いっぱい食べたい食欲の秋!上手な食欲コントロールで太り過ぎを防ぐ!
いっぱい食べたい食欲の秋!上手な食欲コントロールで太り過ぎを防ぐ!
公開日:2025年10月09日
実りの秋は誘惑がいっぱい
実りの秋がやってきました!スーパーなどの店頭には、旬を迎えたサンマ、きのこ、さつまいも、里芋、栗、柿、ぶどうなど、おいしそうな食材がならんでいます。健康管理のために普段は食べる量に気を付けていても、「秋はついつい食べ過ぎてしまう……」という人もいるのではないでしょうか。
「食欲の秋」と言われるように、秋は食欲がぐっと増す季節とされています。これには、人間の体の仕組みも関係しているのだとか。
秋に食欲が増す理由を知れば、おのずと対処法も見えてきます。賢い対策で、秋の食欲を上手にコントロールしていきましょう。
秋に食欲が増す4つの理由
秋に食欲が増すのは、以下のような理由が考えられます。
1.気温の低下
秋になって気温が下がってくると、人は体内に取り込んだエネルギーを燃焼させて体温を維持しようと働き始めます。体温維持にエネルギーが使われるため、消費された分を補おうとして食欲が増すと言われています。
2.日照時間の不足
秋は日照時間が少なくなります。日光を浴びる時間が減ると、食欲を抑える働きのあるセロトニンというホルモンの分泌量が減り、それに比例して食欲が増します。
3.体の冬支度
古来より生物にとって冬は、食べ物が手に入りにくくなる厳しい季節。そのため、食べ物が豊富な秋にできるだけたくさん食べて、冬の飢えと寒さに備えてきました。この、「今のうちに蓄えておこう」という本能が、私たちの遺伝子にも刻み込まれているようです。
4.食欲をそそる食材
「実りの秋」は、サンマ、栗、さつまいも、きのこ、柿、梨など、おいしくて栄養価の高い旬の食材がお店に並びます。おいしそうな色、食欲をそそる香りなどが五感を刺激し、それほどお腹が空いていなくても「食べたい!」と食欲が刺激されます。
このように秋は、複数の要因が重なり合って食欲が高まります。この仕組みを理解して、食べ方や生活習慣を工夫していけば、食欲に振り回されにくくなります。
食事の工夫で食欲をコントロール
秋の食欲は、やみくもに我慢するのではなく、賢く対処するのがおすすめです。まずは、食べ方の工夫で食欲をコントロールしていきましょう。
食事の工夫1:食べる順番を意識する
食事の最初に野菜やきのこ、海藻などの食物繊維が豊富なものから食べるようにしましょう。糖の吸収が穏やかになり、血糖値の急上昇を防げますし、最初に食物繊維を摂取することで満腹感が持続し、食べ過ぎを防げます。
秋が旬の野菜やきのこから食べれば、おいしい食材を堪能しながら血糖値の急上昇も防げて一石二鳥です。
食事の工夫2:血糖値が上がりにくい(低GI)の食材を選ぶ
主食の炭水化物は、うどんより蕎麦、白米だけよりもち麦や雑穀を混ぜたご飯にするなど、できるだけGI値の低い食材を選ぶようにしましょう。
低GI食品は消化吸収がゆっくりであるため、血糖値の上昇が緩やかで、満足感を持続させる効果が期待できます。
また甘味料も、白砂糖より血糖値が上がりにくい低GIのはちみつで代替するなどの工夫を。はちみつは砂糖の半分くらいの量で同じ甘みを出せるので、使う量も減らせます。
食事の工夫3:セロトニンの材料を取る
「幸せホルモン」とも呼ばれ、食欲を抑える働きがあるセロトニンの大切な原料の一つがトリプトファンです。トリプトファンは必須アミノ酸の一種で、体内でつくることができません。だから、食事やサプリメントから補うのが大切。
トリプトファンは魚(サンマや鮭など)、肉、大豆製品(豆腐、納豆など)、乳製品、バナナなどに多く含まれているので、毎日の献立やおやつに上手に取り入れていきましょう。
食事の工夫4:よく噛んで、ゆっくり食べる
お腹がすいているときは、無意識に早食いになりがち。よく噛んで食べると満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことができますから、食事の際は「よく噛んで、ゆっくり食べる」を意識しましょう。 一口30回噛むことを心掛ければ、血糖値の上昇も緩やかになります。
生活習慣の見直しで食欲をコントロール
秋の食欲コントロールでは、食事の工夫にプラスして、食欲に関係するホルモンの分泌を調整する生活習慣も大切です。
生活習慣の工夫1:朝日を浴びる
朝、太陽の光を浴びることは、セロトニンの分泌を促す最も簡単な方法です 。起きたらまずカーテンを開けて、朝日を浴びる習慣をつけましょう。
時間の目安は15分~30分ほど。ベランダや庭に出て朝日を浴びてもいいですし、朝日が入る部屋で朝食を取ってもいいでしょう。
生活習慣の工夫2:リズミカルな運動をする
ウォーキングなどのリズミカルな運動は、セロトニンの分泌を促し、気分を安定させる効果があります 。気持ちの良い秋の気候は運動をするのに最適。朝日を浴びながら散歩すれば、セロトニンの分泌がより促されて一石二鳥です。
悪天候などで外に出られないときは、室内でスクワットや踏み台昇降運動をするのもおすすめです。
生活習慣の工夫3:質の良い睡眠を取る
睡眠不足になると、食欲を促すホルモン「グレリン」の分泌が増え、食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌が減ると言われています。
毎日決まった時間に寝起きできるよう、ナイトルーティンを取り入れるなどして睡眠のリズムを整えていけば、 自然と食べ過ぎを抑えられるようになります。
「食欲の秋」は、体が季節の変化に適応しようとする、自然な反応です。その仕組みを理解すれば、食欲に振り回されずに自分の体を上手にコントロールできます。
食べる順番を意識したり、天気の良い日には散歩に出かけたりと少し工夫するだけでも、食欲の感じ方が変わってくるはず。無理せず健やかに秋の恵みを楽しんでいきましょうね!
取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所
■監修者プロフィール:石原新菜(いしはら・にいな)さん

イシハラクリニック副院長。秋田栄養短期大学特任教授。ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ理事、フェムテック・ジャパン理事。主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書に『病気にならない蒸し生姜健康法』『やせる 不調が消える 読む冷えとり』等70冊を数える。




