微熱が続くとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

微熱が続くとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

公開日:2025年10月22日

微熱が続くとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

微熱でお悩みの50代・60代の女性のみなさんへ。この記事では、内科医の鳥越勝行先生の監修のもと、微熱が続く原因や治療法について分かりやすくお伝えいたします。

鳥越勝行
監修者
鳥越勝行
監修者 鳥越勝行 健康塾クリニック

この記事3行まとめ

✓微熱が続く原因はストレスや更年期、病気のサインなどさまざまです。
✓50代・60代女性ではホルモンバランスの変化が大きく影響します。
✓症状が続く場合は自己判断せず、早めに専門医へ相談しましょう。

微熱とは?

アン・デオール / PIXTA

「微熱」とは、医学的に明確な定義はありませんが、一般的に37.0℃から37.9℃程度の体温が続く状態を指します。平熱には個人差があるため、ご自身の平熱より0.5〜1.0℃程度高い状態が続く場合も微熱と考えられます。

50代・60代の女性にとって、微熱は単なる体調不良のサインではなく、更年期によるホルモンバランスの乱れや、何らかの病気が隠れている可能性を示す重要なシグナルです。特にこの年代は、身体的にも精神的にも大きな変化を迎える時期。これまでとは違う体の声に、丁寧に耳を傾けることが大切になります。

よく見られる身体的症状

微熱が続くとき、熱っぽさ以外にもさまざまな身体的症状が現れることがあります。50代・60代の女性が特に感じやすい症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 倦怠感・疲労感:何をしても疲れが取れず、体が常にだるい。若い頃は気力で乗り越えられたこととの違いに戸惑う方もいます。
  • ほてり・のぼせ:顔や上半身が急にカッと熱くなるホットフラッシュ。気温に関係なく突然現れ、周りの人には分からないつらさがあります。
  • 発汗:特に夜間に大量の汗をかくことがある(寝汗)。シーツが濡れるほどの発汗で、夜中に目が覚めてしまい、睡眠不足につながることも。
  • 頭痛・頭重感:ズキズキとした痛みや、頭が重く感じる。締め付けられるような感覚が続くこともあります。
  • 関節痛・筋肉痛:体の節々が痛む。「風邪のひきはじめのような痛み」と表現される方もいます。
  • 動悸・息切れ:少し動いただけでも心臓がドキドキする。静かに座っていても、急に心拍数が上がるように感じることも。
  • 食欲不振:食べたい気持ちが湧かない、胃がもたれる。

これらの症状は、微熱そのものによる影響と、その背景にある原因(例えば自律神経の乱れなど)が複雑に絡み合って生じます。

心理的な変化

体の不調は、心の状態にも大きく影響します。微熱が続くことで、以下のような心理的な変化を感じることがあります。

  • 不安感・イライラ:原因がはっきりしない不調に、「いつまで続くのだろう」と気持ちが落ち着かなくなる。
  • 気分の落ち込み:好きだった趣味や活動にも興味が持てず、憂鬱な気分が晴れない。
  • 集中力の低下:仕事や家事に集中できず、うっかりミスが増える。頭に霧がかかったような感覚(ブレインフォグ)を覚えることも。
  • 不眠:寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める。体は疲れているはずなのに、神経が高ぶって眠れない。

「もしかして重い病気なのでは?」という不安が、さらにストレスを増幅させ、症状を悪化させるという悪循環に陥ることも少なくありません。

統計データ(厚生労働省調査より)

厚生労働省の調査によると、外来を受診する患者の訴えの中で「発熱」は常に上位に位置します。特に成人女性においては、原因が特定しにくい不定愁訴の一つとして微熱が挙げられることが多くあります。

また、50代前後の女性では、更年期症状を訴える人の割合が高く、その症状の一つとして「ほてり」や「発汗」とともに、微熱感を自覚するケースが多く報告されています。これは、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が脳の体温調節中枢に影響を与えるためと考えられています。

