皮膚の赤い斑点は病気のサイン?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
皮膚の赤い斑点は病気のサイン?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
公開日:2025年09月29日
この記事3行まとめ
✓皮膚の赤い斑点は、加齢や体質だけでなく、さまざまな病気のサインかもしれません。
✓50代・60代女性では、ホルモンバランスの変化や持病が影響することも。
✓気になる症状があれば自己判断せず、早めに皮膚科を受診しましょう。
皮膚の赤い斑点とは?
皮膚にできる赤い斑点は、医学的には「紅斑(こうはん)」や「紫斑(しはん)」などと呼ばれます。これは、皮膚の表面あるいは身体の内部で何らかの変化が起きているサインです。多くは一時的なものですが、中には注意が必要な病気が隠れていることもあります。
特に50代・60代は、お肌のバリア機能が変化したり、長年の紫外線の影響が表れたり、あるいは内科的な病気の一症状として現れたりすることもあるため、これまでとは違うなと感じたら、一度立ち止まってご自身の体と向き合う大切な機会と捉えましょう。
よく見られる身体的症状
赤い斑点といっても、その現れ方はさまざまです。
- かゆみ:ムズムズするかゆみがある場合もあれば、全くない場合もあります。
- 形状:平坦なもの、少し盛り上がっているもの、パンパンに膨れ上がっているもの、丸いものや地図状に広がるもの、二重丸のように広がるもの、水ぶくれを伴うものなど多岐にわたります。
- 大きさや数:数ミリの点状のものから、広範囲に広がるものまで様々です。1つだけなのか、複数個あるのか、それらが1か所にまとまっているのか広範囲に散らばっているのかも重要な指標です。
- 痛み:ピリピリとした痛みを伴う場合は、帯状疱疹などの可能性も考えられます。
- 色調:鮮やかな赤色、紫がかった赤色など、原因によって色合いも異なります。
- 境界:色の境界がくっきりと明瞭なものと不明瞭なものかも、原因を判断するための重要なサインです。
心理的な変化
見た目に現れる症状は、私たちの心にも影響を与えます。「人目が気になる」「原因が分からず不安になる」「いつ治るのだろうかと気持ちが沈む」といった、精神的なストレスを感じる方も少なくありません。特に、これまで経験したことのない症状だと、より心配になることでしょう。
厚生労働省の患者調査では、特定の「赤い斑点」という病名での統計はありません。しかし、関連する皮膚疾患の受療受診率を見ると、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎(かぶれ)、じんましんなどで医療機関を受診する方は非常に多く、年齢を問わず多くの人が皮膚トラブルに悩んでいることがわかります。特に高齢になるにつれて皮膚が乾燥しやすくなるため(皮脂欠乏性湿疹)、かゆみや湿疹などの症状は増加する傾向にあります。
皮膚の赤い斑点の原因とメカニズム
主な原因
赤い斑点の原因は、一つだけとは限りません。複数の要因が絡み合っていることもあります。
1. 生理学的要因
- 皮膚の炎症:アレルギー物質や化学物質、汗、摩擦などの刺激によって皮膚が炎症を起こし、赤くなります。湿疹やじんましんが代表的です。
- 血管の拡張・皮下/皮内出血:皮膚の下の毛細血管が拡張したり、何らかの原因で出血したりすると、それが赤い斑点として見えます。加齢によって見られる老人性血管腫(ルビースポット)もこの一種です。毛細血管は非常に細く破れやすいものですが、例えば血液が固まりにくくなるお薬を内服されていたり、血液が固まりにくくなるご病気にかかっていると、内出血が大きくなり、赤い斑点として出現することがあります。
