クコの実の効能とは?栄養・食べ方・よくある質問【医師監修】

クコの実の効能とは?栄養・食べ方・よくある質問【医師監修】

公開日:2025年10月23日

クコの実の効能とは?栄養・食べ方・よくある質問【医師監修】

クコの実に興味をお持ちの50代・60代の女性のみなさんへ。この記事では、日本医師会認定健康スポーツ医の頴川博芸先生の監修のもと、スーパーフードとして注目される「クコの実」の効能について、分かりやすくお伝えいたします。

頴川博芸
監修者
頴川博芸
監修者 頴川博芸 浅草橋西口クリニックMo

この記事3行まとめ

✓クコの実は栄養豊富で、美肌やエイジングケア、目の健康維持に役立つ
✓更年期世代のゆらぎやすい心身をサポートする成分も含まれている
✓食べ過ぎは禁物。持病のある方や妊娠中の方は摂取前に医師への相談を

クコの実の効能とは?

oni / PIXTA

クコの実は、ナス科の植物の果実で、古くから漢方の生薬や薬膳料理に用いられてきました。「ゴジベリー」という名前でも知られ、その栄養価の高さから「スーパーフード」として世界中で注目されています。

特に50代・60代の女性にとっては、美容や健康、エイジングケアの心強い味方となってくれる食材です。

美容とエイジングケアへの効果

クコの実に含まれる豊富な抗酸化物質は、シミやしわ、たるみの原因となる活性酸素から体を守る働きがあります。紫外線によるダメージを軽減し、若々しい肌を保つ「美肌・美白効果」が期待できるのは、この年代の女性にとってうれしいポイントです。

身体的な健康への貢献

クコの実は「長寿の果実」とも呼ばれ、さまざまな健康効果が期待されています。特に注目したいのが、目の健康をサポートする働きです。スマホやPCで目を酷使しがちな現代人にとって、眼精疲労の回復や加齢に伴う目の不調の予防に役立ちます。

また、血流を促し、冷えを和らげる効果も期待できるため、更年期世代の女性が抱えやすいお悩みにも寄り添ってくれます。

栄養成分データ(主な有効成分)

クコの実には、ビタミンA(β-カロテン)、ビタミンC、ビタミンB群、鉄、カルシウムなどの基本的な栄養素に加え、ゼアキサンチン、ベタインといった特有の有効成分が豊富に含まれています。これらの成分が複合的に働くことで、さまざまな効能がもたらされます。

クコの実の栄養成分と効能のメカニズム

FOODPHOTO / PIXTA

主な有効成分

クコの実に含まれる代表的な有効成分と、その働きについて解説します。

1. ゼアキサンチン

強力な抗酸化作用を持つカロテノイドの一種。特に目の網膜に存在し、ブルーライトや紫外線などの有害な光から目を守る「天然のサングラス」のような役割を果たします。加齢黄斑変性といった目の病気の予防効果が研究されています。

2. ベタイン

肝臓の働きを助け、脂質の代謝を促進するアミノ酸の一種です。肝臓に脂肪が蓄積するのを防ぐ「抗脂肪肝作用」があり、健康診断の数値が気になる方にも注目の成分です。また、血糖値の急上昇を抑える働きも報告されています。

3. クコ多糖類(LBP)

クコの実特有の成分で、免疫機能を調整したり、細胞を酸化ストレスから守ったりする働きが研究されています。体の抵抗力を高め、健やかな毎日をサポートします。

効能がもたらされるメカニズム

クコの実の多様な効能は、これらの有効成分が持つ「抗酸化作用」「血流促進作用」「肝機能サポート作用」などが複合的に働くことによってもたらされます。一つの成分だけでなく、チームとして体を健やかに保つように働きかけてくれるのが、クコの実の大きな特長です。

リスク要因

栄養豊富なクコの実ですが、摂取には注意も必要です。特に、食べ過ぎは腹痛や下痢の原因になることがあります。また、血糖値や血圧に影響を与える可能性があるため、関連する薬を服用中の方は、かかりつけ医に相談することが大切です。

