あせもとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

あせもとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

公開日:2025年09月17日

あせもとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
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「ムズムズとしたかゆみが治まらない……」「強いかゆみで夜も眠れない」そんなお悩みをお持ちの50代以上の女性のみなさん。その原因は「あせも」かもしれません。この記事では、皮膚科専門医の監修のもと、あせもについて分かりやすくお伝えいたします。

小阪 捺稀
監修者
小阪 捺稀
監修者 小阪 捺稀 仙台N美容クリニック

この記事3行まとめ
✓あせもは汗の通り道が詰まることで起こる皮膚のトラブルです。
✓加齢や生活習慣の変化で、大人もあせもになりやすくなります。
✓正しい知識で、適切な予防と早めの対処を心がけましょう。

あせもとは?

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「あせも」と聞くと、多くの方が子どもの病気という印象をお持ちかもしれませんね。でも実は、私たち大人の、特に50代以上の女性にとっても無関係ではない皮膚のトラブルなのです。

医学的には「汗疹(かんしん)」と呼ばれるあせもは、汗を出すための管(汗管)が詰まり、皮膚の中に汗が溜まってしまうことで起こる発疹です。高温多湿の夏場に多いのはもちろんですが、更年期によるほてりや発汗、冬場の厚着や暖房の効いた室内など、季節を問わず汗をかく機会が増えることで、大人でも発症しやすくなります。

特に私たち世代は、皮膚のバリア機能が少しずつ変化してくるお年頃。若い頃とは違う原因であせもになったり、治りにくかったりすることもあるのです。まずは「自分にも起こりうること」として、正しい知識を持つことが大切です。

よく見られる身体的症状

あせもには、汗管が詰まる皮膚の深さによって、いくつかの種類があります。

  • 水晶様汗疹(すいしょうようかんしん): 皮膚のとても浅い部分にできる、透明で小さな水ぶくれのような発疹です。かゆみや赤みはほとんどなく、数日で自然に消えることが大半です。まるで肌に朝露が降りたかのように見えることもあります。
  • 紅色汗疹(こうしょくかんしん) :一般的に「あせも」として知られているのがこのタイプです。チクチクとしたかゆみや熱感を伴う、赤いブツブツとした発疹が特徴です。汗をかきやすい首すじや肘・膝の裏、ベルトや下着で締め付けられる部分によく見られます。かゆみが強いため、つい掻いてしまいがちですが、掻き壊すと症状が悪化したり、「とびひ(伝染性膿痂疹)」という細菌感染症につながることもあります。慢性化すると湿疹になってしまう場合もあるので注意が必要です。
  • 深在性汗疹(しんざいせいかんしん) :皮膚のさらに深い部分で起こるあせもで、日本ではまれなタイプです。熱帯地方などの高温環境で、紅色汗疹を繰り返した後に見られることがあります。

50代以上の女性は、特に紅色汗疹に悩まされる方が多いようです。急なほてり(ホットフラッシュ)でどっと汗をかいた後、首すじや胸の谷間にチクチクとしたかゆみを感じたら、それはあせものサインかもしれません。

心理的な変化

チクチク、ムズムズとしたかゆみは、想像以上に私たちの心を乱すものです。集中力が削がれたり、夜ぐっすり眠れなくなったりすることもあるでしょう。また、首すじやデコルテなど、人目に触れやすい場所に赤いブツブツができてしまうと、おしゃれを楽しみたい気持ちが萎縮してしまったり、人と会うのが少し億劫に感じられたりすることもあるかもしれません。

「たかが、あせも」と軽く考えずに、こうした心理的な影響もきちんとケアしてあげることが、健やかな毎日を送るための秘訣です。

厚生労働省が実施している患者調査(2023年)では、「あせも(汗疹)」単独での大規模な統計は多くありません。しかし、関連する皮膚疾患のデータを見ると、夏場(7月~8月)に皮膚科を受診する患者さんが増える傾向にあり、その中にはあせもや、あせもが悪化して起こる皮膚トラブルが多く含まれていると推測されます。