微熱が続く原因とメカニズム

hiro Viewer / PIXTA

主な原因

微熱が続く原因は多岐にわたりますが、主に以下の3つのカテゴリーに分けられます。

1. 生理学的要因

  • ホルモンバランスの乱れ:特に50代・60代の女性では、更年期による女性ホルモンの急激な減少が自律神経の働きを乱し、体温調節がうまくいかなくなることがあります。これがホットフラッシュや微熱の原因となります。
  • 自律神経の乱れ:過度なストレス、不規則な生活、睡眠不足などは自律神経のバランスを崩します。体温調節を司る自律神経が乱れることで、必要ない場面で体温が上昇し、微熱が続く「心因性発熱」を引き起こすことがあります。
  • 感染症:風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの後、回復期に微熱が続くことがあります。また、結核、尿路感染症、副鼻腔炎など、自覚症状が乏しい慢性的な感染症が隠れている場合もあります。
  • 自己免疫疾患:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群など、免疫システムが自身の体を攻撃してしまう病気では、慢性的な炎症により微熱が出ることがあります。
  • 甲状腺の病気:甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるバセドウ病などでは、新陳代謝が活発になりすぎて微熱や動悸、多汗などの症状が現れます。
  • 悪性腫瘍(がん):まれですが、がん細胞が産生する物質によって、微熱が続くことがあります(腫瘍熱)。
  • 薬剤熱:特定の薬の副作用として、アレルギー反応や代謝の変化により発熱することがあります。抗生物質、抗てんかん薬、血圧の薬など、原因となる薬剤はさまざまです。何か新しい薬を飲み始めてから微熱が続く場合は、薬剤師やかかりつけ医に相談することが重要です。
  • 歯科・耳鼻咽喉科領域の慢性炎症:虫歯や歯周病、慢性扁桃炎、副鼻腔炎(蓄膿症)など、自分では気づきにくい場所で軽度の炎症が続いている場合、それが微熱の原因となることがあります。

2. 環境的要因

  • 過度なストレス:仕事、家庭、人間関係など、現代社会におけるさまざまなストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱す最大の外的要因です。
  • 不規則な生活:昼夜逆転の生活や、食事の時間がバラバラであることなども、体内時計を狂わせ、体温調節に影響を与えます。
  • 季節の変わり目:急激な気温や気圧の変化に体が適応しようとすることで、自律神経が乱れやすくなります。

3. 心理社会的要因

50代・60代は、子どもの独立、親の介護、自身のキャリアの変化、退職など、ライフステージにおける大きな変化が訪れる時期です。こうした変化に伴う喪失感や役割の変化、将来への不安などが強いストレスとなり、心因性の発熱を引き起こす一因となることがあります。

発症メカニズム

微熱が続くメカニズムは、原因によって異なります。

  • 感染症の場合:ウイルスや細菌と戦うために、免疫システムがサイトカインという物質を放出します。このサイトカインが脳の体温調節中枢に働きかけ、体温を上昇させます。
  • ホルモン・自律神経の乱れの場合:脳の視床下部という部分は、体温調節、ホルモン分泌、自律神経のすべてをコントロールする司令塔です。更年期やストレスによってこの視床下部の機能が乱れると、体温を適切に保つ指令がうまく伝わらなくなり、微熱が生じます。
  • 悪性腫瘍や自己免疫疾患の場合:これらの病気によって体内で慢性的な炎症が続くと、炎症に関わる物質が持続的に産生され、それが体温を上昇させる原因となります。

リスク要因

以下のような方は、微熱が続く症状が出やすい傾向にあるため、注意が必要です。

  • 40代後半〜60代の女性
  • ストレスを溜め込みやすい、完璧主義な性格
  • 睡眠時間が短い、または眠りの質が悪い
  • 食生活が不規則で、栄養バランスが偏っている
  • 運動習慣がない
  • 家族に関節リウマチなどの自己免疫疾患を持つ人がいる

