耳のニキビとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

耳のニキビとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

公開日:2025年11月18日

耳のニキビとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
webweb / PIXTA

耳のニキビでお悩みの50代・60代の女性のみなさんへ。この記事では、よしクリニック院長の中野貴光医師の監修のもと、耳のニキビについて分かりやすくお伝えいたします。

よしクリニック院長 中野 貴光
監修者
中野 貴光
監修者 中野 貴光 よしクリニック

この記事3行まとめ

✓耳のニキビはホルモンバランスの乱れや洗い残しが主な原因です。
✓50代・60代は加齢によるターンオーバーの遅れも影響します。
✓悪化する前に、正しいケアと生活習慣の見直しで予防・改善しましょう。

耳のニキビの正体とは?

Luce / PIXTA

耳にできるニキビは、顔にできるものと同じく「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という皮膚の病気です。毛穴に皮脂や古い角質が詰まり、そこでアクネ菌が増殖して炎症を起こすことで発生します。

特に50代・60代の女性は、ホルモンバランスの変化や肌の乾燥、ターンオーバーの乱れなどが原因で、これまでニキビに無縁だった方でも耳の周りにできやすくなることがあります。耳たぶや耳の裏、時には耳の中など、皮脂腺が多い場所にポツンとでき、触れると痛みを感じることも少なくありません。

よく見られる症状

ニキビは、その進行度によってさまざまな症状を見せます。

  • 白ニキビ・黒ニキビ: 炎症が起きていない初期段階。毛穴に皮脂が詰まった状態で、痛みはほとんどありません。
  • 赤ニキビ: 詰まった毛穴でアクネ菌が増殖し、炎症が始まった状態。赤く腫れ、触れると痛みを感じます。
  • 黄ニキビ: 炎症がさらに悪化し、膿が溜まった状態。痛みが強く、治った後に跡が残りやすいため注意が必要です。
  • しこり: 炎症が皮膚の深い部分まで及ぶと、硬いしこりのようになることがあります。

耳は自分で見えにくい場所のため、気づかないうちに悪化しているケースも多いのが特徴です。

心理的な変化

「こんなところにまでニキビが……」と、憂うつな気持ちになる方もいらっしゃるでしょう。特に、痛みやかゆみを伴うと、気になって何度も触ってしまい、さらに悪化させてしまうという悪循環に陥りがちです。また、イヤリングやアクセサリーのおしゃれを楽しめなくなったり、髪をアップにすることに抵抗を感じたりと、QOL(生活の質)の低下につながることもあります。

統計データ(厚生労働省調査より)

「耳のニキビ」に限定した国の統計データは存在しませんが、ニキビ(尋常性ざ瘡)自体は、多くの方が経験するありふれた皮膚疾患です。かつては「若者のシンボル」とされていましたが、近年では生活習慣の変化やストレスなどから、大人になって発症・悪化するケースが増えています。50代・60代の女性にとっても、決して珍しい悩みではないのです。

耳のニキビの原因とメカニズム

ELUTAS / PIXTA

主な原因

耳のニキビの主な原因は、以下の3つに分けられます。

1. 生理学的要因

50代・60代の女性は、加齢に伴う体の変化が大きく影響します。

  • ホルモンバランスの乱れ: 更年期に入ると女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、相対的に男性ホルモンが優位になります。
  • ターンオーバーの遅れ: 年齢とともに肌の新陳代謝(ターンオーバー)の周期が長くなる傾向があります。すると、古い角質が自然に剥がれ落ちにくくなり、角質層が厚くなって毛穴を塞いでしまうのです。
  • 肌の乾燥: 皮膚の水分保持能力が低下し、肌が乾燥しがちになります。肌は乾燥すると、うるおいを補おうとしてかえって皮脂を過剰に分泌することがあり、ニキビの原因となります。