- 感染症:ウイルスや細菌が原因で発疹が出ることがあります。代表的なものに蜂窩織炎(ほうかしきえん)や丹毒、帯状疱疹などがあります。
- ホルモンバランスの変化:更年期を迎える50代・60代は、女性ホルモンの減少により皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激に敏感になることがあります。また前述の血管拡張も、更年期に女性ホルモンのバランスが崩れると起こりやすくなります。
2. 環境的要因
- 紫外線:長年浴びてきた紫外線の影響で、皮膚がダメージを受け、赤い斑点(光線過敏症など)や、場合によっては皮膚がんの初期症状として現れることがあります。
- 乾燥:空気の乾燥する季節や、加齢による皮脂の減少は、皮膚のバリア機能を低下させ、少しの刺激でも炎症が起こしやすくなります。
- 生活用品:新しい化粧品や洗剤、衣類の素材などが肌に合わず、かぶれ(接触皮膚炎)やアレルギーを引き起こすことがあります。
3. 心理社会的要因
- ストレス:強いストレスは自律神経や免疫のバランスを乱し、皮膚の症状を悪化させることが知られています。じんましんや帯状疱疹などはストレスで出やすくなる代表的な例です。
- 生活習慣の乱れ:睡眠不足や栄養バランスの偏りは、皮膚のターンオーバーを乱し、健やかな皮膚を保つ力を弱めてしまいます。
発症メカニズム
例えばアレルギーによる赤い斑点の場合、原因物質(アレルゲン)が体に付着、あるいは侵入すると、免疫システムがそれを「異物」と認識し、体を守るためにヒスタミンなどの化学物質を放出します。このヒスタミンが血管を拡張させたり、神経を刺激したりすることで、皮膚の赤みやかゆみが引き起こされるのです。
リスク要因
- アレルギー体質:ご自身やご家族にアトピー性皮膚炎や花粉症、食物アレルギーなどがある方。
- 乾燥肌:もともと皮膚が乾燥しやすい方。
- 特定の薬剤の使用:血圧の薬や痛み止めなど、薬によっては副作用として薬疹が出ることがあります。
- 自己免疫疾患などの持病:膠原病など、内科的な病気が原因となることもあります。
- 日光を浴びる機会が多い生活
診断方法と受診について
いつ受診すべきか
以下のような症状が見られる場合は、自己判断せず、皮膚科を受診することをおすすめします。
- 症状が数日経っても改善しない、あるいは悪化している
- かゆみや痛みが強く、日常生活に支障が出ている
- 赤い斑点が急に全身に広がった
- 水ぶくれやただれを伴う
- 発熱や倦怠感など、皮膚以外の症状もある
- 特定の薬を飲み始めてから症状が出た
診断の流れ
1. 問診で確認すること
医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。スムーズに答えられるよう、事前に情報を整理しておくと良いでしょう。
- いつから症状がありますか?
- どこに症状がありますか?(体の一部か、全身か)
- かゆみや痛みはありますか?
- 赤い斑点の形や大きさは変化していますか?
- 何か思い当たるきっかけはありますか?(例:新しい化粧品を使った、日光を浴びた、薬を飲み始めたなど)
- これまでに同じような症状が出たことはありますか?
- アレルギーの経験や、現在治療中の病気はありますか?
- 過去にご病気をされたことはありますか?
- 何らかのワクチンの接種歴はありますか?
- 過去に手術をして、体内にインプラントが入っていますか?
- ご家族や同居されている方にも同じような症状が現れていますか?
- ペットや家畜を飼育していますか?
