対処法や予防法を知り、日頃からケアしよう!

指が痛い原因とよくある病気をわかりやすく解説

川上洋平(かわかみ・ようへい)
監修者
かわかみ整形外科クリニック 院長・医学博士
川上洋平

公開日:2021.07.12

更新日:2024.10.09

40歳を過ぎて、なんだか最近手指や手首が痛い……という症状はありませんか? 痛みを我慢するのはつらいだけでなく、病気の可能性もあるため注意が必要です。今回は、指が痛い時に考えられる病気について、また予防のためにできるケアもご紹介します。

手指や手首が痛い!考えられる原因は?

手指や手首が痛い時に考えられる原因

40代以降の女性で手指や手首の痛みを感じる人は多く、何らかの病気を発症しているケースもあります。なぜ女性は40代以降になると手指や手首に痛みが生じやすいのでしょうか?

原因として、家事による負担、スマホやパソコンの使い過ぎ、女性ホルモンの変動、免疫機能の異常などさまざまなことが考えられます。一つずつ見てみましょう。

家事による負担

まずは家事による負担です。料理や掃除など、女性が日常的に行う家事では手指や手首の複雑な動きを繰り返しています。家事を続けることで徐々に手指や手首に疲労が蓄積され、痛みの原因になるケースが考えられます。

スマホやパソコンの使い過ぎ

スマホやパソコンの使い過ぎによって手指や手首に負担がかかり、痛みを生じることもあります。特にスマホを片手持ちしながら親指で操作していると、親指と手首の酷使につながり、痛みが起こりやすくなるので注意が必要です。

女性ホルモンの変動

女性ホルモンの変動も手指や手首の痛みの一因と考えられています。女性は更年期になると女性ホルモンの「エストロゲン」が急激に減少します。

エストロゲンには女性の健康を維持する多様な働きがありますが、その中の一つが関節の炎症を抑える働きです。そのため、エストロゲンが減少することで手指や手首の痛みが生じやすくなると言われています。

免疫機能の異常

免疫機能の異常によって手指や手首に痛みが起こるのは、関節リウマチという病気です。免疫細胞の本来の役割は、外部から侵入してきた細菌などの異物を攻撃して排除すること。

しかし関節リウマチでは、免疫細胞が関節内にある「滑膜(かつまく)」を異物と誤認して攻撃してしまい、関節に痛みが生じます。

手指や手首が痛い時によくある病気と対処法

手指や手首が痛い時によくある病気と対処法

ここでは、手指や手首に痛みがある時に考えられる病気について解説します。

変形性指関節症

変形性指関節症は、手指の関節に痛みや腫れ、変形が生じる病気です。症状が第一関節に出るのが「へバーデン結節」、第二関節に出るのが「ブシャール結節」、親指の付け根に出るのが「母指CM関節症」です。

進行すると物をつかみにくくなったり、指先に物が触れるだけで激痛が走ったりする場合があります。手指の使い過ぎや女性ホルモンの変動などが原因と考えられています。

対処法は、テーピングによる固定、ステロイド注射、投薬治療など。症状が強い場合は手術をすることもあります。

ばね指

ばね指とは、手指の腱鞘炎(けんしょうえん)のことで、正式には「狭窄性腱鞘炎(きょうさくせい・けんしょうえん)」といいます。別名「弾発指(だんぱつし)」とも呼ばれます。

手指は骨と筋肉をつなぐ腱の働きによって曲げ伸ばしができますが、腱や腱のまわりにある腱鞘が炎症を起こすと痛みや腫れが生じます。進行するとカクカクと動きが引っかかるばね指になり、悪化すると手指が動かなくなることもあります。

ばね指は手指の酷使の他、女性ホルモンの変動が原因という説もあります。対処法には、患部の安静、湿布、塗り薬、ステロイド注射などがあります。症状が改善しない時や再発を繰り返す場合は手術をすることもあります。

