骨盤底筋の鍛え方とは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】

骨盤底筋の鍛え方とは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】

公開日:2025年09月30日

骨盤底筋の鍛え方とは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】
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骨盤底筋のトレーニングに関心のある50代・60代の女性のみなさんへ。この記事では、泌尿器科医・中澤佑介先生の監修のもと、骨盤底筋の効果的な鍛え方について分かりやすくお伝えいたします。

中澤佑介
監修者
中澤佑介
監修者 中澤佑介 医療法人なかざわクリニック

この記事3行まとめ

✓ 骨盤底筋を鍛えることの重要性と尿もれ改善などの主なメリット
✓ 50代・60代女性が安全にできる「締める・緩める」トレーニング方法
✓ トレーニング効果を高める日常生活での姿勢や呼吸のポイント

骨盤底筋とは?

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骨盤底筋(こつばんていきん)は、その名の通り、骨盤の底にハンモックのようについている筋肉や靭帯の集まりです。インナーマッスルの一つで、膀胱や子宮、直腸といった大切な臓器を正しい位置に保ち、支える重要な役割を担っています。また、尿道や肛門をきゅっと「締める」ことで、尿漏れや便もれを防ぐ、天然のガードルのような存在です。

しかし、この大切な筋肉も、加齢や運動不足、そして女性の場合は妊娠・出産によって少しずつ衰えてしまいます。意識して動かす機会が少ないため、衰えに気付きにくいのも特徴です。

骨盤底筋を鍛えることで得られるメリット

骨盤底筋を意識して鍛えることで、50代・60代の女性にとってうれしいメリットがたくさんあります。

  • 尿漏れの予防・改善:くしゃみや咳をした時、重いものを持った時などに思わず「あっ」となる腹圧性尿失禁の改善が期待できます。これは最も多くの方が実感する効果です。
  • ぽっこりお腹の解消:内臓が正しい位置に戻ることで、下腹部がすっきりし、美しい姿勢を保ちやすくなります。洋服の着こなしも変わってきます。
  • 腰痛の軽減:体幹が安定し、正しい姿勢を維持しやすくなるため、腰への負担が減り、腰痛の予防や改善につながります。
  • 骨盤臓器脱の予防:子宮などが下がってくる骨盤臓器脱は、多くの女性が悩む症状です。トレーニングは、その進行を防ぎ、予防する効果が期待できます。
  • 血行促進:骨盤まわりの血流が良くなることで、下半身の冷えやむくみの改善も期待できます。
  • 膣の引き締め効果:筋肉が引き締まることで、パートナーとの生活に自信が持てるようになったという声もあります。

厚生労働省の「2022年 国民健康・栄養調査」によると、50代女性で運動習慣のある人(1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続)の割合は25.8%、60代女性では27.5%という結果でした。多くの方が、日々の生活の中で十分な運動ができていないのが現状です。

しかし、骨盤底筋トレーニングは、ジムに通ったり特別な道具を用意したりしなくても、日常生活の中で「意識」することから始められる、非常に手軽で効果的な運動なのです。

骨盤底筋が衰えると発生する心身トラブル

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「最近、ちょっとしたことで尿漏れが……」「なんだか姿勢が悪くなった気がする」そんなふうに感じていませんか?それは、骨盤底筋の衰えが原因かもしれません。でも、ご安心ください。今からでも、きちんとケアをすれば大丈夫。あなたの不安がこの記事で解決できるようご説明します。

筋力低下が招く身体的な問題

骨盤底筋の筋力が低下すると、まず臓器を支える力が弱まります。その結果、くしゃみや咳、笑った時など、お腹に力が入った瞬間に尿が漏れてしまう「腹圧性尿失禁」が起こりやすくなります。最初は「少しだけ」だったのが、だんだんと回数や量が増えていくことも。

また、臓器が下がることで下腹部がぽっこりと出てしまったり、体幹が不安定になることで猫背になり、見た目の印象が変わってしまうこともあります。さらには、腰痛の慢性化にもつながります。