また、近年は猛暑の影響で、成人、特に高齢者の熱中症や、それに伴う皮膚トラブルが増加傾向にあると報告されています。体温調節機能が若い頃とは変化してくる私たち世代にとって、汗との上手な付き合い方が、健康を保つ上でますます重要になっていると言えるでしょう。

あせもの原因とメカニズム

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あせもができてしまう主な原因は、シンプルに言えば「汗の出口が詰まってしまうこと」です。では、なぜ出口が詰まってしまうのでしょうか。それにはいくつかの要因が関わっています。

1. 生理学的要因

  • 大量の発汗:一度にたくさんの汗をかくと、汗の成分や皮膚の垢(あか)などが混ざり合い、汗管を塞ぎやすくなります。更年期世代の女性に見られるホットフラッシュや、運動、高熱なども大量発汗の引き金になります。
  • 皮膚のバリア機能の低下:加齢や乾燥、紫外線の影響などで皮膚のバリア機能が低下すると、外部からの刺激に弱くなり、ターンオーバー(皮膚の新陳代謝)が乱れがちになります。すると、古い角質がうまく剥がれ落ちずに汗管の出口を塞いでしまうことがあります。
  • 皮脂の分泌:皮脂の分泌が多いと、汗やほこりと混じり合って毛穴や汗管を詰まらせる原因になります。

2. 環境的要因

  • 高温多湿:日本の夏のように気温も湿度も高い環境は、汗が蒸発しにくく、常に皮膚が湿った状態になるため、あせもがもっとも発生しやすい条件です。
  • 通気性の悪い衣類:化学繊維の下着や、体を締め付けるようなデザインの服は、汗を吸い取りにくく、皮膚を蒸れた状態にしてしまいます。
  • 暖房の効かせすぎ:冬でも、暖房が効いた室内で厚着をしていると、じっとりとした汗をかき、あせもの原因になることがあります。
  • 長時間のマスク着用:マスクで覆われた部分は、呼気に含まれる湿気で蒸れやすく、顔にあせもができる原因となることがあります。

3. 心理社会的要因

50代以上の女性は、仕事や家庭で重要な役割を担っている方が多く、知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでいることがあります。ストレスは自律神経のバランスを乱し、体温調節機能に影響を与えたり、異常な発汗を促したりすることが知られています。また、介護などで自分の時間を確保するのが難しく、汗をかいてもすぐに対処できない状況が続くことも、あせものリスクを高める一因となるかもしれません。

発症メカニズム

あせもは、以下のステップで発症します。

  1. 汗管の閉塞:大量の汗や、皮膚の汚れ、古い角質などが汗管の出口を塞ぎます。
  2. 汗の漏出:出口を失った汗が、汗管の壁から周囲の組織へと漏れ出します。
  3. 炎症反応:漏れ出た汗が刺激となり、皮膚が炎症を起こします。皮膚の浅い部分で漏れると、炎症の少ない「水晶様汗疹」になります。もう少し深い部分で漏れて炎症が起こると、かゆみを伴う赤いブツブツの「紅色汗疹」になります。

このメカニズムを理解すると、予防のためには「汗をかきすぎない工夫」と「汗の出口を詰まらせないケア」の両方が大切だということが分かりますね。

リスク要因

以下のような方は、あせもになりやすい傾向があるため、特に注意が必要です。

  • 汗をかきやすい体質の方
  • 更年期のホットフラッシュがある方
  • 肥満傾向の方(皮膚がこすれやすく、汗がたまりやすいため)
  • 糖尿病など、感染症にかかりやすい持病のある方
  • 普段から体を締め付ける下着や衣類を好んで着る方
  • 汗をかいた後、シャワーを浴びたり着替えたりする習慣がない方
  • 肌が乾燥しがちな方

ご自身の生活習慣や体質を振り返り、当てはまる項目があれば、次の章でご紹介する予防法をぜひ参考にしてみてください。

診断方法と受診について

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次に、受診する場合の流れについて説明します。「このブツブツ、あせもかしら?」と思ったら、どんなタイミングで、どこへ行けばよいのでしょうか。

