内多勝康さんともみじの家・3

内多勝康|子どもたちの夢と可能性を信じ支えたい

公開日:2020.12.04

子どもたちの命をつなぎ、成長を支える医療的ケア。重い病気や障害のある子どもたちは医療的ケアを受けながら何を考え、どんな夢を持っているでしょうか。「もみじの家」ハウスマネージャーの内多勝康さんが子どもたちの可能性について語ります。

元NHKアナウンサーが震えた、子どもたちの可能性
元NHKアナウンサーが震えた、子どもたちの可能性

子どもの成長する姿に感動と戒めをもらって

子どもの成長する姿に感動と戒めをもらって

NHKアナウンサーから重病の子どもたちの短期入所施設「もみじの家」のハウスマネージャーという、まったく畑違いの世界に飛び込んで丸3年が過ぎました(編注:2019年取材時)。この間に学んだこと、教えられたことはたくさんあります。中でも印象的なのが子どもたちの可能性です。

H君は全身の筋力が低下する難病で、人工呼吸器やチューブを通した栄養注入などの医療的ケアが必要です。もみじの家に通い始めた2歳の頃は周囲が働きかけてもぴくりともせず、ベッドの上でじっとしたまま。

ところが1年後、予想もしなかったことが起こりました。担当の看護師が「グーパー」と声をかけながら手をマッサージしていたら、H君の指が動いたのです。弱々しいながらもグーのときは指を曲げ、パーのときは開く。呼びかけに合わせ、自らの意思で動かしていたのです。

僕は、まさかこんな日が来るとは思ってもいなかったので、感動して涙が出そうになりました。裏を返せば、H君の姿を見て「難しい」と勝手に思い込んでいたわけで、結局、見た目だけで判断していたんですね。なんとも情けないことです。H君はそんな僕の浅はかな考えを戒めてくれたと思っています。

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