身体の変化が心に与える影響

尿漏れは、身体的な不快感だけでなく、「また、漏れたらどうしよう」という不安から、外出や趣味、人との交流をためらってしまうなど、心理的な影響も大きい問題です。好きな色の洋服を避け、暗い色のものばかり選ぶようになったり、長時間のバス旅行や観劇を諦めたり。

いつもトイレの場所を気にしなくてはならなくなり、日々の生活の質(QOL)を大きく下げてしまう可能性があります。

関連する他の不調やトラブル

骨盤底筋の衰えは、骨盤まわりだけの問題にとどまりません。骨盤の歪みにつながり、全身のバランスが崩れることで、膝の痛みや肩こりを引き起こすこともあります。また、骨盤内の血行不良からくる冷えやむくみ、便秘なども、骨盤底筋の機能低下と関連している場合があります。

これらはすべて、体の土台である骨盤底筋が不安定になることで起こる、ドミノ倒しのようなものなのです。

トレーニングを始める前の注意点と専門家への相談

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安全にトレーニングを始めるために

骨盤底筋トレーニングは安全な運動ですが、腰痛がひどい方や、骨盤臓器脱の症状がある方、その他、持病をお持ちの方は、まずかかりつけの医師に相談しましょう。特に、排尿時に痛みを感じる、急に尿意が我慢できなくなった、などの症状がある場合は、他の病気が隠れている可能性もあります。

自己流で始めてしまうと、かえって症状を悪化させてしまう可能性もあります。安全に、そして効果的にトレーニングを始めるために、専門家のアドバイスを受けることが大切です。

専門家(パーソナルトレーナーなど)に相談するメリット

「締める感覚がよくわからない」「このやり方で合っているのか不安」という方は、一度パーソナルトレーナーなど専門家の指導を受けることをおすすめします。専門家は、あなたに合った正しいフォームを教えてくれるだけでなく、トレーニングの強度や頻度を個別最適化してくれます。

何より、励ましながら一緒に続けてくれるパートナーがいることで、モチベーションを維持しやすくなります。「一人では続かない」という方こそ、専門家の力を借りてみましょう。

良い専門家の見つけ方

信頼できる専門家を見つけるには、まず、50代・60代など中高年女性の指導経験が豊富なトレーナーを探すのがポイントです。地域のフィットネスクラブや、理学療法士がいる施設などを調べてみましょう。体験セッションなどを利用して、トレーナーとの相性を確認するのも良い方法です。

また、同世代が集まる講座やイベントに参加してみるのも良いでしょう。同じ悩みを持つ仲間と出会えるかもしれません。

骨盤底筋の具体的なトレーニング方法

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トレーニング方針の決定

まずは、ご自身の目的をはっきりさせましょう。「尿漏れを改善したい」「ぽっこりお腹をすっきりさせたい」「健康維持のため」など、目的に合わせてトレーニング計画を立てることが継続のコツです。最初は無理せず、正しいフォームを身につけることを最優先に。専門家の指導のもとで始めるのが最も安全で確実です。

呼吸法との連携が鍵

骨盤底筋トレーニングの効果を最大限に引き出すには、呼吸との連携が非常に重要です。基本は「息を吐きながら締め、吸いながら緩める」です。腹式呼吸を意識し、息を細く長く吐きながら、骨盤底筋をゆっくりと引き上げるように締めていきます。

そして、息を吸いながら、力を抜きリラックスさせます。この呼吸法をマスターするだけで、インナーマッスルへのアプローチが格段に深まります。

1. 自重トレーニング(基本編)

