40~50代の「眠れない」人は試してみて!ぐっすり眠ってすっきり起きる方法

公開日:2025年07月03日

40~50代の「眠れない」人は試してみて!ぐっすり眠ってすっきり起きる方法

40~50代の「眠れない」人は試してみて!ぐっすり眠ってすっきり起きる方法

柳原万里子
監修者
柳原万里子
監修者 柳原万里子 眠りと咳のクリニック虎ノ門

「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」など、睡眠にお悩みの方も多いのではないでしょうか。睡眠は、心と体の健康に欠かせない大切な時間。「眠りと咳のクリニック虎ノ門」院長の柳原万里子医師に、快眠をつくる生活習慣の工夫についてお伺いしました。

睡眠は心と体を整える時間

ペイレスイメージズ1(モデル) / PIXTA

睡眠は、脳と体と心をメンテナンスする大切な時間。日本睡眠学会睡眠総合専門医・指導医の柳原さんは、睡眠の役割についてこう解説します。

「私たちは眠っている間に脳と体と心を休め、明日に向けてコンディションを整えています。具体的には睡眠中に脳に溜まった老廃物を排出したり記憶を整理しているほか、全身の細胞の傷を修復し、新陳代謝を高め、免疫細胞を活性化させ、心も癒やしています」

そのため、睡眠が不足すると、短期的には日中のパフォーマンス(集中力や思考力、判断力、効率など)が下がる、肌荒れする、風邪をひきやすくなる、情緒が不安定になる、などの悪影響があるそう。

「さらに、長期的な睡眠不足では、肥満や高血圧などの生活習慣病、心血管疾患、がん、うつ病、将来の認知症のリスクが上がることがわかっています」(柳原さん)

夜にしっかりと眠ることは、明日と将来の心と体の健康に欠かせないこと。ぐっすり眠ってすっきり起きる毎日を目指しましょう。
 

40~50代女性に多い睡眠のお悩みとその原因

freeangle / PIXTA

睡眠にまつわる悩みは、「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「寝ても疲れが取れない」などさまざま。柳原さんは40〜50代の女性の睡眠の悩みは、更年期や加齢といった身体的な変化と、社会的な背景の2つが重なり合って生じている可能性がある、と話します。

<身体的な変化>

「この年代特有の身体的な変化として更年期が挙げられます。更年期は閉経前後の5年間、合計10年間の期間(一般的には45~55歳)のことを指しますが、この期間、女性ホルモンは大きく変動(増減)を繰り返しながら全体的には緩やかに減少します。女性ホルモンの急激な増減は睡眠の質の低下を招きます。実は更年期症状として有名なホットフラッシュ(ほてりや発汗)よりも、不眠症状の方が頻度が高いことがわかっています」(柳原さん)

プラナ / PIXTA

さらに加齢による睡眠の変化も。年齢を重ねるほど「ぐっすりと眠る力」は衰えていくのだそう。

「体と同じで睡眠も年を取ります。布団の中にいる時間のうち実際に眠っている時間(ぐっすりと眠れる時間=睡眠力)は新生児では9時間程度。この体力ならぬ睡眠力は、25歳では7時間程度、45歳では6時間半程度、70歳では6時間以下、と加齢とともに減ってしまうのが正常な変化です。

例えば睡眠力が6時間半の人が8時間ベッドに入っていると、眠れない時間が1時間半できてしまいます。この眠れない1時間半は、寝付きが悪くなる、途中で目が覚める、早くに目が覚める、眠りが浅い、などの症状として現れます。つまり、若い頃と同じ時間ぐっすりと眠ろうとしても、同じようには眠れなくなってくるのです」(柳原さん)

<社会的な背景>

「社会的な背景」としては、家事や育児、仕事、介護などの影響が考えられます。

「日本は睡眠時間が短いことで有名ですが、中でも40~50代の働いている女性の睡眠時間が最も短いことが知られています。その理由として、社会でも家庭でも責任のある立場を担うことが多く、育児や仕事、介護などに対応するために睡眠時間を削り、また頭を悩ませる問題も抱えやすい年代であることが推測されます。ストレスは不眠の原因の一つ。睡眠時間が短い上に不眠症状が加わると、睡眠不足が加速します」(柳原さん)

