浮腫(むくみ)とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
浮腫(むくみ)とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
公開日:2025年10月20日
この記事3行まとめ
✓足や顔のむくみは、体内の水分バランスが崩れるサインです。
✓50代・60代女性では、加齢やホルモンバランスの変化も原因になります。
✓気になるむくみは放置せず、早めに専門医に相談しましょう。
浮腫(むくみ)とは?
「夕方になると靴がきつくなる」「朝、顔がパンパンに腫れぼったい」。そんな経験はありませんか?その症状、もしかしたら「浮腫(ふしゅ)」、いわゆる「むくみ」かもしれません。
浮腫とは、皮膚の下にある組織(組織間液)に余分な水分が溜まった状態のことです。私たちの体は約60%が水分でできており、細胞や血管、組織の間を絶えず循環しています。しかし、何らかの原因でそのバランスが崩れると、血管から水分が漏れ出し、むくみとなって現れるのです。
特に50代・60代の女性は、加齢による筋力の低下や血行不良、また更年期に伴うホルモンバランスの変化など、むくみが起こりやすい条件が重なりがちです。一過性のものと軽く考えがちですが、中には病気が隠れているサインの場合もあります。正しい知識を身につけ、ご自身の体と向き合うことが大切です。
よく見られる身体的症状
むくみのサインは、体のさまざまな部分に現れます。ご自身の状態と比べてみましょう。
- 足のむくみ:特に夕方になると、ふくらはぎや足の甲がパンパンに張る感じがします。靴下の跡がくっきりと残ったり、指で押すとへこんでしばらく戻らなかったりします。
- 顔のむくみ:朝起きたときに、まぶたが腫れぼったく感じたり、顔全体が大きく見えたりします。
- 手のむくみ:指輪がきつく感じたり、手を握りにくくなったりすることがあります。
- 体重の増加:食事量は変わらないのに、1〜2日で1kg以上体重が増える場合は、体内に水分が溜まっている可能性があります。
これらの症状は、一時的なものもあれば、毎日続くこともあります。特に、左右の足でむくみの程度が違う、息苦しさやだるさを伴うといった場合は注意が必要です。
心理的な変化
体の変化は、心にも影響を与えます。むくみが続くことで、「またむくんでいる……」と気分が落ち込んだり、見た目の変化から人に会うのが億劫になったりすることもあるでしょう。
「好きな服が似合わない」「おしゃれを楽しめない」といった悩みは、自信を失うきっかけにもなりかねません。また、「何か悪い病気なのでは?」という不安が、ストレスとなって症状を悪化させることもあります。一人で抱え込まず、まずはご自身の体のサインに耳を傾けることから始めましょう。
浮腫(むくみ)の原因とメカニズム
主な原因
浮腫(むくみ)の主な原因は、以下の3つに分けられます。
1. 生理学的要因
- 長時間の同じ姿勢:立ち仕事やデスクワークで長時間同じ姿勢でいると、重力の影響で足の血流が滞り、むくみやすくなります。
- 塩分の過剰摂取:体内の塩分濃度が高くなると、それを薄めようと体が水分を溜め込み、むくみの原因となります。
- ホルモンバランスの変化:更年期や月経周期の影響で、女性ホルモンのバランスが乱れると、自律神経の働きが不安定になり、血行不良や水分の溜め込みが起こりやすくなります。
- 加齢による筋力低下:特にふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、血液を心臓に戻すポンプの役割を担っています。この筋力が衰えると、血行が悪くなり、むくみにつながります。
2. 環境的要因
- 運動不足:筋肉のポンプ作用が働かず、血行が悪くなります。
- 冷え:体が冷えると血管が収縮し、血流が滞りやすくなります。夏場の冷房も注意が必要です。
- 不適切な食生活:塩分の多い食事や、加工食品の摂りすぎはむくみの原因になります。
3. 心理社会的要因