自宅で器具を使わずにできる、最も基本的なトレーニングです。

【寝ながら行う基本のトレーニング】

  1. 仰向けに寝て、両膝を軽く立てます。足は肩幅に開き、腕は体の横にリラックスしておきましょう。
  2. 息をゆっくり細く長く吐きながら、肛門、膣、尿道をきゅーっと締めて、体の中に引き上げるようなイメージで力を入れます。
  3. 5〜10秒間、締めた状態をキープします。この時、お尻や太ももに余計な力が入らないように注意し、呼吸は止めないようにしましょう。
  4. 息を吸いながら、ゆっくりと力を緩めます。完全にリラックスするまで20〜30秒ほど休みます。
  5. この一連の動きを10回ほど繰り返します。これを1セットとし、1日に2〜3セット行いましょう。

よくある間違いと正しいフォーム

  • 間違い:お尻や腹筋、太ももに力が入ってしまう。呼吸を止めてしまう。早く動かしてしまう。
  • 正しいフォーム:骨盤底筋だけを「意識」して動かすことが重要です。お腹に手を当てて、腹筋が硬くなっていないか確認しながら行いましょう。あくまでもリラックスして、ゆっくりとした動作と自然な呼吸を続けることがポイントです。

2. 自重トレーニング(応用編)

基本のトレーニングに慣れてきたら、少しバリエーションを加えてみましょう。

【立ったままできるトレーニング】

  1. 足を肩幅に開いて立ち、背筋を伸ばします。軽く膝を曲げると安定します。
  2. 息を吐きながら、骨盤底筋を締めて、上に引き上げます。
  3. 5〜10秒キープし、息を吸いながら緩めます。

電車を待っている時や、信号待ちの時など、日常生活の中で気軽に取り入れられます。

【座ったままできるトレーニング】

  1. 椅子に浅めに座り、背筋をまっすぐ伸ばします。足の裏はしっかりと床につけましょう。
  2. 息を吐きながら、座面に当たっている部分(肛門や膣のあたり)を、座面から少し浮かすようなイメージで引き上げます。
  3. 5〜10秒キープし、息を吸いながら緩めます。
  4. デスクワークの合間や、テレビを見ながらでも簡単に行えます。

3. 器具を使ったトレーニング

自重トレーニングに慣れてきたら、バランスボールやトレーニングチューブなどを活用するのも効果的です。ただし、最初から負荷の高いトレーニングを行うのは絶対にやめましょう。

【椅子とタオルを使ったトレーニング】

  1. 椅子に浅めに座り、背筋を伸ばします。
  2. 丸めたタオルやクッションを太ももの間に挟みます。
  3. 息を吐きながら、タオルをゆっくりと内ももで押しつぶすように力を入れます。同時に、骨盤底筋も引き上げるように意識します。内ももと骨盤底筋は連動しているため、意識しやすくなります。
  4. 5秒キープした後、息を吸いながらゆっくりと緩めます。
  5. これを10回繰り返します。

トレーニングの頻度と期間の目安

まずは毎日続けることを目標にしましょう。1日数セットでも構いません。効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、多くの場合、2〜3か月ほどで「尿漏れの回数が減った」「姿勢が良くなった」といった変化を感じ始めます。焦らず、根気よく続けることが何よりも大切です。1年後には、きっと大きな自信につながっているはずです。

トレーニング効果を高める生活習慣

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1. 食事のポイント(タンパク質など)

筋肉はタンパク質から作られます。トレーニングの効果を高めるためにも、毎日の食事で良質なタンパク質をしっかり摂ることを意識しましょう。

  • 具体的な食材例:鶏むね肉、ささみ、鮭、あじ、卵、豆腐、納豆、ヨーグルト、チーズなど。
  • 摂り方のコツ:一度にたくさん食べるのではなく、3食に分けてこまめに摂ることが効率的です。例えば、朝食に卵やヨーグルト、昼食にお魚、夕食にお肉や豆腐、といった具合です。間食にチーズやナッツを取り入れるのも良いでしょう。

