熱はないのに熱っぽいのはなぜ?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

熱はないのに熱っぽいのはなぜ?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

公開日:2025年10月22日

熱はないのに熱っぽいのはなぜ?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

熱はないのに熱っぽい症状でお悩みの50代の女性のみなさんへ。この記事では、内科医の鳥越勝行先生の監修のもと、熱はないのに熱っぽい症状について分かりやすくお伝えいたします。

鳥越勝行
監修者
鳥越勝行
監修者 鳥越勝行 健康塾クリニック

この記事3行まとめ

✓熱がないのに熱っぽく感じる主な原因は、更年期によるホルモンバランスの乱れや自律神経の乱れです。
✓50代女性では特に更年期症状の一つ「ホットフラッシュ」が関係していることが多くあります。
✓症状が続く場合は他の病気の可能性も考え、我慢せずに婦人科や内科を受診することが大切です。

熱はないのに熱っぽいのはなぜ?

HM / PIXTA

「熱はないのに熱っぽい」とは、体温計で測っても平熱なのに、体の中からカーッと熱くなるような感覚や、顔や体がほてるように感じる状態のことです。医学的には「熱感(ねっかん)」と呼ばれます。

特に50代の女性にとっては、更年期を迎える中で多くの方が経験する身近な症状の一つです。自分だけがおかしいのではないかと不安に思うかもしれませんが、決して珍しいことではありません。この症状の背景には、女性ホルモンのゆらぎや、長年の社会や家庭での役割による心身の疲れが関係していることもあります。

よく見られる身体的症状

熱っぽさと一言でいっても、その現れ方はさまざまです。50代の女性からよく聞かれる身体的な症状には、以下のようなものがあります。

  • ホットフラッシュ:突然、顔や胸のあたりがカーッと熱くなり、汗が噴き出す。数分でおさまることが多い。
  • ほてり・のぼせ:常に顔や手足がポカポカと熱を持っているように感じる。
  • 微熱感:熱を測っても平熱なのに、なんとなく微熱があるようなだるさを感じる。
  • 寝汗:夜中に暑くて目が覚め、パジャマがぐっしょり濡れていることがある。
  • だるさ・倦怠感:熱っぽさと同時に、体が重く、何もする気が起きないようなだるさを感じる。
  • 動悸・息切れ:急に心臓がドキドキしたり、少し動いただけでも息が上がったりする。

心理的な変化

体の不調は、心の状態にも影響を与えます。熱っぽさが続くことで、以下のような心理的な変化を感じる方も少なくありません。

  • イライラ・不安感:ささいなことで腹が立ったり、理由もなく急に不安になったりする。
  • 気分の落ち込み:これまで楽しめていたことにも興味がわかず、気分が沈みがちになる。
  • 集中力の低下:仕事や家事に集中できず、ミスが増えたり、物忘れが気になったりする。
  • 不眠:寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるなど、睡眠に関する悩みが出てくる。

統計データ(厚生労働省調査より)

厚生労働省の調査によると、更年期を迎える女性の多くが何らかの不調を経験しています。中でも「ほてり、のぼせ、発汗」といった血管運動神経系の症状は、代表的な更年期症状として挙げられています。

通常、更年期とはその前後5年、合計10年ほどの期間を指すことが多く、一般的には 45〜55歳前後 が該当する年齢帯とされますこの時期は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が大きくゆらぎながら低下するため、心身にさまざまな変化が現れやすいのです。

熱はないのに熱っぽさを感じる原因とメカニズム

ペイレスイメージズ1(モデル) / PIXTA

主な原因

熱はないのに熱っぽさを感じる主な原因は、一つだけではありません。複数の要因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。

1. 生理学的要因

50代女性における最大の生理学的要因は、更年期による女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。エストロゲンは、体温調節を司る脳の「視床下部」という部分の働きを安定させる役割も担っています。しかし、更年期になりエストロゲンが急激に減少すると、視床下部が混乱し、自律神経のバランスが乱れてしまいます。

これにより、体温調節がうまくいかなくなり、実際には暑くないのに「暑い」と脳が勘違いして、血管を広げて熱を逃がそうとしたり、汗を出したりするのです。これがホットフラッシュやほてりの正体です。

