1日中寝てしまうのはストレス?考えられる病気&対処

寝ても寝ても眠いのはうつ病?過眠症?原因を解説

大和行男
監修者
池上おひさまクリニック
大和行男

公開日:2023.08.30

更新日:2024.03.25

22時に就寝したのに、起きてまだ眠い……。十分寝ているのに眠気が強い場合、病気が隠れている可能性があります。まずはどうして眠いのか、当てはまる原因をチェック。生活習慣を見直しても眠い場合は、うつ病の可能性も。早めの対処が大切です。

監修者プロフィール:大和行男さん

大和行男さん

医療法人社団先陣会理事長、こころと美容のクリニック東京院長。資格は子どものこころ専門医、精神科専門医。お子さんから大人の方まで誰でもこころの診療を行っております。

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いくらでも寝れてしまう、過眠とは

過眠とは、十分な睡眠を取っているのに、日中に目覚めているのが難しいほど過度な眠気がある状態のことです。寝ても寝ても眠いため、いくらでも寝てしまう、日中に居眠りしてしまうなどの症状が見られます。

強い眠気が続き、日常生活に支障が起こるほどになると「過眠症」と呼ばれます。

また、過眠症だけでなく、他の病気の症状の一つとして、過眠の症状が起こることもあります。

寝ても寝ても眠いときに考えられる原因

寝ても寝ても眠いときに考えられる原因

寝ても寝ても眠いとき、考えられる原因は大きく「日常生活上の問題」「季節の影響」「ストレスが限界に達している」「更年期の影響」「病気によるもの」があります。

ここからは、それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

1:日常生活上の問題

毎日の生活と睡眠には、深い関わりがあります。睡眠不足や睡眠の質の低下、カフェイン・アルコールなどの影響などが原因の場合は、生活習慣を改善するだけでも症状が改善することもあります。

生活が乱れていると感じる場合は、日常生活の改善から始めるといいでしょう。

睡眠不足(寝不足)

睡眠時間が不足すると、日中の活動時間中に眠気や倦怠感、頭がボーッとする、集中力が下がるなどが起こることがあります。

一般的に、睡眠時間は7〜8時間ほどが理想的といわれますが、これは平均値です。必要な睡眠時間は人によって異なるため、自分に合った睡眠時間を取ることが大切です。

人によっては、ロングスリーパー(長時間睡眠者)といって、適切な睡眠時間が10時間以上必要な体質の人もいます。ロングスリーパーの人の場合、7〜8時間睡眠では寝不足になり、過眠の症状が起こることがあります。

睡眠不足が続くと、睡眠不足症候群を発症する可能性があるため注意が必要です。

就寝環境・就寝前習慣による睡眠の質の低下

「しっかり睡眠時間を確保しているのに眠い」という人は、睡眠の質が低下している可能性があります。

睡眠の質を低下させている原因をなくし、質の高い睡眠を取ることが大切です。寝室の温度や湿度、寝具、光や音などを眠りやすい環境に整えるといいでしょう。

スマホやパソコンのブルーライトも、睡眠の質を下げる原因になります。睡眠チェックリストで自分の睡眠の深さをチェックしてみるのもおすすめです。

カフェイン・アルコールによる睡眠の質の低下

カフェインやアルコールなど、食べ物や飲み物も眠りの質を低下させてしまう原因になることがあります。

カフェインは取り過ぎると自律神経を乱す原因になり、睡眠の質を低下させる他にも、頭痛、吐き気、抑うつ症状などにつながることも。カフェインはコーヒー、ココア、エナジードリンク、チョコレートなどに含まれているため、取り過ぎには注意が必要です。

アルコールは、睡眠導入には効果があるものの、眠りが浅くなる作用があります。また、利尿作用もあるため、夜中に目が冷めてしまうなど眠りを妨げる原因にもなります。

服用している薬の影響

普段、花粉症やアレルギー性鼻炎などの抗ヒスタミン剤や睡眠薬などを飲んでいる場合、薬の副作用によって、しっかり寝ても眠かったり、体がだるくなったり、眠りが浅くなったりすることがあります。