いつ受診すべきか

基本的には、あせもはセルフケアで改善することが多い皮膚トラブルです。しかし、以下のような症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

  • かゆみが非常に強く、夜も眠れないほどつらい
  • 市販の薬を数日使っても、症状が良くならない、または悪化している
  • 発疹の範囲がどんどん広がっている
  • 掻き壊してしまい、じゅくじゅくしたり、膿(うみ)を持ったりしている(とびひの可能性)
  • 発熱やだるさなど、皮膚以外の症状も伴う
  • 「あせも」なのか、他の皮膚病(かぶれ、じんましん、帯状疱疹など)なのか、自分で判断がつかない

特に、掻き壊して細菌感染を起こしてしまうと、治りが遅くなるだけでなく色素沈着を引き起こしてしまい、痕(あと)が残ってしまうこともあります。早めの受診が、きれいな肌を保つための鍵となります。

診断の流れ

皮膚科を受診すると、一般的に以下のような流れで診断が進みます。

1. 問診で確認すること

医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。ご自身の言葉で、できるだけ詳しく伝えられると、診断がスムーズになります。

  • 「いつから、どこに症状がありますか?」
  • 「どんな時にかゆみが強くなりますか?(例:汗をかいた後、お風呂上がりなど)」
  • 「チクチク、ヒリヒリなど、どのようなかゆみですか?」
  • 「最近、たくさん汗をかくようなことがありましたか?」
  • 「普段、どのようなお仕事をされていますか?生活スタイルは?」
  • 「今、使っているお薬やスキンケア用品はありますか?」
  • 「これまでにも同じような症状を繰り返したことはありますか?」

問診が終わると、次は発疹の状態を詳しく観察します。

2. 身体検査

医師が、発疹の状態を直接目で見て確認(視診)します。発疹の形、色、分布、大きさなどを詳しく観察することで、あせもの種類や重症度を判断します。必要に応じて、拡大鏡(ダーモスコープ)を使って、より詳細に皮膚の状態を調べることもあります。

プライバシーには十分に配慮されますので、ご安心ください。下着で隠れる部分に症状がある場合も、ためらわずに見せることが大切です。

身体検査でほとんどの場合は診断がつきますが、他の病気の可能性が疑われる場合には、さらに検査を行うことがあります。

3. 代表的な検査例

通常、あせもの診断で特別な検査を行うことはまれです。しかし、症状が典型的でなかったり、他の皮膚病との区別が難しかったりする場合には、以下のような検査が検討されることがあります。(医師により必ず実施するわけではありません)

  • 真菌検査(顕微鏡検査):水虫(白癬菌)やカンジダなど、カビ(真菌)による感染症が疑われる場合に、皮膚の表面を少しこすって採取し、顕微鏡で調べます。
  • 皮膚生検:非常にまれですが、診断が困難な場合に、局所麻酔をして皮膚の一部を小さく切り取り、病理組織学的に詳しく調べることがあります。

多くの場合、問診と視診で診断は完了し、治療へと進みます。

受診時の準備

受診の際には、以下のものを準備しておくと診察がスムーズです。

  • 健康保険証、診察券
  • お薬手帳:現在服用中の薬や、使用中の塗り薬がわかるように。
  • 症状のメモ:いつから、どこに、どんな症状が、どんな時にひどくなるか、などを簡単にメモしておくと、伝え忘れがありません。スマートフォンのカメラで発疹の写真を撮っておくのも良いでしょう。
  • ゆったりとした服装:診察で皮膚を見せやすいように、また、診察後に薬を塗っても服に付きにくいように、着脱しやすく、締め付けのない服装がおすすめです。

受診すべき診療科

あせもが疑われる場合は、皮膚科を受診するのがもっとも適切です。皮膚科は、皮膚に関するあらゆる病気の専門家です。かかりつけの内科医がいる場合は、まずはそこで相談してみるのも一つの方法です。必要に応じて、適切な皮膚科を紹介してもらえるでしょう。お近くの皮膚科を探すには、お住まいの市区町村のウェブサイトや、保健所の情報、医師会のウェブサイトなどが参考になります。