2. 休息と回復の重要性

トレーニングで使った筋肉は、休息中に回復し、強くなります。これを「超回復」と呼びます。トレーニングと同じくらい、体をしっかり休ませることも大切です。特に、質の良い睡眠は筋肉の回復に欠かせません。寝る前のスマホ操作を控える、リラックスできる音楽を聴く、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かるなど、ぐっすり眠れる環境を整えましょう。

3. 日常生活で意識するべきこと

トレーニングの時間以外でも、日常生活の中で少し意識を変えるだけで、効果は大きく変わります。

  • 正しい姿勢を保つ:座っている時も立っている時も、頭のてっぺんから糸で吊られているようなイメージで背筋を伸ばし、お腹を軽く引き締める意識を持つと、自然と骨盤底筋が使われます。
  • 呼吸を深くする:深い腹式呼吸は、インナーマッスルである骨盤底筋を刺激します。気付いた時に、ゆっくりと深呼吸する習慣をつけましょう。
  • 重いものの持ち方に気を付ける:急に重いものを持つと腹圧がかかり、骨盤底筋に負担がかかります。荷物は小分けにする、膝を曲げて腰を落としてから持つなどの工夫をしましょう。
  • トイレを我慢しすぎない:尿意を感じたら、我慢しすぎずにトイレに行くことも大切です。ただし、頻尿が気になる場合は、一度専門医に相談しましょう。

4. ストレスとの上手な付き合い方

意外に思われるかもしれませんが、ストレスは筋肉を緊張させ、骨盤底筋の動きを硬くしてしまうことがあります。リラックスできる時間を持つことは、骨盤底筋にとっても良い影響があります。趣味に没頭する、友人とおしゃべりする、ゆっくりと散歩するなど、ご自身なりのストレス解消法を見つけて、心と体の緊張をほぐしてあげましょう。

よくある質問(FAQ)

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Q1: 骨盤底筋を鍛えると、具体的にどんな良いことがありますか?

A: 最も期待できる効果は、尿漏れの予防・改善です。これは科学的にも証明されています。その他にも、内臓を正しい位置で支えることでぽっこりお腹が解消されたり、体幹が安定して姿勢が良くなり腰痛が軽減されたりといった、美容面・健康面でのうれしいメリットがたくさんあります。骨盤まわりの血流が改善されることで、冷え性の緩和につながることもあります。さらに、筋肉が引き締まることで自信にもつながります。

Q2: トレーニングの効果は、どれくらいの期間で現れますか?

A: 効果の現れ方には個人差がありますが、毎日コツコツと続けることで、早い方では数週間、一般的には2〜3か月ほどで尿漏れの回数が減るなどの効果を実感し始める方が多いです。

大切なのは、すぐに結果が出なくても諦めないこと。「筋肉は裏切らない」という言葉を信じて、まずは3か月続けてみることを目標にしましょう。体の変化はゆっくりですが、着実に起こっています。

Q3: 1日にどれくらいの時間、何回くらいやれば良いですか?

A: まずは1日5分、基本のトレーニングを10回×1セットから始めてみましょう。大切なのは時間や回数よりも、正しいフォームで「継続する」ことです。慣れてきたら、1日に2〜3セットと少しずつ増やしていくと良いでしょう。

朝起きた時や夜寝る前など、生活の中に組み込むのがおすすめです。「やらなければ」と気負わずに、歯磨きのように生活の一部にしてしまうのが長続きのコツです。

Q4: 年齢や体力に自信がなくても、安全に始められますか?

A: はい、もちろんです。骨盤底筋トレーニングは、体に大きな負担をかけずに行える運動ですので、ご高齢の方や体力に自信がない方でも安全に始められます。特に寝ながら行う方法は、関節への負担もありません。

無理のない範囲で、まずは「締めて、緩める」という感覚を掴むことから始めてみてください。大切なのは、ご自身の体と対話しながら、心地よい範囲で行うことです。

Q5: 腰痛や膝痛があるのですが、トレーニングしても大丈夫ですか?