2:季節の影響

中には、「春になると日中の眠気が強くなる」という人もいます。

新生活が始まる春は、入学、就職、転職、引っ越し、職場の配置転換などさまざまな環境変化が起こる季節です。精神的なストレスや忙しさによって生活リズムや睡眠リズムに乱れが起こると、眠気につながることも。

冬から春にかけては寒暖差も大きく、変化に体が追いつかないことから自律神経が乱れがちになることも眠気の原因の一つです。冬から春にかけての体調不良は「春バテ」とも呼ばれます。

また、春は花粉症の季節でもあります。花粉症の鼻詰まりによる睡眠への悪影響や、花粉症の薬も眠気やだるさに関係しています。

3:ストレスが限界に達している

強いストレスを受け続けたり、ストレスフルな環境に置かれたりしていると、ストレスが限界に達してしまうことがあります。

人は、程度の違いこそあれど、ストレスを感じながら生きています。適度なストレスはメリットとなることもあるものの、ストレスがたまり過ぎると、心や体にさまざまな異常が現れることに。

ストレスを受け続けると、交感神経が活発な状態が続き、自律神経が乱れてしまいます。交感神経によって脳や体が常に興奮状態になると、睡眠の質が下がってしまい、日中の眠気や寝ても寝ても眠い症状につながります。

4:更年期によるもの

更年期には、ホルモンバランスに変化が起きることで、昼間でも強い眠気を感じることがあります。

また、発汗、頭痛、めまい、動悸、イライラや不安感など更年期症状の影響によって睡眠の質が低下すると、眠気につながることがあるでしょう。

5:病気によるもの

なんらかの病気が原因となって、寝ても寝ても眠いという症状が起こっている可能性もあります。

病気が原因となっている場合、放置すると悪化してしまう可能性もあるため、早めに病院を受診することが大切です。

寝ても寝ても眠いときに考えられる病気

寝ても寝ても眠いときに考えられる病気

ここからは、寝ても寝ても眠いときに考えられる病気について解説します。

睡眠不足症候群

睡眠不足症候群とは、慢性的な睡眠不足となり、日中の強い眠気、倦怠感や疲労感、集中力低下などが見られる睡眠障害のことです。

睡眠不足症候群の人は、平日は3〜4時間睡眠で、土日の休みで10〜12時間眠っているという人が多いようです。しかし、週末の寝だめでは睡眠負債の解消はできないため、毎日しっかり睡眠時間を確保する必要があります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome/SAS)とは、寝ているときに呼吸が止まったり、浅くなったりするのを繰り返す病気のことです。

呼吸が止まることで、眠りの質が低下してしまいます。また、血液中の酸素が不足することで心臓・血管・脳に負担がかかるため、脳卒中や心筋梗塞、狭心症のリスクを高めたり、糖尿病、高血圧症などへの悪影響もあります。

ナルコレプシー

ナルコレプシーとは、日中に突然強い眠気が起こり、眠り込んでしまう病気のことです。眠気が襲ってきたことに気付く前に眠ってしまうこともあり、本人が居眠りに気付かないこともあります。

仕事中や食事中など、普通では考えられない異常な眠気に襲われて眠ってしまう場合は、ナルコレプシーの可能性が考えられるでしょう。

その他にも、感情の変化が起こったときなどに体の力が抜ける「カタプレキシー(情動脱力発作)」入眠直後に幻覚を見る「入眠時幻覚」、入眠直後に目覚めて体が動かせなくなる「睡眠麻痺(金縛り)」がナルコレプシーの特徴的な症状です。

反復性過眠症(クライネ=レビン症候群)

