健康寿命がぐーっと延びる!すごい「睡眠呼吸」#2
寝姿勢と枕の見直しでぐっすり!“深い呼吸”がかなえる快眠のコツ
寝姿勢と枕の見直しでぐっすり!“深い呼吸”がかなえる快眠のコツ
更新日:2025年11月15日
公開日:2025年11月07日
教えてくれたのはこの2人
虎谷生央(とらたに・いくお)さん
トラタニ株式会社 代表取締役社長。1950年石川県生まれ。同志社大学工学部化学工学科卒業。2005年「トラタニ株式会社」を設立。60代後半での自身の不眠や心房細動などの体調不良がきっかけとなり、「呼吸しやすい寝具」を開発。現在は「呼吸と睡眠で健康寿命を伸ばす」ことをライフワークとし、商品開発・講演・執筆活動を通じて“呼吸の再発見”を広く社会に発信している。
青木晃(あおき・あきら)さん
内科医・一般社団法人日本抗加齢医学会専門医。1961年東京都生まれ。防衛医科大学校卒業。抗加齢医学の第一人者として、雑誌やテレビなどのメディアでも活躍している。著書多数あり。
※この記事は、お2人の書籍『健康寿命が“ぐーっ”とのびる!すごい「睡眠呼吸』を再編集しています。
“寝心地いい寝具”の盲点!快眠を妨げるマットレスの見極め方

自分で寝具開発をした際、私は呼吸の専門家ではありませんから、整体師に呼吸の仕組みを教えていただくことから始めました。開発を決意するまでに世の中にある、さまざまな枕やマットレスを試しましたが、どれも呼吸の改善につながりませんでした。
寝心地のよい枕やマットレスが「呼吸が深くなる」と言えないのは、寝心地をよくするために「体圧分散」という方法を採用しているからです。体圧分散とは読んで字のごとく、体圧を一部に集中させずに分散することです。
体圧は地面に接しているところにかかります。長時間その状態が続くと、 体圧がかかっている箇所は血流が悪くなり、最悪の場合は皮膚や組織が壊死することになります。
寝たきりの人が、床ずれ(褥瘡)を発症するのはそれが原因です。自力で体を動かせる人は寝返りを打つことで回避できますが、寝たきりの人はできません。
そこで、体圧が限定された箇所だけにかかることによる、寝心地の悪さを解消するために開発されたのが、体圧分散するマットレスです。素材の反発力を生かし、柔らかすぎず硬すぎず、そのうえ体を包み込んでくれるような感覚を得られ、その快適さに驚きました。
しかし、その快適さは一時的なもので、しばらくすると呼吸が浅くなり、交感神経が優位になり、ぐっすり眠れることはありませんでした。原因は、寝心地のよさと引き換えに、分散することによって広い範囲に体圧がかかるようになったからです。
広い範囲に体圧がかかることによって、それまでスムーズに動いていた呼吸に関連する筋肉や骨格が、動きづらくなるという現象が起きていたのです。体圧を分散するということは、体がマットレスと接する部分が増えるということですから、考えてみると自然なことでもあります。
横向きvs仰向け “呼吸しやすい姿勢”を検証!