50代・60代は、子どもの独立や親の介護、仕事上の立場の変化など、ライフステージの大きな転換期です。こうした環境の変化に伴うストレスや不安は、自律神経のバランスを乱し、血行不良や水分代謝の悪化を招くことがあります。「なんとなく体調が優れない」と感じるとき、その背景に心理的な要因が隠れていることも少なくありません。
発症メカニズム
私たちの体では、心臓から送り出された血液が動脈を通り、毛細血管から組織に酸素や栄養を届けます。その際、一部の水分(組織間液)が血管の外に染み出しますが、通常は静脈やリンパ管に再吸収され、バランスが保たれています。
しかし、何らかの原因でこのバランスが崩れると、組織間液が過剰になり、むくみ(浮腫)として現れます。
- 静脈圧の上昇:心不全や長時間の立位などで静脈の圧力が上がると、水分が血管内に戻りにくくなります。
- 血漿膠質浸透圧の低下:肝硬変やネフローゼ症候群、栄養不良などで血液中のアルブミン(タンパク質)が減少すると、血管内に水分を保つ力が弱まり、組織に漏れ出しやすくなります。
- 血管透過性の亢進:炎症やアレルギー反応が起こると、血管の壁の目が粗くなり、水分が漏れ出しやすくなります。
- リンパ管の障害:リンパ管が詰まったり、流れが悪くなったりすると、組織間液が回収されず、リンパ浮腫が起こります。
リスク要因
以下のような方は、浮腫(むくみ)が起こりやすいと言われています。ご自身の生活習慣を見直すきっかけにしてみてください。
- 長時間立ち仕事、または座りっぱなしで仕事をしている
- 濃い味付けの食事が好き
- 運動習慣があまりない
- 体が冷えやすい
- ストレスを感じやすい
- 過去に大きな手術やけがをしたことがある
- 心臓、腎臓、肝臓などに持病がある
診断方法と受診について
次に、受診する場合の流れについて説明します。
いつ受診すべきか
以下のような症状が見られる場合は、病気が隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。
- 急にむくみが現れた、または急にひどくなった
- むくみが数日経っても改善しない
- 片方の足だけがひどくむくむ、または左右差がある
- むくんでいる部分に痛みや赤み、熱っぽさがある
- 息苦しさ、動悸、体重の急激な増加を伴う
- 指で押してもへこまない、硬いむくみがある
診断の流れ
受診すると、一般的に以下のような流れで診断が進められます。
1. 問診で確認すること
医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。ご自身の状態を正確に伝えることが大切です。
- いつから、体のどの部分がむくんでいますか?
- むくみは一日の中でどのように変化しますか?(朝、夕方など)
- むくみ以外に何か症状はありますか?(息苦しさ、だるさ、体重の変化など)
- 現在治療中の病気や、服用している薬はありますか?
- 食生活や運動習慣について教えてください。
- 過去に大きな病気や手術の経験はありますか?
2. 身体検査
問診の後は、実際に体に触れて状態を確認します。医師がむくんでいる部分を指で押し、へこみの戻り具合(圧痕性浮腫)を確認したり、皮膚の色や温度、静脈の状態などを観察したりします。プライバシーには十分に配慮して行われますので、ご安心ください。
3. 代表的な検査例
必要に応じて、原因を特定するために以下のような検査が行われることがあります。(医師の判断により、必ずしもすべて実施するわけではありません)
- 血液検査:腎臓や肝臓の機能、栄養状態(アルブミン値)、甲状腺ホルモンの値などを調べ、内臓の病気が隠れていないか確認します。
- 尿検査:尿中のタンパク質の有無などを調べ、腎臓の病気の可能性を探ります。
- 心電図・胸部X線検査:心臓の大きさや形、肺に水が溜まっていないか(心不全の兆候)などを確認します。
- 超音波(エコー)検査:心臓の動きや、足の静脈に血栓がないか、リンパ管の状態などを画像で確認します。
受診時の準備
受診の際は、以下のものを準備しておくとスムーズです。
- お薬手帳:現在服用している薬やサプリメントがわかるもの。