2. 環境的要因
季節の変わり目や、冷暖房による室内外の急激な温度差なども、自律神経の乱れを助長し、熱っぽさを引き起こす一因となります。また、不規則な生活リズム、睡眠不足、偏った食生活なども、体温調節機能を不安定にさせる環境的要因と言えます。

3. 心理社会的要因

50代は、子どもの独立、親の介護、仕事上の立場の変化、自身の老いへの不安など、さまざまなライフイベントが重なる時期です。こうした精神的なストレスや社会的なプレッシャーは、自律神経のバランスを崩す大きな原因となります。「心因性発熱」といって、心理的なストレスが引き金となって、実際に微熱が出たり、熱っぽさを感じたりすることもあります。

発症メカニズム

熱っぽさの発症メカニズムは、主に自律神経の乱れに集約されます。自律神経は、意志とは無関係に心臓・呼吸・消化・体温などを24時間コントロールしています。活動時に優位になる「交感神経」と、リラックス時に優位になる「副交感神経」の2つが、シーソーのようにバランスを取り合っています。

しかし、更年期のホルモン変動やストレス、不規則な生活などによってこのバランスが崩れると、体温調節の指令がうまく伝わらなくなります。その結果、必要もないのに血管が拡張して体が熱くなったり(ほてり)、汗をかいたり(発汗)、逆に血管が収縮して手足が冷えたり(冷え)といった、矛盾したような症状が同時に現れることもあるのです。

更年期症状だけじゃない?考えられるその他の病気

熱っぽさは更年期症状の代表格ですが、安易に「更年期だから」と自己判断するのは禁物です。中には、以下のような病気が隠れている可能性もあります。

  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など):新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。常に体が熱っぽく感じられ、多汗、動悸、体重減少、手の震えなどの症状を伴います。
  • 鉄欠乏性貧血:血液中のヘモグロビンが不足すると、体の隅々まで酸素が運ばれにくくなります。脳が酸欠状態になると、自律神経が乱れて体温調節がうまくいかなくなり、ほてりや熱感を感じることがあります。めまいや立ちくらみ、疲れやすさなども代表的な症状です。
  • 高血圧症:血圧が高い状態が続くと、顔のほてりや頭痛、肩こりなどを感じることがあります。
  • 慢性疲労症候群:原因不明の極度の疲労感が6ヶ月以上続く病気で、微熱や熱感を伴うことがあります。
  • 感染症や膠原病:風邪や結核などの感染症、あるいは関節リウマチなどの膠原病でも、微熱や熱感が続くことがあります。

これらの病気との鑑別のためにも、症状が続く場合は医療機関を受診することが大切です。

リスク要因

以下のような方は、熱っぽさを感じやすい傾向があると言われています。予防のためにも、ご自身の生活を見直してみましょう。

  • ストレスを溜め込みやすい、完璧主義な性格の方
  • 運動習慣がなく、座っている時間が長い方
  • 食生活が不規則で、インスタント食品や甘いものをよく食べる方
  • 睡眠時間が短い、または眠りの質が悪い方
  • 冷暖房の効いた環境に長時間いることが多い方
  • 喫煙やアルコールの多飲習慣がある方

診断方法と受診について

metamorworks / PIXTA

次に、受診する場合の流れについて説明します。

いつ受診すべきか

熱っぽさが日常生活に支障をきたしている場合は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。特に以下のような症状が見られる場合は、早めの受診が推奨されます。

  • ホットフラッシュやほてりが頻繁に起こり、仕事や家事に集中できない
  • 夜中の寝汗で何度も目が覚めてしまい、睡眠不足になっている
  • だるさや倦怠感がひどく、起き上がるのがつらい
  • 気分の落ち込みやイライラが続き、家族との関係に影響が出ている
  • 熱っぽさ以外に、動悸、めまい、頭痛など他の症状も伴う
  • 市販のサプリメントや漢方薬を試しても、一向に改善しない

診断の流れ

多くの場合、丁寧な問診で診断がつきますが、他の病気が隠れていないかを確認するために検査を行うこともあります。

1. 問診で確認すること

医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。ご自身の言葉で、ありのままを伝えてください。

  • いつから、どのような時に熱っぽさを感じますか?
  • 1日に何回くらい、どのくらいの時間続きますか?
  • 熱っぽさ以外に、何か気になる症状はありますか?(だるさ、頭痛、気分の変化など)
  • 月経の状況について教えてください。(閉経はいつ頃か、周期は乱れていないかなど)
  • 現在、何か治療中の病気や、飲んでいる薬はありますか?
  • 仕事や家庭環境で、何かストレスに感じていることはありますか? この後、必要に応じて身体検査や各種検査に進みます。

