公開日:2020/08/16
自衛隊初の心理幹部として、過酷な現場で働く隊員たちにカウンセリングを行ってきた下園壮太さん。さまざまなストレスにさらされる大人には心のケアが必要、と説く下園さんに、今回は感情の勢いが強いときにうまく鎮める方法について教えていただきます。
心は「感情」と「理性」という2つの要素から成り立ち、いずれもあなたを守るために存在していますが、年齢とともに感情をコントロールする力は徐々に落ちてきてしまう、ということを、このシリーズの第1回でお話ししました。
感情は、その勢いが強いときには最も“取り扱い注意”の状態となります。なぜなら、感情は「思考を乗っ取る力」を持っているからです。
感情は、原始時代からずっと、人間が自らを守るために存在してきました。自らの生命が危機を感じたときや、種の存続が危ない、と本能的に感じたときに、感情は事態に素早く対処するために、「体と思考を一体化させる」という働きを発揮します。
もちろん、現代に暮らす私たちは、原始時代とはまったく違う環境の中に生きているのですが、感情は太古の昔のままで反応してしまいます。このために、理性をも乗っ取ってしまうのです。わかりやすい例を出しましょう。
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