あせもの治療法

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治療方針の決定

皮膚科での治療は、まず患者さん一人一人の症状の重症度やライフスタイルを考慮して、最適な方針を決定することから始まります。医師は、あせもの種類、炎症の強さ、かゆみの程度、そして患者さんご自身の希望などを総合的に判断し、「まずはこのお薬で様子を見ましょう」「お薬と並行して、生活の中でこんな工夫をしてみましょう」といった形で、治療計画を提案してくれます。

わからないことや不安なことがあれば、この時に遠慮なく質問し、納得した上で治療を始めることが大切です。

薬物療法

あせもの治療の基本は、炎症とかゆみを抑えるための塗り薬(外用薬)です。

  • 非ステロイド性抗炎症薬:炎症がごく軽い場合に用いられます。
  • ステロイド外用薬:あせも治療の中心となるお薬です。炎症をしっかりと抑える効果があります。ステロイドと聞くと「怖い薬」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、皮膚科医の指導のもと、適切な強さのものを適切な期間使用すれば、非常に効果的で安全な薬です。症状に合わせて強さがランク分けされており、医師が最適なものを選択します。長期間に渡ってご自身の判断で使用することがないよう、必ず医師の指示に従って使用することが必要です。
  • 抗ヒスタミン薬(飲み薬):かゆみが非常に強い場合には、かゆみを抑えるための飲み薬が処方されることもあります。夜のかゆみで眠れない時などに特に有効です。
  • 抗菌薬(塗り薬・飲み薬):掻き壊して細菌感染(とびひ)を合併してしまった場合には、細菌を退治するための抗菌薬が必要になります。

【注意】 市販薬にもあせもに効くものがたくさんありますが、症状に合わないものを使ったり、漫然と使い続けたりすると、かえって悪化させてしまうこともあります。症状が改善しない場合は、自己判断で続けずに、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

非薬物療法

薬物療法と並行して、スキンケアを中心とした非薬物療法も重要です。

  • 冷却:かゆみが強い時は、患部を冷やすのが効果的です。冷たいシャワーを浴びたり、清潔なタオルで包んだ保冷剤を当てたりすると、かゆみが和らぎます。ただし、保冷剤を直接あてないようにし、冷やしすぎには注意しましょう。
  • 正しい洗浄:汗をかいたら、できるだけ速やかにシャワーで洗い流すのが理想です。石鹸やボディソープはよく泡立て、肌をこすらずに、泡で優しくなでるように洗いましょう。洗浄成分が肌に残らないよう、すすぎは十分に行います。
  • 保湿:あせもは汗が原因ですが、肌が乾燥しているとバリア機能が低下し、かえってあせもになりやすくなります。入浴後やシャワーの後は、刺激の少ない保湿剤で肌の潤いを保つことが、あせもの予防・改善につながります。

【注意】 昔から「あせもには天花粉(ベビーパウダー)」と言われますが、現代の医学では必ずしも推奨されていません。パウダーが汗を吸って固まり、かえって汗管を詰まらせてしまう可能性も指摘されています。使用したい場合は、まず医師に相談することをおすすめします。

生活習慣による管理

お薬だけに頼るのではなく、日々の生活を見直すことが、あせもの根本的な改善と再発予防につながります。

  • こまめな汗の処理:汗をかいたら、濡れたタオルや汗拭きシートで優しく押さえるように拭き取ります。強い摩擦は色素沈着のリスクにもなりますし、ゴシゴシこするのは禁物です。
  • 衣類の選択:吸湿性・速乾性に優れた綿や麻、機能性素材の下着や衣類を選びましょう。締め付けの少ない、ゆったりとしたデザインがおすすめです。
  • 室温・湿度の管理:エアコンや除湿器を上手に利用し、室内を快適な温度・湿度に保ちましょう。寝る時も、タイマー機能を活用するなどして、汗をかきすぎない環境を整えることが大切です。
  • バランスの取れた食事:肌の健康を保つためには、ビタミンやミネラルを豊富に含む、バランスの取れた食事が基本です。特に、皮膚のターンオーバーを助けるビタミンB群などを意識して摂ると良いでしょう。