これらのリスク要因に心当たりがある場合は、生活習慣を見直すことが予防につながります。

診断方法と受診について

webweb / PIXTA

次に、受診する場合の流れについて説明します。

いつ受診すべきか

微熱だけであれば少し様子を見てもいい場合がありますが、以下のような症状が見られる場合は、必ず病院で検査しましょう。

  • 微熱が2週間以上続いている
  • 倦怠感が強く、日常生活に支障が出ている
  • 咳、喉の痛み、関節痛など、他の症状を伴う
  • 食欲がなく、体重が減少してきた
  • 夜間に大量の汗をかく
  • 特定の薬を飲み始めてから微熱が出るようになった

自己判断で「更年期だから」「ストレスのせい」と決めつけず、一度専門家に相談することが大切です。

診断の流れ

医療機関では、丁寧な問診と診察、必要な検査を組み合わせて原因を探っていきます。

1. 問診で確認すること

医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。正確な情報を伝えることで、診断がスムーズに進みます。

  • いつから微熱が続いていますか?
  • 平熱は何度くらいですか?
  • 1日の中で体温はどのように変動しますか?(朝、昼、晩など)
  • 熱以外にどのような症状がありますか?(倦怠感、頭痛、咳、痛みなど)
  • 最近、強いストレスを感じる出来事はありましたか?
  • 月経の状況はどうですか?(閉経の時期、周期の乱れなど)
  • 現在治療中の病気や、服用している薬・サプリメントはありますか?
  • ご家族に特有の病気(自己免疫疾患など)を持つ方はいますか?

次のステップである診察や検査のために、これらの情報を整理しておくと良いでしょう。

2. 身体検査

問診の後は、医師による診察が行われます。プライバシーに配慮しながら、以下のような点を確認します。

  • 喉の赤みや腫れの有無
  • リンパ節の腫れの有無(首、脇の下、足の付け根など)
  • 胸部の聴診(心臓や肺の音の確認)
  • 腹部の触診(しこりや痛みの有無)
  • 関節の腫れや痛みの有無

次のステップである検査を検討するために、これらの診察は非常に重要です。

3. 代表的な検査例

問診や診察で特定の病気が疑われる場合、以下のような検査が行われることがあります。ただし、これらはあくまで一例であり、医師の判断によって必ずしもすべて実施するわけではありません。

  • 血液検査:炎症の有無(CRP、血沈)、貧血の有無、肝臓や腎臓の機能、甲状腺ホルモンの値、自己抗体の有無(自己免疫疾患のスクリーニング)などを調べます。最も基本的で重要な検査です。
  • 尿検査:尿路感染症の有無などを調べます。
  • 画像検査:
  • 胸部X線(レントゲン):肺炎や結核など、肺の病気がないか確認します。
  • 超音波(エコー)検査:腹部や甲状腺、関節などに異常がないか調べます。
  • その他:必要に応じて、CT検査やMRI検査などのより精密な画像検査や、婦人科的な診察などが行われることもあります。

受診時の準備

受診する際は、以下のものを準備しておくと診察がスムーズに進みます。

  • 基礎体温の記録:少なくとも1〜2週間、できれば1か月程度、朝・昼・晩の体温を記録したメモを持参すると、非常に有用な情報になります。
  • 症状のメモ:いつから、どんな症状が、どの程度の強さで出ているか、時系列でまとめておきましょう。
  • お薬手帳:現在服用しているすべての薬、サプリメントがわかるもの。
  • 健康診断の結果:最近受けたものがあれば持参しましょう。

受診すべき診療科

「微熱」という症状だけでは、どの診療科に行けばよいか迷うかもしれません。

  • まずは内科・総合診療科へ:最も窓口が広く、全身のさまざまな病気の可能性を総合的に診てくれます。ここで初期的な診察や検査を受け、必要に応じて専門の診療科を紹介してもらうのが一般的です。
  • 更年期症状が強い場合:ほてり、のぼせ、発汗、月経不順など、他の更年期症状が顕著な場合は、婦人科への相談も選択肢となります。
  • ストレスが主な原因と考えられる場合:気分の落ち込みや不安感が強い場合は、心療内科が適していることもあります。