2. 身体検査

医師が必要と判断した場合、血圧測定や聴診など、全身の状態を把握するための基本的な診察を行います。婦人科では、内診や経腟超音波検査で子宮や卵巣の状態を確認することもありますが、必ず行われるわけではありません。不安なことや抵抗がある場合は、遠慮なく医師に伝えましょう。次に、代表的な検査の例を説明します。

3. 代表的な検査例

熱っぽさの原因を詳しく調べるために、以下のような検査を行うことがあります。ただし、これらは医師が必要と判断した場合に行うもので、必ずしも全員が受けるわけではありません。

  • 血液検査:女性ホルモン(エストロゲン、FSHなど)の値を測定し、更年期状態にあるかを確認します。また、甲状腺ホルモンの異常や貧血、炎症反応の有無など、他の病気が隠れていないかも調べることができます。
  • 心理検査:質問紙などを用いて、うつ病や不安障害など、心理的な要因がどの程度影響しているかを評価することがあります。

受診時の準備

受診する際は、事前に以下の準備をしておくと、診察がスムーズに進みます。

  • 症状のメモ:いつから、どんな時に、どのくらいの強さで症状が出るか、時系列で記録しておくと、医師に正確に伝えられます。基礎体温を記録している場合は持参しましょう。
  • お薬手帳:現在服用中の薬やサプリメントがわかるものを持参してください。
  • 質問したいことのリスト:聞きたいことを忘れないように、事前にメモしておくと安心です。
  • リラックスした服装:血圧測定や採血がしやすいように、腕まくりしやすい服装がおすすめです。

受診すべき診療科

熱っぽさの原因として更年期症状が最も疑われる場合は、婦人科や更年期外来が専門です。どこに相談してよいかわからない、あるいは他の症状(動悸、だるさなど)が強い場合は、まずはかかりつけの内科を受診し、必要に応じて専門の診療科を紹介してもらうのも良いでしょう。

ストレスが主な原因と感じる場合は、心療内科も選択肢の一つです。お住まいの自治体の保健所やウェブサイトで、近くの医療機関を探すことができます。

熱はないのに熱っぽいときの治療法

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治療方針の決定

治療は、症状の強さや原因、ご本人の希望などを総合的に考慮して、医師と相談しながら方針を決定します。画一的な治療法があるわけではなく、一人一人の状態に合わせたオーダーメイドの治療が基本となります。「この症状とどう付き合っていきたいか」というご自身の気持ちを医師に伝えることが、納得のいく治療への第一歩です。

薬物療法

症状が強く、日常生活に支障が出ている場合には、薬物療法が検討されます。

ホルモン補充療法(HRT)

減少したエストロゲンを少量補う治療法で、ほてりや発汗などの血管運動神経症状に特に高い効果が期待できます。飲み薬、貼り薬、塗り薬(ジェル)など様々なタイプがあり、ライフスタイルに合わせて選択できます。

  • メリット:症状の根本原因に直接アプローチするため効果が早く、確実性が高いのが特徴です。また、骨密度の低下を防ぎ、骨粗鬆症を予防する効果や、肌の潤いを保つ効果も期待できます。
  • デメリット:子宮体がんや乳がん、血栓症などのリスクがわずかに上昇する可能性が指摘されています。そのため、定期的な婦人科検診(乳がん・子宮体がん検診など)を受けながら、安全に継続することが不可欠です。医師とメリット・デメリットをよく相談した上で検討します。

漢方薬

体全体のバランスを整えることで、熱感、冷え、だるさ、イライラなど、多彩な症状の改善を目指します。HRTに抵抗がある方や、さまざまな症状が複合的に現れている方に適しています。代表的な処方には以下のようなものがあります。