治療期間と予後

軽いあせもであれば、適切なスキンケアとセルフケアで数日から1週間程度で改善します。ステロイド外用薬などを使った場合も、炎症が治まれば速やかに良くなります。

ただし、掻き壊してしまったり、細菌感染を合併したりすると、治療が長引くことがあります。また、あせもになりやすい環境や生活習慣が改善されなければ、夏の間ずっと症状を繰り返してしまうことも少なくありません。

大切なのは、症状が良くなっても油断せず、日頃から汗のケアを心がけ、あせもを「繰り返さない」ようにすることです。

予防法と日常生活での注意点

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一次予防(発症予防)

あせもを未然に防ぐためには、汗との上手な付き合い方が何よりも大切です。

  • 汗をかいたら、放置しない:これが最大の予防法です。シャワー、入浴、濡れタオルで拭くなど、こまめに対処しましょう。
  • 通気性の良い服装を心がける:風通しの良い、ゆったりとした服装で、肌が蒸れるのを防ぎます。下着は特に、吸湿性の高い綿素材がおすすめです。
  • 涼しい環境で過ごす:日中の暑い時間帯の外出を避けたり、エアコンを適切に使ったりして、無駄な汗をかかない工夫を。
  • 肌を清潔に保つ:毎日の入浴で、汗や皮脂、汚れをきちんと洗い流しましょう。ただし、洗いすぎは禁物です。
  • 日頃からの保湿ケア:潤いのある健康な肌は、外部刺激に強く、あせもになりにくい状態です。乾燥しがちな冬場だけでなく、年中通してお風呂上がりには、忘れずに保湿を。

二次予防(早期発見・早期治療)

「あせもかな?」と思ったら、悪化させないうちに早めに対処することが二次予防になります。

  • かゆみやブツブツに気づいたら、すぐに行動:まずは汗を流し、患部を冷やしてみましょう。
  • 掻かない勇気を持つ:かゆいと無意識に掻いてしまいがちですが、ぐっと我慢。掻くことで炎症が広がり、治りが遅くなります。爪は短く切っておきましょう。
  • 市販薬を試す場合は、慎重に:薬剤師に相談し、症状に合ったものを選びましょう。2~3日使っても改善しない場合や、赤みなどの炎症が出ている場合には皮膚科を受診します。
  • 自分の「あせもができやすい場所」を知る:首すじ、胸元、ウエスト周りなど、ご自身が汗をかきやすく、あせもができやすい場所を把握し、特に注意してケアしましょう。

日常生活の工夫

あせもと上手に付き合いながら、毎日を快適に過ごすための小さな工夫をご紹介します。

  • 外出時には:汗拭きシートや濡らしたハンドタオル、着替えの下着などを持ち歩くと安心です。扇子やハンディファンなども上手に活用しましょう。
  • 寝具の工夫:吸湿性の良いシーツや敷きパッドを使ったり、寝室の温度を快適に保ったりすることで、睡眠中の発汗をコントロールします。
  • 入浴剤の活用:保湿成分の入った入浴剤や、肌に優しい弱酸性の入浴剤を選ぶのも良いでしょう。ただし、香料や着色料が刺激になることもあるので、肌に合うものを選びましょう。
  • ストレスマネジメント:趣味の時間を持ったり、軽い運動をしたり、友人とおしゃべりを楽しんだり。自分なりの方法でストレスを上手に発散させることも、健やかな肌を保つ秘訣です。

家族・周囲のサポート

もし、ご家族や身近な方が「かゆそうにしているな」と感じたら、「汗をかいたから、シャワーを浴びたら?」「冷たいタオル、持っていこうか?」など、さりげなく声をかけてあげられると素敵ですね。

特に、ご高齢の家族がいる場合は、室温の管理に気づかなかったり、汗をかいても着替えるのが億劫だったりすることがあります。周囲の方が少し気を配ってあげることで、つらい皮膚トラブルを防ぐことができます。

よくある質問(FAQ)

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Q1: 大人のあせもは、なぜできるのですか?