どこに相談すればよいか分からない場合は、まずはお住まいの自治体の保健所や、かかりつけ医に電話で相談してみるのも良いでしょう。

受診までの過ごし方

食事の工夫

  • 大豆製品を意識して摂る:納豆、豆腐、豆乳などに含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンと似た働きをします。
  • ビタミン・ミネラルを補給:ビタミンB群はエネルギー代謝を助け、ビタミンEは血行を促進します。緑黄色野菜、ナッツ類、玄米などを食事に取り入れましょう。
  • 体を温める食材:生姜や根菜類など、体を内側から温める食材もおすすめです。

運動の工夫

  • 軽いウォーキング:1日15〜20分程度、景色を楽しみながら歩くだけでも気分転換になり、血行が促進されます。
  • 就寝前のストレッチ:凝り固まった筋肉をゆっくりとほぐすことで、リラックス効果が高まり、眠りの質が向上します。
  • ヨガやピラティス:深い呼吸を意識しながら行うヨガやピラティスは、自律神経のバランスを整えるのに特に効果的です。

睡眠の質の向上

  • 就寝前のスマホ・PC操作を控える:画面から出るブルーライトは、脳を覚醒させてしまいます。就寝1時間前からは、デジタル機器から離れましょう。
  • 快適な寝室環境:遮光カーテンを利用したり、肌触りの良い寝具を選んだりして、リラックスできる環境を整えましょう。

その他

  • 体を冷やさない:夏場の冷房対策や、冬場の防寒対策をしっかりと行い、血行を良く保ちましょう。腹巻きやレッグウォーマー、シルクの靴下などを活用するのもおすすめです。
  • 十分な休養:身体を休め、免疫機能や自律神経の働きを正常に保ちます。
  • バランスの取れた食事:特に、ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜や果物を積極的に摂りましょう。
  • ストレスマネジメント:趣味の時間を持つ、友人と話す、自然に触れるなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。

微熱が続くときの治療法

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治療方針の決定

治療は、微熱の原因によって全く異なります。そのため、まずは正確な診断を下すことが最も重要です。診断結果に基づき、医師は患者一人一人の年齢、体力、ライフスタイル、そして希望を考慮しながら、最適な治療方針を一緒に考えていきます。原因が特定できない場合でも、症状を和らげるための対症療法や生活習慣の改善を試みることがあります。

薬物療法

原因となる病気が特定された場合、その病気に対する治療が基本となります。

  • 感染症:抗菌薬や抗ウイルス薬など。
  • 自己免疫疾患:ステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤など。
  • 甲状腺疾患:抗甲状腺薬やホルモン補充療法など。
  • 更年期障害:ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬など。
  • 心因性発熱:抗不安薬、抗うつ薬、漢方薬などが用いられることがあります。

注意: これらの薬は、医師の診断と処方に基づいて正しく使用することが不可欠です。自己判断で市販の解熱剤を飲み続けることは、根本的な原因の発見を遅らせる可能性があるため、絶対に避けてください。

非薬物療法

薬を使わない治療法も、症状の改善に有効な場合があります。

  • カウンセリング・認知行動療法:ストレスや心理的な問題が背景にある場合に有効です。物事の受け止め方や考え方の癖を見直し、ストレスに対処するスキルを身につけます。
  • 理学療法:関節痛や筋肉痛を伴う場合に、運動療法や物理療法(温熱療法など)が行われることがあります。
  • リラクゼーション法:ヨガ、瞑想、自律訓練法などは、自律神経のバランスを整え、心身の緊張を和らげるのに役立ちます。

注意: これらの非薬物療法も、専門家の指導のもとで行うことが重要です。ご自身の判断で始める前に、まずは主治医に相談しましょう。

治療期間と予後

治療期間や予後は、原因となる病気によって大きく異なります。風邪などの一過性の感染症であれば数日から数週間で改善しますが、自己免疫疾患や更年期障害などは、長く付き合っていく必要がある場合もあります。大切なのは、焦らず、主治医と相談しながら根気強く治療を続けることです。