問診で詳しくお話しいただくことで、診断の大きなヒントになります。
2. 身体検査
次に、医師が直接皮膚の状態を観察します。赤い斑点の色、形、分布などを詳しく診察し、必要であればダーモスコピーという拡大鏡を使って、より詳細に皮膚の状態を確認することもあります。
3. 代表的な検査例
問診や視診だけでは診断が難しい場合、以下のような検査を行うことがあります。(医師が必要と判断した場合に行います)
- 血液検査:アレルギーの原因を調べたり、内臓の病気や感染症の有無を確認したりします。
- パッチテスト:かぶれが疑われる場合に、原因となりそうな物質を背中に貼り、反応を見ます。
- 皮膚生検:局所麻酔をして皮膚の一部を小さく切り取り、顕微鏡で詳しく調べる検査です。確定診断のために行われることがあります。
- 培養検査:感染や疑われる皮膚組織や水脹れの内容物を培養し、原因になっている細菌やカビなどを同定する方法です。
- 光線検査:光線過敏が疑われる場合に、特定の光源を皮膚の一部に照射し、反応を見ます。
受診時の準備
- お薬手帳:現在使用している薬(飲み薬、塗り薬、サプリメントなどすべて)がわかるものを持参しましょう。
- 症状のメモ:いつから、どこに、どんな症状が出たか、時系列でメモしておくと役立ちます。スマートフォンのカメラで症状を撮影しておくのも良い方法です。
- 生活歴のメモ:例えば、新しい化粧品やシャンプーを使い始めた場合、それらに含まれている成分が原因になっている可能性があります。いつから使い始めたか、製品名、メーカーはどこのものか、成分にどのようなものが入っているかなどをメモしたり写真に撮っておくと診察・治療がスムーズになる場合があります。
- 服装:診察しやすいように、着脱しやすい服装で行くとスムーズです。
- その他:医師の指示に従い、アレルギーを抑える薬などを一時的に休薬しておく必要がある場合があります。受診前にどのような薬を飲んでいて、いつからいつまで休薬が必要かを聞いておくのが良いでしょう。
受診すべき診療科
まずは皮膚科を受診しましょう。もし、皮膚の症状だけでなく関節の痛みや発熱など全身の症状がある場合は、かかりつけの医師に相談するか、総合病院の総合診療科を受診するのも方法の一つですが、予約状況によっては待ち時間が長かったり、新規の受診を受け付けていない場合もあります。
どこに相談すればよいか迷った場合は、お住まいの自治体の保健所や相談窓口に問い合わせてみるのも良いでしょう。
皮膚の赤い斑点の治療法
治療方針の決定
診断結果に基づき、医師と相談しながら治療方針を決定します。原因、症状の重さ、そして患者さん自身のライフスタイルなどを考慮して、最適な治療法が選択されます。分からないことや不安なことは、遠慮せずに医師に質問しましょう。
薬物療法
- 塗り薬(外用薬):炎症を抑えるステロイド外用薬や、非ステロイド性の抗炎症薬、かゆみを抑える成分の入った薬、保湿剤などが中心です。症状や部位に合わせて適切な強さや種類の薬が処方されます。
- 飲み薬(内服薬):かゆみが強い場合には、アレルギー反応を抑える抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が用いられます。感染症が原因であれば抗ウイルス薬や抗菌薬、症状が重い場合にはステロイドの内服薬などが使われることもあります。
- 点滴・注射:重度の症状の場合や進行の速さによっては、点滴や注射で治療を行うこともあります。
注意:薬の使用については、必ず医師の指示に従ってください。自己判断で量を減らしたり、中止したりすると、症状が悪化することがあります。
非薬物療法
- 光線療法:特定の波長の紫外線を照射することで、皮膚の過剰な免疫反応を抑える治療法です。一部の湿疹性疾患などに有効な場合があります。
- レーザー治療:老人性血管腫など、血管が原因の赤い斑点に対して行われることがあります。
- 外科的治療:患部を麻酔をして切り取る方法があります。
- 放射線治療:患部に放射線を照射して小さくしていく方法があります。
- その他:皮膚科を受診しても、根本的な原因が皮膚になかった場合、内科や外科に専門的な治療をお願いする可能性があります。
注意:これらの治療も、必ず専門の医療機関で医師の診断のもとで行う必要があります。
生活習慣による管理
- スキンケア:皮膚のバリア機能を保つため、保湿が非常に重要です。入浴後はすぐに保湿剤を塗り、肌の乾燥を防ぎましょう。
- 刺激を避ける:体を洗うときはゴシゴシこすらず、よく泡立てた石鹸で優しく洗います。衣類は、肌触りの良い綿素材などがおすすめです。
- バランスの取れた食事:皮膚の健康を保つビタミンやミネラルを意識した、バランスの良い食事を心がけましょう。
- 十分な休養:睡眠をしっかりとることで、体の免疫機能が整い、皮膚の再生も促されます。
治療期間と予後
原因となる病気によりますが、湿疹やかぶれなど症状が一時的なものは、適切な治療で数日から数週間で改善することがほとんどです。