A: 大人のあせもは、子どもの頃とは少し違う原因が隠れていることがあります。更年期によるホットフラッシュ(急なほてりや発汗)で大量に汗をかいたり、加齢によって肌の乾燥が進み、皮膚のバリア機能が低下したりすることが大きな要因です。また、体を締め付ける補正下着や、吸湿性の悪い化学繊維の衣類なども、肌を蒸れさせ、あせもの原因になります。生活習慣や体質の変化が、大人ならではのあせもを引き起こすのですね。

Q2: あせもと汗かぶれ(汗あれ)はどう違うのですか?

A: とても良い質問ですね。この二つは混同されやすいのですが、メカニズムが異なります。「あせも」は汗の管が詰まって、汗が皮膚の中に漏れ出てしまう状態です。一方、「汗かぶれ」は、汗そのものに含まれる塩分やアンモニアなどの成分が、皮膚への刺激となって炎症を起こす状態、つまり「接触皮膚炎」の一種です。ただ、どちらも汗が引き金になる点は同じですし、対処法も似ています。いずれにしても、汗をかいたらこまめに拭き取ったり洗い流したりすることが大切です。

Q3: あせもに市販の薬は効きますか?どんなものを選べばいいですか?

A: はい、市販薬も上手に使えば有効です。かゆみが主な場合は「抗ヒスタミン成分」や「鎮痒成分(クロタミトンなど)」、赤みや炎症がある場合は「非ステロイド性抗炎症成分」や、弱いランクの「ステロイド成分」が配合されたものを選ぶと良いでしょう。クリーム、軟膏、ローションなど様々なタイプがありますが、べたつきが気になる場所にはローションタイプが使いやすいかもしれません。ただし、2~3日使用しても改善しない、または悪化するようなら、自己判断を続けずに皮膚科を受診してくださいね。

Q4: かゆくて眠れません。どうしたら良いですか?

A: おつらいですね。夜のかゆみは本当に堪えがたいものです。まずは、寝る前にぬるめのシャワーを浴びて汗やほこりを流し、肌を清潔にしましょう。そして、患部を清潔なタオルで包んだ保冷剤などで優しく冷やすと、かゆみが和らぎます。寝室の温度はエアコンで快適に保ち、寝具は吸湿性の良い綿素材のものを選ぶと良いでしょう。それでもかゆみが治まらない場合は、かゆみを抑える飲み薬(抗ヒスタミン薬)を処方してもらうこともできますので、我慢せずに皮膚科医にご相談ください。

Q5: あせもの痕(あと)は残りますか?

A: 通常、軽いあせもであれば、きれいに治り、痕が残ることはほとんどありません。心配なのは、かゆみのために強く掻き壊してしまった場合です。皮膚の深い部分まで傷つけてしまうと、炎症後色素沈着といって、シミのような茶色い痕がしばらく残ることがあります。また、細菌感染を起こした場合も痕になりやすいです。痕を残さないためにも、何よりも「掻かないこと」、そして症状が強ければ「早めに皮膚科で適切な治療を受けること」が大切です。

Q6: 更年期のホットフラッシュであせもができます。どう付き合えばいいですか?

A: ホットフラッシュによる突然の発汗は、あせもの大きな原因になり、お悩みの方も多いでしょう。まずは、汗をかいたらすぐに拭けるよう、濡れたタオルや汗拭きシートを常備しておくと安心です。衣類は、脱ぎ着しやすいカーディガンなどを活用し、こまめに体温調節できるように工夫しましょう。下着を吸湿速乾性の高い機能性インナーにするのもおすすめです。また、ホットフラッシュそのものを和らげるために、婦人科でホルモン補充療法(HRT)や漢方薬などについて相談してみるのも一つの選択肢です。

Q7: 汗をたくさんかくスポーツを続けたいのですが、あせもが心配です。

A: 健康のためのスポーツ、ぜひ続けていただきたいです。スポーツ時のあせも対策は、「運動中」と「運動後」のケアが鍵になります。運動中は、吸湿・速乾性に優れたウェアを選び、こまめに汗を拭きましょう。大切なのは運動後です。できるだけ時間を置かずにシャワーを浴びて汗を流し、清潔な衣類に着替えることを徹底してください。シャワーが浴びられない環境の場合は、濡れタオルで全身を丁寧に拭くだけでも効果があります。

Q8: あせもだと思っていたら、帯状疱疹でした。見分けるポイントはありますか?