微熱の予防法

nonpii / PIXTA

一次予防(発症予防)

微熱を引き起こすさまざまな原因に対し、日頃から予防的な生活を心がけることが重要です。

  • 免疫力を高める生活:バランスの取れた食事、質の良い睡眠、適度な運動を習慣づけ、感染症にかかりにくい体を作りましょう。
  • 定期的な健康診断:年に一度は健康診断を受け、ご自身の身体の状態をチェックする習慣が、病気の早期発見につながります。

二次予防(早期発見・早期治療)

「いつもと違う」と感じたら、それは体からのサインかもしれません。

  • 基礎体温の測定:普段からご自身の平熱を知っておくことが、微熱という変化に気づく第一歩です。体調が優れないと感じたら、体温を測る習慣をつけましょう。
  • 症状の記録:体温の変化やその他の症状をメモしておくことで、受診の際に正確な情報を医師に伝えることができます。
  • 早めの受診:症状が長引く場合は、自己判断せずに専門医に相談することが、重症化を防ぎ、早期治療につながります。

よくある質問(FAQ)

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Q1: 更年期だと思うのですが、病院に行くべきですか?

A: はい、ぜひ一度婦人科や内科を受診することをおすすめします。微熱の原因が更年期によるものだとしても、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬などで症状を和らげることができます。

また、「更年期だと思っていたら別の病気が隠れていた」というケースも少なくありません。専門医の診察を受けることで、安心して適切な対処ができます。

Q2: ストレスで熱が出ることなんて本当にあるのですか?

A: はい、あります。これは「心因性発熱」と呼ばれ、精神的なストレスが自律神経の働きを乱し、体温調節がうまくいかなくなることで起こります。特に、責任感が強く、ストレスを溜め込みやすい方がなりやすいと言われています。

十分な休養やストレス解消を試みても改善しない場合は、心療内科への相談も有効です。

Q3: 解熱剤を飲んでもいいですか?

A: 一時的に使用するのは問題ありませんが、長期間にわたって自己判断で飲み続けることは避けるべきです。解熱剤は症状を一時的に抑えるだけで、根本的な原因を治療するものではありません。原因の診断を遅らせてしまう可能性があるため、微熱が続く場合はまず医療機関を受診してください。

Q4: 微熱以外に症状がなくても受診した方がいいですか?

A: 微熱が2週間以上続くようであれば、他に症状がなくても一度内科を受診することをおすすめします。自覚症状が乏しい慢性的な感染症や、ごく初期の病気が隠れている可能性もゼロではありません。何も異常がなければ、それはそれで安心材料になります。

Q5: どんな検査をするのか不安です。痛いですか?

A: 基本的な検査は、採血や尿検査、胸のレントゲン撮影など、身体への負担が少ないものが中心です。採血の際にチクッとした痛みはありますが、ほとんどの検査は痛みを伴いません。医師や看護師が丁寧に説明しながら進めますので、不安なことや分からないことは遠慮なく質問してください。

Q6: 漢方薬は微熱に効きますか?

A: 体質や症状によっては、漢方薬が非常に有効な場合があります。特に、更年期障害や自律神経の乱れに伴う微熱に対しては、心と体のバランスを整えることで症状を改善する効果が期待できます。

ただし、漢方薬も薬ですので、専門の医師や薬剤師に相談の上、ご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。

Q7: 微熱が続くと免疫力が落ちているのでしょうか?

A: 微熱が続く原因が、ウイルスや細菌と戦っている結果である場合、免疫が働いている証拠と言えます。しかし、慢性的なストレスや睡眠不足などが原因で微熱が続いている場合は、自律神経のバランスが崩れ、結果的に免疫力が低下している可能性も考えられます。

いずれにせよ、バランスの取れた生活を心がけることが免疫力を正常に保つ鍵となります。

Q8: 仕事を休んだ方がいいでしょうか?

