親の入院・介護の備え 基本のき#8
【実例】年金だけじゃ足りない!母の介護で知った現実
【実例】年金だけじゃ足りない!母の介護で知った現実
更新日:2025年05月09日
公開日:2024年03月25日
教えてくれた人:中道あん(なかみち・あん)さん
著述家、株式会社LSB代表取締役。アラフィフ世代を中心により豊かに生きるマインドセット術、ブログやSNSの発信の方法、個人起業の手法などをコンサルティングしている。生き方やお金を視点にライフシフト術を発信。新刊エッセイ「ビバ!還暦 60歳海外ひとり旅はじめました」(主婦の友社)を上梓。その他著書あり。
HP:https://lifeshift-ann.com/
ブログ:https://ameblo.jp/aroundfifty50/
自由気ままな母の介護、お互いにとって最良の選択とは
「2012年に父が亡くなってから、2か月後には母が私の家に来る形で同居を始めました」という中道あんさん。当時、母親は糖尿病、ぜん息といった持病もあり、すぐに介護申請をして要介護2と認定されました。
「母はもともとわがままな性格で、言うことも聞かないような人。その上、父を亡くした悲しみを紛らわせるため、それまで一切していなかった喫煙や飲酒を始めたんです」
昼間は誰も家にいないため、デイサービスに。それでも家に帰ると好き放題やって、糖尿病がどんどん悪化しました。「もう手に負えなくなって、平日はショートステイに行ってもらうことにし、週末だけ家に帰ってくるようにしました」
それでも改善が見られず、中道さんは母親に“最後通告”をしました。「ホームに入るか、そうじゃなければ母娘の縁を切るので一人で暮らして」。渋々ではありましたが、母親はショートステイに行っていた介護付き有料老人ホームに入居することになりました。
在宅介護から老人ホームに変わると毎月の赤字5万円!
中道さんに、在宅介護時と老人ホーム入居後のかかった費用(※)をそれぞれ教えてもらいました。すると、老人ホーム入居後は毎月5万円の赤字になることが判明!
※2014年介護当時の費用
在宅介護のときの費用(月)

デイサービス:6000円(週2日、1日6時間利用。昼食付き)
医療費:2万5000円(病院への往復交通費含む)
食費・日用品(おむつ)・携帯料金:5万円
保険料:3000円
互助会費:3000円
固定資産税(実家):2000円(最初の頃はまだ実家をそのまま維持していた)
光熱費・固定電話(実家):8000円
お小遣い(交際費含む):3万円
移動費(タクシー代):2万円(足が悪く、外出時はタクシーを利用)
合計:14万7000円
老人ホームに入ってからの介護費用(月)

【老人ホーム】
部屋代:6万円(介護付き有料老人ホームに、新築時に入居)
管理費:4万2500円
食事代:3万8750円(1日1250円、朝・昼・夕、おやつ)
電気代:3274円(個室で使用した分)
介護保険一部負担金:2万2281円
【消耗品】
おむつ:1万7700円
パンツ:1330円
【理美容代】
カット:1800円
【医療費】
病院送迎代行費:2400円(ホームから病院への送迎あり)
治療費:190円
薬:3150円
【その他】
レンタル車いす:1500円
保険料:2956円
互助会費:2000円
雑費(お茶、入れ歯洗浄剤など):7000円
合計:20万6831円-母の年金(月):約15万円
約5万円の赤字!
有料老人ホームに入居した当時、家賃、管理費が別途かかるようになり、年金ではまかなえなくなりました。「ゆくゆくはもう少し月額利用料の安いところを探さないとダメかもと思った」と中道さん。ただ、要介護2では特別養護老人ホームに入ることができないため、施設は限られました。
実家を生前贈与、売却して不足分を補う
「老人ホームの入居費用は基本料金の1か月分ほどでそんなに負担はなかったのですが、月々にかかる費用は年金でまかなえなくて」と中道さん。
そこで、母親の財産である実家を生前贈与という形で中道さん名義にし、一時は賃貸で収入を得たりもしましたが、資産価値も低いため、売却を決めました。実家売却後、その資金で不足分をまかないました。
「母も規則正しい生活で元気になりました。母の年金だけでは赤字でしたが、お互いによい選択でした」と中道さん。「母の介護で年金だけじゃダメだとわかったので、私のときには子どもたちに迷惑をかけないよう、今は不動産投資や株式投資などで、不労所得を得られるよう資産作りをしています」
次回からは、将来の介護に備えて早めに考えておきたい、親の住み替えについて紹介します。
取材・文=三橋桃子(ハルメク編集部)、撮影=タナカタイゾー
※この記事は、雑誌「ハルメク」2019年12月号を再編集しています