- 症状のメモ:いつから、どのような症状があるか、気づいたことを時系列でまとめておくと、医師に伝えやすくなります。体重の変化や、むくみの写真を撮っておくのも良いでしょう。
- 服装:むくんでいる部分を診察しやすいように、着脱しやすい服装がおすすめです。
受診すべき診療科
まずは、かかりつけの内科を受診するのが一般的です。問診や診察の結果、専門的な治療が必要と判断された場合は、循環器内科(心臓)、腎臓内科、血管外科、皮膚科など、原因に応じた診療科を紹介してもらえます。
どこに相談すればよいか分からない場合は、お住まいの自治体の保健所や、かかりつけ医に相談してみましょう。
浮腫と間違いやすい病気
足の腫れやむくみは、浮腫以外の病気でも起こることがあります。自己判断は禁物ですが、参考として代表的な病気をご紹介します。
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)
足の静脈にある弁が壊れ、血液が逆流して溜まることで、血管がこぶのように浮き出て見える病気です。足のむくみ、だるさ、こむら返りなどの症状が現れます。見た目で判断しやすい場合もありますが、隠れ静脈瘤といって、体の奥の静脈にできることもあります。
深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)
「エコノミークラス症候群」としても知られ、足の深い部分にある静脈に血栓ができる病気です。片足だけが急に赤く腫れ、痛みや熱っぽさを伴うのが特徴です。この血栓が剥がれて肺に飛ぶと、命に関わる「肺血栓塞栓症」を引き起こすことがあるため、緊急性の高い病気です。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)
皮膚の小さな傷から細菌が入り込み、皮膚と皮下組織に炎症を起こす病気です。むくみとともに、赤み、熱、強い痛みを伴います。放置すると炎症が広がり、重症化することがあるため、早期の抗菌薬治療が必要です。
リンパ浮腫
がんの手術でリンパ節を切除したり、放射線治療を受けたりした後に、リンパの流れが滞って腕や足がむくむ状態です。初期は柔らかいむくみですが、進行すると皮膚が硬く、厚くなるのが特徴です。
これらの病気は専門的な診断と治療が必要なため、「いつもと違う」と感じたら、速やかに医療機関を受診してください。
浮腫(むくみ)の治療法
治療方針の決定
治療法は、むくみの原因によって大きく異なります。一過性のむくみであれば生活習慣の改善が中心となりますが、病気が原因の場合は、その病気の治療が最優先されます。医師は、診察や検査の結果を基に、患者さん一人一人の状態に合わせた治療方針を提案します。ご自身の希望や不安な点があれば、遠慮なく医師に相談し、納得のいく治療法を一緒に見つけていくことが大切です。
薬物療法
病気が原因のむくみに対しては、薬物療法が行われることがあります。
- 利尿薬:体内の余分な水分と塩分を尿として排泄させ、むくみを改善します。心不全や腎臓病によるむくみに用いられることが多い薬です。
- 原因疾患の治療薬:心臓の働きを助ける薬、肝臓や腎臓の機能をサポートする薬、甲状腺ホルモンを補う薬など、原因となっている病気そのものを治療する薬が処方されます。
注意: これらの薬は、医師の診断と処方に基づいて正しく使用することが非常に重要です。自己判断で服用したり、中断したりすることは絶対にやめてください。副作用が現れた場合は、速やかに医師や薬剤師に相談しましょう。
非薬物療法
薬を使わない治療法としては、以下のようなものがあります。
- 弾性ストッキングや弾性包帯:足に適度な圧力をかけることで、静脈の血流を助け、むくみを軽減・予防します。特に、立ち仕事が多い方や、下肢静脈瘤、リンパ浮腫の方に有効です。サイズや圧迫圧が重要になるため、医師や専門のスタッフに相談して、ご自身に合ったものを選びましょう。
- リンパドレナージ:リンパの流れを促進するための特殊なマッサージです。主にリンパ浮腫の治療に用いられ、専門の知識と技術を持ったセラピストによって行われます。
