公的制度は?

将来の親の入院や介護に備える特集、介護にまつわるお金について考える2回目です。今回は、実際に親の介護にかかる毎月のお金や、知っておきたい使える公的制度について紹介します。いざというときに困らないための賢い備え方も!

教えてくれた人:黒田尚子(くろだ・なおこ)さん

CFP🄬 1級ファイナンシャルプランニング技能士。城西国際大学非常勤講師。一般社団法人患者家計サポート協会・顧問。乳がんの経験をふまえ、病気への経済的備えの重要性を積極的に訴え、著書に『がんとお金の真実(リアル)』(セールス手帖社刊)他多数。

介護期間は平均約5年!かかるお金は平均月8万円

ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんによると、「介護期間の平均は約5年(令和3年度)。公的介護保険で負担は軽減されるものの、住宅改修費や介護用品代などの他、月々の支払いが平均月々8万円強というデータがあります(生命保険文化センター調べ)」。

そこで大切なのが、介護保険などの公的制度をしっかり使いこなすこと。

例えば、高額介護サービス費制度を使えば、一般的な年金額の世帯なら、介護費の上限は1か月4万4000円で、超過分が戻ってきます。制度はしばしば改定されるので、ソーシャルワーカーや地域包括支援センターなど、いつでも相談できる窓口を知っていると、大きな武器になるでしょう。

介護で使える公的制度 

介護で使える公的制度

高額介護サービス費

【内容】
1か月の介護保険の窓口負担額が一定額を超えた場合、超過分が戻ってくる

【申請窓口】
自治体介護保険課など

高額療養費制度

【内容】
1か月の保険内医療費の窓口負担額が一定額を超えた場合、超過分が戻ってくる

【申請窓口】
加入している保険者

高額医療・高額介護合算療養費制度

【内容】
1年間の医療保険と介護保険の窓口負担額の合計が一定額を超えた場合、超過分が戻ってくる

【申請窓口】
加入している保険者

介護保険の住宅改修費

【内容】
バリアフリー改修費の支払い額が一定額を超えた場合、超過分が戻ってくる(最大20万円/1割負担の場合18万円まで)

【申請窓口】
自治体の介護保険課など

自治体等によるその他サービス

【内容】
配食、寝具の洗濯消毒、徘徊高齢者のSOSネットワーク、安否確認、見守り、家事支援、買い物代行、病院付き添いなど

【申請窓口】
自治体、社会福祉協議会など

医療費控除

【内容】
1年間の世帯医療費(介護サービスの窓口負担額、医師の証明書があるおむつ代を含む)が10万円を超えた場合、確定申告で税金の一部が戻ってくる

【申請窓口】
税務署

障害者控除

【内容】
要支援、要介護認定された65歳以上で、自治体で障害者控除対象と認定された場合、確定申告で税金の一部が戻ってくる

【申請窓口】
税務署

介護で使える公的制度 

どうしたらいいの!?いざというときの賢い備え方

親の急な入院。退院後は要介護になるかも……

介護保険サービスを使うには、要介護認定が不可欠。認定には時間がかかるので、退院後すぐに介護サービスを受けたいなら、親が入院中に手続きを始める必要が。その場合は病院のソーシャルワーカーに相談を。入院中から使えるサービスを紹介してもらえる可能性も。

親の貯蓄が少なくて介護のお金が足りるか心配

生命保険会社などが、公的な介護保険の不足分を補い、介護費用の負担を減らせる保険商品を出しています。親側で75歳くらいまでに介護費用を貯める目途が立たないなら、早めにこうした民間の介護保険に入ってもらうのも賢い備え。

親が介護保険に入っているが、受け取り手続きを本人ができないときは?

民間の介護保険の給付金は、利用者が要介護になって初めて受け取れるもの。請求手続きを親が自分で行えない可能性もあるので、「指定代理請求制度」を利用しましょう。

この制度は、受取人である被保険者自身が、判断能力が低下するなど、保険金等を請求する意思表示ができない場合に備えて、あらかじめ契約者が指定した代理人が請求できる制度です。

また、入院中の医療費などで親の銀行預金残高が減り、保険料が滞納になって保険が失効するケースもあるので要注意。親の医療費が引き落とされる口座の残高の確認も忘れずに。

どうしたらいいの!?いざというときの賢い備え方

知らなきゃ困る!介護費の“ウソ or ホント”

ケアマネジャーに任せれば一番お得なプランを組んでくれる

A.ホント&ウソ
ケアマネジャーがケアプランを組む際、必ずしもコスパのよいプランを優先するとは限らない。できるだけ費用を抑えたいなら、その希望をしっかり伝えること。気になることがあれば、親の住まいの近くの地域包括支援センターで相談を。

親は一人で暮らすより子どもの扶養に入る方が介護費は安く済む

A.ウソ
介護サービスの自己負担額は、収入に応じて上限が決まっている。そのため、親が子世帯の扶養に入った場合、自己負担の上限が上がってしまうことが。同じサービスを受ける場合は、たとえ同居していても世帯分離する方が自己負担削減になることが多い。

ただし、親が扶養に入ると、子どもが扶養手当や控除の恩恵を受けられることもあるので、メリットとデメリットのバランスを見て検討を。

認知症になると介護費は高くなる

A.ホント
在宅の場合、1年間の介護費用は認知症なしで一人平均約220万円、認知症ありだと約300万円。重度の認知症でも体が動くと要介護度が低くなり、介護サービスの利用限度額が低くなる。施設の場合はいずれも350~360万円。

認知症になると介護費は高くなる

介護サービスは使うほど支払い額が増える

A.ウソ
介護保険対象のサービスを利用して1か月の支払い額が一定額を超えると、「高額介護サービス費」により超過分が支給される。重ねて医療費もかかった場合は両方の支払い額を合わせた「高額医療・高額介護合算療養費制度」も。

年金が少なければ老人ホームは安くなる

A.ウソ
公的介護保険施設の一つ、特別養護老人ホームの居住費や食費は、利用者の経済状況によって変わるが、親の年金が少なくても、資産が多ければ高くなる。ただし民間の老人ホームは経済状況にかかわらず料金は一律。

次回は、人気ブロガーの中道あんさんに聞いた、実際に母親の介護を通じて知った介護のお金の現実を紹介します。

取材・文=松尾肇子(ハルメク編集部)、イラストレーション=宮下和

※この記事は、雑誌「ハルメク」2023年1月号を再編集しています

知らなきゃ困る!介護費の“ウソ or ホント”

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