反復性過眠症(クライネ=レビン症候群)とは、毎日16~20時間ほど眠り続けてしまう過眠の症状が数か月の間隔で出現する病気です。

過眠期に入ると3日から5週間ほど(平均は10日間)この状態が続き、通常の生活は難しくなりますが、過眠期を抜ければ心身に目立った症状は見られないといいます。

100万人に1~2人と推定されている極めてまれな病気で、10歳代で発症するケースが多いです。

うつ病

気分障害の一つであるうつ病でも、過眠の症状が見られます。その他にも倦怠感、だるくて疲れやすい、食欲の変化などもうつ病の症状です。

うつ病の場合、過眠とは逆に眠れなくなる「不眠」が起こることもあります。

冬季うつ・季節性感情障害(SAD)

冬季うつ・季節性感情障害(SAD)は、うつ病の一種で、秋から冬頃にうつ症状が始まり、春や夏になると治まるという一定のパターンを繰り返す病気です。

通常のうつ病の場合、不眠や食欲の低下が見られることが多いですが、冬季うつ・季節性感情障害の場合は「過眠」と「過食」が見られることが特徴です。

非定型うつ病

非定型うつ病は、一般的に知られているうつ病とは異なる症状が出ることが特徴で、20代から30代の女性に多く見られます。

うつ病の場合は「朝〜日中」が落ち込みやすい時間帯ですが、非定型うつ病の場合は、「夕方〜夜間」に気持ちが落ち込むことが多いです。また、過眠、過食、他人の言動・行動にイライラするといった症状も見られます。

その他の病気

その他、脳や神経系の病気、全身性炎症疾患、甲状腺機能低下症、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害などの病気でも、過眠の症状が起こることがあります。

うつ病になると眠気が続く・1日中寝てしまうのはなぜ?

うつ病になると、1日中寝てしまう、寝ても寝ても眠いという症状がよく見られます。原因としては、以下が考えられるでしょう。

  • 睡眠の質が低下する
  • ストレスに対する防衛本能(寝逃げ)
  • 治療薬の影響

うつ病になると、早朝覚醒(早く目が覚めてしまう)や中途覚醒(夜中に目が覚めて寝付けない)によって睡眠の質の低下が起こり、これが眠気の原因になります。

また、うつ病の人の中には慢性的なストレスを抱えている人も多いです。眠ることでストレスから逃避して、心身を守ろうとする防衛本能が働いている可能性もあるでしょう。

うつ病の治療薬として使われる抗うつ剤の中には、副作用として眠気が現れるものもあります。ただし、自己判断で勝手に薬の服用をやめるのではなく、過眠の症状について伝えて医師と相談することが大切です。

寝ても寝ても眠いときの対処法

寝ても寝ても眠いときの対処法

寝ても寝ても眠いときの対処法としては、以下のような方法があります。

  • 仮眠を取る
  • 太陽の光を浴びる
  • 生活習慣を整える
  • 環境を整えてストレスの原因を取り除く
  • 病院で治療を受ける

どうしても眠いときは、15分ほどを目安に仮眠を取るといいでしょう。

また、十分に朝日を浴びると、寝つきがスムーズになる効果が期待できるため、太陽の光を浴びるのもおすすめです。生活習慣が乱れている人は、まずは生活習慣を見直しましょう。

ストレスが原因と考えられる場合は、可能な範囲で、環境を整えてストレスの原因を取り除く工夫をするといいでしょう。

寝ても寝ても眠いときは病院に行くべき?受診の目安

日常生活を改善してもなかなか症状が改善しない場合は、病気が原因になっている可能性も考えられます。以下のような場合は、早めに病院を受診しましょう。

  • 日中の眠気が1週間以上続いている
  • 体のだるさ、倦怠感、疲れが取れない
  • その他にもつらい症状がある

過眠が見られる場合は、脳神経内科、精神科、心療内科に相談するといいでしょう。

寝ても寝ても眠い症状は早めの対処が大切!

「寝ても寝ても眠い」場合、さまざまな原因が考えられます。日常生活は睡眠に大きく影響しているため、まずは生活習慣を見直してみましょう。

ただし、眠気の感じ方には個人差があり、自分では判断が難しいこともあります。寝ても寝ても眠い症状が続く場合や、倦怠感が取れない、他にもつらい症状がある場合は、早めに病院を受診することが大切です。

※この記事は2023年8月の記事を再編集して掲載しています。

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