A: 倦怠感が強く、日常生活に支障が出ている場合は、無理せず休息を取ることが大切です。可能であれば、休暇を取得したり、勤務時間を調整したりするなど、職場に相談してみましょう。診断書があれば、職場も状況を理解しやすくなります。ご自身の体を第一に考えて判断してください。

Q9: 何科に行っても「異常なし」と言われます。どうすればいいですか?

A: いくつかの医療機関で検査をしても原因がはっきりしない場合は、心身の両面からアプローチできる「総合診療科」や、ストレスとの関連を診る「心療内科」への相談を検討してみるのも一つの方法です。

また、セカンドオピニオンとして、別の医師の意見を聞いてみることもできます。諦めずに、ご自身の症状と向き合ってくれる医師を探すことが大切です。

Q10: このまま微熱がずっと続くのではないかと不安です。

A: 先の見えない不調は、本当に不安ですよね。しかし、微熱が続く原因は必ずどこかにあります。適切な診断と治療、そして生活習慣の見直しによって、多くの場合は症状が改善します。大切なのは、一人で抱え込まず、専門家を信頼して相談することです。焦らず、一つ一つ原因を探り、ご自身の身体と向き合っていけば、必ず道は開けていきます。

Q11: 微熱と平熱の変動について、正常な範囲はどれくらいですか?

A: 女性の体温は、月経周期によっても変動します。一般的に、排卵後から次の月経までは基礎体温が0.3〜0.5℃ほど上昇する「高温期」になります。更年期に入り月経周期が乱れると、このリズムも不規則になりがちです。

ご自身の平熱を知るには、毎日同じ時間帯(できれば朝、目覚めてすぐ)に体温を測り、記録を続けることが大切です。その上で、普段の高温期以上に体温が高い状態が続く場合に「微熱」と考えると良いでしょう。

Q12: 家族に更年期症状が重かった人がいると、自分もなりやすいですか?

A: 遺伝的な要因が全くないとは言えませんが、更年期症状の現れ方には個人差が非常に大きく、生活習慣やストレスの度合い、個人の性格なども大きく影響します。ご家族の経験は参考の一つにはなりますが、「自分も必ず重くなる」と過度に心配する必要はありません。

むしろ、バランスの取れた食事や適度な運動など、今から健やかな生活習慣を心がけることが、症状を穏やかに乗り切るための最も有効な対策と言えます。

まとめ

shironagasukujira / PIXTA

大切なポイント

  • 微熱が続く背景には、更年期、ストレス、感染症、その他の病気など多様な原因が考えられます。
  • 50代・60代女性の場合、ホルモンバランスの変化が大きく関わっている可能性がありますが、自己判断は禁物です。
  • 症状が長引く、または他の症状を伴う場合は、早めに内科や婦人科を受診し、原因を特定することが重要です。
  • 治療の基本は生活習慣の改善です。バランスの取れた食事、質の良い睡眠、適度な運動、ストレス管理を心がけましょう。

原因のわからない微熱は、これからの人生をより健やかに過ごすための、体からのメッセージかもしれません。私たちは、これまでたくさんの役割を担い、懸命に走り続けてきました。今、少し立ち止まり、ご自身の体と心に優しく耳を傾ける時間を持ってみませんか。信頼できる専門家と共に、希望を持って一歩を踏み出しましょう。


健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。

適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。

かかりつけ医について詳しく知る(厚生労働省)

 

監修者プロフィール:鳥越勝行 先生

健康塾クリニック院長。東北大学情報工学科卒業後、名古屋大学医学部を経て複数の病院で臨床経験を積む。患者様一人一人の声に耳を傾け、心身の不調や悩みに寄り添った診療を実践。低価格での健康診断・ワクチン提供や職員への還元も重視し、幸福度を軸にした医療を提供している。

HALMEK up編集部
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