呼吸という観点から、寝るときの姿勢は「仰向け」と「横向き」のどちらがいいのでしょうか。
結論から申し上げると、どちらかというと呼吸がしやすいのは横向きです。気道の上の方が折れることも、気道が半円形につぶれることも、さらには舌根沈下もありません。それだけ呼吸がしやすいということです。
仰向けは、背中を下にして、顔を上に向けた姿勢です。この姿勢は、全身がまっすぐに伸び、筋肉や骨格がリラックスしやすいのが特徴です。しかし、背中側からかかる体圧や現状の枕やマットレス(または敷布団)の構造上の問題から、呼吸がしづらくなります。
一方で、横向き寝は、側頭筋や肋骨、鎖骨を強く圧迫し、結果として呼吸が非常に弱くなるのです。さらに、肩がマットレスに押しつけられ、血流が悪くなったり、肋骨や脊柱の変形が起きやすくなったりするリスクがあります。長年その姿勢で寝続けていると、呼吸がしにくくなる体の形に、変わってしまう可能性もあります。
理想は呼吸がしやすい寝具を使って、仰向けで寝ることです。
枕一つで呼吸が変わる!知られざる“首圧の落とし穴”
さて、マットレス以上に難しかったのが、枕でした。
「枕難民」という言葉があるように、世の中には自分に合う枕がなかなか見つからず、何度も買い替えたり、試したりしている人が多いようです。理想の枕に出合えないのは、どの枕でもぐっすり眠れないからだと思います。眠れないのは、私からいわせると、やはり呼吸が浅くなるからです。
寝入ると、筋肉同様に気管も弛緩するので、弱い呼吸で気管内圧が下がり、体圧によって気管が扁平につぶれるようになると考えられます。さらに、マットレスのところで話したように、体圧がかかっている場所の筋肉は動きづらくなります。
首のまわりには胸鎖乳突筋、斜角筋など、横隔膜や肋間筋の動きをサポートする筋肉が集まっています。首のまわりの筋肉の動きが鈍れば、横隔膜や肋間筋の動きも悪くなるということです。
睡眠中の筋肉は、首のまわりの筋肉に限らず、必要最低限の動きだけになるお休みモード。体圧がかかると、さらに仕事をしなくなります。整理すると、枕が呼吸を邪魔する要素は次の3つです。
- 頭が首の位置より高くなることで、気道の上のほうが折れる
- 首にかかる体圧で気道が狭くなる
- 首にかかる体圧で呼吸のときに働く筋肉が動きづらくなる
これだけの要素が重なるのですから、起きているときと同じように呼吸ができないのは当然です。頭が高くなる枕なら、使わないほうがいい。寝ているときの呼吸のためなら、そう言ってもいいほどです。
朝が変われば夜も変わる!“体内時計リセット習慣”で眠り改善
呼吸が深くなり、よく眠れるようになるための工夫として、私が日常で意識して続けてきたのは、生活リズムを守ることでした。睡眠の専門家の方々の言葉を借りると、「体内リズムが乱れないようにする」ということです。体にとって、規則正しい生活をくり返し、体内時計を整えることは、すごく大事だと私も思います。
だからといって、特別なことをしているわけではありません。季節問わず続けているのは
- 6時くらいに起きる
- 起きたらカーテンを開けて朝日を浴びる
- 朝ごはんをしっかり食べる
くらいです。ほかにも健康によい習慣はいろいろあるようですが、ルールが多くなると逆にストレスになるので、朝の時間を大切にすることだけを私は意識しています。
休日には、いつもより1時間、2時間遅く起きるという人もいますが、私の経験から言わせていただくと、あまりおすすめしません。若い頃なら、多少乱れても整えられるのかもしれませんが、年を取るほど、簡単には戻せなくなるのではないかと思っています。
寝ているときの呼吸が変わると眠りが変わる。そして、眠りが変わると、体と心の調子も変わってくる。
私自身、寝ているときに深い呼吸ができるようになってから、あれほど悩まされていた症状がどんどん軽くなっていきました。まさに、「寝ながらにして治している」という状態だったのかもしれません。
もっと深く知りたい人へ|呼吸で眠りが変わる一冊

健康寿命が“ぐーっ”とのびる! すごい「睡眠呼吸」(あさ出版)
眠れない原因は「年齢」や「ストレス」ではなかった――。70年の脳波研究でも解けなかった睡眠障害の真犯人は、“寝具と呼吸”にあった!「睡眠中の呼吸の質」が健康寿命を大きく左右することを、著者自身の不眠体験と医師による監修をもとに解き明かした初めての一冊。




