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- 遺族も自分も恥をかく!?体験談に見る終活の重要性
死後手続きを自分で行うことはできません。必ず遺族や友人・知人、契約を結んだ第三者などに委ねることになります。終活をしないと、のこされる人に大きな負担をかけるケースも。実際に手続きを行った人たちの体験談から、大切なことが浮き彫りになりました。
デジタル遺品にご注意! 亡き夫の意外な一面を知ることに
50代の夫が急死した佐藤さん(仮名)。悲しみに暮れながらも遺品を整理しなければと、亡夫のスマホにアクセスしたら、意外な一面を知ることに。
「急死した夫の遺品整理を娘と一緒にしていました。娘が、『パパのLINEやSNSは消去しなくていいの?』と言い、そういえばとアクセスすることに。LINEやTwitter、Facebookをチェックした結果、彼の意外な一面を知ることになりました。
彼のLINEには、部下からの相談や飲み会の誘いなどが多く見られ、Facebookのやりとりも多かったのです。どちらかというと家では厳格なタイプの夫でしたが、若い部下からの恋愛相談にまで、自分の体験を交え親身になって受け答えしている文面に、かなり驚きました。また、会社の飲み会で女性社員に囲まれ笑っている画像もありました。娘のしつけには少し厳しいくらいの人だったので、ああ、これは見られたくなかっただろうな、と思いました」
【終活アドバイス】
自分の寿命は誰にもわかりませんから、SNSは万一のことを念頭に置きながら利用することが無難です。自分の死後に遺族に見られたら恥ずかしいなと思う内容のデータは、極力こまめに削除しましょう。また、『死後事務委任契約』を結ぶことで、家族には委ねずにデジタル遺品を確実に消去してくれるサービスもあります。
なぜ片付けておいてくれなかったの!大量の遺品整理は重労働
父親が亡くなった後、実家(地方都市)で独居を続けていた母親が他界した際のエピソードについて語ってくれたのが山本さん(仮名)です。
「私には兄がいますが、きょうだい二人とも東京で働いており、どちらも実家を相続するつもりがありません。そのため、遺品の整理と家財道具の処分を済ませる必要がありました。そこで、5月の大型連休の前半と後半で二人が手分けをして、それぞれ実家の片付けに赴いたのです。
ところが、両親が結婚してから半世紀以上も暮らした家ですから、大量の家財道具があふれかえっていて、どれだけ片付けてもキリがありません。生前、趣味でお花を習っていた母が大事にしていた花器や着物、母より前に他界した父の遺品もあり、どれも母の想いが詰まっていると思うと、簡単に捨てることも憚られます。結局、二人で大型連休をすべて費やしたにもかかわらず完了せず、残りは専門の業者に高い費用 を払って任せることになりました」
【終活アドバイス】
長く住めば住むほど気付かないうちにものが増えて、整理・仕分けが重労働となります。また、故人の思い入れのあるものは、家族ではなかなか処分が難しいものです。本人が元気なうちに身辺整理を進め、大事なものの処分についてなど書き残しておくと、のこされた人の負担は軽減できます。終活における身辺整理は、ただの処分ではなく、思い出の品を通じて人生を振り返り、これから先の人生をより良くできるものです。
これどうすればいいの!?趣味の遺品に戸惑う私たち
同じく遺品の整理・処分に関し、違うかたちで遺族を悩ませたケースもあります。独身の兄が急逝した香川さん(仮名)の体験談です。
「元気だった兄が突然倒れたんです。救急車で搬送され、そのまま亡くなりました。私たち遺族が兄のマンションの家財の片付けを行うことになり、スライド式の本棚の中をのぞいた途端、母と私は驚きました。そこにはかなりの数のプラモデルが丁寧に組み立てられ、キレイに並べられていたのです。
こんなコレクター的な趣味があったのね、と改めて兄を知ったような気分でした。問題はこれをどうするかです。コレクションの価値がわからない上に、兄が大事にしていたものを即座に捨てることにも抵抗を感じ、とりあえずダンボールで保管。その後、どう処分したらいいか大変悩みました。結局、兄の友人で共通の趣味を持っていた方にお譲りすることに。きっと兄もホッとしていると思います」
【終活アドバイス】
やはり、終活の最初の一歩は身の回りの品の整理。また、最近ではコレクションの資産価値がどのぐらいか、生前見積もりができる前サービスもあります。生前にその価値を把握して、自分の死後にそれらをどうしてほしいかなどを記しておくと安心です。
こだわり屋だった亡父の希望がわからず平凡な葬儀に
死は思いがけないタイミングで訪れるものです。森田さん(仮名)の父親も、突然人生の幕を下ろしたそうですが……。
「父は生前、『俺は几帳面だし、終活もきちんと済ませておくから安心しろよ』と言っていたので、まさかこんなことになるとは思っていませんでした。こだわり屋の父は、葬儀も自分流の演出にしたいと言っていたのに、エンディングノートは真っ白で、具体的なプランがまったくわかりません。
葬儀社は臨終の直後に手配しなければならず、結局ごく平凡な内容の式を選ぶことになりました。しっかり書いてくれていれば亡父の理想を実現できたのですが、残念です」
森田さんはその後もお父さんの死後手続きに忙殺され、心を込めて送り出す余裕がなかったそうです。
【終活アドバイス】
死後手続きにまつわるエピソードは決して他人事ではありません。まずは、自分自身の終活を今から始めましょう。元気なうちに実行するのが大切です。ただ、難しく考える必要はありません。例えば、エンディングノートは、後から書き換えることもできます。もし気持ちが変わったら、いくらでも変更できるのです。気軽に、想いを記すことを始めてみましょう。
また、せっかく書いたエンディングノートも、自分の死後、遺族の手に届かなければ意味がありません。どこにどのように保管してあるのかも、しっかり伝えておきましょう。
■記事監修:勝猛一さん
かつ たけひと 司法書士 「勝司法書士法人」代表。相続・遺言サポートオフィス「ゆずりは」運営他。遺言、相続など終活のプロフェッショナル。YouTubeチャンネル「勝 司法書士法人勝猛一」で終活情報を発信しています。著書に、『事例でわかる 任意後見の実務』(日本加除出版)
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■記事協力=三井住友信託銀行
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