ただし、アトピー性皮膚炎のように体質が関わるものは、症状をコントロールしながら長く付き合っていく必要があります。大切なのは、良くなったり悪くなったりを繰り返す場合でも、根気強く治療を続けることです。
予防法と日常生活での注意点
一次予防(発症予防)
- 保湿の徹底:お風呂上がりや乾燥を感じた時に、こまめに保湿剤を塗る習慣をつけましょう。
- 紫外線対策:日傘、帽子、日焼け止めなどを活用し、過度な紫外線を避けましょう。
- 刺激の少ない生活:肌に直接触れる衣類や寝具は、チクチクしない素材を選びましょう。汗をかいたら、こまめに拭き取ったりシャワーを浴びたりすることも大切です。
二次予防(早期発見・早期治療)
- セルフチェックの習慣:毎日お風呂に入る時などに、ご自身の皮膚の状態をチェックする習慣をつけましょう。「いつもと違うな」という小さな変化に気づくことが、早期発見につながります。
- 気になる症状は放置しない:少しでも気になる症状があれば、早めに皮膚科を受診することが、重症化を防ぐ一番の近道です。
日常生活の工夫
- ストレスマネジメント:趣味の時間やリラックスできる時間を作り、ストレスを上手に発散させましょう。
- 食事の見直し:香辛料の強いものやアルコールは、体を温めてかゆみを増強させることがあります。症状があるときは、控えめにすると良いでしょう。
- 記録をつける:症状が出た日時、場所、食事内容、その日の行動などをメモしておくと、原因を探る手がかりになることがあります。
家族・周囲のサポート
見た目に症状があると、本人はとても気にしているものです。周囲の方は、その不安な気持ちに寄り添い、話を聞いてあげることが大きな支えになります。「気にしすぎだよ」などと軽視せず、受診をすすめるなど、具体的な行動でサポートしてあげてください。
よくある質問(FAQ)
Q1: かゆくない赤い斑点が出現しましたが、放置しても大丈夫ですか?
A: かゆみがなくても、何らかの皮膚の病気や内臓の病気のサインである可能性があります。特に、症状が長く続いたり、だんだん広がってきたり、盛り上がってきたりした場合は注意が必要です。自己判断で放置せず、一度皮膚科で相談することをおすすめします。
Q2: 年齢とともに、赤い小さな点(老人性血管腫)が増えてきました。これは何ですか?
A: それは「老人性血管腫(ろうじんせいけっかんしゅ)」、別名「ルビースポット」と呼ばれるものである可能性が高いです。加齢に伴い皮膚の毛細血管が増殖してできる良性のできものです。健康上の心配はありませんが、見た目が気になる場合は、レーザーなどで治療することも可能です。
Q3: 帯状疱疹が心配です。どんな症状ですか?
A: 帯状疱疹は、体の左右どちらか一方に、ピリピリとした痛みを伴う赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状に現れるのが特徴です。多くは、体の抵抗力が落ちている時に発症します。50代以上で発症する人が多く、ワクチンで予防することも可能ですので、ご心配な方は医師にご相談ください。
Q4: 新しい化粧品を使ったら赤い斑点ができました。どうすればいいですか?
A: すぐにその化粧品の使用を中止し、水で優しく洗い流してください。症状が軽い場合はそれで治まることもありますが、赤みやかゆみが続く場合は、化粧品かぶれ(接触皮膚炎)の可能性があります。原因となった化粧品を持って皮膚科を受診すると、診断の助けになります。
Q5: 食べ物でじんましんが出ることがありますか?
A: はい、あります。特定の食べ物(例:青魚、甲殻類、そば、卵など)が原因でアレルギー反応が起こり、じんましんとして現れることがあります。食後数分から数時間以内に、かゆみを伴う盛り上がった赤い斑点が出るのが特徴です。過去にそれらを食べてもこれまでは問題なかったのに、急にアレルギー反応を引き起こす例もあります。原因が疑われる場合は、アレルギー検査を受けることをお勧めします。
Q6: ストレスで皮膚に赤い斑点が出ることはありますか?
A: はい、ストレスは自律神経や免疫のバランスを乱すため、じんましんや湿疹などを引き起こしたり、悪化させたりする原因になります。十分な休養をとり、リラックスできる時間を作ることが大切ですが、症状が続く場合は皮膚科で相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。
Q7: 赤い斑点がなかなか治りません。悪い病気ではないか心配です。
A: 治りにくい赤い斑点の中には、まれに、皮膚がん(例:ボーエン病、有棘細胞癌など)や、内臓の病気、血液疾患、膠原病のサインであることがあります。特に、長い間治らない、だんだん大きくなる、形が崩れてきた、などの変化がある場合は、早急に皮膚科を受診してください。
Q8: 子どもの頃アトピーだったのですが、大人になって再発することはありますか?