A: これは非常に重要なポイントです。特に50代以降は帯状疱疹の発症が増えるため、注意が必要です。あせもは体の広範囲に、左右対称にできることが多いのに対し、帯状疱疹は体の片側(左右どちらか)に、神経の走行に沿って帯状に発疹が出ることが特徴です。また、帯状疱疹は、ピリピリ、ズキズキとした神経痛のような痛みを伴うことが多く、単なるかゆみとは異なります。少しでも「おかしいな」と感じたら、自己判断せず、すぐに皮膚科を受診してください。帯状疱疹は早期治療が非常に重要です。

Q9: 食事で気を付けることはありますか?

A: 直接的にあせもを治す食べ物というものはありませんが、肌の健康を保つための食事は、あせもの予防や改善の助けになります。皮膚の材料となる「タンパク質」、肌の新陳代謝を助ける「ビタミンB群」、抗酸化作用のある「ビタミンA・C・E」などをバランス良く摂ることが大切です。香辛料の多い刺激的な食事は、発汗を促し、かゆみを増強させることがあるので、症状がひどい時は少し控えた方が良いかもしれません。

Q10: あせもは人にうつりますか?

A: いいえ、あせもそのものが他の人にうつる(感染する)ことはありません。ご家族とタオルや寝具を共用しても大丈夫です。ただし、あせもを掻き壊したところに細菌が感染して「とびひ(伝染性膿痂疹)」になってしまった場合は、そのじゅくじゅくした部分から他の人や、ご自身の体の他の部位にうつることがあります。あせもを掻き壊さないこと、そしてもしじゅくじゅくしてきたら、すぐに治療を受けることが大切です。

まとめ

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大切なポイント

  • あせもは汗の出口が詰まることで起こり、大人でも発症します。
  • 治療の基本は、炎症を抑える塗り薬と、汗をこまめに処理するスキンケアです。
  • 掻き壊すと悪化したり痕が残ったりするため、かゆみが強い場合は我慢せず皮膚科を受診しましょう。
  • 通気性の良い衣類を選び、涼しい環境を保つなど、日々の生活での予防が最も重要です。

なんだか最近、若い頃とは汗のかき方が変わってきたな、と感じることはありませんか?急に顔が熱くなったり、自分でも気づかないうちにじっとりと汗をかいていたり。それは、あなたの体が新しい季節を迎えようとしている、自然なサインなのかもしれません。

あせもは、そんな体の変化が「ちょっと待って、少しケアが必要だよ」と教えてくれている小さな声のようなもの。チクチクとしたかゆみは、私たちを少しだけ悩ませるけれど、それは同時に、自分の体を慈しむきっかけをくれているのかもしれません。

汗をかいたら、優しく拭いてあげる。風通しの良い服で、肌を解放してあげる。そんな一つひとつの丁寧なケアは、まるで自分自身に「いつもありがとう」と伝えているようです。つらい時は、専門家の力を借りたっていい。大切なのは、あなたが心地よく、笑顔でいられること。私たちは、これからも変化していく自分と上手に付き合いながら、しなやかに、美しく輝いていけるのですから。


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この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。

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監修者プロフィール:小阪 捺稀さん    

小阪 捺稀さん

日本医科大学卒業。大手美容クリニックにて院長経験後、2024年に仙台駅前で仙台N美容クリニックを開業。カウンセリングからアフターサポートまで全て院長自らが行い、県外からも指名多数の人気クリニック。目元整形の症例は年間1500件以上を誇る。

HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

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