2. 環境的要因

日常生活に潜む、耳ならではの要因も関係しています。

  • 洗い残しや汚れ: 耳は複雑な形状をしているため、シャンプーやコンディショナー、洗顔料などが残りやすい場所です。これらの洗い残しが皮脂や汗と混ざり、毛穴を詰まらせる原因になります。
  • 物理的な刺激: 汚れた手で耳を触る癖、きつすぎるイヤリング、長時間のイヤホンやマスクの使用による蒸れや摩擦、過度な耳かきなどが、皮膚のバリア機能を低下させ、ニキビを誘発・悪化させます。
  • 寝具や髪の毛の汚れ: 枕カバーをこまめに洗濯していないと、寝ている間に雑菌が耳に付着することがあります。また、整髪料が付いた髪の毛が耳に触れることも刺激の一因です。
  • 保湿の不足:多くの人は顔はお風呂上がりに保湿をしますが、耳をしっかり保湿する人は意外と少ないのです。ですが、耳の周囲は顔の中でも特に皮膚が薄い部分でありとても乾燥しやすく、保湿が不足しやすい部位です。

3. 心理社会的要因

心と体は密接につながっています。特にこの年代の女性は、さまざまなライフイベントが重なる時期でもあります。

  • ストレスや疲労: 仕事や家庭、人間関係の悩みなどによる精神的なストレスや、睡眠不足は、ホルモンバランスを乱し、ニキビを悪化させる大きな要因です。
  • 食生活の乱れ: 脂っこい食事や糖質の多いもの、アルコールの摂りすぎは、皮脂の分泌を増やし、ニキビができやすい体内環境を作ってしまいます。

発症メカニズム

耳のニキビは、以下のステップで発症します。

  1. 毛穴の詰まり: 上記のようなさまざまな原因により、毛穴の出口が古い角質などで塞がれます。
  2. 皮脂の蓄積: 毛穴の中に皮脂が溜まり、ニキビの初期段階である「コメド(面ぽう)」が形成されます。
  3. アクネ菌の増殖: 溜まった皮脂を栄養源として、皮膚の常在菌であるアクネ菌が増殖します。
  4. 炎症: 増殖したアクネ菌が炎症を引き起こす物質を作り出し、赤く腫れたり、膿が溜まったりする炎症性のニキビへと進行します。

リスク要因

以下のような方は、耳のニキビができやすい傾向があるため注意が必要です。

  • 脂性肌(オイリー肌)の方
  • 不規則な生活を送っている方
  • ストレスを溜め込みやすい方
  • 甘いものや脂っこいものが好きな方
  • イヤホンや補聴器を長時間使用する方
  • 髪をアップにせず、耳まわりに髪がかかっていることが多い方

診断方法と受診について

Kostiantyn Postumitenko / PIXTA

次に、受診する場合の流れについて説明します。

いつ受診すべきか

以下のような症状が見られる場合は、自己判断で放置したり潰したりせず、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 痛みが強い、またはどんどん痛くなってくる
  • 赤く大きく腫れ上がっている
  • 膿を持っている
  • 繰り返し同じ場所にできる
  • 市販薬を1週間ほど使っても改善しない、または悪化した
  • 硬いしこりのようになっていて、ニキビかどうか分からない

特に、硬いしこりはニキビではなく「粉瘤(ふんりゅう・アテローム)」など、別の病気の可能性もあります。粉瘤は自然に治ることがなく、治療法も異なるため、専門医による正確な診断が重要です。

診断の流れ

多くの場合、診断は視診と問診によって行われます。

1. 問診で確認すること

医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。スムーズに答えられるよう、事前にご自身の状況を整理しておくとよいでしょう。

  • いつから症状がありますか?
  • 痛みやかゆみはありますか?
  • これまでに同じような症状を繰り返したことはありますか?
  • 現在、何か薬を飲んでいますか?(お薬手帳を持参すると確実です)
  • 普段、どのようなスキンケアをしていますか?
  • イヤホンや補聴器の使用習慣はありますか?
  • 睡眠や食事、ストレスの状況など、生活習慣について教えてください。

次に、医師が患部を直接観察します。

2. 身体検査

医師が耳やその周りの皮膚の状態を詳しく観察(視診)します。ニキビの色や大きさ、炎症の程度、膿の有無などを確認し、ニキビの進行度を判断します。多くの場合、この視診と問診の内容を総合して診断が確定します。