注意: 自己流のマッサージは、かえって症状を悪化させる可能性があります。特に、病気が原因のむくみや、痛み・赤みを伴う場合は、必ず医師に相談してから行うようにしてください。
生活習慣による管理
むくみの改善・予防には、日々の生活習慣を見直すことが欠かせません。
- 食事:塩分を控えめにし、カリウム(余分な塩分を排出する働きがある)を多く含む野菜や果物(ほうれん草、アボカド、バナナなど)を積極的に摂りましょう。
- 運動:ウォーキングや軽いストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす習慣をつけましょう。特に、ふくらはぎの筋肉を意識して動かすことが効果的です。
- 入浴:ぬるめのお湯にゆっくり浸かると血行が促進され、リラックス効果も得られます。
- 睡眠:寝るときに足を少し高くして休むと、足に溜まった水分が心臓に戻りやすくなります。
治療期間と予後
一過性のむくみは、生活習慣の改善で数日のうちに良くなることがほとんどです。一方、病気が原因の場合は、その病気の治療と並行して、長期的にむくみと付き合っていく必要があります。
予後は原因となる病気によってさまざまですが、適切な治療とセルフケアを続けることで、症状をコントロールし、生活の質(QOL)を維持・向上させることが可能です。
予防法と日常生活での注意点
一次予防(発症予防)
むくみを未然に防ぐためには、健康的な生活習慣が基本です。
- バランスの取れた食事:塩分は1日6g未満を目安に。野菜や果物を積極的に摂り、加工食品やインスタント食品は控えめにしましょう。
- 適度な運動:1日30分程度のウォーキングや、かかとの上げ下ろし運動など、日常生活の中でこまめに体を動かすことを意識しましょう。
- 体を冷やさない:夏でも靴下やひざ掛けを活用し、体を温める食事(生姜や根菜など)を心がけましょう。
二次予防(早期発見・早期治療)
「おかしいな」と思ったら、早めに対処することが重症化を防ぐ鍵です。
- セルフチェックの習慣:毎日、足や顔の状態を鏡でチェックしたり、体重を測ったりする習慣をつけましょう。
- 定期的な健康診断:年に一度は健康診断を受け、心臓や腎臓、肝臓などの機能を確認しておくことが大切です。
50代・60代女性のためのセルフケア
加齢やホルモンバランスの変化という、この年代ならではの体の変化に合わせたセルフケアを取り入れることで、より効果的にむくみを予防・改善することができます。
1. 更年期の変化と上手に付き合う
更年期に入り、女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると、自律神経のバランスが乱れやすくなります。自律神経は血管の収縮・拡張をコントロールしているため、その働きが乱れると血行不良を招き、むくみの原因になります。また、イライラや不安といった精神的なストレスも、血行を悪化させる一因です。
- リラックスを心がける:深呼吸や瞑想、アロマテラピーなど、ご自身が心地よいと感じるリラックス法を見つけましょう。
- 体を温める:腹巻きやレッグウォーマーを活用し、特に下半身を冷やさないようにしましょう。
- 大豆製品を摂る:納豆や豆腐、豆乳などに含まれる大豆イソフラボンは、エストロゲンと似た働きをすることが知られています。食事に積極的に取り入れてみましょう。
2. 簡単エクササイズで「めぐり」を改善
激しい運動は必要ありません。日常生活のすきま時間でできる簡単なエクササイズで、血行を促進しましょう。
- 椅子に座って「足首くるくる」
- 椅子に浅めに腰掛け、片足を少し浮かせます。
- つま先で大きな円を描くように、足首をゆっくりと内外に10回ずつ回します。
- 反対の足も同様に行います。デスクワークの合間におすすめです。
- 寝ながら「かかと押し出し」
- 仰向けに寝て、両足をそろえて天井に向けます。
- かかとをぐーっと天井に押し出し、5秒キープします。
- 次につま先を伸ばし、5秒キープします。これを10回ほど繰り返します。ふくらはぎのポンプ機能を高めます。
- テレビを見ながら「タオルギャザー」
- 椅子に座り、床にタオルを広げます。