クコの実を摂取する上での注意点

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次に、安全にクコの実を食生活に取り入れるための注意点を説明します。

摂取を控えるべき、または注意が必要な場合

以下のような方は、クコの実の摂取を始める前に医師に相談しましょう。

  • 妊娠中・授乳中の方:子宮収縮を促す可能性が指摘されているため、摂取は控えましょう。
  • 血圧や血糖値の薬を服用中の方:薬の効果に影響を与える可能性があります。
  • 血液をサラサラにする薬(ワルファリンなど)を服用中の方:薬の作用を強めてしまう可能性があります。
  • ナス科の植物にアレルギーがある方:アレルギー症状を引き起こすことがあります。
  • 胃腸が弱い方:体を冷やす性質があるため、食べ過ぎると下痢などを起こすことがあります。

1日の摂取目安量

一般的に、乾燥クコの実は1日に10〜20粒(約15〜20g)が適量とされています。一度にたくさん食べるのではなく、毎日少しずつ続けることが大切です。初めて食べる方は、3〜5粒程度の少量から試してみましょう。

摂取前に確認すること

持病がある方や薬を服用している方は、自己判断で摂取を始めず、必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。「健康食品だから大丈夫」と過信せず、ご自身の体調と相談しながら取り入れることが重要です。

相談すべき診療科

クコの実の摂取について医学的なアドバイスが欲しい場合は、まずはかかりつけの内科医に相談するのがよいでしょう。漢方に詳しい医師であれば、より体質に合ったアドバイスをもらえることもあります。

効能を生かす食べ方と日常生活への取り入れ方

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食べ方の基本

クコの実は、そのままドライフルーツとして食べるのが最も手軽です。ほんのりとした甘みと酸味があり、おやつ代わりに楽しめます。また、ヨーグルトやシリアルのトッピング、サラダのアクセントにするのもおすすめです。

加熱調理のポイント

スープやお粥、お茶など温かい料理に使うのも良い方法です。ただし、ビタミンCなど熱に弱い栄養素もあるため、長時間煮込むよりは、料理の仕上げに加えるのが効率的です。β-カロテンは油と一緒に摂ると吸収率が上がるため、炒め物などに加えるのも理にかなっています。

生活習慣による管理

クコの実はあくまで食品であり、薬ではありません。その効能を最大限に生かすためには、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠といった基本的な生活習慣を整えることが大前提です。クコの実を日々の食生活の「プラスワン」として取り入れ、健康維持に役立てましょう。

摂取期間と効果の現れ方

健康効果を実感するまでの期間には個人差があります。まずは1〜3か月程度、毎日少しずつ続けてみて、ご自身の体調の変化を観察してみてください。

予防と健康維持のための活用法

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健康長寿のための食生活

クコの実は、エイジングケアや生活習慣病予防に役立つ食品です。日々の食事に少し加えることで、不足しがちな栄養素を補い、体の内側から健康をサポートします。

良質なクコの実の選び方

選ぶ際は、色が鮮やかな赤色で、粒が大きくふっくらしているものを選びましょう。黒ずんでいたり、乾燥しすぎていたりするものは鮮度が落ちている可能性があります。無添加・無農薬のものを選ぶとより安心です。

日常生活の工夫

  • お茶として:ポットにクコの実を数粒入れてお湯を注ぎ、5分ほど蒸らせば「クコ茶」の完成です。ふやけた実も一緒に食べられます。
  • 手作りグラノーラに:ナッツや他のドライフルーツと一緒に、自家製グラノーラに加えるのもおすすめです。
  • お料理の彩りに:杏仁豆腐のトッピングが有名ですが、和え物や炒め物の彩りとしても活躍します。

家族・周囲のサポート

ご家族の健康のために、料理にクコの実を取り入れてみるのも良いでしょう。ただし、アレルギーや持病の有無は事前に必ず確認してください。

よくある質問(FAQ)

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Q1: 一日にどれくらい食べればいいですか?

