プロに聞く!花を最後まで楽しむテクニック

早春の香り「フリージア」を素敵に飾る5つのアイデア

公開日:2024.01.26

早春に旬を迎える「フリージア」を飾りませんか?「花を知り、楽しむ」がコンセプトの第一園芸のWEBサイト・花毎(はなごと)の連載で「二十四節気の花あしらい」を担当する谷中直子さんに、春を告げる花、フリージアの飾り方・楽しみ方を伺います。

みずみずしい早春の花「フリージア」

みずみずしい早春の花「フリージア」

フリージアは金木犀にも似た甘い香りと、すらりとした姿が印象的な早春の花です。

原産地は南アフリカで植物学者によって発見され、やがてヨーロッパに伝わって品種改良が行われました。日本には江戸末期から明治時代頃に渡来し、大正時代に入ってから八丈島で栽培が開始。その後、高度経済成長期と時を同じくして八丈島はフリージアの一大産地となり、島を上げて栽培が盛んに行われました。

花の咲き方は一重咲き、八重咲きのタイプがあり、色はスタンダードな黄色や白の他にもピンクや紫、赤などがあります。

フリージアの飾り方1: 流れるようなラインを愛でる

フリージアの飾り方1: 流れるようなラインを愛でる

最初はフリージアの流れるようなシルエットを活かして生けてみましょう。

今回選んだのは、フリージアの定番品種である黄色の「アラジン」です。フリージアは、すらりとしたスタイリッシュな姿をしていますので、線を活かしたデザインがおすすめです。

今回はシンプルなガラスの花器に思い切り傾けて生けてみました。
フリージアは花の向きがはっきりとしているので、自分が生けたい形にフィットするものを花屋さんで選ぶとプロっぽい仕上がりになると思います。

フリージアの飾り方2: 色違いの花を合わせてみる

フリージアの飾り方2: 色違いの花を合わせてみる

黄色い「アラジン」に、白い八重のフリージア「エッセンス」を組み合わせて、カジュアルなピッチャーに生けてみました。

ガラスの花器ではかなり傾けて生けましたが、今度は太陽に向かって伸びていくようなイメージです。このようなカジュアルな器に生ける場合は、あまり作り込み過ぎず、ざっくり生けた方がまとまりやすいと思います。

非対称の器に生けるコツは左右対称ではなく、持ち手などとは逆の方向に花をやや傾けて生けるとバランスよく仕上がりますよ。

フリージアの飾り方3:春らしい花をプラス

フリージアの飾り方3:春らしい花をプラス

先ほどの黄色と白のフリージアに、グレイッシュな花をプラスして、冬の終わりと春の始まりをつなぐようなイメージで生けてみました。

まず、他の花を固定する土台になるように、雪の結晶のような銀葉が美しい「ダスティーミラー シルバーダスト」を生けます。

次いで、淡いグレーに染めた「スイートピー」でだいたいの大きさを決めて、フリージアを加えましょう。フリージアのすらりとしたラインを活かすため、あえて長めにして加えるのがポイントです。

空いた場所に白い星型の小花「アストランチア」を入れて全体のバランスを整えたら完成。

黄色は少し子どもっぽい印象になりがちですが、白やグレーの花を合わせると優しく落ち着いた印象になりますよ。

フリージアの飾り方3:春らしい花をプラス

先ほど生けた、黄色とグレイッシュな色の花あしらいに、黄色の補色である紫の花を2種加えてみました。

尾のような動きのある「ベロニカ」を全体にバランスよく配置して、アクセントに淡く繊細な春の花「リューココリーネ」を生けます。ちなみにリューココリーネはまるで桜餅のような香りがするんですよ!

こんなふうに少し色をプラスしただけで、春の賑わいを感じる花あしらいに変身しました。

フリージアの飾り方4:一輪の姿を楽しむ

フリージアの飾り方4:一輪の姿を楽しむ

フリージアは花や茎、葉のバランスが絶妙!とてもスタイリッシュなので、ぜひ一輪挿しで花姿全体を楽しんでいただきたい花です。

一輪挿しの良いところは、一つでも、まとめて飾っても「映える」ところです。トレーにまとめて載せると、華やかでおめかしした花あしらいになります。ぜひお試しくださいね。

フリージアの飾り方4:一輪の姿を楽しむ

ご自宅の中を見回してみると、花を飾ると素敵になるものが見つかるかもしれません。
例えば、こちらは普段は果物を入れているバスケット。

バスケットに低めの花瓶やコップを入れてフリージアを生けてみました。フリージアはナチュラルなバスケットに合わせると、温かみのあるカジュアルな雰囲気の花あしらいになりますよ。

フリージアの飾り方5:最後は短めにして楽しむ

フリージアの飾り方5:最後は短めにして楽しむ

フリージアは下から先端へ向かって順に咲き進んでいきます。

先の方にある固い蕾(つぼみ)は咲かせることが難しいのですが、ほころびかけた蕾はだんだんと開いていく様子を楽しむことができると思います。

最初に咲いた花から萎れていきますので、花の下にある緑のガクの部分をハサミでカットするか、萎れた花を指で引き抜きます。こうすることで美しい花姿をより長く楽しむことができますよ。

お手入れを続けて、花が少なくなってきたら、思いきって茎を短くカットして、小さな花瓶などに飾ってみると、また違った雰囲気でフリージアが楽しめます。

フリージアの飾り方5:最後は短めにして楽しむ

丸いガラスの器をお持ちでしたら、フリージアの葉を器にくるりと添わせて、短くカットした花を生けてみるのも素敵です。しなやかなフリージアの葉を活かした、簡単にできるスタイリッシュな花あしらいです。

春の気配を感じさせてくれるフリージアの花あしらいはいかがでしたでしょうか?
フリージアの姿と香りとともに、素敵な春を迎えてくださいね!

「フリージア」の基本情報

「フリージア」の基本情報

●出回り時期:11~3月
●香り:あり
●学名Freesia
●分類:アヤメ科フリージア属
●和名:香雪蘭(こうせつらん)、浅黄水仙(あさぎすいせん)
●英名:Freesia
●原産地:南アフリカ(主にケープ地方)
●花言葉:「希望」「あどけなさ」「純潔」「親愛の情」など

構成・写真=石川恵子(第一園芸・花毎)

花屋の第一園芸が運営する花にまつわるコトを楽しむWEBサイト「花毎」。二十四節気とともに感じる季節の花を軸に、買うだけではない花の楽しみ方をさまざまな角度からご紹介。花毎の書籍に『 花月暦』(株式会社パイ インターナショナル刊)

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※この記事は、花毎での連載「二十四節気の花あしらい」を基に制作しています。

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