- かかとを床につけたまま、足の指を使ってタオルをたぐり寄せます。
- これを数回繰り返します。足裏の筋肉を刺激し、血行を促進します。
3. むくみ対策におすすめの食事ポイント
塩分を控えることに加え、以下の栄養素も意識して摂ることで、体の中からむくみにくい体質を目指しましょう。
- タンパク質:血液中のアルブミン濃度を保ち、血管に水分を保持する働きがあります。肉、魚、卵、大豆製品など、良質なタンパク質を毎食摂ることを心がけましょう。特に、朝食でタンパク質を摂ると、1日の活動の質が高まります。
- ビタミンB群:エネルギー代謝を助け、疲労回復をサポートします。特にビタミンB1(豚肉、玄米など)やB6(マグロ、カツオ、バナナなど)は、健やかな体の維持に欠かせません。
- マグネシウム:体内の水分バランスを調整する働きがあります。ナッツ類、海藻類、玄米などに多く含まれています。
これらの栄養素をバランスよく摂ることが、むくみだけでなく、50代・60代の女性が抱えやすいさまざまな不調の予防にもつながります。
日常生活の工夫
むくみと上手に付き合いながら、快適な毎日を送るための工夫をご紹介します。
- 長時間の同じ姿勢を避ける:デスクワークの合間に立ち上がってストレッチをしたり、立ち仕事の場合は時々屈伸運動をしたりしましょう。
- 着圧ソックスの活用:日中、足のむくみが気になる方は、医療用の弾性ストッキングや着圧ソックスを試してみるのも良いでしょう。
- リラックスタイムを作る:寝る前に軽いストレッチやマッサージを取り入れたり、ゆっくりお風呂に浸かったりして、心と体をリラックスさせましょう。
家族・周囲のサポート
むくみによる体調の変化や、治療への不安は、ご本人にしか分からないつらさがあります。ご家族や周囲の方は、まずそのつらさに寄り添い、話を聞いてあげることが大きな支えになります。
また、食事の塩分に配慮したり、一緒にウォーキングに出掛けたりするなど、生活習慣の改善をサポートすることも大切です。受診に付き添い、医師の説明を一緒に聞くことも、ご本人の安心につながるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: むくみと太っているのとは、どう違うのですか?
A: むくみは体内の余分な水分が原因で、一時的に体重が増えたり、体が張って見えたりする状態です。一方、肥満は脂肪が過剰に蓄積した状態を指します。
むくみの特徴は、指で押すとへこんで跡が残ること(圧痕性浮腫)や、夕方になるとひどくなるなど、時間帯によって症状が変化することです。体重が短期間で大きく変動する場合も、むくみの可能性が高いと言えます。
Q2: 年齢とともにむくみやすくなるのは、なぜですか?
A: 年齢を重ねると、いくつかの理由でむくみやすくなります。まず、心臓や腎臓の機能が少しずつ低下し、水分を排出する能力が落ちてきます。また、足の筋力が衰えることで、血液を心臓に送り返すポンプ作用が弱くなることも大きな原因です。
さらに、血管の弾力性が失われ、水分が漏れ出しやすくなることも関係しています。
Q3: むくみやすい食べ物、むくみにくい食べ物はありますか?
A: はい、あります。塩分の多いラーメンや漬物、加工食品などは、体内に水分を溜め込みやすくなるため、むくみの原因になります。
一方、カリウムを多く含む食品には、体内の余分な塩分を排出する働きがあります。ほうれん草、小松菜などの野菜、アボカド、バナナ、キウイフルーツなどの果物、海藻類などを積極的に食事に取り入れると良いでしょう。
Q4: 危険なむくみの見分け方を教えてください。
A: 以下のようなサインが見られたら、病気が隠れている可能性があるので注意が必要です。
(1)急に始まった、または急に悪化したむくみ、(2)片足だけのひどいむくみ、(3)息苦しさや胸の痛みを伴うむくみ、(4)体重が数日で2〜3kg以上増える、(5)むくんでいる部分が赤く熱を持っている、などです。
このような場合は、自己判断せずに、すぐに医療機関を受診してください。
Q5: むくみ解消のマッサージは、自分でやっても大丈夫ですか?