A: 痛みがある場合は、自己判断でトレーニングを行うのは避け、まずかかりつけの医師や理学療法士にご相談ください。症状によっては、トレーニングが痛みを悪化させる可能性もあります。

専門家のアドバイスのもと、痛みのない範囲で、ご自身の体に合った方法で行うことが重要です。場合によっては、治療を優先すべきこともあります。安全第一で進めましょう。

Q6: トレーニング中に痛みを感じた場合はどうすれば良いですか?

A: トレーニング中に骨盤まわりや腰、お腹などに痛みや違和感を感じた場合は、すぐに中止してください。それは体が発している「無理をしている」というサインかもしれません。フォームが間違っているか、負荷が強すぎる可能性があります。一度専門家に見てもらうことをおすすめします

。筋肉が正しく使えている時の「効いている」感覚と、「痛み」は違います。その違いを理解することも大切です。

Q7: 自宅でのトレーニングと、ジムでのトレーニングはどちらが良いですか?

A: それぞれにメリットがあります。自宅でのトレーニングは、手軽で費用がかからず、自分のペースで続けやすいのが魅力です。一方、ジムなどで専門家の指導を受けると、正しいフォームを確実に身につけられ、モチベーションを維持しやすいという利点があります。

まずは自宅で試してみて、「感覚が掴みにくい」「一人だと続かない」と感じるようであれば、専門家を頼るのが良いでしょう。体験レッスンなどを活用するのもおすすめです。

Q8: ぽっこりお腹を解消したいのですが、腹筋運動だけではダメなのでしょうか?

A: 50代以降のぽっこりお腹の原因は、脂肪だけでなく、骨盤底筋の衰えによる内臓下垂の場合が少なくありません。その場合、一般的な腹筋運動だけでは効果が出にくいことがあります。

骨盤底筋を鍛えて内臓を正しい位置に戻すという「土台作り」と、腹筋運動を組み合わせることで、より効果的にお腹まわりを引き締めることができます。まずは土台から整える、という意識が大切です。

Q9: トレーニング効果を高める食事はありますか?

A: 筋肉の材料となるタンパク質を十分に摂ることが大切です。お肉、お魚、卵、豆腐や納豆などの大豆製品を、毎日の食事にバランス良く取り入れましょう。特に、運動後にタンパク質を摂ると、筋肉の修復に効率よく使われます。

また、筋肉の働きを助けるビタミンD(きのこ類、魚介類)や、カルシウム(乳製品、小魚)、マグネシウム(ナッツ、海藻)も意識して摂ると良いでしょう。

Q10: なかなかトレーニングが続きません。モチベーションを保つコツはありますか?

A: 「完璧にやろう」と思わないことが最大のコツです。「今日は疲れているから1回だけ」「テレビを見ながら」という日があっても大丈夫。まずは「毎日続ける」ことを目標に、ハードルを下げてみましょう。

カレンダーにシールを貼る、小さなご褒美を用意するなど、ゲーム感覚で楽しむのもおすすめです。また、なぜこのトレーニングを始めたのか、という最初の目的を時々思い出してみるのも良いでしょう。

Q11: 友人と比べて効果の出方が遅い気がして焦ってしまいます。

A: 効果の現れ方には、本当に個人差があります。筋肉量やこれまでの運動習慣、生活スタイルなど、さまざまな要因が影響します。他人と比べる必要は全くありません。

大切なのは、過去の自分と比べて少しでも変化を感じられることです。「先月よりトイレの回数が気にならなくなったかも」といった小さな進歩を自分で見つけて、たくさん褒めてあげましょう。あなたのペースが、あなたにとっての正解です。

Q12: プロテインなどのサプリメントは摂った方が良いですか?