A: はい、あります。小児期に治っていたアトピー性皮膚炎が、成人してから、あるいは50代以降に再発することは珍しくありません。ストレスや生活環境の変化、加齢による皮膚の乾燥などがきっかけとなることがあります。
Q9: 薬を飲んでいますが、副作用で赤い斑点が出ることはありますか?
A: はい、「薬疹(やくしん)」といって、薬の副作用で赤い斑点が出ることがあります。飲み始めてすぐに出ることもあれば、数週間経ってから出ることもあります。もし薬を飲み始めてから皮膚に異常が出た場合は、処方した医師または皮膚科医に速やかに相談してください。
Q10: 赤い斑点の治療でステロイドの塗り薬を処方されました。副作用が心配です。
A: 皮膚科で処方されるステロイドの塗り薬は、症状や部位に合わせて適切な強さのものが選ばれています。医師の指示通りに、決められた期間・量を守って使用すれば、全身への副作用の心配はほとんどありません。
自己判断で塗るのをやめたり、逆に塗りすぎたりせず、正しく使うことが大切です。不安な点は医師や薬剤師に確認しましょう。
Q11: 赤い斑点は他の人にうつりますか?
A: 赤い斑点の原因によります。例えば、湿疹やじんましん、薬疹、老人性血管腫などは、他人にうつることはありません。
一方で、帯状疱疹やはしか、風疹といったウイルス性の病気や、とびひなどの細菌性の病気が原因の場合は、他の人に感染する可能性があります。気になる症状がある場合は、自己判断せず医師に相談し、感染の有無を確認してもらうことが大切です。
Q12: 肝臓が悪いと赤い斑点が出ると聞きましたが、本当ですか?
A: 肝機能が低下すると、「クモ状血管腫」といって、クモが足を広げたような形の赤い斑点が胸や首などに出ることがあります。これは肝臓で女性ホルモンが分解されにくくなることなどが原因です。
ただし、皮膚の赤い斑点のすべてが肝臓の病気と結びつくわけではありません。多くは皮膚自体の問題です。もし、全身の倦怠感や黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)など、他の症状も伴う場合は、内科を受診して相談しましょう。
Q13: 赤い斑点を隠すために、コンシーラーなどを使っても良いですか?
A: 症状が出ているときのメイクは、できるだけ避けるのが望ましいです。特に、じくじくしていたり、かゆみが強かったりする部分にメイクをすると、症状を悪化させてしまう可能性があります。
どうしても隠したい場合は、皮膚科医に相談の上、低刺激性でアレルギーテスト済みの製品を選ぶようにしましょう。帰宅後は、こすらず優しく、すぐに洗い流すことを忘れないでください。
Q14: 症状があるとき、温泉やプールに入っても大丈夫ですか?
A: これも原因によります。感染性のない湿疹などであれば問題ないことが多いですが、温泉の成分やプールの塩素が刺激となり、症状を悪化させる可能性はあります。
また、帯状疱疹やとびひなど、伝染する可能性のある病気の場合は、完治するまで他の人との接触は避けるべきです。ご自身の判断で入る前に、一度医師に確認することをおすすめします。
Q15: 赤い斑点に漢方薬は効きますか?
A: 特定の漢方薬の中に、皮膚の炎症を抑えたり、かゆみを和らげたり、体質そのものを改善したりする目的で、皮膚疾患の治療に用いられることがあります。例えば、血行を良くしたり、体の余分な熱を冷ましたり、水分バランスを整えたりする漢方薬が処方されることがあります。
西洋医学の治療と並行して行うことで、良い効果が期待できる場合もありますので、興味がある方は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。
Q16: 赤い斑点と同時にむくみも出てきました。関連はありますか?