A: 心臓に向かって優しく撫でるようにマッサージすることは、血行促進に効果的です。ただし、強い力で揉んだり、痛みを感じるほど押したりするのは逆効果です。
特に、痛みや赤み、熱っぽさがある場合や、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症の疑いがある場合は、血栓が剥がれて飛んでしまう危険性があるため、絶対に自己流のマッサージは行わないでください。不安な場合は、まず医師に相談しましょう。
Q6: 着圧ソックスは、夜寝るときも着用して良いですか?
A: 基本的に、就寝中の着圧ソックスの着用は推奨されていません。横になっているときは、足と心臓の高さが同じになるため、重力による血行不良が起こりにくく、強い圧迫は必要ないからです。かえって血行を妨げたり、皮膚トラブルの原因になったりすることもあります。
日中の活動時に着用し、夜は足を少し高くして休むのがおすすめです。
Q7: アルコールを飲むと、翌朝顔がむくむのはなぜですか?
A: アルコールには血管を拡張させる作用があります。そのため、血管から水分が漏れ出しやすくなります。また、アルコールを分解するために体内の水分が使われるため、一時的に脱水状態になり、それを補おうと体が水分を溜め込むことも原因の一つです。
お酒を飲む際は、一緒に水を飲む「チェイサー」を挟むと、むくみ予防に効果的です。
Q8: むくみで病院に行ったら、何科を受診すればよいですか?
A: まずは、かかりつけ医や一般内科を受診することをおすすめします。そこで全身の状態を診てもらい、必要に応じて専門の診療科を紹介してもらうのがスムーズです。
例えば、心臓が原因なら循環器内科、腎臓が原因なら腎臓内科、足の血管に問題があれば血管外科、といった具合です。どこに行けばよいか迷ったら、まずは身近な内科医に相談しましょう。
Q9: 漢方薬はむくみに効きますか?
A: 漢方薬の中には、体の水分バランスを整え、むくみを改善する効果が期待できるものもあります。例えば、体力がなく冷え性でむくむ方には「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」、のどが渇き尿量が少ない方には「五苓散(ごれいさん)」などが用いられることがあります。
ただし、漢方薬も体質に合わないと副作用が出ることがあります。必ず医師や薬剤師に相談の上、ご自身の体質に合ったものを処方してもらいましょう。
Q10: むくみを放置すると、どうなりますか?
A: 一過性のむくみであれば、生活習慣の改善で自然に良くなることが多いです。しかし、病気が原因のむくみを放置すると、原因となっている病気が進行し、命に関わる事態に至る可能性もあります。
また、長期間むくみが続くと、皮膚が硬くなったり、感染症を起こしやすくなったりすることもあります。気になるむくみは「いつものこと」と軽視せず、一度専門医に相談することが大切です。
まとめ
大切なポイント
- むくみは体からの大切なサイン。一過性のものと決めつけず、変化に気づくことが第一歩です。
- 治療の基本は、原因となっている病気の管理と、生活習慣の見直しです。医師と相談しながら、ご自身に合った方法を見つけましょう。
- 食事の塩分を控え、適度な運動を心がけることが、むくみ予防・改善の鍵となります。
- 不安や心配事は一人で抱え込まず、かかりつけ医や家族に相談し、心身ともに健やかな毎日を目指しましょう。
健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。
適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。
監修者プロフィール:鳥越勝行 先生

健康塾クリニック院長。東北大学情報工学科卒業後、名古屋大学医学部を経て複数の病院で臨床経験を積む。患者様一人一人の声に耳を傾け、心身の不調や悩みに寄り添った診療を実践。低価格での健康診断・ワクチン提供や職員への還元も重視し、幸福度を軸にした医療を提供している。