次に、必要に応じて追加の検査が行われることがあります。

3. 代表的な検査例

通常、耳のニキビで詳しい検査を行うことは稀ですが、症状が重い場合や他の病気が疑われる場合には、以下のような検査が検討されることがあります。(医師により必ず実施するわけではない)

  • 細菌培養検査: 症状が非常に強い場合や、一般的な治療で改善しない場合に、原因となっている菌を特定するために行われることがあります。
  • 画像検査(超音波など): 粉瘤など、ニキビ以外のしこりが疑われる場合に、その大きさや深さを確認するために行われることがあります。

受診時の準備

受診の際は、以下のものを準備しておくと診察がスムーズです。

  • 健康保険証(マイナ保険証・資格確認証)、診察券(再診の場合)
  • お薬手帳: 現在使用中の薬(塗り薬、飲み薬すべて)がわかるように
  • 症状のメモ: いつから、どのような症状があるか、試したケアなどを簡単にまとめておくと、医師に伝えやすくなります。
  • 質問したいことのメモ: 聞き忘れがないように、事前に質問をリストアップしておきましょう。

また、当日は耳まわりのメイクや整髪料は控えめにすると、診察がしやすくなります。

受診すべき診療科

耳のニキビは、まずは皮膚科を受診するのが一般的です。皮膚の専門医が、ニキビの状態に合わせた適切な診断と治療を行ってくれます。

もし、耳の中の痛みや聞こえに違和感がある場合は、耳鼻咽喉科の受診も検討しましょう。

かかりつけのクリニックがある場合は、まずはそこで相談し、必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらうのもよいでしょう。自治体のウェブサイトや保健所でも、地域の医療機関情報を得ることができます。

耳のニキビの治療法

RewSite / PIXTA

治療方針の決定

皮膚科での治療は、ニキビの種類や炎症の程度、患者さん一人一人の肌質やライフスタイルを考慮して、総合的に治療方針を決定します。医師は、ニキビを治すだけでなく、ニキビ跡を残さないこと、そして再発を防ぐことを目標に、最適な治療法を提案してくれます。治療は、薬物療法と非薬物療法、そして生活習慣の改善を組み合わせて行うのが基本です。

薬物療法

医療機関で処方される薬には、塗り薬と飲み薬があります。

塗り薬(外用薬)

  • 毛穴の詰まりを改善する薬: 古い角質を取り除き、ニキビの始まりである毛穴の詰まりを解消します。(例:アダパレン、過酸化ベンゾイル)
  • 抗菌薬: アクネ菌の増殖を抑え、炎症を鎮めます。(例:クリンダマイシン、ナジフロキサシン)

飲み薬(内服薬)

  • 抗菌薬: 炎症が強い赤ニキビや黄ニキビが多い場合に処方されます。長期間の使用は避け、医師の指示通りに服用することが大切です。(例:ミノサイクリン、ロキシスロマイシン)
  • ビタミン剤: 皮脂の分泌をコントロールしたり、肌の健康を保ったりするビタミンB群やビタミンCなどが処方されることがあります。
  • 漢方薬: 体質改善を目的として、ホルモンバランスの乱れや血行不良を整える漢方薬が用いられることもあります。(例:荊芥連翹湯、清上防風湯など)

【注意】 これらの薬は、医師の診断と処方に基づいて使用するものです。自己判断で市販薬と併用したり、以前処方された薬を使ったりすることは絶対にやめましょう。

非薬物療法

薬物療法と並行して、あるいは薬物療法で改善が見られない場合などに、以下のような治療法が検討されることがあります。

  • 面ぽう圧出(めんぽうあっしゅつ): 炎症を起こす前の白ニキビや黒ニキビの段階で、専用の器具を使って毛穴に詰まった皮脂を押し出す処置です。自分で潰すと皮膚を傷つけ、跡が残る原因になるため、必ず医療機関で行ってもらいましょう。
  • ケミカルピーリング: 皮膚に酸性の薬剤を塗り、古い角質を溶かして取り除くことで、肌のターンオーバーを促す治療法です。ニキビやニキビ跡の改善が期待できます。(保険適用外の場合が多い)