A: はい、関連がある場合があります。例えば、じんましんの一種である「血管性浮腫」では、皮膚の深いところで血管がむくみ、まぶたや唇が腫れぼったくなることがあります。
また、非常にまれですが、心臓や腎臓の機能が低下している場合に、体のむくみとともに皮膚に症状が現れることもあります。特に、息切れや体重の急な増加などを伴う場合は、早めに内科やかかりつけ医に相談してください。
Q17: 日光に当たると赤い斑点が出ます。どう対策すれば良いですか?
A: 日光に含まれる紫外線が原因でアレルギー反応が起こる「光線過敏症」の可能性があります。対策の基本は、紫外線を徹底的に避けることです。日差しの強い時間帯の外出を避け、長袖・長ズボン、帽子、日傘を活用しましょう。
日焼け止めは、SPF/PA値が高いものを選ぶだけでなく、肌への刺激が少ない「ノンケミカル処方(紫外線吸収剤不使用)」のものを選ぶと良いでしょう。汗をかいたらこまめに塗り直すことも大切です。
Q18: 虫刺されのような赤い斑点がたくさんできました。ダニが原因でしょうか?
A: 屋内にいるダニ(イエダニなど)に刺されると、お腹や太ももの内側など、皮膚の柔らかい部分に強いかゆみを伴う赤い斑点ができます。夜間に刺されることが多いのも特徴です。
もしダニが疑われる場合は、こまめな掃除と寝具の洗濯・乾燥が重要になります。ただし、他の虫(ノミや南京虫など)の可能性もあるため、症状がひどい場合は皮膚科で診断してもらうのが確実です。
Q19: 赤い斑点の部分をマッサージしても良いですか?
A: いいえ、マッサージは避けてください。赤い斑点がある部分は、皮膚が炎症を起こしている状態です。マッサージによる物理的な刺激は、その炎症をさらに悪化させたり、かゆみを強くしたりする原因になります。
血行が良くなることで、かえって症状が広がる可能性もあります。症状がある部分は、掻いたりこすったりせず、安静に保つことが大切です。
Q20: 食生活で特に気を付けることはありますか?
A: 皮膚の健康には、バランスの取れた食事が基本です。特に、皮膚や粘膜を健やかに保つビタミンB群(豚肉、レバー、納豆など)、抗酸化作用で皮膚の老化を防ぐビタミンA・C・E(緑黄色野菜、果物、ナッツ類など)を積極的に摂りましょう。
逆に、香辛料の強いもの、アクの強い食品、脂肪分や糖分の多いものは、かゆみを悪化させることがあるため、症状が出ている間は控えめにすると良いでしょう。
まとめ
大切なポイント
- 皮膚の赤い斑点は、ありふれた症状ですが、その裏にはさまざまな原因が隠されています。
- 50代・60代は、加齢やホルモンバランスの変化により、皮膚がデリケートになる時期です。
- 症状が続く、広がる、痛みを伴うなど、いつもと違うと感じたら、専門医への相談が大切です。
- 日々の保湿と紫外線対策が、健やかな肌を保つための基本です。
ふと鏡を見たとき、腕や胸元に見慣れない赤い点を見つけてドキッとしたり、若い頃はすぐに治ったはずのちょっとした肌トラブルが、なんだか長引くようになったり。それは、あなたの体からの「少し休んで、私の声を聞いて」というサインなのかもしれません。
その小さな赤い点は、あなたの体が正直に今の状態を教えてくれている証。一人で抱え込まず、専門家という”伴走者”に頼ってみてください。正しい知識を得て、きちんと向き合えば、きっと心穏やかな毎日を取り戻せるはずです。
健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。
適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。
監修者プロフィール:鬼沢正道 先生

2012年 日本大学医学部を卒業、慶應義塾大学病院にて初期臨床研修を行う
2014年 慶應義塾大学整形外科学教室に入職
2016年 大手美容外科クリニックに勤務
2020年 APOLLO BEAUTY CLINICを開業
2023年 医療法人社団賢叡会設立、同法人理事長に就任
現在に至る
原宿にクリニックを開院し、6年目を迎えました。容姿にお悩みの方に対し日々真剣に向き合っておりますが、肌の色調変化は身体の大事なシグナルである可能性を常に念頭におきながら診療を行っています。これをお読みになっている方で、容姿にお悩みのある方はいつでもお気軽にご相談ください。