40~50代は身体的にも社会的にも睡眠の悩みを抱えやすい世代と言えそう。日々の生活習慣を見直して、「眠る力」をサポートしていきましょう。
 

快眠をつくる朝・昼・晩の過ごし方

 pp7 / PIXTA

快眠のためには夜だけでなく、朝や日中の過ごし方も大切なのだそう。柳原さんによると、昼夜のメリハリが大切だとか。
その上で心掛けたい朝・昼・晩の過ごし方は以下です。

■朝

起床時刻より前に寝室が明るくなっていると理想的です。毎日できるだけ決まった時刻に起き、朝食もとるように心掛けましょう。午前中に30分程度の日光浴をすることもおすすめです。

また朝にはちみつをかけたヨーグルトを食べるのもおすすめです。乳製品に含まれる「トリプトファン」は朝とると、日中は幸せ感を上げるホルモン「セロトニン」へ、夜は睡眠を促すホルモン「メラトニン」へと変化します。そしてはちみつにはトリプトファンが脳に届くのをサポートする働きがあるそうです。

■昼

日中は脳も体も活発に使い、両方の疲れをバランスよく溜めましょう。デスクワークが主体の方は適度な運動習慣を作るなどの工夫がおすすめです。昼寝は15時まで、30分以内に留めましょう。就寝までに溜めた疲れが多いほど、深い眠りが生じやすくなります。

■夜

夜は照明は落とし気味に。夕食は就寝2時間前までに済ませるのが理想的です。内臓にとって食べ物を消化するのは重労働。睡眠中は内臓を休ませてあげましょう。アルコールは就寝3~4時間前まで、カフェインは就寝4~6時間前まで。日没後の仮眠や寝落ちは睡眠に悪影響を与えるため避けましょう。

まずは取り入れられるものから試してみましょう。
 

睡眠のお悩み別おすすめ対策

 Ushico / PIXTA

なお、睡眠のお悩みでよく聞かれる「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」タイプへの対策も柳原さんにお伺いしました。

<寝つきが悪いタイプにおすすめの対策>

頭が活性化してしまうとなかなか寝つけません。体の仕組みを使って寝つきを良くする方法を取り入れてみましょう。

●心拍数を上げない
就寝前は心拍数が上がるような激しい運動やスリリングなゲームや動画、リラックスできるような軽いストレッチやアロマ、ぬるめのお風呂での入浴などを取り入れましょう。ベッドの中で心配事をしたり、明日のことに策をめぐらしたりすることも避けましょう。

●眠ることをときには諦めてみる
悔しいことに眠ろうとしてがんばるとなぜか余計に眠れなくなるもの。長時間かかりそうな場合には、思い切っていったん寝室やベッドを離れ、好きなことをして過ごしてみましょう。「運よくそのうちに眠気がきたらラッキー」とおおらかに構えて開き直ることも時には役に立ちます。

●1日がんばった自分をほぐす時間をつくる
お気に入りのハーブティやリラックス効果が期待されるはちみつ入りのホットミルクを飲んでリラックスする、心地良いと感じるアロマを楽しむ、瞑想をする、おだやかな音楽を楽しむなど、眠る前にご自身をほぐす時間を。


<夜中に何度も目が覚めるタイプにおすすめの対策>

夜中に何度も目が覚める人は、眠りを深くする効果が期待できる、以下の方法を試してみましょう。

●臥床時間(ベッドなどに寝る、横になっている時間)を調整する
実際に眠れる時間よりも長く臥床していると布団の中で眠れない時間ができてしまいます。深く効率よく眠るための臥床時間の目安は、実際に眠れる時間+30分程度。疲れているのに横になっている時間を減らすなんて無理、と思うかもしれませんが、翌日の夜までに溜まる疲れは確実に増えるため繰り返していると深く眠れるようになることが期待されます。

●体温調節を上手にできるように工夫する
うまく眠るためには上手に汗を蒸発させて体表から熱を逃し、脳や内臓の体温を下げて休める状態にすることが大切です。室温は夏は24~28℃、冬は16~19℃、湿度は50~60%を目安に寝室環境を整える。脱水を防ぎ汗をかきやすくするために眠る前にコップ1杯の水分をとる。通気性・放湿性に優れた肌触りのいいパジャマを選ぶことも大切です。