ドケルバン病

ドケルバン病は、親指と手首をつなぐ腱や、腱のまわりにある腱鞘が炎症を起こす病気です。ドケルバン病は、手首(手関節)の親指側にある腱鞘と、そこを通過する腱が炎症を起こす病気です。親指側の手首に痛みや腫れが生じ、親指を広げたり動かしたりすると、この場所に強い疼痛が走ります。進行すると手に力が入りにくくなる場合もあります。

スマホを片手持ちして親指で操作するなど、親指を使い過ぎるとドケルバン病になりやすいと言われています。対処法は、患部の安静・湿布・ステロイド注射や装具療法など。症状が強い時や再発を繰り返す場合は手術をすることもあります。

関節リウマチ

関節リウマチは自己免疫疾患の一つです。関節リウマチでは手指や手首だけでなく、肩や肘、膝などの関節にも炎症が起こり、痛みや腫れ・こわばりなどの症状が出ます。そのままにしておくと骨が破壊され、関節が変形していきます。

かつて関節リウマチは治療法が確立されておらず、怖い病気と言われていました。しかし現在は有効な治療薬が増え、多くの患者さんは適切な治療によって症状がなくなる「寛解(かんかい)」に至っています。

関節リウマチの治療法としては、まず薬物療法が検討されます。免疫の働きを抑える免疫抑制薬などが使われることもあります。薬物療法の効果を高めるためには、早期発見と早期治療が大切です。

関節痛の予防におすすめのケア

関節痛の予防におすすめのケア

手指や手首の痛みを予防するためには日常生活でどのようなことを心掛ければ良いのでしょうか? 病気の発症や進行を抑えるために、普段の生活に取り入れられることをまとめました。

手指の酷使を避ける

まずは手指や手首の酷使を避けることです。草むしりなど手指や手首の負担が大きい作業をしたり、スマホやパソコンを使ったりする時は、1時間経ったら10分は休憩を入れて、手指や手首を休ませましょう。

スマホ操作で疲れを感じやすい方は、手指で画面に触れるのではなく、タッチペンを使って操作するのも手です。

パソコンを使う時は、キーボードを強く叩き過ぎないようにする他、手首の下にリストレストを敷いて手首の負担を軽減するのもおすすめです。

手指のストレッチをする

手指や手首の疲労をリセットするには、ストレッチも効果的です。やり方は、入浴中など血行が良くなっている時に、手を強く握る、しっかり広げる、というグーパーの動作を何度か繰り返します。

また、入浴後はハンドクリームを塗りながらやさしく手指や手首をマッサージするのも良いでしょう。疲労を和らげつつ、肌の乾燥を防いで保湿もできるので一石二鳥です。

ズキズキする時は早めに病院を受診する

手指や手首に多少の痛みがあっても、ついそのままにしてしまいがちです。しかし、放置していると病気の発症や進行につながってしまう可能性があります。

手指や手首に痛みや腫れ・こわばりなどの違和感があれば、早めに整形外科やリウマチの専門医を受診しましょう。

また、40代以降の女性は手指や手首の痛みに限らず、女性ホルモンの変動でさまざまな症状が出やすくなります。かかりつけ医を持ち、気になる症状をトータルで相談できる場所を作っておくのも良いでしょう。
                   
女性の手指や手首が痛い時には、家事による負担、スマホやパソコンの使い過ぎ、女性ホルモンの変動、免疫機能の異常などさまざまな原因が考えられます。

複数の原因が絡んでいることも多いため、まずは生活習慣を振り返り予防に努めるとともに、症状があれば早めに病院を受診し、医師の診断を受けましょう。

監修者:川上洋平さん(かわかみ整形外科クリニック 院長)

かわかみ整形外科クリニック 院長・医学博士 川上洋平さん

かわかみ整形外科クリニック院長。神戸大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学に留学し、膝スポーツ疾患や再生医療を学び、神戸大学病院、新須磨病院勤務を経て、患者さんにやさしく分かりやすい医療を提供することを目的に、かわかみ整形外科クリニックを開業。日本整形外科学会専門医。日本リウマチ財団登録医。

※この記事は2021年7月の記事を再編集して掲載しています。

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