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん):体力が中くらい以下で、疲れやすく、精神不安やいらだち、肩こりなどがある方に。
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):比較的体力があり、のぼせや足冷え、下腹部痛、肩こり、頭痛などがある方に。
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):体力がなく、冷え症で貧血傾向があり、疲れやすい、めまい、むくみなどがある方に。 体質(証)に合ったものでないと効果が出にくいため、自己判断での服用は禁物です。

向精神薬(抗うつ薬・抗不安薬)

熱っぽさの原因に、うつや不安など精神的な要因が強く関わっている場合に用いられます。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬には、ホットフラッシュを軽減する効果も報告されています。

注意: いずれの薬物療法も、必ず医師の診断のもとで行う必要があります。自己判断で薬を始めたり、中断したりすることは絶対にやめましょう。

非薬物療法

薬を使わない治療法や、薬物療法と並行して行われる治療法もあります。

  • カウンセリング:専門のカウンセラーと対話することで、ストレスの原因を整理し、対処法を見つける手助けをしてもらえます。自分の気持ちを話すだけでも、心が軽くなることがあります。
  • 認知行動療法:物事の受け取り方や考え方(認知)の癖に気づき、それを修正していくことで、ストレスを軽減し、症状の改善を目指す心理療法です。

注意: これらの非薬物療法も、専門家の指導のもとで行うことが重要です。興味がある場合は、まずは主治医に相談してみましょう。

生活習慣による管理

治療の基本であり、最も重要なのが日々の生活習慣の見直しです。薬の効果を高め、再発を防ぐためにも、以下の点を具体的に実践してみましょう。

バランスの取れた食事

  • 大豆製品を積極的に:女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボン(豆腐、納豆、豆乳、味噌など)を毎日摂りましょう。特に、大豆イソフラボンが腸内細菌によって変換されて作られる「エクオール」は、更年期症状の緩和に有効とされ、サプリメントも市販されています。
  • ビタミン類を意識して:血行を促進し、ほてりや冷えの改善に役立つビタミンE(アーモンド、かぼちゃ、アボカドなど)や、自律神経の働きを助けるビタミンB群(豚肉、玄米、レバーなど)を十分に摂りましょう。
  • カルシウムも忘れずに:骨粗鬆症予防のため、乳製品や小魚、緑黄色野菜などからカルシウムをしっかり補給しましょう。

適度な運動習慣

  • 有酸素運動:ウォーキングや軽いジョギング、水泳、サイクリングなど、少し汗ばむくらいの有酸素運動を週に2〜3回、1回30分程度行うのが理想です。自律神経のバランスを整え、心肺機能も高まります。
  • ストレッチやヨガ:筋肉の緊張をほぐし、血行を促進します。特にヨガのポーズや呼吸法は、リラクゼーション効果が高く、精神的な安定にもつながります。

質の良い睡眠の確保

  • 就寝・起床時間を一定に:体内時計を整えるため、毎日同じ時間に寝て起きることを心がけましょう。
  • 快適な寝室環境:寝具は吸湿性・放湿性の良い素材を選び、寝室の温度や湿度を快適に保ちましょう。寝汗をかく場合は、着替えやタオルを枕元に置いておくと安心です。
  • 寝る前のリラックスタイム:就寝1〜2時間前には、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、好きな音楽を聴く、読書をするなど、心と体をリラックスモードに切り替えましょう。スマートフォンやパソコンのブルーライトは脳を覚醒させてしまうため、避けるのが賢明です。

上手なストレスマネジメント

  • 「ねばならない」を手放す:完璧を目指さず、「まあいいか」と自分を許してあげることも大切です。家事や仕事で手を抜けるところは上手に手を抜き、休息を優先しましょう。
  • 夢中になれる時間を作る:趣味や好きなことに没頭する時間は、何よりのストレス解消になります。友人との会話を楽しむのも良いでしょう。

治療期間と予後

更年期症状としての熱っぽさは、閉経後、ホルモンバランスが新たな状態で安定してくると、自然に軽快していくことがほとんどです。治療期間は人それぞれですが、数か月から数年単位で、症状の波と付き合いながら、少しずつ改善を目指していくケースが多いです。焦らず、気長に取り組むことが大切です。

予防法と日常生活での注意点

株式会社うめ海鮮@フォト|和食・洋食・フードフォト専門 / PIXTA

一次予防(発症予防)