【注意】 これらの治療も、専門的な知識と技術が必要です。必ず医師の診断のもと、適切な医療機関で受けるようにしてください。

生活習慣による管理

ニキビ治療の効果を高め、再発を防ぐためには、日々の生活習慣を見直すことが不可欠です。特に、食事、睡眠、ストレス管理は、肌の健康に直結します。具体的な内容は、次の「予防法と日常生活での注意点」で詳しく解説します。

治療期間と予後

ニキビの治療は、一朝一夕には終わりません。肌のターンオーバーの周期を考えても、効果を実感するまでには数週間から数か月かかるのが一般的です。焦らず、根気強く治療を続けることが大切です。

炎症が強いニキビを放置すると、色素沈着やクレーターのような跡が残ってしまうことがあります。早期に適切な治療を開始することで、ニキビ跡のリスクを最小限に抑えることができます。

予防法と日常生活での注意点

YUME / PIXTA

一次予防(発症予防)

耳のニキビを未然に防ぐためには、日々の心掛けが重要です。

耳を清潔に保つ

  • 優しく洗う: 入浴時には、耳の後ろや耳たぶも、泡立てた洗顔料で優しく洗いましょう。ただし、耳の中に水や石鹸が入らないように注意してください。
  • しっかりすすぐ: シャンプーやコンディショナーが耳まわりに残らないよう、ぬるま湯で丁寧にすすぎます。特に髪の生え際は残りやすいので意識しましょう。
  • 水気を拭き取る: 入浴後は、清潔なタオルで耳全体の水分を優しく押さえるように拭き取ります。耳の穴の入り口は、綿棒でそっと拭う程度にしましょう。

適切な保湿ケア

洗顔後や入浴後は、顔と同じように耳まわりも化粧水や乳液で保湿しましょう。肌が乾燥すると、かえって皮脂が過剰に分泌されることがあります。
耳のまわりは眼の周囲に並んで体の中で特に皮膚が薄い部分であり、顔の中でも特に保湿が重要な部分です。

刺激を避ける

  • 触らない: 気になっても、汚れた手で耳を触る癖はやめましょう。
  • イヤホン・補聴器は清潔に: 定期的にアルコールを含んだウェットティッシュなどで拭き、清潔を保ちましょう。
  • 寝具の洗濯: 枕カバーやシーツは、雑菌の温床になりがちです。週に一度は洗濯を心がけましょう。
  • 髪型を工夫する: 整髪料が耳に付かないように注意し、時には髪をアップにするなどして、耳まわりの通気性を良くするのも効果的です。

二次予防(早期発見・早期治療)

「ポツッ」とニキビの初期症状に気付いたら、悪化させないことが肝心です。

  • 触らず、潰さない: 炎症を悪化させ、ニキビ跡の原因になります。
  • 刺激の少ないスキンケアに切り替える: アルコールフリーやノンコメドジェニックテスト済みの製品を選ぶとよいでしょう。
  • 早めに専門医に相談: 2〜3日様子を見ても改善しない、または赤みや痛みが増す場合は、迷わず皮膚科を受診しましょう。

日常生活の工夫

ニキビと上手に付き合いながら、生活の質を保つための工夫をご紹介します。

肌に合わせたスキンケア選び

  • クレンジング・洗顔料: 50代からの肌は乾燥しやすくデリケートなため、洗浄力が強すぎるものは避けましょう。肌のうるおいを奪いにくいミルクタイプやクリームタイプのクレンジング、アミノ酸系のマイルドな洗浄成分の洗顔料がおすすめです。よく泡立て、肌をこすらないように優しく洗うのがポイントです。
  • 保湿剤: 保湿はニキビケアの基本です。肌の水分を保つセラミドやヒアルロン酸、コラーゲンなどが配合された化粧水や美容液、乳液を選びましょう。ニキビができやすい方は、油分が少なく、ニキビの元になりにくいことを示す「ノンコメドジェニックテスト済み」の表示がある製品を選ぶとより安心です。