A: 乾燥したクコの実で、1日に10粒から20粒程度が適量です。食べ過ぎるとお腹がゆるくなることもあるので、まずは少量から試してみてください。毎日少しずつ続けることが大切です。

Q2: 食べ過ぎるとどうなりますか?

A: 食べ過ぎると、腹痛や下痢などの消化器症状が出ることがあります。また、カロリーもゼロではないので、大量に食べれば体重増加につながる可能性もあります。何事も「適量」を心がけましょう。

Q3: 妊娠中や授乳中に食べても大丈夫ですか?

A: 妊娠中・授乳中の方の摂取は推奨されていません。クコの実に含まれる成分が子宮の収縮に影響する可能性が指摘されています。安全のため、この期間は摂取を控えてください。

Q4: どんな味ですか?どうやって食べるのがおすすめ?

A: ほんのりとした自然な甘みと、わずかな酸味があります。そのままおやつとして食べたり、ヨーグルトやサラダのトッピングにしたりするのが手軽でおすすめです。お茶として飲むと、体も温まります。

Q5: 副作用はありますか?

A: クコの実は食品ですが、体質によってはアレルギー反応が出たり、お腹がゆるくなったりすることがあります。また、特定の薬との相互作用も報告されているため、持病のある方や薬を服用中の方は、かかりつけ医に相談してから取り入れるようにしてください。

Q6: 「視力が回復する」というのは本当ですか?

A: クコの実に含まれるゼアキサンチンは、目の健康維持に役立ち、眼精疲労の軽減や加齢に伴う目の病気の予防には効果が期待できます。

しかし、「失われた視力が回復する」といった医薬品のような効果を保証するものではありません。あくまで目の健康をサポートする食品として捉えましょう。

Q7: どこで買えますか?

A: スーパーの中華食材コーナーや健康食品店、輸入食品店などで手に入ります。最近では、オンラインストアでも手軽に購入できます。品質表示をよく確認し、信頼できるお店から購入しましょう。

Q8: 白髪や抜け毛にも効果がありますか?

A: 漢方では、クコの実は「腎」を補い、老化による髪の悩みにも良いとされています。血流を促進し、頭皮に栄養を届ける助けになる可能性はありますが、直接的な発毛・育毛効果を謳うものではありません。健康な髪を育む体づくりの一環として捉えるのが良いでしょう。

Q9: 男性にも効果はありますか?

A: もちろんです。クコの実に含まれる抗酸化物質やビタミン、ミネラルは、性別を問わず健康維持に役立ちます。特に、眼精疲労や生活習慣病が気になる男性にはおすすめです。ご夫婦で一緒に取り入れるのも素敵ですね。

Q10: どのくらい続けたら効果が出ますか?

A: 食品ですので、薬のようにすぐに効果が現れるわけではありません。個人差はありますが、まずは1か月から3か月ほど、毎日の生活に取り入れてみてください。焦らず、楽しみながら続けることが、健やかな体づくりにつながります。

まとめ

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大切なポイント

  • クコの実は、抗酸化物質が豊富でエイジングケアや目の健康に役立つスーパーフードです。
  • 食べ過ぎは禁物。持病のある方や薬を服用中の方は、摂取前に医師に相談しましょう。
  • 毎日の食事に少しプラスする形で、楽しみながら継続することが健康維持の鍵です。
  • バランスの取れた食事や運動など、基本的な生活習慣を整えた上で活用しましょう。

ゆらぎやすい年代だからこそ、私たちは日々の食事で自分をいたわることが大切です。クコの実のような自然の恵みを上手に取り入れて、内側から輝く、すこやかな毎日を育んでいきましょう。


健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ

この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。

適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。

かかりつけ医について詳しく知る(厚生労働省)

 

監修者プロフィール:頴川博芸 先生

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て、現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。

HALMEK up編集部
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