症状が出る前から、健康的な生活習慣を心がけることが最大の予防になります。

  • 食生活の見直し:若い頃と同じ食生活では、カロリーオーバーになりがちです。野菜や魚、大豆製品を中心とした和食を基本に、バランスの良い食事を意識しましょう。
  • 運動の習慣化:特別な運動でなくても構いません。一駅手前で降りて歩く、エレベーターを階段にするなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やしましょう。
  • 自分を大切にする時間を持つ:仕事や家事、介護などに追われ、自分のことは後回しになりがちですが、意識的に休息をとり、心と体を休ませる時間を作りましょう。

二次予防(早期発見・早期治療)

「これくらいは我慢しなくちゃ」と思わずに、不調を感じたら早めに専門家に相談することが、症状の悪化を防ぎ、早期回復につながります。婦人科検診や健康診断を定期的に受け、自分の体の状態を把握しておくことも大切です。

日常生活の工夫

熱っぽさと上手に付き合っていくために、日常生活でできる工夫を取り入れてみましょう。

  • 服装の工夫:体温調節がしやすいように、着脱しやすい服装を心がけましょう。カーディガンやストールなどを活用するのがおすすめです。素材は、吸湿性・通気性の良い綿やシルク、リネンなどが良いでしょう。
  • 冷却グッズの活用:ホットフラッシュが起きた時のために、濡れタオルや冷却シート、扇子、携帯用扇風機などを持ち歩くと安心です。冷たいペットボトルで首筋を冷やすのも効果的です。
  • 食事の工夫:香辛料の効いた辛いものや、カフェインを多く含むコーヒー、アルコール類は、ほてりを誘発したり悪化させたりすることがあります。摂りすぎに注意しましょう。
  • 腹式呼吸:自律神経のバランスを整えるのに最も手軽で効果的な方法です。椅子に座って、あるいは仰向けに寝て、お腹に手を当てます。鼻からゆっくり息を吸い込み、お腹が膨らむのを感じます。次に、口からゆっくりと息を吐き出し、お腹がへこむのを感じます。吸う時間の倍くらいの時間をかけて、ゆっくり吐き出すのがポイントです。1日数回、気づいた時に行いましょう。
  • アロマテラピー:好きな香りには、心身をリラックスさせる効果があります。特に、ゼラニウム、クラリセージ、ラベンダー、カモミールなどの精油は、女性ホルモンのバランス調整や鎮静作用が期待できるとされています。ティッシュに1滴垂らして香りを嗅いだり、アロマディフューザーを使ったり、お風呂に数滴垂らしたりして楽しむのがおすすめです。

家族・周囲のサポート

ご自身の不調について、家族や親しい友人に話してみることも大切です。「更年期で今こういう症状があってつらい」と伝えるだけでも、理解や協力を得やすくなります。一人で抱え込まず、周りのサポートを上手に活用しましょう。

よくある質問(FAQ)

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Q1: 熱はないのに熱っぽいのはなぜですか?

A: 主な原因として、更年期による女性ホルモンの減少や、ストレス、生活習慣の乱れによる「自律神経の乱れ」が考えられます。自律神経が乱れると、体温を調節する機能がうまく働かなくなり、実際には熱がなくても体が熱いと感じてしまうのです。50代の女性では、特に更年期症状の一つとして現れることが多いです。

Q2: これは何か重い病気のサインですか?病院に行くべきか迷います。

A: ほとんどの場合は更年期症状や自律神経の乱れによるものですが、まれに甲状腺の病気や膠原病、感染症などが隠れている可能性もゼロではありません。熱っぽさが何週間も続く、だるくて動けない、急に体重が減ったなど、日常生活に支障が出ている場合や、他の気になる症状がある場合は、自己判断せずに一度内科や婦人科を受診することをおすすめします。

Q3: 更年期症状としての「ホットフラッシュ」とは違うのですか?

A: 「熱はないのに熱っぽい」という感覚は、ホットフラッシュの症状の一部であることが多いです。ホットフラッシュは、突然カーッと顔や上半身が熱くなる激しい症状を指すことが多いですが、そこまで激しくなくても、常にじんわりと熱っぽさを感じたり、ほてりを感じたりするのも、同じメカニズムで起こる更年期症状の一種と考えられます。

Q4: ストレスが原因で熱っぽくなることはありますか?