●中途覚醒の原因を探る
体の痛みやトイレなど、中途覚醒をする心当たりがある場合にはその原因を解決することが大切です。しかしながら心当たりがない場合には、睡眠を邪魔するような寝ている間の体の問題がないかも検討しましょう。眠っている間のことは自分ではわかりません。長引くようなら睡眠外来へ相談を。

寝る前に入眠儀式(ナイトルーティン)を取り入れるのも効果的

freeangle / PIXTA

夜にぐっすり眠るには、入眠儀式(ナイトルーティン)をつくるのもおすすめです。

「ナイトルーティンを取り入れることで、脳と体にそろそろ眠る時間になることを知らせ、自然と寝る気分になるよう条件付けをすることができます。ベルが鳴るとご飯が出てくるという条件付けをされた犬が、ベルの音を聞くだけでよだれを垂らすようになった『パブロフの犬』と同じ原理です。パブロフの犬の概念は、習慣形成や行動療法など、現代の心理学や医療の分野で広く応用されているもの。特定のナイトルーティンを毎日繰り返していると、これを行うとおやすみモードに入るというパターンが脳と体に刷り込まれ、意識しなくても自然と眠ろうとし始めることが期待できます」(柳原さん)

そこで、おすすめのナイトルーティンとその理由を教えてもらいました。

<おすすめのナイトルーティン>

●寝室と生活の場を分ける
間取り的に寝室と生活の場を分けることが難しい場合には、寝る時間には照明や香りを変えて食事や生活をしているときと部屋の雰囲気を変えましょう。場所や雰囲気を変えることで、眠りに専念する・寝ることに頭を切り替えることがしやすくなります。

●就寝前はキャンドルの灯りを楽しめる暗さ(文字が読めない程度の暗さ)にする
私たちの脳や体は明るい=覚醒して活動する、というようにプログラミングされています。眠る1時間ほど前に自然界の夕焼けをイメージして環境光の明るさを落とすことで、脳や体が眠る準備を始めてくれます。

●お気に入りのハーブティやルームスプレーをいくつか見つけておき、眠る前に楽しむ
自分をほぐす効果に加え、いつものナイトルーティンにすることで香りという感覚を通して、覚醒して活動するモードからそろそろ寝ようというおやすみモードへ切り替えやすくなる効果が期待されます。

●薄暗くした浴室でぬるめのお風呂にゆっくりと浸かる
心拍数を上げるような熱い湯温は避け、ぬるめの温度(39~40℃)で入浴を。就寝1時間~30分前がおすすめです。お風呂上がりに体温が1度下がるときに眠気を生じやすくなります。

●寝室や寝具を心地よく整える、気持ちのいいことだけを考える
眠る場所は安心できて心地の良い場所であってほしいもの。肌ざわりや寝心地の良い寝具を選ぶ、ベッドの中では気持ちの良いことだけ考える、など五感を通して意図的に「ベッド=心地の良い場所」となるよう「パブロフの犬」の刷り込みを試みましょう。

いかがでしたか?
適切な睡眠時間の確保を心掛け、生活習慣の見直しや、入眠儀式(ナイトルーティン)を取り入れて、ぐっすり眠ってすっきり起きれる毎日を目指しましょう。

取材協力:山田養蜂場健康科学研究所

■監修者プロフィール:柳原万里子(やなぎはら・まりこ)さん

医学博士。日本睡眠学会総合専門医・指導医。産業医。
筑波大学附属病院睡眠呼吸障害診療科講師、公益財団法人神経研究所客員研究員、東京医科大学睡眠学寄附講座客員講師を経て2022年に「眠りと咳のクリニック虎ノ門」を開院。
皆さまの睡眠と健康寿命を守る、をモットーに女性ならではの丁寧な視点で多岐にわたる睡眠障害の診療と臨床研究、講演などの啓蒙活動を行う。
著書に「臨床医のための疾病と自動車運転(三輪書店)」「診断と治療のABC 睡眠時無呼吸症候群(最新医学社)」など。
 

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