バランスの取れた食事

  • 積極的に摂りたい栄養素: ビタミンB群(豚肉、レバー、納豆など)、ビタミンC(パプリカ、ブロッコリー、果物など)、ビタミンE(ナッツ類、アボカドなど)、食物繊維(野菜、きのこ、海藻類)を意識して摂りましょう。
  • 控えめにしたい食事: 脂肪分の多い食事、糖分の取りすぎ、香辛料などの刺激物は、皮脂の分泌を増やす可能性があるため、摂りすぎに注意しましょう。

質の良い睡眠

睡眠は、肌のターンオーバーを促す成長ホルモンが分泌される大切な時間です。毎日6〜7時間を目安に、ぐっすり眠れる環境を整えましょう。寝る前のスマートフォン操作は、睡眠の質を下げるので控えめに。

ストレスを上手に発散する

軽い運動(ウォーキングなど)、趣味の時間、親しい友人との会話など、自分なりのストレス解消法を見つけ、心穏やかに過ごす時間を大切にしましょう。

家族・周囲のサポート

ご家族や周りの方は、本人が耳のニキビを気にしている素振りを見せても、過度に心配したり、むやみに「こうした方がいい」とアドバイスしたりするのではなく、まずは話を聞いて気持ちに寄り添ってあげることが大切です。バランスの取れた食事を一緒に楽しんだり、リラックスできる時間を作ったりと、生活面でさりげなくサポートできると、ご本人の心の負担も軽くなるでしょう。

よくある質問(FAQ)

Nishihama / PIXTA

Q1: 耳のニキビ、気になってつい潰してしまいます。やはりダメですか?

A: はい、ご自身で潰すのは絶対にやめましょう。指や爪には雑菌が多く、皮膚を傷つけて炎症を悪化させたり、ニキビ跡が残る原因になったりします。膿が溜まっている場合は、皮膚科で「面ぽう圧出」という適切な処置をしてもらうのが、きれいに治す一番の近道です。気になっても触らないように意識することが大切です。

Q2: 受診するなら皮膚科ですか?耳鼻科ですか?

A: まずは皮膚の専門家である「皮膚科」を受診することをおすすめします。ただし、耳の穴の中など、ニキビができた場所によっては耳鼻科の方が適切な場合もあります。もし耳の聞こえ方に違和感があったり、強い痛みが耳の奥で感じられたりする場合は「耳鼻咽喉科」を受診しましょう。どちらを受診すべきか迷う場合は、かかりつけ医に相談するのも一つの方法です。

Q3: 痛いしこりができました。これもニキビなのでしょうか?

A: ニキビが皮膚の深いところで炎症を起こし、しこりのようになることはあります。しかし、ニキビではなく「粉瘤(ふんりゅう)」の可能性も考えられます。粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物ができ、そこに垢や皮脂が溜まったもので、ニキビとは治療法が異なります。中央に黒い点が見えたり、ニキビのように自然に小さくならなかったりする場合は、一度皮膚科で診てもらいましょう。

Q4: 一度治っても、また同じ場所にニキビができます。なぜですか?

A: 同じ場所にニキビが繰り返されるのは、その部分の毛穴がニキビのできやすい状態になっているからです。例えば、無意識に触る癖があったり、シャンプーのすすぎ残しが多かったり、特定の場所に髪の毛が触れる刺激が続いていたり……といった原因が考えられます。根本的な原因を見直さないと再発しやすいため、生活習慣やヘアスタイルなどを一度見直してみましょう。

Q5: 耳のニキビは更年期と関係がありますか?

A: はい、大いに関係があります。50代前後は更年期の影響で女性ホルモンのバランスが大きく変化する時期です。これにより皮脂の分泌が増えたり、肌の乾燥が進んだり、ターンオーバーが乱れたりして、これまでニキビとは無縁だった方でも、耳やあごのまわりなどにニキビができやすくなることがあります。

Q6: 補聴器やイヤホンを使うとニキビが悪化する気がします。

A: 補聴器やイヤホンの長時間使用は、耳のニキビの原因の一つになり得ます。耳を塞ぐことで内部が蒸れて雑菌が繁殖しやすくなったり、器具が皮膚に触れる物理的な刺激が続いたりするためです。器具はこまめに清掃して清潔を保ち、長時間の連続使用を避ける、ときどき外して耳を休ませるなどの工夫をしてみましょう。

Q7: 普段の生活で、一番効果的なケアは何ですか?