A: はい、大いにあります。強いストレスや長期にわたる緊張状態は、自律神経のバランスを崩す最大の原因の一つです。これにより体温調節が乱れて熱っぽさを感じたり、「心因性発熱」といって実際に体温が少し上がったりすることもあります。仕事や家庭のことで悩みを抱えている場合は、そのストレスが症状を引き起こしている可能性も考えられます。

Q5: 熱っぽさを解消するために、すぐに自分でできることはありますか?

A: ホットフラッシュのように急にカーッと熱くなったら、まずは涼しい場所に移動し、衣服を緩めてリラックスしましょう。首筋や脇の下などを冷たいタオルや冷却シートで冷やすと、楽になることが多いです。また、日頃から深呼吸を意識して行うと、乱れがちな自律神経を整えるのに役立ちます。

Q6: 何科を受診すればよいのでしょうか?

A: 更年期症状が疑われる場合は「婦人科」や「更年期外来」が専門です。原因がよくわからない、全身のだるさなど他の症状も気になるという場合は、まず「内科」で相談してみるのがよいでしょう。ストレスが原因だと感じる場合は「心療内科」も選択肢になります。

Q7: どのような検査が行われるか不安です。

A: まずは詳しい問診が中心となり、それだけで診断がつくことも多いです。必要に応じて、ホルモンの状態や他の病気の可能性を調べるための「血液検査」を行うことがあります。婦人科での内診や超音波検査は、必ず行われるわけではありません。不安なことや抵抗があることは、診察の際に遠慮なく医師に伝えて大丈夫ですよ。

Q8: 漢方薬は効果がありますか?

A: はい、漢方薬は熱っぽさを含む更年期のさまざまな不調に対して、有効な選択肢の一つです。ホルモン補充療法に抵抗がある方や、体質的に合わない方にもよく用いられます。ただし、漢方薬は体質に合ったものを選ぶことが非常に重要ですので、必ず医師や薬剤師に相談し、処方してもらうようにしてください。

Q9: 熱っぽさと一緒に、だるさや頭痛、肩こりもひどいのですが、関連はありますか?

A: はい、非常に関連が深いです。熱っぽさの原因である自律神経の乱れは、血行不良も引き起こします。そのため、だるさ、頭痛、肩こり、めまい、不眠など、さまざまな不調が同時に現れることが少なくありません。これらの症状を「不定愁訴」と呼び、更年期世代の女性に多く見られる特徴です。

Q10: この症状はいつまで続くのでしょうか?終わりはありますか?

A: 更年期症状としての熱っぽさは、通常、閉経後の数年間でホルモンバランスが新しい状態に落ち着くと、自然と軽快していくことがほとんどです。個人差は大きいですが、永遠に続くわけではありません。適切な治療やセルフケアを行うことで、症状を和らげ、つらい時期をより快適に乗り切ることができます。希望を持って、焦らずにご自身の体と向き合っていきましょう。

まとめ

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大切なポイント

  • 熱がないのに熱っぽいと感じる主な原因は、更年期やストレスによる自律神経の乱れです。
  • 治療の基本は生活習慣の見直し。その上で、ホルモン補充療法や漢方薬などの選択肢があります。
  • 日常生活では、服装の工夫やリラクゼーションを取り入れ、上手に症状と付き合いましょう。
  • つらい症状は一人で抱え込まず、早めに婦人科や内科などの医療機関に相談することが大切です。

これまで家族のため、仕事のためにがんばってきた心と体に、少し変化が現れるのは自然なことです。熱っぽさというサインは、一度立ち止まって自分自身をいたわる時間ですよ、という体からのメッセージかもしれません。この変化の時期を上手に乗り越え、これからの人生をさらに輝かせるための準備期間と捉えて、前向きに過ごしていきましょう。


健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ

この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。

適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。

かかりつけ医について詳しく知る(厚生労働省)
 

 

監修者プロフィール:鳥越勝行 先生

健康塾クリニック院長。東北大学情報工学科卒業後、名古屋大学医学部を経て複数の病院で臨床経験を積む。患者様一人一人の声に耳を傾け、心身の不調や悩みに寄り添った診療を実践。低価格での健康診断・ワクチン提供や職員への還元も重視し、幸福度を軸にした医療を提供している。

HALMEK up編集部
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