健康寿命がぐーっと延びる!すごい「睡眠呼吸」#1

浅い呼吸が不調の原因?今日からできる“睡眠呼吸”セルフチェック

浅い呼吸が不調の原因?今日からできる“睡眠呼吸”セルフチェック

更新日:2025年11月09日

公開日:2025年11月07日

浅い呼吸が不調の原因?今日からできる“睡眠呼吸”セルフチェック

「寝ても疲れが取れない…」それ、寝具や姿勢が原因かも? 呼吸しやすい寝方と枕の高さで、眠りの質は大きく変わります。睡眠呼吸の専門家が教える“呼吸が深くなる寝具選び”の新常識を紹介します。

教えてくれたのはこの2人

虎谷生央(とらたに・いくお)さん
トラタニ株式会社 代表取締役社長。1950年石川県生まれ。同志社大学工学部化学工学科卒業。2005年「トラタニ株式会社」を設立。60代後半での自身の不眠や心房細動などの体調不良がきっかけとなり、「呼吸しやすい寝具」を開発。現在は「呼吸と睡眠で健康寿命を伸ばす」ことをライフワークとし、商品開発・講演・執筆活動を通じて“呼吸の再発見”を広く社会に発信している。

青木晃(あおき・あきら)さん
内科医・一般社団法人日本抗加齢医学会専門医。1961年東京都生まれ。防衛医科大学校卒業。抗加齢医学の第一人者として、雑誌やテレビなどのメディアでも活躍している。著書多数あり。

※この記事は、お2人の書籍『健康寿命が“ぐーっ”とのびる!すごい「睡眠呼吸』を再編集しています。

まずはチェック!浅い呼吸になっていませんか?

まずはチェック!浅い呼吸になっていませんか?

早速ですが、あなたの呼吸は浅くなっていませんか? 次のページのチェックリストに、いくつ当てはまりますか?

呼吸セルフチェック10

  • 布団に入ってもなかなか寝つけない
  • 夜中に何度も目が覚めたり、トイレに起きてしまう
  • 朝起きても体がだるくてスッキリしない
  • 日中ずっと眠くて、あくびばかりしている
  • 肩こりや首こり、頭痛がずっと続いている
  • 呼吸が浅くて、なんだか息苦しいときがある
  • 首や肩がガチガチで、深く息が吸えない感じがする
  • 「いびきをかいている」と言われたことがある
  • 集中できなくて、すぐにボーッとしてしまう
  • イライラしやすくて、気分が不安定になりがち

3つ以上チェックがついたなら、ちょっと注意が必要です。それ、“年齢のせい”ではなく、実は「呼吸の乱れ」が不調や眠れない原因になっているかもしれません。

「でも、年だから仕方ない……」とあきらめる必要はありません!  呼吸は何歳からでも整えられます。

ちょっとした意識で——

  • 疲れにくい体
  • よく眠れる体
  • 病気になりにくい体

へと変わるのです。

浅い呼吸で“酸素不足体質”に!? 50代が気付かない不調のサイン

みなさんは呼吸を意識したことがありますか?

 私もそうですが、ほとんどの人が、ふだんの生活の中で呼吸を意識することは少ないと思います。そんな無意識の下に行われている呼吸を、私たちは1日に約2万回くり返しているといいます(成人の場合)。

一般的で健康な成人の呼吸数は1分間に15回前後で、1回に取り込む空気の量(換気量)は約500mLといわれます。1分間に取り込む換気量は、500×15で7500mLです。

一方、浅い呼吸になると、平均的な数値と比べると呼吸数は増える反面、1回の換気量は少なくなります。さらに、1回の換気量のうち約150mLは気道のデッドスペースに溜まり、使われることなく体の外へ。回数が増えるほど“使えない空気”が多くなる のです。

呼吸の質が悪くなっている人は、無意識とはいえ、せっかく吸っている空気をムダ使いしている体だということを、まず理解してください。

呼吸の悪循環が止まらない!? 放っておくと疲労・不眠スパイラルに

呼吸の悪循環が止まらない!? 放っておくと疲労・不眠スパイラルに
Ushico / PIXTA

呼吸は体の外から酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を体の外に排出する活動です。

ですが、吸った空気を肺の奥まで届けられないと、せっかくの血液中に取り込んだ酸素をうまく活用できず、さらに二酸化炭素が減りすぎてしまい、十分に呼吸の役割を果たすことができません。

なぜなら、吸った空気が肺のいちばん奥にある肺胞に届けられて、初めて空気に含まれている酸素が血液中に取り込まれ、体内でゴミとなって回収された血液中の二酸化炭素と交換されるからです。

血液の中に取り込まれた酸素は、赤血球のヘモグロビンによって運ばれます。そして届け先の細胞に到着すると、ヘモグロビンから切り離され細胞に渡ります。ところが、血液中の二酸化炭素が十分にないと、酸素は切り離されにくくなるのです。

これも、酸素のムダ使いといっていいでしょう。

息を吸ったときの空気に含まれる二酸化炭素の量と息を吐いたときに含まれる量の差は125倍。呼吸が浅くなって吐く回数が増えれば増えるほど、血液中の二酸化炭素の量はどんどん少なくなり、酸素の活用率はそれだけ悪化。

さらに体にとってよくないのは、使われずに回り続ける酸素の一部が、増えすぎると細胞を傷つける活性酸素になることがあることです。体のために取り入れている酸素が、自分の体を攻撃するようになるのですから、なんとか避けたいところです。

ヨガや深呼吸だけではダメ?“無意識の浅呼吸”が疲れの原因に!

ヨガや深呼吸だけではダメ?“無意識の浅呼吸”が疲れの原因に!
プラナ / PIXTA

呼吸には2種類あります。

一つは、無意識下で行われている呼吸です。これは呼吸中枢でコントロールされている呼吸で、絶えず行われている呼吸だと思ってください。寝ているときの呼吸も、このタイプです。

もう一つは、意識的に行う呼吸です。これは、深呼吸やヨガやマインドフルネスなどの呼吸法で行う呼吸です。息苦しさを感じて、「息をしなければ」と行う呼吸もこのタイプです。

どちらの比率が多いかというと、圧倒的に無意識下で行われている呼吸です。

寝ている間に整える!“無意識の呼吸”を変えるメリット

寝ている間に整える!“無意識の呼吸”を変えるメリット
zon / PIXTA

この無意識下での呼吸を深くすると、短期的な深呼吸や呼吸法などの効果以上に、酸素を安定して届けられるようになり、自律神経のバランスを整えられるようになります。そして、よく眠れるようになります。これだけでも驚きの健康効果ですが深い呼吸には、まだまだたくさんの健康効果があります。

例えば、血流。深い呼吸では血液やリンパの流れをサポートしてくれます。さらに、副交感神経が優位になることで末端の血管まで広がりやすくなります。血流がよくなることで得られる効果としていわれるのは、次のようなことです。

  • 頭がスッキリし、集中力が高まる
  • 筋肉の緊張がゆるみ、肩こり・腰痛が軽減する
  • 心肺機能が高まる
  • 肌の調子がよくなり、くすみやむくみも改善しやすくなる
  • 手足の冷えが改善する

また、副交感神経が優位になると「セロトニン」「メラトニン」といったホルモン分泌が促され、心身が休みやすい状態に整いやすくなる といわれています。

次回は、「寝ているときの呼吸を深くする寝具選びのコツ」を具体的に紹介します。


もっと深く知りたい人へ|呼吸で眠りが変わる一冊

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HALMEK up編集部
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