A: まずは「清潔」と「保湿」です。耳の後ろまで丁寧に洗い、すすぎ残しがないように注意してください。そして、お風呂上がりには顔と同じように耳まわりも化粧水などで保湿しましょう。50代からの肌は乾燥しやすいため、保湿は非常に重要です。この基本のケアに加えて、十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけることが、ニキビ予防の土台となります。

Q8: ニキビのために、食事で特に気を付けることはありますか?

A: 特定の食品だけを避けるというよりは、バランスの良い食事を心がけることが基本です。その上で、皮脂の分泌を増やす可能性がある脂っこいものや、糖質の多いスナック菓子などは少し控えめにするとよいでしょう。反対に、肌の調子を整えるビタミンB群(豚肉、納豆など)やビタミンC(野菜、果物)、腸内環境を整える食物繊維(きのこ、海藻類)は積極的に摂ることをおすすめします。

Q9: ニキビ跡を残さないためには、どうすればいいですか?

A: 最も大切なのは「炎症を長引かせないこと」と「早期に治療を開始すること」です。赤ニキビや黄ニキビのように炎症が起きている状態を放置すると、皮膚の組織が傷つけられ、色素沈着や凹凸のある跡が残りやすくなります。自己判断で潰したりせず、炎症が軽いうちに皮膚科を受診し、適切な治療を受けることが、きれいな肌を保つ鍵です。

Q10: 耳のニキビを隠したいのですが、ファンデーションを塗っても大丈夫ですか?

A: 炎症を起こしている赤ニキビや黄ニキビの上からファンデーションを塗ることは、毛穴を塞ぎ、症状を悪化させる可能性があるため、基本的にはおすすめできません。どうしても隠したい場合は、ニキビ専用のコンシーラーなど、刺激の少ない製品をポイント的に使いましょう。そして、帰宅後はすぐに丁寧にクレンジングすることが大切です。一番は、髪型を工夫するなどして、メイクで隠さずに済む方法を考えることです。

Q11: 治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

A: ニキビの治療は、肌の生まれ変わりのサイクル(ターンオーバー)に合わせて行うため、数週間から数か月単位での継続が必要です。すぐに効果が出ないからといって諦めずに、医師の指示に従って根気強く治療を続けることが大切です。焦らず、じっくりと肌と向き合っていきましょう。

まとめ

Luce / PIXTA

大切なポイント

  • 耳のニキビは、ホルモンバランスの変化、汚れや刺激など、さまざまな要因が絡み合ってできます。
  • 治療の基本は、皮膚科での薬物療法と、日々の生活習慣の見直しです。自己判断は禁物です。
  • 「清潔」と「保湿」を基本に、耳周りを優しくケアし、刺激を与えないことが予防の第一歩です。
  • 痛みが強い、しこりになっているなど、「おかしいな」と感じたら、早めに専門医に相談しましょう。

私たちの体が変化していく中で、これまでなかった場所に不調が現れると、戸惑いや不安を感じますよね。でも、一人で悩まないでください。耳のニキビも、専門家を頼り、正しい知識で向き合えば、きっと改善できます。この記事が、健やかな毎日を取り戻すための一助となれば幸いです。


健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ

この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。

適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。

かかりつけ医について詳しく知る(厚生労働省)

 

監修者プロフィール:中野 貴光さん

中野 貴光さん

よしクリニック(東京都練馬区) 院長。日本形成外科学会形成外科専門医。日本熱傷学会熱傷専門医。日本レーザー医学会レーザー専門医。日本手外科学会手外科専門医。日本形成外科学会小児形成外科分野指導医。医学博士。形成外科・皮膚科・美容皮膚科・美容外科の医療を提供する「よしクリニック」にて、4種類の専門医をもつマルチな形成外科医として、幅広い知識と高い技術をもって診察にあたっている。

 

HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

「今日も明日も、楽しみになる」大人女性がそんな毎日を過ごせるように、役立つ情報を記事・動画・イベントでお届けします。