A: 基本的には、毎日の食事から必要な栄養素を摂ることが理想です。もし、食が細くてどうしてもタンパク質が不足しがちだと感じる場合は、補助的にプロテインを活用するのも一つの方法です。その際は、女性向けのものや、添加物が少ないシンプルな成分のものを選ぶと良いでしょう。

ただし、摂りすぎは腎臓に負担をかけることもあるため、まずはかかりつけ医や管理栄養士に相談することをお勧めします。

Q13: 毎日トレーニングした方が効果はありますか?休む日も必要ですか?

A: 骨盤底筋トレーニングのような低負荷の運動は、毎日行っても問題ありません。むしろ、毎日続けることで神経回路がつながり、筋肉を意識しやすくなるため、習慣化しやすいというメリットがあります。

ただし、筋肉痛がひどい場合や、体調が優れない日は無理せず休みましょう。「休むのもトレーニングのうち」と心得て、ご自身の体の声に耳を傾けることが大切です。

Q14: ウォーキングなどの有酸素運動と組み合わせると、より効果的ですか?

A: はい、非常に効果的です。ウォーキングは全身の血行を促進し、気分転換にもなります。歩く際に、少しだけ骨盤底筋を意識して「締める」ようにすると、日常生活がそのままトレーニングになります。

有酸素運動で体を温めてから骨盤底筋トレーニングを行うと、筋肉が動きやすくなり、相乗効果が期待できます。ぜひ、いつものお散歩に「骨盤底筋ウォーク」を取り入れてみてください。

Q15: 家事をしながら「ながらトレーニング」をする工夫はありますか?

A: 素晴らしいアイデアですね。例えば、信号待ちの時間や、洗い物をしている時に、骨盤底筋をきゅっと締めて数秒キープする。テレビを見ながらCMの間に数回繰り返すなど、生活の隙間時間を見つけて行うのが長続きのコツです。

「歯磨きをしながら」「ドライヤーをかけながら」など、毎日の習慣とセットにすると忘れにくくなります。ながらトレーニングなら、忙しい毎日でも無理なく続けられますね。

Q16: このトレーニングを続けると、将来どんな良いことがありますか?

A: トレーニングを続けることは、将来のQOL(生活の質)への素晴らしい投資です。尿漏れの不安なく、友人との旅行や、お孫さんとのお出かけを思いっきり楽しめる。自分の足でしっかりと歩き、好きな場所へ出かけられる。そんな、自信に満ちた健やかな毎日を送るための、大切な土台作りになります。

生涯にわたって自分らしく輝き続けるための、お守りのような習慣になるはずです。未来の自分への最高のプレゼントだと思って、ぜひ続けてみてください。

まとめ

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大切なポイント

  • 骨盤底筋は、尿漏れを防ぎ、姿勢を支える、女性の体を内側から支える大切なインナーマッスルです。
  • 安全で効果的なトレーニングの基本は、呼吸に合わせて「締めて、緩める」をゆっくり繰り返すことです。
  • トレーニング効果を高めるには、タンパク質を意識した食事と、心身をリラックスさせる十分な休息が欠かせません。
  • 「やり方がわからない」「痛みが不安」など、困ったときは一人で悩まず、かかりつけ医や専門家に相談しましょう。

骨盤底筋という体の土台をそっと整える、一日数分。自分の身体と向き合う静かな時間が、10年後の「やっててよかった」に繋がります。焦らず、比べず、自分のペースで。一緒に、しなやかな体と自信を育てていきましょう。

 

健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ

この記事の健康情報は一般的な内容です。効果には個人差があります。体調の変化に注意しながら取り組んでください。また、運動中に痛みや違和感を感じた場合は、すぐに中止し、必要に応じて医師にご相談ください。

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監修者プロフィール:中澤 佑介 先生

医療法人なかざわクリニック(石川県野々市)院長。金沢医科大学医学部医学科卒業。「患者さんに近い立場で専門的医療を提供したい」という思いで2021年、なかざわ腎泌尿器科クリニックを開設。2024年9月、JR金沢駅前に金沢駅前内科・糖尿病クリニックを開設。
 

HALMEK up編集部
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